りくぼーの音楽感想倉庫

音楽CDの感想を綴っていきます

NO DOUBT!!! -NO LIMIT- / LGYankees

NO DOUBT !!!-NO LIMIT-


曲目リスト


1. Intro
2. L.S.L II
3. PARTY UP!! feat. ShaNa
4. Bye for Now
5. Eternal
6. Last Summer Day -PART II- feat. Clef
7. Pure Hope
8. Drive on a Holiday feat. Noa
9. chEckmaTe feat. EIGHT TRACK
10. Life Goes On feat. 山猿
11. Dear Mama -Interlude-
12. Dear Mama feat. 小田和正
13. Because... feat. 中村舞子
14. Outro
15. KO.A.KU.MA feat. Noa [Bonus Track]


評価: ★★★★★★☆☆☆☆


宮城県仙台のラップグループ、LGYankeesの2ndアルバム。
2008年9月17日発売。


1stアルバムを出した後はしばらくアルバムリリースはしなかったものの、
コンピレーションアルバム「NORTH EAST」のプロデュース、HIROによるレーベル、NO DOUBT TRACKSの立ち上げ、LGYからLGYankeesへのグループ名変更、同時にDJ NO.2の正式加入など様々な部分で存在感を見せつけた活動をしてきたLGYankees。
その順風満帆さゆえに勢いは加速していたと言っていいと思います。

そんなLGYankeesが2008年5月、とうとうシングル「Dear Mama feat. 小田和正」(M-12)でメジャーデビューを果たします。
この曲はインディーズ時代の楽曲「Dear Mama feat. BIG RON」のセルフリメイクであり、
何とあの小田和正氏というラップとは無縁と言っていい、尚且つとんでもない大物歌手とのコラボに成功してしまったのです。
僕もこのクレジットを見たときは驚いた記憶があります。
結果として普段ラップを聴かないようなリスナーへのアピールに繋がり、沢山の新規ファンを獲得することに。


しかし純粋なラップファンにはこのコラボがセルアウト、売れ線狙いなどと見られたこと、インディーズでfeatしていたBIG RONに無断で行われたことなど様々なしがらみが起こり、一気にその方面のファンやアーティストからのプロップスを失いました。
これを機にLGYankees及びNO DOUBT TRACKSのミュージシャンはPOPS寄りの作品が多くなっていき、ますますその方面の人たちから白い目で見られて行くようになります。


前置きだけで終わりそうなので内容に行きましょう。


先程も書いたように、LGYankeesの小田和正氏とのコラボを皮切りにNO DOUBT TRACKSからリリースされる作品はPOP色が強めになるのですが、この作品も例に違わず。
具体的なメッセージを持たせた曲の割合(もっと言うと恋愛ソング率)、POPなバラードサウンドの割合が高めになっています。

世界平和ソングだったり、失恋ソングだったり、ウェディングソングだったりと、トピックは様々。
M-12「Dear Mama feat. 小田和正」のヒットで「こういうアプローチがいける」と思ったんでしょうか。
いや、確かにこのアルバム世間的にはヒットしたのでセールス的には結果的にいけたんでしょうけど。


でも、このアプローチが音楽的にいい方向に向いたかというと…正直微妙ですかね。

シンプルなビートの上で一夏の恋を描くM-6「Last Summer Day -PART Ⅱ- feat. Clef」、カップルの海へのドライブデート中の男女の気持ちをストレートに表現したM-8「Drive on a holiday feat. Noa」、LGYankeesと山猿流人生応援歌M-10「Life Goes On feat. 山猿」の3曲は客演の好演やトラックとMCの相性も悪くなくそこそこ楽しめるんですが、それ以外のそのようなアプローチ楽曲はメロディアスな部分を所々で見せるHIROのラップはまだ良くても、RYOのガラガラしたリズム感がないラップがいまいちトラックや曲の雰囲気に順応出来てない気がします。
そもそもRYOの声からしてこういうアプローチは不向きなのでは。


