りくぼーの音楽感想倉庫

音楽CDの感想を綴っていきます

恋時雨 / 湘南乃風

恋時雨


曲目リスト


1. 恋時雨
2. Electric BOMB
3. SHOW TIME
4. 恋時雨 〜instrumental〜
5. SHOW TIME 〜instrumental〜


評価: ★★★★★★★★☆☆


神奈川県湘南にて結成されたグループ、湘南乃風の8thシングル。
2008年8月27日発売。


純恋歌」がスマッシュヒットとなり、3rdアルバムはなんとチャート1位を獲得。
その後も「睡蓮花」を2007年の夏歌を代表すると言ってもいいくらいにヒットさせ、好調に一般層へ人気を広げていった湘南乃風
2008年の夏にこの8thシングルをリリースしました。


さて、内容に。


純恋歌」以降のシングルは、6thシングルは夏向けパーティーチューン、7thシングルは応援歌とメインでは恋愛ソングはありませんでしたが、本作は2年ぶりの恋愛ソングがメインとなったシングルになります。


M-1恋時雨」は、恋愛ソングですが、トピックは失恋。

とは言っても普通の失恋ソングのように、「失恋した、悲しい」「まだあなたが忘れられない」などというような表現で終わっているわけではなく、そこから前向きに歩いていこうとする主人公の心情を表現しています。
個人的にこのような悲しみを受け止めて前向きに歩こうとするというトピックは好きですね。
恋愛ソングはあまり好きではないのですが。

彼女がいなくなってからの自堕落で寂しい生活を告白して最後に前向きな言葉を残すSHOCK、そこから立ち上がっていった熱い詞を乗せるRED、切なさと強さを兼ね備えた詞と歌い方で見せるHAN-KUN、そして最後のHookの前の全員での歌唱には胸が熱くなるような詞が転がっています。
聴き終わった後には、まるで映画を一本見たような気分になる一曲ですね。

・・・ただ、難を言うとすると、最初の若旦那のバースが個人的に好きになれないんですよね・・。
詞の内容がイマイチ好きになれず。


M-2「Electric BOMB」は、詞が乗っていないインストで、アルバムでいうスキット的な役割。
作曲にTsuboiの名前があってちょっとびっくりしました。
1分15秒という短い中に様々な音を挟み、あっという間に聴き終えてしまうような楽しいサウンドを提供してくれます。


M-3「SHOW TIME」は湘南ベルマーレの試合直前に使われているパーティーチューン。
4人とも荒々しくて勢いのあるトラックの上で暴れまわるパフォーマンスを披露。
2分57分という短さですが、そんなことを全く感じさせない満足感を提供してくれます。
正直本作の中では一番好きな曲です。


M-4「恋時雨 〜instrumental〜」はM-1恋時雨」のインストで、もはやREGGAEという感じはしないものの、彼らの音作りのセンスはPOPSというフィールドでも生きることを証明したインストですね。
詞が乗っていないのに、まるでドラマのような展開を想像してしまう音作りは流石です。
まあ、聴いてみてください。


M-5「SHOW TIME 〜instrumental〜」はM-3「SHOW TIME」のインスト。
こちらでも彼らの音作りのセンスが大爆発。
歌がなくても十分に聴きごたえありなインストを提供するのはすごいです。
無論、これに彼らの歌が乗るとますますすごいことになるわけですが・・。


たらればを挙げるとやはり出てきてしまうのですけれども、カップリングもしっかりと手抜きしないで作られていますし、インストも聴きごたえ抜群。
サウンドとしては間違いなく良作に入る一枚だと思います。
ただM-1恋時雨」、M-3「SHOW TIME」は彼らの4thアルバムやベストアルバムに収録されているので、その2曲が聴きたい方はそちらをオススメします。

個人的にはインストなども聴きごたえがあるので聴いてみたい方はマストな1枚です。


M-1恋時雨」のPV。
www.youtube.com

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Nellyville / NELLY

Nellyville


曲目リスト


1. Nellyville
2. Gettin' It Started feat. Cedric the Entertainer, La La
3. Hot In Herre
4. Dem Boyz feat. Kyjuan, Murphy Lee
5. Oh Nelly feat. Murphy Lee
6. Pimp Juice
7. Air Force Ones feat. Kyjuan, Ali, Murphy Lee
8. In The Store feat. Cedric the Entertainer, La La
9. On The Grind feat. King Jacob
10. Dilemma feat. Kelly Rowland
11. Splurge
12. Work It feat. Justin Timberlake
13. Roc The Mic (Remix) / Beanie Sigel with Freeway feat. Nelly, Murphy Lee
14. The Gank
15. 5000
16. #1
17. CG2 feat. Kyjuan, Murphy Lee
18. Say Now
19. **** It Then feat. Cedric the Entertainer, La La
20. Stick Out Ya Wrist feat. Toya


