りくぼーの音楽感想倉庫

音楽CDの感想を綴っていきます

BAYSIDE RIDAZ / DS455

BAYSIDE RIDAZ


曲目リスト


1. THA GATE OF LOCOHAMA ~INTRO~
2. D.P.G. RECORDS feat. Daz Dillinger For THA DOGG POUND
3. BAYSIDE RIDAZ feat. MACCHO
4. 僕の中の少年 ~遠い記憶IV~
5. Tha Message from WCC & G PRIDE
6. えぐる挽歌 feat. GANXSTA DX
7. D`s Nutz FM
8. ~INTERLUDE~ 夕(ゆう) Part 1.
9. SMOKE IN THA MARMALADE feat. CORN HEAD
10. Smoked Conversation ~OUTRO~


評価: ★★★★★★★★☆☆


神奈川県横浜のラップグループ、DS455の1stアルバム。
2000年7月27日発売。


DS455は1989年にMCのKayzabroとSHALLAで結成されたラップグループ。
元々はKayzabroが地元の友人たちと組んだグループが原型とのこと。
その後にMACCHO、DJ PMXが加入し、有名になってからのDSに近くなっていきます。
(MACCHOはすぐ脱退してしまいましたが)


しかしながら、しばらくの間はそれぞれのメンバーが裏方仕事に徹しており、グループとしての音楽活動はほとんどなく、みんなで集まってHIP HOP話に華を咲かせたり、お酒をのみながらラップをしたり、サークルに近かったようです。

最初こそ、そこら辺にいるラッパーの集団とそんな違いはなかったDSですが、N.W.Aを筆頭とする西海岸HIP HOPが日本にも入ってきてから少しずつ他のラッパー集団とは違う道を進んでいきます。
1992年にDr. Dreの1stアルバムがリリースされ、その魅力にどっぷりとハマってしまったメンバー達は、西海岸サウンド日本語ラップを!という試みを開始。

しかし、残念ながら当時のリスナーの心をつかんだのは専ら東海岸サウンド
レコーディングをすることすら難しい状況で、長らく活動の場に恵まれませんでした。
表舞台には出てこないものの、アメリカのラッパーやレーベルと交流を持つなど、細々と、しかしながら着実に名前を広げていきます。


そして結成から苦節11年、とうとう1stアルバムである本作をリリース。
彼らの11年間の成果がここにあります。


では、内容に。


DS455の特徴はこれでもかというくらいの、「アメリカの西海岸HIP HOP」の再現。
DJ PMXのトラックは、まさしくアメリカの西海岸HIP HOPのそれであり、独特な爽やかさと聴きやすさを持っているため、アメリカのHIP HOPを聴かない方でも抵抗なく入り込めるのでは。


M-1THA GATE OF LOCOHAMA ~INTRO~」は不穏な雰囲気のイントロ、M-2「D.P.G. RECORDS feat. Daz Dillinger For THA DOGG POUND」はアメリカからDaz Dillinger(!)のコールのスキット。
スキットやインストが2曲続くと、くどくなったりしがちですが、これが割りとすんなりと耳に入ってくる構成。
そしてその後のM-3「BAYSIDE RIDAZ feat. MACCHO」がやっとのラップ入りの楽曲になります。
2曲連続で焦らした後に控える楽曲だけあって、すごくかっこいいです。
DSのオリジナルメンバーが勢揃いしたマイクリレーで、SHALLA、Kayzabro、MACCHOの3人ともキレキレのラップ合戦を見せてくれます。


そしてそんな熱いマイクリレーの後にM-4「僕の中の少年 ~遠い記憶IV~」へ続きます。
攻撃的なM-3「BAYSIDE RIDAZ feat. MACCHO」とは裏腹に、情緒漂うトラックの上でSHALLAとKayzabroの両者が素敵なリリックを乗せる、言葉の面でも音楽の面でも極上な一曲。
序盤の二曲でこれだけの二面性を出してくるのはすごいですね。


仲間たちからのコールのスキットを挟み、M-6「えぐる挽歌 feat. GANXSTA DX」。
これは思い切りなギャングスタチューンで、個人的にはこの曲がアルバムベスト。
爽やかながらも危機感のあるトラックの上で危険なラップを乗せる3人が熱すぎます。
特にGANXSTA DXのアメリカのギャングスタラッパーのリリックをそのまま輸入したかのような、ギャングギャングな言葉さばきは聴いているだけで臨場感があります。