そんな中で愛車自慢のM-2
L.S.L Ⅱ」、EIGHT TRACKからL-BとBUZZを呼んで4人でマイクリレーを披露するM-9「chEckmaTe feat. EIGHT TRACK」などのオレオレ物のMC陣のキレキレっぷりは流石で、絶対こっちのアプローチを中心にした方がいい作品が出来たと思います。


オレオレ物中心であそこまで売れた1stから路線を変え、様々なメッセージやPOPSサウンドのアプローチを積極的に取り入れた貪欲さはミュージシャンやエンターテイナーの姿勢としては立派ですが、それが皮肉にも「やっぱりHIROとRYOのラップはオレオレ物が一番映える」ということを証明してしまったように感じます。
上の2曲の尖り具合は流石なだけに、色々と惜しい。

ただM-4「Bye For Now」やM-5「Eternal」でRYOのラップが気にならない人ならいいアルバムだと思うので、まずは試聴してみることをオススメします。


↓M-13「Because... feat. 中村舞子」のPV。
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MONEY MONEY 2020 / THE NETWORK

マネー・マネー・2020


曲目リスト


1. JOE ROBOT
2. TRANSISTORS GONE WILD
3. RETO
4. SUPERMODEL ROBOTS
5. MONEY MONEY 2020
6. SPIKE
7. LOVE AND MONEY
8. RIGHT HAND-A-RAMA
9. ROSHAMBO
10. HUNGRY HUNGRY MODELS
11. SPASTIC SOCIETY
12. X-RAY HAMBURGER
13. TEENAGERS FROM MARS
14. HAMMER OF THE GODS


評価: ★★★★★★★☆☆☆


2003年に突如現れた正体不明の覆面バンド、THE NETWORKの1stアルバム。
2003年9月30日発売。


THE NETWORKはボーカルのFINK、ベースのVAN GOUGH、ドラムのTHE SNOO、キーボードのCAPTAIN UNDERPANTSとZの5人からなるバンドで、覆面を常に被っており、信頼できる情報も皆無と言っていい…全く正体不明のグループです。


そんな中で常に噂されるのがボーカルのFINKの声がGREEN DAYのBillieの声にそっくりであり、この作品がGREEN DAYと親交深いレーベルから出されたことから、

GREEN DAYの顔を隠したサイドプロジェクトなのでは?」

という噂です。

本人は否定してますけど、果たして真偽はどうなのか。
それは関係者のみぞ知る。


では内容に。


詞カード内の行川氏の解説に「チープだし、エレポップなパンク・ロックだ」と書いてあったのですが、なるほど、確かにそうかもなあと思いました。
音としては斬新だなあと思えるメロディーや音などは少なく、少々POPな雰囲気のある間違いなく先人たちがいそうなサウンドです。


楽曲は全体的に短く、3分以上の楽曲はM-14「HAMMER OF THE GODS」のみで、M-2「TRANSISTORS GONE WILD」に至っては1分弱。
短尺曲を投下して構築していくというやり方は本作以外でもたまに見るやり方ですが、このやり方は自動的に長所と短所の両方がついてきてしまうやり方であり、本作でもその長所と短所の両方をばっちり継承しています。


長所という面では、楽曲自体が短いため、全体的にサクッと聴ける点。普通のアルバムでは味わうことの少ないコンパクトさがあります。
短所という面では、その楽曲の世界観やイメージが頭の中に出来る前に曲が終わってしまう点。もしかして覆面バンドというミステリアスな存在で想像力を掻き立てるだけではなく、楽曲でも想像力を掻き立たせたかったんでしょうか?
なら、中々の策士かも。


しかし上にも書いたように、サウンドに対するメンバーの姿勢は結構真面目な気がします。
どのサウンドも、FINKのボーカルとそれぞれのサウンドマンの音を邪魔しないようになっていて、無駄な音も極力入れず、楽曲にとってプラスに働くであろう音だけをサンドイッチのように詰め込んでいく。
あえてどの楽曲も短めにして、覆面バンドらしいミステリアスな側面も見せる。