評価: ★★★★★★★★★☆


アメリカのテキサス生まれミズーリ州セントルイス育ちのラッパー、NELLYの2ndアルバム。
2002年6月25日発売。


1stアルバム「Country Grammer」が大ヒット作になり、様々なメディアから称賛を受けるというデビューからいきなり大成功を納めたNELLY
この2ndアルバムの制作にもすぐに取りかかることになりました。

時間的余裕がある状態で制作に取り組むことができた前作とはうって変わって、本作はツアーバスにもレコーディング機材を持ち込むほどのタイトな状態での制作をしたことで知られています。

前作がリリースされてからは様々な雑誌の表紙を飾るアイドル状態になっていたNELLY
NELLY自身、早く次のアルバムを出したいと感じていたんでしょうね。
野球選手の道を蹴ってラッパーになっただけあり、音楽への愛情は尋常ではないということを感じるエピソードです。


そして前作から2年のインターバルを経てリリースされた本作。
当然ながら話題騒然となり、USのチャートでは堂々と一位を獲得。
世界的なチャートでも様々な国で20位以内を達成。
1stアルバムに続き、大成功を納めた1枚となりました。


さて、内容に。


NELLYのラップの特徴といえばなんといっても歌心溢れる歌うようなラップ。
聴きやすさと強烈な個性を両立させた彼の作り出す音楽は、HIP HOPを聴かない人でも入り込める、「どんな奴でもカモン!」というオープンな雰囲気があります。
果たして本作ではどうなのか。


まずM-1Nellyvilleからして最高のオープニングです。
神秘的な雰囲気のイントロから一気にNELLYのラップでパーティーな雰囲気に持っていく様はやみつきになってしまいます。
途中でもはや歌なのでは?と思ってしまうほどのギリギリラップなラインでのバースを持ってくるところもセンスの良さが光ってますよ。

続くM-2「Gettin' It Started feat. Cedric the Entertainer, La La」はスキットで、必要あったんですかね?と思ってしまいますが、そこからシングルで切られた有名曲のM-3「Hot In Herre」がドカンとまたきてしまいます。
客演がいないのにも関わらず、こんなにも色々な乗りこなしをトラックの上で聴けるのなんてNELLYならでは!
リリックはスケベな内容なので英語がわかる方の前ではちょっとかけられないかもしれませんが、シングル切られたのも十分に理解できる一曲。


続くM-4「Dem Boyz feat. Kyjuan, Murphy Lee」は先の2曲と比べると落ち着いた雰囲気ながらもクラブでしっかりと流せそうな楽曲で、NELLY、Kyjuan、Murphy Leeがクールな仕事ぶりを魅せてくれます。
次のM-5「Oh Nelly feat. Murphy Lee」は上の2曲の雰囲気に戻ったパーティーチューンですが、相変わらずNELLYが様々なトラックへのラップの乗せ方で楽しませてくれます。
Murphy Leeがしっかり脇役に回って後押しをしているのも好印象ですね。


M-6「Pimp Juice」は、好みが分かれそうな気がします。
他の楽曲に比べるとちょっと高い?声でラップや歌を披露しており、苦手な人は苦手だと思います。
個人的にはこれはこれで面白いと思いますけどね。
ただこのスタイルでアルバム1枚やられたら胸焼けしそうではあります。
続くM-7「Air Force Ones feat. Kyjuan, Ali, Murphy Lee」は雑多なマイクリレーもので、NELLYもちょっと自分を抑え目にしてる感じがします。
トラックが派手なことがあってMC陣がちょっと本領を発揮できていない感も。
シングル切られた一曲なんですけどね。


買い物中の会話を録音したスキットのM-8「In The Store feat. Cedric the Entertainer, La La」を挟んだ後に控えるM-9「On The Grind feat. King Jacob」がアルバムの中でも一際目立つ一曲!
インパクトのある掴み抜群なトラックの上でNELLYもKing Jacobも100点満点なパフォーマンスを披露。
一度聴いたら耳に残ること必至です。


M-10「Dilemma feat. Kelly Rowland」はそんな派手な世界から一転、シンプルで綺麗めなトラックの、よくあるラッパーとシンガーの曲。
アルバムの中でもちょっと異色で、NELLYの歌うようなラップは影を潜め、Kellyの歌を最大限生かす楽曲になっています。