後半に入ると、MAYによるスキットのM-8「~INTERLUDE~ 夕(ゆう) Part 1.」。
このスキットが何気に好きな一曲です。
PMXのトラックとMAYの歌声が見事にマッチしていて、スキットにしてはもったいないくらいの良曲になっています。
(前後の2曲は、悪くはないですがちょっとKayzabroが目立っていないように感じます。SHALLAとCORN HEADが目立ってますね。)


そしてそして、クレジットこそされていないものの、M-10のアウトロの後にはボーナストラックとして「BAYSIDE RIDAZ」のRemixが収録されています。
原曲の爽やかな雰囲気とは違って、かなり攻撃的な雰囲気のトラックになっています。Hookも別物。
原曲に全く負けていないRemixで、聴きごたえは十分すぎるくらいあります。
最後にいいのぶちこんでくれたなあ!と思える流れです。


全体を通して本当にサラッと聴ける爽やかさと、聴きごたえを見事に両立した快作アルバムになっています。

結成から11年経ってやっと出された1枚だけに、納得のいく内容ですね!


そしてこのアルバムリリースを機に、日本語ラップシーンに新しい風が吹き込んでいく・・・胸が熱くなる展開を作った1枚でもあります。
アメリカの猿真似?そんなことは聴いてから判断をお願いしますよ。

興味のある方はご一聴を!


↓M-3「BAYSIDE RIDAZ feat. MACCHO」。
www.youtube.com

THE DUTCHESS / FERGIE

The Dutchess


曲目リスト


1. Fergalicious feat. Will i am
2. Clumsy
3. All That I Got (The Make Up Song) feat. Will i am
4. London Bridge
5. Pedestal
6. Voodoo Doll
7. Glamorous feat. LUDACRIS
8. Here I Come feat. Will i am
9. Velvet
10. Big Girls Don't Cry
11. Mary Jane Shoes
12. Losing My Ground
13. Finally
14. Get Your Hands Up feat. The Black Eyed Peas


評価: ★★★★★★☆☆☆☆


アメリカのカルフォルニア州出身のシンガー、FERGIEの1stアルバム。
2006年9月13日発売。


FERGIEは子どもの頃からダンスの勉強をして、アメリカの子ども番組に9歳から14歳まで出演していました。
両親からの援助を得るために高校では常にオールAの成績を取ったり、チアリーダーの経験もあったりと芸能界以外でも多忙な日々を過ごしていたようです。
1995年に友人たちとガールグループのWild Orchidを結成し、音源のリリースをしていきます。


しかし、それまでの多忙な日々がたたり、FERGIEはストレス解消のために覚醒剤に手を出してしまい、中毒患者になってしまいます。
その後は治療によって克服するものの、Wild Orchidからは正式に脱退。
覚醒剤に子役時代に稼いだお金を使い果たして無一文になってしまったFERGIEは、ダンサーやバックシンガーのバイトを繰り返すうちに、自身が大ファンであったBlack Eyed Peasと仕事が重なります。
そこから彼女は彼らの友人となり、2003年に紅一点としてThe Black Eyed Peasに加入。(この頃からTheがついた)

その後のThe Black Eyed Peasが快調にヒットを出したこともあり、 FERGIEの名前も世界的に知れわたることに。
2006年、とうとう本作で念願のソロデビューを果たしました。
全米で390万枚のセールスを記録し、2006年を代表するシンガーの1人になりましたね。


では、内容に。


2006年当時にはHIP HOPで中心的なサウンドとなっていた、POPにかなり近いクラブサウンドがメインとなっています。
良くも悪くもラジオ向けの楽曲が多いですね。
とっつきやすいFERGIEの歌声との相性も悪くないですが、80年代や90年代の硬派なHIP HOPサウンドを好む方はちょっと不快に思うリスナーもいそうです。
好みがかなり分かれるWill i amのプロデュースですし。


M-1Fergalicious feat. Will i am」、M-2「Clumsy」と最初からヒットシングルが2曲続く展開。
2ndシングルとして切られた前者はシングルとして聴く分には悪くないかもしれませんが、アルバムの最初を飾るにしてはちょっと弱いですかね。
せっかく疾走感があるトラックなのですから、FERGIEにも早口ラップをやらせればネクストレベルに行けた気も。
5thシングルとして切られた後者はHookの軽快さと歯切れの良いFERGIEの歌唱がナイスで、こちらの方が個人的にはお気に入り。