こういうミステリアスに見せて真面目な所を感じさせる覆面バンドってむしろ新鮮な気もします。


ただどの曲もそういった構成なので、ある意味綺麗に作りすぎていて物足りなさも感じてしまうのは事実なんですよね。
基本的にはいいアルバムなんですけど、インパクトのある曲はないっちゃないですし。
どこを切ってもまずくはないけど、もう一味あれば違うかも!みたいな。


GREEN DAYが好きな人は聴き比べてみるのも面白いかもしれません。そういった意味でなら是非ともオススメします。
そうでない人は、試聴してからの購入がオススメですかね。


↓M-6「SPIKE」のPV。
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ケツノポリス / ケツメイシ

ケツノポリス


曲目リスト


1. intro
2. こっちおいで
3. CLUBへ
4. もっと
5. 力 mix
6. ビールボーイ
7. 言技
8. 雨
9. S/S
10. ポエムンベース
11. 旅
12. 夕日
13. 男男
14. outro
15. CLUBへ(熱帯夜mix) feat. 鎮座DOPENESS, カトマイラ


評価: ★★★★★★★★☆☆


日本ではかなり知名度の高いラップグループ、ケツメイシの1stアルバム。
2000年12月20日発売。


ケツメイシはMCのRYOと大蔵、MC兼シンガーのRYOJI、DJのDJ KOHNOからなるグループであり、1993年に結成。
結成した当時は普通のサラリーマンだったメンバーもいたせいか、本格的に活動し始めたのは結成されてから数年後でした。


1999年に「こっちおいで」(M-2)を最初のCDとしてドロップし、その後も「新生活」、「」とコンスタントにシングルをリリースしていきました。
そして2000年の最後にこのアルバムをシーンに投下したわけです。
結果的にこのアルバムがケツメイシのインディーズの最初で最後のアルバムになっています。


ちなみに上の3枚も無論インディーズからリリースされており、メジャーデビュー後にメジャーから再発はされていますが、やはりマイナーな作品のようで、ネット以外で入手するのは少し難しいです。
まあ、僕がリアル店舗で見たことないだけなんですけど。
でもAmazonレビューも少ないからなあ。
この頃はまだまだ世間的にはマイナーなグループでしたし、しょうがないですね。


では内容に。


間違いなくRHYMESTERの影響を受けたというのが色濃く出てます。

シンプルで聴きやすいビートにMC2人とシンガーのRYOJIが好き放題でライミングしまくりのリリックを乗っけた、ハードなラップが好きな人でも聴ける、POPなラップが好きな人でも聴けるような、バランスの良さが特徴ですね。

メンバーの中で一際光るのはRYOで、縦横無尽にトラックの上を暴れまわりながら様々な箇所でライミングのサンドイッチを見せてくれる様は圧巻としか言えません。


特にM-2「こっちおいで」、M-7「言技」の2曲は3人の遊び心満載のラップとリリック、DJ KOHNOの陽気なトラックのバシッとしたハマり具合を見せてくれ、非常に楽しい4分間を提供してくれます。
やはりこういったスタイルは遊びのリリックが一番映えますね。
アルバムの中でも飛び抜けています。


とはいってもメッセージ性のある楽曲でもしっかりとライミングとメッセージ性の両立はとれており、男に向けたエール曲のM-12「夕日」、M-13「男男」などはこの頃のケツメイシならではの表現で魅せてくれます。日本語の使い方が本当に上手いですね。

失恋ソングのM-8「」、女性との一晩を描いたM-9「S/S」、次曲のInterludeのM-10「ポエムンベース」、旅の楽しさや醍醐味をケツメ節で描写するM-11「」ではストーリーテーリングの部分も見せてくれます。