M-11「Splurge」はNELLYの歌っぽい部分を生かした1曲で、リリックの内容はちょっとしたセルフブースト。ただシリアスな内容も所々に見られますね。
ちょっとこのあたりからアルバムとしては失速してきた感が。


M-12「Work It feat. Justin Timberlake」は何と大物アイドルグループの★NSYNCからJustinを客演に迎えた一曲!
・・まあ、そんなすごい化学反応は起きていませんが、面白い絡みが見れる曲ではあるので、興味ある方は一度聴いて損はないでしょう。


M-13「Roc The Mic (Remix)」は映画Traning Dayのサントラに収録された楽曲のRemix。中々豪華なメンツで悪くはないですが、これまた大きな化学反応はありません。


M-14「The Gank」は恋愛ソングですが、NELLYの歌がかなり生かされた楽曲で、ドライブなどではぴったりなこと請け合い。
ここからまたアルバムとしての調子が戻っていきます!

M-15「5000」の笑い声のスキットを挟み待ち構えるのはシングルで切られたM-16「#1」。
M-1Nellyville」のような雰囲気で、ここでもトラックの上を様々な乗りこなしを見せるNELLYが楽しめます。

M-17「CG2 feat. Kyjuan, Murphy Lee」はシンプルなマイクリレーもので、本作収録のマイクリレーものでは一番グッと来ます。

3人ともしっかりと個性を発揮した仕事ぶりです!


M-18「Say Now」は本作では一番シリアスな内容で、ストリートの悲しき現状が描写されています。
普段はパーティーチューンや恋愛ソングを歌うことが多いNELLYですが、悲しい雰囲気もラップや歌で出せる力量は流石と言わざるをえないですね。


M-19「**** It Then feat. Cedric the Entertainer, La La」はまたしても会話を録音したスキットで、本来ならここでアウトロになってアルバムは終わります。
ただ今回紹介する国内版はボーナストラックのM-20「Stick Out Ya Wrist feat. Toya」が収録されています。
曲としては洋楽の国内版のボーナストラックとしてはまずまずといったところでしょうか。
短いということもあってちょっと印象には残りにくいですが。


全体を通して聴くと中盤に数曲失速があったり、スキットがなければもう少しスッキリ聴けたんじゃないか、とたらればを挙げると出てきますが、大ヒットしたのも頷ける、聴いていてとても楽しい作品になっています。
NELLY本人も当時言っていた通り、正直NELLYの作品は客演を呼ぶ必要が余りないと思います。

単独で十分に聴かせる声質と力量を持っているんですから、客演に頼らなくても全然いい作品が作れそうな気がしますね。


是非多くの人に聴いてもらいたい作品です。


↓M-6「Pimp Juice」のPV。
www.youtube.com

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こっちおいで / ケツメイシ

こっちおいで


曲目リスト


1. こっちおいで
2. L/S
3. L/S [Out Of Blues Mix] feat. Mahya
4. こっちおいで [Cassete Vision Mix]


評価: ★★★★★★★☆☆☆


2MC1シンガー、1DJからなるラップグループ、ケツメイシの1stシングル。
1999年12月15日発売。


ケツメイシは1993年に活動を開始したものの、まだサラリーマンだったメンバーもいたため、本格的に活動を開始したのは数年後でした。

音源リリースは結成から6年後にリリースされたこの1stシングルが最初です。


この1stシングルの表題曲「こっちおいで」はトヨタの運営サイトのCMに使用され、本人たちも出演しました。
2004年にメジャーから再発されていますが、所持されている方は少ないかもしれませんね。


では内容に。


M-1こっちおいで」は、初期のケツメイシの大きな特徴であった日本語を大事なリリック、固いライミングが十二分に生かされたパーティーチューン。
3MCとも個性が存分に発揮されていますし、Hookの盛り上がりもいい感じで、聴いていてこの上なく楽しい一曲になっています。
中でもMVPはRYOでしょうか。
特に最後のRYOJIとの掛け合いでのRYOのラップの詰め込み具合と畳み掛け具合は聴きどころの塊と言っても過言ではないですね。


M-2「L/S」は、M-1こっちおいで」とはうって変わり、落ち着いた都会的なトラックが印象的な切ない恋愛ソング。
アルバムなどでの再録は一切ないため、このシングルでしか聴けない貴重な一曲です。

ちょっと3人のラップがトラックとハマっているかは疑問ですが、相変わらずのこの頃の3MCの独特なラップの乗せ方が楽しめます。
個人的には好きな曲!という訳ではないですが、ケツメイシが好きな方なら一回は聴いてみてほしいですね。