そこからバラードを挟んだ後に1stシングルのM-4「London Bridge」に行きます。
序盤ではやはりこの曲が個人的ベスト。
ラップでも歌の面でも見事な両立っぷりですし、単純に聴いていて首を縦に振りたくなってしまいます。
続くM-5「Pedestal」はハンドクラップ系のトラックで、FERGIEとの相性は微妙ですが、bridgeでの煽るような歌唱は聴いていて気持ちいいですね。


さて、中盤へ。
80、90年代に近いトラックが耳を惹くM-6「Voodoo Doll」を経て、3rdシングル曲のM-7「Glamorous feat. LUDACRIS」。FERGIEはアルバム屈指のいい仕事ぶりですが、LUDACRISはちょっと印象が薄め。この曲を聴き終わった後にLUDACRISがいたことを覚えているリスナーは果たしてどれくらいいるのでしょう。

個人的に「おっ」と感じるのはM-9「Velvet」からM-11「Mary Jane Shoes」までの流れ。3曲ともFERGIEの歌声が生かされている上に、非常に聴きやすい楽曲に仕上がっています。
M-11「Mary Jane Shoes」の一気に雰囲気が変わる展開はちょっとびっくりしてしまいますね。
シリアスな雰囲気のM-12「Losing My Ground」はHookがちょっとしつこい印象で余り好きになれませんが、M-13「Finally」はシンプルなトラックでFERGIEが歌い上げる、FERGIEの歌声が好きな方ならとても楽しみにしていい楽曲だと思います。
FERGIEの歌声を純粋に楽しめますよ。

最後を締める、The Black Eyed PeasのボッセカットのM-14「Get Your Hands Up」はかなりPOP寄りなクラブチューン。
ちなみにこの曲の後にボートラがあり、クールなトラックのお洒落な雰囲気が耳を惹きます。


全体を通して見ると、良曲もちょこちょこあり、FERGIEの魅力も味わえる作品ではありますが、通してアルバムとして纏まりがイマイチだったり、客演が余りいい働きをしていないなど、粗も目立ちます。
一昨年に11年ぶりにアルバムをリリースしたようなので、そちらではもうちょっと整理されていることを期待したいですね。


そんなに強くお勧めはしませんが、2006年くらいの流行りのサウンドが好きな方は一聴の価値ありですよ。


↓M-10「Big Girls Don't Cry」のPV。
www.youtube.com

ミチシルベ 〜a road home〜 / ORANGE RANGE

ミチシルベ ?a road home?


曲目リスト


1. ミチシルベ ~a road home~
2. ZUNG ZUNG FUNKY MUSIC
3. 山内公園
4. ミチシルベ ~a road home~(ryukyudisco remix)


評価: ★★★★★★★★☆☆


沖縄出身のバンド、ORANGE RANGEの5thシングル。
2004年2月25日発売。


2003年の「上海ハニー」のヒットを皮切りに、一気に日本で知らない人はいないグループに登り詰めたORANGE RANGE

1stアルバムリリースから2ヵ月というインターバルで本作をリリースしました。


本当のORANGE RANGEの快挙はここからです。
何と本作から9作連続でシングルをチャート1位に送り込んでしまいます。
本作のM-1ミチシルベ ~a road home~」はドラマ「FIRE BOYS 〜め組の大吾〜」の主題歌として起用され、M-2「ZUNG ZUNG FUNKY MUSIC」はメロDAMのCMソングとして起用。

話題性も十分だったわけですね。


さて、内容に。


M-1ミチシルベ ~a road home~」は、彼らのインディーズ時代の楽曲「ミチシルベ」のセルフリメイク曲です。
原曲と比べるとサウンド面がかなり力強くなっていて、3人の歌もちょっと余裕が出てきているように感じます。
原曲のまだまだ発展途上な雰囲気から、一気にパワーアップした雰囲気になっていますね。
どっちが好きかは好みが分かれると思いますが、個人的には聴きごたえがグイーンと増したこちらの方が好きです。
詞も3MCの声にこれ以上なく合っていて、安っぽい応援歌でなくしっかりと響く応援歌に仕上がっています。
当時の人気曲だったのも頷けますね。