最初から最後まで良曲続きのこの作品の最後に控えているのが、間違いなく本作のMVP楽曲、
M-15「CLUBへ 〜熱帯夜mix〜」。
ケツメイシ主催のイベント「熱帯夜」に参加していた鎮座DOPENESSとカトマイラが参加したM-3「CLUBへ」のRemix。
今となっては考えにくい組み合わせ。

原曲よりもハードなビートで、ケツメイシの3人のリリックとHookはそのままですが、鎮座DOPENESSとカトマイラとの5人で非常に熱いマイクリレーが繰り広げられており、RYOJIのHookも非常にいいアクセントです。「アルバムの最後にすごいのを突っ込んでくれた!」と心から思える楽曲です。
原曲も勿論いいですけど、個人的にはこちらのRemixに分がありますね。


さくら」以降一気に知名度を上げたケツメイシ
そのためこの作品を聴いたことがない人は多いかもしれませんが、この頃のケツメイシにもいい曲は沢山あります。
特に最近ケツメイシが好きになった人にはマスト。それ以外の方も是非見つけたら買ってみてください。
非常に楽しめる時間を味わえる一枚です。


↓M-6「ビールボーイ」のライブ映像。
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DiscO-Zone / O-ZONE

Discozone


曲目リスト


1. FESTA DE LA NOCHE
2. DE CE PLANG CHITARELE?
3. DRAGOSTEA DIN TEI
4. PRINTRE NORI
5. ORIUNDE AI FI
6. NUMAI TU
7. DAR, UNDE ESTI
8. DESPRE TINE
9. SARBA TOAREA NOPTILOR DE VARA
10. NU MA LAS DE LIMBA NOASTRA
11. CREDE MA


評価: ★★★★★★★★☆☆


モルドバ共和国の音楽グループ、O-ZONEの2ndアルバム。
2004年6月6日発売。


O-ZONEは1999年にモルドバ共和国でリーダーのDanが友人のPetruと結成したグループで、方向性の違いによりPetruが脱退し、ArsenieとRaduが加入しました。この3人が最終的なO-ZONEとなったわけです。

モルドバ人がルーマニアで成功する例はそれまでありませんでしたが、3人の惜しみ無い努力により1stアルバム「Number 1」が10万枚を越える大ヒット。
このO-ZONEモルドバ人でルーマニアで成功した最初のミュージシャンになったのです。


そして「DRAGOSTEA DIN TEI」(M-3)が世界規模での大ヒット。当然その後に出された本作も絶大な大ヒットになり、日本でも「恋のマイアヒ」なんていう邦題がつけられ、空耳ソングとしても一躍ムーブメントに!
2005年に国内版としてもこの2ndアルバムがリリースされたのです。

しかし日本でこの国内版をリリースしたのはAVEXだったのですが、「のま猫パクリ問題」や、アルバムのコンセプトを無視しての曲順の入れ替え(国内版ではM-3「DRAGOSTEA DIN TEI」がM-1になっています)、本来の訳とは全く違う空耳を全面アピール…などといった改悪が非常に目立ったため、Amazonの国内版ページは炎上状態と言っていい状態になってしまいました。

…ちなみに実を言うと僕も持っているのはM-3「DRAGOSTEA DIN TEI」がM-1にある国内版なのですが、CDを焼くときに本来の並び順に戻しました。
なので今回はその本来の並び順での感想で、国内版のRemixは割愛させて頂きます。


前置きが長くなりました。内容に入りましょう。


「DiscO-Zone」というアルバム名の通り、ディスコやクラブ等で流せば間違いなく盛り上がるであろうダンスミュージックがメインのアルバムとなっています。
3人とも声が分かりやすくキャラ立ちしており、歌の方も確かな実力。
作詞作曲は全てリーダーであるDanが手掛けています。
リーダーである彼が一番気合いが入っていたのが分かりますね。