M-3「L/S [Out Of Blues Mix] feat. Mahya」はM-2「L/S」のRemixで、バックシンガーにMahyaを起用。
女性の声が入っているせいか原曲よりは恋愛ソングという雰囲気は出ています。
ただトラックの切なさの面では原曲の方に分があり。
個人的にはどちらも曲の質としては同じくらいかなという印象です。


M-4「こっちおいで [Cassete Vision Mix]」はDJ TATSUTAによるM-1こっちおいで」のRemix。
原曲に比べると落ち着いた雰囲気のRemixとなっていて、悪くは無いのですが原曲の方がいいですね。
3MCの暴れっぷりが原曲より生きてない気がします。


表題曲であるM-1こっちおいで」は「本当にこれが一発目シングル曲なのか!?」と思ってしまうほどの楽曲で、是非ご一聴頂きたい一曲です。

ただケツメイシの1stアルバムやベストアルバムなど、様々なCDに収録されているので、その一曲が聴きたい方はそちらをオススメします。

他の3曲は正直ファン向けな側面があるのでそんなに強くオススメしません。
しかしこの3曲はこのシングルでしか聴くことができないので、もっとケツメイシの楽曲を聴きたい!という方はマストです。


M-1こっちおいで」のライブ映像。
www.youtube.com


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14 Shades Of Grey / Staind

14シェイズ・オブ・グレイ


曲目リスト


1. Price To Play
2. How About You
3. So Far Away
4. Yesterday
5. Fray
6. Zoe Jane
7. Fill Me Up
8. Layne
9. Falling Down
10. Reality
11. Tonight
12. Could It Be
13. Blow Away
14. Intro
15. Let It Out


評価: ★★★★★★★★☆☆


アメリカのROCKバンド、Staindの4thアルバム。
2003年5月20日発売。


1994年にマサチューセッツ州スプリングフィールドにて地元の20代の結成された後、瞬く間にデビューを飾ったバンドですね。
1999年に2ndアルバムでメジャーデビューを果たし、その2ndアルバムがプラチナディスクに認定されます。
ここからの彼らの飛躍はすごいものがありました。

2001年に3rdアルバムをリリースしたところ、なんと全米でチャート1を獲得、500万枚以上のセールスを叩き出します。
そのアルバムは「歌ものHEAVY ROCKの走り」として、HEAVY ROCKが歌ものでメロディ指向になっていくきっかけとも言われるほどの話題作になりました。


そして2年後に4thアルバムである本作をリリース。
セールスは前作に及ばなかったものの、チャート1位、20万枚以上のセールスで話題作としては十分でした。


さて、内容に。


歌ものHEAVY ROCKの代表という声もあるだけあって歌がかなり強調されています。
そのせいかかなり聴きやすい曲が多めで、ROCKが苦手な人でも聴きやすいのでは。
Aaronの歌声との相性もナイスです。


M-1Price To Play」のギターの勢いあるイントロから聴き入ってしまうこと必至です。
曲構成としてもAaronの声とサウンドをしっかりとしたバランスで聴かせるのは流石。
続くM-2「How About You」も掴みを抑えたイントロから最後までしっかりと聴かせてくれます。
ちなみに対訳を見るとどうも詞の内容は哲学的です。
僕の国語力ではその深く深くまで
知ることはできませんが、深さを感じる詩であることは確かです。


続くM-3「So Far Away」からは、曲構成が似通っていて、
イントロなどは落ち着いた雰囲気ですが、サビでは一気にフラストレーションを解放するような楽曲が続きます。
どの曲もサビに一気に爆発するような感覚が癖になります。


ちょっと雰囲気が変わるの流れになるのがM-6「Zoe Jane」。
サウンド自体はサビになると盛り上がるものの、Aaronは最初から最後まで寂しいように歌を披露します。
訳を見るとラブソングのようなので、詞に合わせてのことでしょうね。
それでも聴きごたえの面では文句なしです。
その後の曲もメッセージと見れる詞が目立ち、Aaronの感情を込めた歌声がしっかりと聴きごたえありな時間を提供してくれます。


そんな時間の後のM-9「Falling Down」、M-10「Reality」は予測もつかないようなメロディーラインで耳を引き付ける感じです。
ROCK好きな方ならニヤリとしてしまうかも。


後半になるとサウンドはちょっと前半の焼き直し?な感もしてきます。

個人的に後半の推し曲はかなりサビが聴きやすくて邦ROCKのような雰囲気がある、M-12「Could It Be」です。


後半になるとちょっと飽きてくる感は否めないものの、邦楽ROCKしか聴かない方にもすんなり聴けるでしょうし、洋楽ROCKが好きな方でもしっかりと聴けるであろうバランスの良さがある一枚でした。

上にも書いたように、対訳を見ると詞の内容も中々濃い内容です。
英語が理解できればもっともっと理解できるでしょうが・・。


興味のある方は聴いてみては?