M-2「ZUNG ZUNG FUNKY MUSIC」は、ドリフターズの有名曲である「ドリフのズンドコ節」を参考にして作られた、ノリ100%のパーティーチューン。
確かにHookが思い切りズンドコ節です。
ですが曲としてはサウンドの勢いも申し分ないですし、詞のくだらなさも突き抜けていて、単純に聴いていてすごく楽しめる一曲になっています。
ドリフのズンドコ節」からこんな楽曲を思い付くとは、つくづくNAOTOの音楽センスは恐ろしすぎます。
これで当時20やそこらだったんですからね・・。


M-3「山内公園」は、小中学校の時にRANGEのメンバーがよく遊んでいた公園をテーマにした思い出ソング。
RANGEの裏ベストに収録されるまでは、隠れた名曲としての立ち位置でした。
個人的にも、この頃のRANGEの楽曲の中でもかなり好きな一曲です。
爽やかなサウンドと、3人の前向きな詞が十分な聴きごたえを提供してくれる、この頃の彼らだからこそ出来た一曲だと感じます。


M-4「ミチシルベ ~a road home~(ryukyudisco remix)」はいつもながらのテクノ風のRemix。
これはまあ、テクノ好きなら楽しめるのでは。


全体を通して、チャート1位を獲得したのも納得の良曲揃いで、アンチRANGEが多かったAmazonレビューでも、比較的評価が良いのも頷けます。
M-1ミチシルベ ~a road home~」、M-2「ZUNG ZUNG FUNKY MUSIC」は2ndアルバムに収録されていますし、M-3「山内公園」は裏ベストに収録されているので、まとめて聴きたい方はそちらをオススメします。
ただ裏ベストに収録されているのは歌い直しがされているので、当時の「山内公園」は本作でしか聴けません。


かなり安く中古で販売されていますので、興味のある方は是非。


M-1ミチシルベ ~a road home~」のライブ映像。
www.youtube.com

Don't Be Cruel / Bobby Brown

Don't Be Cruel


曲目リスト


1. Cruel Prelude
2. Don't Be Cruel
3. My Perogative
4. Roni
5. Rock Wit'cha
6. Every Little Step
7. I'll Be Good To You
8. Take It Slow
9. All Day All Night
10. I Really Love You Girl
11. Cruel Reprise


評価: ★★★★★★★☆☆☆


アメリカのR&Bシンガー、Bobby Brownの2ndアルバム。
1988年6月20日発売。


New Editionを脱退後、1stアルバムをリリースしてまずまずのセールスを記録したBobby。
ここから非常に早いのし上がりを見せました。


本作からは先行シングルとしては1枚、アルバムリリース後のシングルとしては4枚のシングルカットがされましたが、その全てがビルボードにランクインするくらいの好セールスを記録。
アルバムである本作も凄まじい話題作となり、1000万枚以上のセールスを記録しました。
Bobbyのアルバムの中では一番の好セールスを記録したアルバムとなっています。

日本でも洋楽ファンの間でかなりのブームになり、M.C. Hammerと並ぶ有名なダンス系ミュージシャンになりましたね。


さて、内容に。


LA&BABYFACE、Teddyという当時の新鋭プロデューサーを迎えた結果が大成功に繋がった本作。
バラードとパーティーチューンがバランス良く配置されています。


まずLA&BABYFACEプロデュースの表題曲、M-2「Don't Be CruelからしてBobbyの相性の良さを見せつけられるというもの。
トラックも聴きやすさとクールな魅力を併せ持った流石といえる出来。
続くTeddy作のM-3「My Perogative」もディスコでかかったら踊らずにはいられないであろうサウンドが耳を惹きます。


続く2曲のバラードを経てドカンと来るのが、Bobbyのキャリア史上一番の有名曲であるM-6「Every Little Step」。
大ヒットしたのも頷ける超キャッチーなトラックと、嫌味がないBobbyの歌唱がこの上なくマッチした一曲。
アルバムの中でもやはりこの曲が一番飛び抜けて聴いていて楽しいです。


後は耳を惹くのは、M-10「I Really Love You Girl」ですね。
アルバム内では異色なちょっとゴージャスな雰囲気のトラックの上でBobbyとコーラスが独特な歌い回しで魅せてくれます。


Bobbyのアルバムでは、ダントツでセールス面で成功した1枚ですが、個人的には3rdアルバムと4thアルバムの方が好きですね。
M-6「Every Little Step」が良すぎるせいか、通して聴くと他の曲がちょっと霞むのも事実。どの曲もシングルとして聴けば完成度が高いですが。