序盤のMCがかなりいい入りだしで、この曲でスタートをしたのは大正解だと感じるM-1FESTA DE LA NOCHE」、民族的なメロディーが印象的なM-2「DE CE PLANG CHITARELE」、電子音のようなサウンドが癖になるM-8「DESPRE TINE」なんかは聴いている間身体を動かしたくなること必至の良曲です。


ダンストラックではないちょっとしっとりとしたサウンドではM-10「NU MA LAS DE LIMBA NOASTRA」、
M-11「CREDE MA」の最後の2曲が中々の出来。
3人の声をそれぞれしっかり生かした聴かせる2曲です。
Danって恐ろしい男ですね…。


最もやはりM-3「DRAGOSTEA DIN TEI」が楽曲としては飛び抜けてますね。一度聴いたら忘れられないサビ、三人の声のコンストラクト、トラックの変調具合…どこをとっても文句をつける点が見当たらない。
世界的なヒットも十分に頷けます。
流石にこの曲に並ぶ曲はありません。仕方ないですけど。


M-3「DRAGOSTEA DIN TEI」に並ぶ曲は無いものの、この曲が気になり「もっとO-ZONEのことが知りたい!」と思ったなら迷わず聴いてみるべきだと思います。


↓M-8「DESPRE TINE」のPV。
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NITRO MICROPHONE UNDERGROUND / NITRO MICROPHONE UNDERGROUND

NITRO MICROPHONE UNDERGROUND[Def Jam edition]


曲目リスト


1. NITRO MICROPHONE UNDERGROUND
2. BAMBU
3. MISCHIEF
4. 3 ON TREE (三銃SH*T)
5. PYRAMID
6. ASAMA131
7. S.K.I.T.
8. REQUIEM
9. となりのお姉さんが...
10. JUS' PLAYIN'
11. INFINITY
12. HARDCORE
13. UNSTOPPABLE (Live At 江戸城ホール)
14. ピコピコポン
15. クチずさんでごらんよ
16. NICE DREAM
17. ボクも
18. SKIT
19. 45 FINGAZ OF DEATH
20. さきっちょだけですけれども21. LIVE '99
22. T.B.C. (Bonus Track)


評価: ★★★★★★★★☆☆


当時は「無敵の八本マイク」などとの声で絶賛された、8人のラッパー集団、NITRO MICROPHONE UNDERGROUNDの1stアルバム。
2000年12月27日発売。


メンバーはGORE-TEX、DELI、BIGZAMXBSSUIKEN、DABO、MACKA-CHINS-WORDの8人で、雷やMICROPHONE PAGERの影響を受けたラッパーたちで結成されました。
SUIKENやDABOなどは元々シーンでの活動を行っていて、アナログも何枚かリリースしていました。「あのMUROが認めた男!」みたいな形で、結構注目されていたようです。


1999年6月にS-WORDMACKA-CHINGORE-TEXが連名で「REQUIEM」(M-8)をアナログでリリースしたあたりからNITROという集団がシーンに徐々に出来てきました。
そしてとうとう2000年にこの1stアルバムをリリースし、シーンの核弾頭として大絶賛を受けたのです。
未だに日本語ラップファンの間でこの作品は決まって語り草になっています。


では内容に。


8人という大人数体制を生かしたマイクリレーが中心で、8人とも見事にラップスタイルに違いがあるのでそれぞれのラップの比を楽しみながら聴くことが出来ます。
大人数のマイクリレーというスタイルの楽曲やグループはいくらでもありますが、ここまでこのスタイルを上手く生かした作品も中々無いのでは。

DJ WATARAIをはじめとするトラックメイカーたちもそんなMC陣に負けないトラックを用意しており、MCとトラックの化学反応もまた楽しめます。
Skitが各所に配置されていますが、どのSkitも遊び心があり中々聴きごたえがあります。
特にM-9「となりのお姉さんが...」は面白く感じること必至。