↓M-5「Fray」。
www.youtube.com

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Ideologie / ET-KING

Ideologie (初回限定盤)


曲目リスト


1. 三日後
2. とてもすきなこと
3. Headphone
4. be-bop
5. ナニコレ feat.千秋, 千賀太郎
6. ぜに あほ ほんでまるもうけ
7. 誰にも邪魔されないってこと
8. LOCO OSAKA
9. まんまんちゃん feat.coco
10. チギレ feat.デリカテッセン
11. september
12. 北新地
13. 今日を楽しく
14. 喝采
15. ひぐらしのなく頃に feat.千賀太郎


評価: ★★★★★★★★★☆


大阪のラップグループ、ET-KINGの6thアルバム。
2016年2月24日発売。


2014年にベストアルバムのリリースと15周年のツアーをもって活動を休止したET-KING。
その活動休止中にメンバーの一人である、TENNの急逝(享年35)という悲しい出来事を経験しながらも、メンバーはそれぞれの活動を続けていき、2015年にET-KINGとして活動を再開することを発表。
TENNの追悼イベントの開催や、自分たちのスタジオやレーベル「MATOI RECORDS」の設立、活動再開後初のシングル「喝采」(M-14のリリースなど、ET-KINGとしての復活の狼煙をあげました。


2016年2月に、この活動再開後初のアルバムとなる本作をリリース。

この2年後にTENNに続いて、リーダーであるいときんが亡くなるため、この6人としてのアルバムは本作と7thアルバムのみとなっています。


では、内容に。


TENNがいなくなり6人体制になったET-KING。
そんな彼らの再出発の第一弾アルバムのコンセプトは「アナログHIP HOP」。

そのようなコンセプトになった理由は大きく分けて2つ。


1つは、「色々なジャンルの集合体だね」と声が上がることが多く、自分たちでもそれを自覚していたET-KINGですが、ET-KINGから敢えて離れ、それぞれで音楽活動やイベントへの参加、お店の経営など、色々な経験を積んでいく内に、やはり自分たちの音楽の根底にあったのは「HIP HOP」だということを再認識することになります。
それに対して、再出発1発目はそれに忠実に作ってみようという思いが強くなったこと。

もう1つは、亡くなったTENNへの思いや、TENN自身の意思をしっかりと伝える一枚にしたかったこと。
それでTENNがHIP HOPが大好きな方であったため、その思いを残された自分たちで形にしようと考えたのです。


そのような彼らの思いをたっぷりとこめて作られた作品なだけあって、かなり聴きごたえのある作品になっています。


初っぱなのM-1三日後」~M-3「Headphone」の流れは、彼らの音楽に対する真摯な思いが伝わってくる流れになっています。

アルバムのスタートを切るM-1三日後」は、TENNがいときんたちと最初で最後に交わした約束を元に制作した楽曲とのこと。
一聴した時には地味に感じるかもしれない和風なトラックの上での、スクラッチ音と5MCのラップが聴けば聴くほど魅力的に映ってしまう楽曲に仕上がっています。
この曲が先頭にあるおかげで、何度も聴きたくなるアルバムになること請け合いです。

続くM-2「とてもすきなこと」もスクラッチから始まるイントロから聴きごたえを感じる一曲で、彼らのHIP HOPに対する愛が伝わる内容のリリックに耳を傾けてください。

M-3「Headphone」はしっかりとしたHIP HOPなトラックになっているものの、色々な音をおかずのように散りばめているのがかなり聴いていて楽しい感じになっています。
そこに乗っかるMC5人のラップも聴きごたえ抜群なのは言うまでもなく。


ちょっと堅い雰囲気の曲が3曲続いたところで、M-4「be-bop」。
この楽曲も詞の内容はまじめなものの、トラックがかなりノリノリで、聴いていて身体を動かしたくなること間違いなし。

そして一気に馬鹿馬鹿しさ全快の世界に持っていくのが100%パーティーチューンのM-5「ナニコレ feat.千秋, 千賀太郎」。

この曲ではなんと・・あのドラミちゃんの声でお馴染みの千秋がラップを披露しているのです。
全然ちゃんとラップできてますし、曲中でもかなりいいアクセントになっています。
バックではMONSTER大陸の千賀太郎氏のハーモニカもパーティーな雰囲気を援護射撃。
いい意味でかなりむちゃくちゃな1曲。


次の曲から2曲(M-6「ぜに あほ ほんでまるもうけ」、M-7「誰にも邪魔されないってこと」)はまた落ち着いた雰囲気に戻ります。
リリックの内容はどちらも真面目で落ち着いた雰囲気にはハマっています。
ちなみに後者はTENNがいた頃に制作されたため、TENNのラップもしっかりと収録されています。