それでも全体を通して楽しく聴けますし、80年代後半のR&Bを代表する1枚であることは間違いないので、是非チェックしてほしいですね。


↓M-2「Don't Be Cruel」のPV。
www.youtube.com

1st CONTACT / ORANGE RANGE

1st Contact


曲目リスト


1. Fever!
2. 上海ハニー
3. ミッションinポッピプル
4. ヤング8
5. サムライマニア
6. ゆうぐレッド
7. ビバ★ロック
8. ジャパニーズピープル
9. パーリィナイッ
10. O-Mo-I
11. Twister
12. ベロシティー3000
13. キリキリマイ (Album Ver.)
14. 落陽 (Long Ver.)
15. アンビエンタ
16. 山内中校歌


評価: ★★★★★★★★☆☆


沖縄出身のバンド、ORANGE RANGEの1stアルバム。
2003年12月17日発売。


1stシングル「キリキリマイ」(M-13)でメジャーデビューを果たしてから、2ndシングル「上海ハニー」(M-2)のヒットで一気に名前を有名にし、その後もスマッシュヒットを連発したORANGE RANGE

2003年の終わりにドカンと1stアルバムである本作をリリースしました。


当然のことながら日本では2003年を代表するアルバムの1枚と言ってもいいくらいの話題作になり、オリコンチャートでも2位を獲得。
本当にメジャーデビューしてからの流れが順調すぎます。
最も、まだまだ本作の時点ではこんな順調さなど序の口だったわけですが。


では、内容に。


ミクスチャーバンドとして、様々な雰囲気の楽曲を発表しているORANGE RANGEですが、1stアルバムである本作は、ミクスチャーとしては比較的正統派なROCK色が強い作品となっています。
後に脱退するドラムのKATCHANがハードROCK嗜好だったというのもあるのでしょうね。


M-1Fever!」、M-3「ミッションinポッピプル」、M-4「ヤング8」、M-5「サムライマニア」などが並ぶ序盤は、比較的ハードなROCKな楽曲が占めていて、メジャーデビュー前のインディーズ時代のサウンド強化版、という印象を受けますね。

個人的には迫力あるHookと3MCのの掛け合いが聴き応え抜群なM-4「ヤング8」、聴いているだけで頭を振りたくなるようなNAOTOの音作りが光るM-5「サムライマニア」がいいですね。
ただやはりM-2「上海ハニー」のインパクトが一番です。
M-2にこの曲を配置したのは作戦勝ちだと思います。
嫌でもこの先を聴きたくなってしまうこと請け合いですからね!


序盤こそそんなインディーズ時代の延長のハード嗜好曲中心ですが、本作の本当の聴きどころは中盤からです。
3MCの歌を最低限にしたほとんどインストと言ってもいいM-6「ゆうぐレッド」から一気に面白味が増します。
そこから華やかさ抜群の先行シングルのM-7「ビバ★ロック」を挟んで、M-8「ジャパニーズピープル」に行くわけですよ。

この流れは本当に上手いです。
M-8「ジャパニーズピープル」は元々は5thシングルにする予定だったみたいですが、暗い雰囲気の曲だったのでアルバム曲になったんだとか。
でもそれで正解ですね。
シングル曲だったらこれほど輝かなかったと思います。
それくらい曲順の良さが別次元。
もちろん、この曲自体もいいのですが!

その後も彼らのセンスが光る曲が続きます。
特にM-10「O-Mo-I」は恋愛ソングなのにのんきな雰囲気の楽曲で、そこら辺の応援ソングなんかよりよほど聴いていて元気が沸いてきます。
NAOTOの音作りと3MCの相性の良さの拮抗が為せる技です。


後半はM-12「ベロシティー3000」、M-13「キリキリマイ (Album Ver.)」、M-14「落陽 (Long Ver.)」と、既発曲とそのリメイクが中心。
3曲とも良曲なのは言うまでもありませんが、中でもM-14「落陽 (Long Ver.)」はもっともっと特筆されてしかるべきでしょう。
M-2「上海ハニー」、M-7「ビバ★ロック」と弾けたナンバーで売れてしまった彼らが、「これでいいのか!?」と自問自答し、一転して真面目に詞を書いたというエピソードつきの一曲。

そんな彼らの気持ちのこもった詞と、夏の海を想像してしまうようなサウンドの調和が耳を惹く、名曲と言って差し支えない楽曲になっています。


それからインストであるM-15「アンビエンタ」を経て、ボーナストラックのM-16「山内中校歌」に行きます。

RANGE流にアレンジされた彼らの出身中の校歌な訳ですが、何気にこの曲好きだったりします。
全員が心から楽しく演奏して歌っているのが嫌というほど伝わってくるんですよね。