様々な部分で楽しめる曲揃いのこの作品ですが、やはり自己紹介的な立ち位置ながら小気味良く全員でマイクを回していくM-1NITRO MICROPHONE UNDERGROUND」、DABOとS-WORDの安定感あるラップとSUIKENのひたすら暴れまわるラップの対比が楽しいM-4「3 ON TREE (三銃SH*T)」、初アナログで気合いを入れまくったのが見えるM-8「REQUIEM」、MACKA-CHINの深い?リリックが刺さるM-17「ボクも」が特に良かったですね。


彼らは基本的にリリックは予測不能な言葉を紡いでいくスタイルであるため、メッセージ性などを求める人には受けが悪いかもしれませんが、ここまでただひたすらマイクリレーを楽しんでいる集団も珍しいですよね。
それでしっかり1枚聴き通せるアルバムを作り上げたっていうのもすごい。
こんな作品が出たらシーンで話題になるのも必然的ですよ。
今もフリースタイルダンジョンなどでまたスポットライトが当たってきています。
今の時代でも十分通用する作品なので、是非チェックしてみてください。


M-1NITRO MICROPHONE UNDERGROUND」のPV。
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Enter The Wu-tang (36 CHAMBERS) / Wu-tang Clan

Enter The Wu-tang


曲目リスト


1. Bring Da Ruckus
2. Shame On A Nigga
3. Clan In Da Front
4. Wu-Tang: 7th Chamber
5. Can It Be All So Simple
6. Da Mystery Of Chessboxin'
7. Wu-Tang Clan Ain't Nuthing Ta F' Wit
8. C.R.E.A.M.
9. Method Man
10. Protect Ya Neck
11. Tearz
12. Wu-Tang: 7th Chamber (Part 2)


評価: ★★★★★★★★★★


RZA率いるラップグループ、Wu-tang Clanの1stアルバム。
1993年11月9日発売。


Wu-tang ClanはNYのStaten IslandでリーダーのRZAを筆頭に結成されたラップグループで、1992年頃に結成されました。

メインメンバーはRZA、GZA、Method Man、RAEKWON、Ol' Dirty Bastered、Ghostface Killah、Inspektah Deck、Master Killer、U-God、Cappadonnaの10名ですが、実際はまだまだメンバーがいて、総計メンバーは100人越えとの噂もあります。

Wu-tangという名前は少林寺拳法の一つから取ったものであり、メンバー全員がカンフー映画の影響を受けています。


HIP HOPとカンフーという異色な組み合わせのグループなんて当然のことながら史上初でしたし、常にメンバーが顔を隠していたりなど、とにかくリスナーの興味を引く要素が満載のグループだったのです。
1stシングル「Protect Ya Neck」(M-10)をリリースした途端、HIP HOP界で注目が集まりました。
そして年内に出されたこのアルバム。
様々なメディアで賞賛を受け、未だにHIP HOP好きなら避けて通れない名盤とされています。


長くなりそうなので内容に。


トラックプロデュースは全てリーダーのRZAが担当しており、とにかくハチャメチャで独特なトラックが多いです。
そしてその上で強烈なキャラを持ったMC陣が強烈なラップを好き放題の乗っけていくわけで、本当に全てにおいて強烈な作品となっています。

しかしこの強烈で雑多なマイクリレーと迫力、トラックのいい意味でのおかしさは圧巻で、まさに彼らにしか作れない内容が連射されます。
彼らの個性は曲の合間のInterlude的な会話にも現れていて、これでもかという位にWu-tang節というものを見せつけられます。

曲自体もどの曲も音楽面でも全てシングルカットしてもいいくらいの出来映えで、みんな様々な雰囲気のトラックなのに、見事にMCがそれぞれベストな仕事を残しているのがすごいです。


未だにHIP HOPのクラシックの1枚とされるのも納得の出来映えですね。
それぞれで内容を聴いてみてほしいので、あえてオススメの曲は紹介しません。
是非聴いてみて、Wu-tang Clanという集団の世界観を体感してみてください。