そして控えるのが間違いなく本作のハイライトで、先行配信されたM-8「LOCO OSAKA」!
彼らの地元である大阪賛歌で、一度聴いたらやみつきになるトラックの上にのるメンバーのラップはかなり気合いが入っています。
この曲もTENNのラップが収録されており、TENNも活躍ぶりをみせています。
先行配信されただけはありますね。


続く2曲はどちらも客演を迎えたパーティーチューン。
M-9「まんまんちゃん feat. coco」は関西の人にはお馴染み(らしい?)の言葉をネタにしたチューンで、cocoのHookとET-KINGのラップが全体的に楽しい楽曲。
M-10「チギレ feat. デリカテッセン」は見ての通り日本語ラップファンなら知らない人がいないであろうデリカテッセンが参加!
ET-KINGとデリカテッセンの楽しすぎるラップの掛け合いは要チェックです。


M-11「september」はかなり風流な雰囲気のインストで、アルバム全体としてもかなりいい箸休めになっています。
そこからまたしても地元賛歌であるM-12「北新地」に行くのもいい流れです。


そこからM-13「今日を楽しく」~M-15「ひぐらしのなく頃に feat. 千賀太郎」までは人間賛歌、応援歌という流れで、彼らだからこそ書ける暖かいリリックが満載。


3曲とも無論聴きごたえのある良曲ですが、イチオシは本作の最後を締めるM-15「ひぐらしのなく頃に feat. 千賀太郎」。

M-5「ナニコレ feat.千秋, 千賀太郎」ではハーモニカでパーティーな雰囲気を後押ししていた千賀太郎氏ですが、この曲では同じハーモニカでも全く違う雰囲気を後押ししています。

そしてトラックに乗っかるET-KINGの暖かいリリック。
もうこれがすごい化学反応を起こしていて、かなりいい後味でアルバムを聴き終えられます。


この記事ではこの曲のPVを貼っておきますが、PVで1曲だけ聴くのと、このアルバムの最後の〆として聴くのでは本当に魅力が何倍も何十倍も段違いなので、是非本作でその魅力を体感してください。


とりあえず聴きとおして言えるのは、ET-KINGは活動休止前と比べると段違いに成長したことです。
(TENNも含めて!)MCたちの言葉選びもかなりグッと来る言葉の割合が多いですし、滑舌も良いため、そのグッと来る詞もすっと耳に入り込んできます。
ET-KINGはリスナーからは批判の的になることも多いグループですが、そんな批判をぶつけていたリスナーにも是非本作は聴いていただきたいです。間違いなく彼らを見直すはずです。


昨年リリースされた7thアルバムも傑作中の傑作と言える内容でしたが、前作にあたる本作もまさかこんなにいいアルバムだったとは。

是非とも一人でも多くの方に聴いていただきたい一枚です。
見かけたら是非ご一聴を!


↓M-15「ひぐらしのなく頃に feat. 千賀太郎」のPV。
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Forever / Bobby Brown

フォーエヴァー


曲目リスト


1. Intro Nobody Does It Better
2. It's Still My Thang
3. Feelin' Inside
4. She's All I Need
5. My Place
6. Been Around The World
7. Give It Up
8. Happy Days
9. Forever
10. Sunday Afternoon
11. Heart And Soul
12. Feelin' Inside (Marley Marl Remix)
13. Feelin' Inside (Mr. Dalvin Remix)


評価: ★★★★★★★★☆☆


アメリカのR&Bシンガー、Bobby Brownの4thアルバム。
1997年11月4日発売。


1986年に1stアルバムを引っ提げてデビューし、2ndアルバムを世界規模で大ヒットさせ、一気にスターダムにのしあがった説明不要のシンガーですね。

伝説的なR&BシンガーであるWhitney Houstonと結婚生活をスタートさせ、1992年にリリースした3rdアルバムも200万枚以上のセールスを挙げて余裕のチャートイン。
本当にこんな順風満帆なミュージシャンは数えるくらいではないか!というくらいにハッピーな人生を見せつけたBobby。


・・・しかし、そのハッピーはそこで終わってしまいました。
そこからは、坂道を転げ落ちるどころか、崖から落っこちるように凄まじいスピードで転落してしまうのです。


まず、Bobbyはかつて自分が所属していたNew Editionの活動にも参加するようになるのですが、ツアー中にメンバーと決裂。
これによりNew Editionファンからは冷たい目を向けられるようになってしまいます。