↓M-8「C.R.E.A.M」のPV。
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JOINTED 2 HOMIES / LGY

JOINTED 2 HOMIES


曲目リスト


1. Intro -The Start- mixed up by FILLMORE
2. North East No.1 M.I.C 
3. Playa Playa feat. GIPPER, ERIKA 
4. 凌ぎ feat. Mr. RAIDER
5. L.S.L
6. 2 Face
7. Skit from Kayzabro (for DS455)
8. Colors feat. BUZZ
9. Neccesary Pride feat. TERRY
10. Lifestyle Luxury feat. HYENA 
11. Dear Mama feat. BIG RON
12. Honesty Feeling feat. 詩音
13. Jointed 2 Homies feat. Ⅱ-J 
14. Outro


評価: ★★★★★★★★★☆


東北の中心地、宮城県仙台市のラップグループ、LGYの1stアルバム。2006年1月31日発売。


以前からLGYのことはコンピレーションアルバムなどで触れていましたが、今回は本隊作品を紹介させて頂きます。

LGYは板前だったHIRO、自衛官だったRYOが2人で2000年に結成したグループであり、東北のラップクルーであった西海岸Crewの先頭を切っていました。
2003年頃からコンピレーションアルバム参加などで全国作品にも顔を出すようになりましたね。
そうしてLGYの名前を広げていくなか、とうとうインディーズからこの1stアルバムをリリースしました。
Mr. RAIDERやTERRYなどといった西海岸Crewメンバーのフックアップの一方、BIG RONやGIPPERなどといった強力な面子も参加した1枚ということもあり、なんとインディーズでありながら11万枚というセールスを記録しました。

もしこのままのスタイルでシーンに居続けたらどうなっていたんでしょうか。


では内容に。


HIROは低音の声を生かしたラップを、RYOはよくあるガラガラした声のラップを操っており、かなり分かりやすい棲み分けがされています。
2人ともラップが少し雑な印象は否めないものの、リリックやHookの作り方が非常に上手く、結果としてほとんどの曲でそれがいい方向に傾いています。客演やトラックメイカー陣も中々の仕事ぶりで、聴きごたえのある作品に仕上がっています。


特に不穏な空気が漂うトラックとERIKAのHookの上で3人が貫禄あるラップを魅せるM-3「Playa Playa feat. GIPPER, ERIKA」、やり過ぎなくらいのいやらしいギャングリリックが好き者にはたまらないM-4「凌ぎ feat. Mr. RAIDER」、Hook作りの上手さが全面に出たM-9「Necessary Pride feat. TERRY」、Ⅱ-Jのトラック作りが本当にいい仕事ぶりのM-13「Jointed 2 Homies feat. Ⅱ-J」辺りは良曲揃いのアルバムの中でも一際光る楽曲に仕上がっています。


客演なしの楽曲ではM-2「North East No.1 M.I.C」がベストですかね。
シンプルなトラックの上でリリックに下品な表現はあるものの、Hookでこれでもかというくらい作り方の上手さを見せてくれます。


全体的にイケイケの楽曲の中で2曲だけしんみりとした楽曲があり、そちらも中々客演の使い方がうまいです。
ただ恋愛もののM-12「Honesty Feeling feat. 詩音」はちょっと外した感が否めないかも。この曲のRYOの無骨なラップはまあまあ楽しめましたが。


2人のラップ自体はそこまで特徴があるわけではないのに、ここまで客演やHookなどを生かしきっていい作品を作ったというのは中々面白いですね。
サウンド主体でなら間違いなく上位に入る1枚です。
詞の内容はバブリーなものもあるので好き嫌いは分かれるかもしれませんが、是非一度は聴いてみてください。
もしこの路線で次のアルバムを出していたらそれは傑作になったんでしょうか…。そんなこと言ってもしょうがないですけどね。そのへんについては次のアルバムの感想を書くときに書きましょう。


↓M-5「L.S.L」。
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