そして何よりリスナーからのプロップスを失わせたのはWhiteneyとの結婚生活を含めた、Bobbyの私生活でした。


BobbyはWhitneyと結婚した後、飲酒運転による補導、妻であるWhitneyに対するDVなど様々な不祥事を起こしてしまいます。(なお、DVに関しては「俺たちはただふざけていただけ。そしたら家族がDVとして通報してしまった」とBobbyがインタビューで語っています)
挙げ句の果てにはWhitneyもBobbyも不倫してしまう、自分の部屋でコカインをはじめとする薬物を吸引するようになってしまう・・・など、ハッピーな話題に事欠かなかった80年代後半から90年代前半から一転、バッドな話題に事欠かないミュージシャンになってしまいます。

それらにより、リスナーからのプロップスを失い、ファンもどんどん離れていってしまいました。


そして、1997年にリリースされた本作ですが・・・5年前の1992年に200万枚以上を売り上げ、チャート1位を獲得したミュージシャンの新作であるのにも関わらず、チャート順位はアメリカでさえ61位止まり。(一応1stアルバムより順位は上なんですけどね)
評論家からも酷評を浴びせさせられてしまいます。
Bobbyのプロップスが完全に下り坂になってしまったことを象徴してしまった1枚なのです。


この結果があってか、Bobbyは2012年に5thアルバムをリリースするまで自分名義の作品をほとんどリリースしなくなります。
もう完全に「過去の人」状態になってしまいましたね。


さて、内容に。


上にも書いたように酷評された本作ですが、その内容は「地味だ」「華やかさがない」といったものが多かったようで。

果たしてそれが本当かと実際に聴いてみると・・。


なるほど、確かにこれは地味ですね。全体的に。

華やかな楽曲は1曲もなく、落ち着いた雰囲気の楽曲で全て構成されています。

ヒットしたBobbyの楽曲の空気感を期待すると絶対に裏切られるでしょうね。
そのこともあって全体的な抑揚も抑えめで、酷評に繋がったのも頷けます。


ただ、個人的にはそういう概念を取っ払って素直に聴いてみることをオススメします。

確かに地味ではあるんですが、聴きどころはありますよ。


Whitneyが夫に対して愛を歌い上げるM-1Intro Nobody Does It Better」からM-3「Feelin' Inside」までの流れは中々。
M-2「It's Still My Thang」は曲調こそ地味ですが、歌もラップも丁寧に歌い込んでいて聴きごたえはあります。
M-3「Feelin' Inside」もシングルとして切っただけはあり、クールなトラックとBobbyの歌が相性の良さを見せつける良曲に仕上がっています。


この曲以降はシンプルなトラックの上でBobbyがしっかりと歌い上げて魅せる楽曲が続きます。
ただBobbyの歌唱力自体はそこまであるわけではないのでちょっと限界も感じなくは・・。

その流れからいい流れに持っていったのがM-7「Give It Up」。
所々に入るトークボックスがかなりいい働きをしていて、Bobbyの歌唱も生き生きとしています。
ドライブのBGMなんかにはもってこいでは?

続くM-8「Happy Days」は本作で一番色んな音が聴けるトラックで、聴いているだけで楽しい気分になれてしまいます。
華やかな曲とまでは行かないのに、こんな気分にさせるのはすごいですね。


表題曲であるM-9「Forever」は良くも悪くも並で終わった感じですが、続くM-10「Sunday Afternoon」は切なげで暗めなトラックが、まさに日曜日の午後、という雰囲気を演出しています。


そして・・・本作一の名曲が本作の(国内版のボーナストラックを除いて)最後を締めるM-11「Heart And Soul」。
地味ながらも中毒性のあるトラックは一度聴いたら忘れられないこと請け合いです。
そこに乗っかるBobbyの歌、コーラスもかなり絡み付いてきて、何度も聴きたくなってしまいます。
最後にいいのを収録してくれた!と思える流れです。


さて、忘れてはいけないのが国内版のボーナストラック。
本作ではM-12「Feelin' Inside (Marley Marl Remix)」M-13「Feelin' Inside (Mr. Dalvin Remix)」の2曲が収録。
国内版のボーナストラックのRemixは大抵期待してはいけない出来ですが・・・今回の2曲はどちらも原曲よりHIP HOPテイストなRemix。

どちらも中々聴き応えありで、原曲に負けず劣らずの内容になっています。


アルバムとしては、確かに上にも書いたように、地味です。
ですが、楽曲を素直に聴いてみれば、割と良曲はあり、合格点は行っている作品なのでは?と感じます。
それぞれの楽曲の丁寧さという面では、Bobbyの過去の作品にもひけをとっていないですしね。


とりあえず、興味のある方は一聴してみては?


↓M-2「It's Still My Thang」。
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Backstreet's Back / Backstreet Boys

Backstreet’s Back


曲目リスト


1. Everybody (Backstreet's back)
2. As Long As You Love Me
3. All I Have to Give
4. Missing You
5. That's the Way I Like It
6. 10,000 Promises
7. Like a Child
8. Hey, Mr. D.J. (Keep Playin' This Song)
9. Set Adrift on Memory Briss
10. That's What She Said
11. If You Want It to Be Good Girl (Get Yourself a Bad Boy)
12. All I Have to Give Part II - The Conversation Mix
13. If I Don't Have You
14. Everybody - Matty's Club Mix)


評価: ★★★★★★★☆☆☆


アメリカのアイドルグループ、Backstreet Boysの2ndアルバム。
1997年8月1日発売。


1993年に結成され、1996年にリリースした1stアルバム「Backstreet Boys」が大ヒットを記録し、一気に知名度を世界規模でしらしめたBackstreet Boys

その1年後にリリースされた2ndアルバムが本作です。
この2ndアルバムも現在世界で3000万枚以上のセールスをあげており、日本でもチャート23位にランクインしました。
世界的な知名度を着々と上げていきます。

アメリカのアイドルグループと言っても、大ヒットを飛ばしたのは主にヨーロッパやアジアで、アメリカでデビューアルバムとしてリリースしたのは、1stアルバムと2ndアルバムを2枚組にしたアルバムで、この2ndアルバムがリリースされた後です。


その後にはメンバーのBrianの心臓病が悪化して緊急手術を行うことになったり、様々な曲を手掛けてきたDenniz Popが亡くなるなど、不幸も経験することになります。


さて、内容に。


本作は国内版やヨーロッパ版など様々なバージョン違いが存在しますが、今回紹介するのは国内版です。
M-4「Missing You」は小室哲哉氏が作曲を手掛けており、日本版のみのボーナストラックです。


爽やかな歌声から始まり、いきなり硬派なトラックに持っていく様がかっこいいM-1Everybody (Backstreet's back)」から一気に耳をロックされるのは間違いなし。
トラックもかなり主張が強いのに、どのメンバーもトラックに飲み込まれることなく歌を披露しています。


しかしながらM-2「As Long As You Love Me」からは落ち着いた雰囲気のバラードが続きます。
バラードが好きな方はここからの流れは楽しめるかもしれませんね。


最初はパーティーチューンで始まるものの、アルバム全体的にはむしろバラードがメインなのかな?という印象を受けます。
パーティーチューンを一曲披露した後にバラードが一曲から三曲ほど挟まれ、またパーティーチューンを一曲挟み、またバラードを何曲か・・という構成で、いかにもアイドルグループ的な作り方という気がしますね。


ただ正直アルバムの大半を占めるバラードの方は穴こそなく丁寧に作られているものの、「よくあるバラード」に落ち着いています。
上にも書いたようにバラードが好きな方はかなり楽しめるかもしれませんが、もうちょっと癖になる音などがあればなお良かったです。(日本のリスナーなら気になるであろうM-4「Missing You」も丁寧に作られている一曲ではあるものの楽曲のパンチがもう少しあると良かったですね)


そんな訳で、個人的には随所に挟まれるパーティーチューンの方がずっとお気に入りで、総じて外れがありません。

最初に控えるM-1Everybody (Backstreet's back)」の爆発力は言うまでもありませんし、バラードが続いた後に中盤で顔を出すM-5「That's the Way I Like It」もかなりいいアクセントになっており、曲としても良曲です。


そして何よりも飛び抜けていいのはM-8「Hey, Mr. D.J. (Keep Playin' This Song)」、M-11「If You Want It to Be Good Girl (Get Yourself a Bad Boy)」の2曲!

2曲ともバラードの間でいいアクセントになっているのは勿論ですが、何よりもトラックの中毒性がすごいです。
一度聴いたら耳から離れなくなること必至の強烈なトラックが耳に入り込んで来ます。
そんなトラックをノリノリで乗りこなすBackstreet Boysのメンバーも流石で、何度も聴きたくなってしまいます。
この2曲のためだけに聴いても絶対に損はしない、それくらい言い切ってもいいくらいの楽曲です。


バラードについてはちょっと上で辛くも書いてしまいましたが、決して捨て曲はありませんよ。丁寧に作られたバラードが好きな方にはバラードもかなりオススメです。
ただやはりオススメはパーティーチューン。
気になる方は是非チェックして頂きたい作品です。


↓M-2「As Long As You Love Me」のPV。
www.youtube.com
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