聴いてみた感想としては、まだまだ粗い部分もあるものの、当時の20歳というメンバーの若さながらの勢いは半端ないですし、リーダーであるNAOTOの音作りのセンスの高さもこの頃から発揮されていたのも分かります。

何よりもインディーズアルバムをリリースしてからまだ2年も経っていなかったのに、その作品からここまで歌も楽器隊も成長したのは、心からすごいと思います。


2019年現在では完全に懐メロになってしまった作品ですが、まだまだ全然リスナーに楽しい時間を提供してくれる作品ですよ。
中古屋でもかなり見かけるアルバムなので、興味のある方は是非。


↓M-11「Twister」のライブ映像。
www.youtube.com

Unklejam / Unklejam

アンクルジャム


曲目リスト


1. Love Ya
2. What Am I Fighting For?
3. Luving U
4. Just Like Me
5. Cry
6. Go
7. Stereo
8. The Touch
9. Hello
10. Don't Pass Me By
11. Daddy Genes
12. Down Low
13. Slow Down


評価: ★★★★★★★☆☆☆


イギリスのミクスチャーバンド、Unklejamの1stアルバム。
2007年9月26日発売。


Unklejamは、Tyson、Bobby、Adonistarの3人のボーカルからなるユニットで、Tysonはイギリス出身、Bobbyはハワイ出身、Adonistarはマイアミ出身と、中々グローバルな雰囲気漂うメンバー構成です。

2006年から活動を開始し、2007年に1stシングル「Love Ya」(M-1)、2ndシングル「What Am I Fighting For?」(M-2)とコンスタントにリリースを行い、ヒット曲として記録されました。
その2枚のシングルをリリースした後に、6月にアルバムをリリースする予定でしたが、急遽その前に3rdシングルをリリースしてアルバムをリリースという予定に変更になり、アルバムリリースが延期になりました。

その3rdシングルが「Stereo」(M-7)ですが、こちらは前2作ほどヒットしなかったようです。


さて、内容に。


UnklejamはElectronic、Soul、Popなど様々な音楽の要素を混ぜたサウンドが特徴です。
その上にメンバー3人が歌を乗せるという構成になっています。


サウンドは90年代の洋楽を彷彿とさせるようなアレンジが目立ちます。
そのためこの辺りの洋楽が好きな方なら受け入れられやすいのではないでしょうか。

それはもう先行シングルとしてヒットした、びっくり箱のようなサウンドで所々にシャウトが混じるM-1Love Ya」、エレクトロを基調としたトラックで古めかしい雰囲気なM-2「What Am I Fighting For?からしてそう感じます。
2007年の作品なのに、まるで90年代のディスコ音楽のような雰囲気がありますね。

先行シングルを聴いていた方は、アルバム曲も大体そのような感じを想像していただいて大丈夫です。(M-5「Cry」、M-10「Don't Pass Me By」、M-11「Daddy Genes」のような落ち着いた楽曲もありますが)


シングル曲以外の聴きどころとしては、ちょっとシリアスな雰囲気が漂いつつもしっかりとクラブチューンになっているM-4「Just Like Me」、クラブチューンに挟まれているからこそ一際目立つスロウナンバーのM-5「Cry」、Hookの臨場感がすごいM-9「Hello」などですね。


ただ、一番の聴きどころはM-6「Go」ですね。
この曲は本作収録曲の中で一番メンバー3人の歌唱が活きていると思います!


全体的にとにかく様々な音楽、過去の先人たちのサウンドを自分たち流にやってアルバムを作ってみました、という感じですね。
単純に聴いていて楽しくなる楽曲が多いです。
ただちょっと何回か通して聴くと飽きてきてしまうのは否めないですかね。
それでも良作には入りますが、もっとサウンドに奥深さがあれば何回も聴けるアルバムになったかもしれない、惜しい1枚とも言えます。


ちなみにUnklejamですが、本作をリリースして以降、音源のリリースや活動のニュースは確認できません。
Youtubeにチャンネルはありますが、利用不可になっています。
活動休止したのか、解散したのか、それは分かりません。

とりあえず、90年代のディスコ音楽が好きな方は試聴をオススメします。


↓M-5「Cry」。
www.youtube.com

My VOICE / ファンキー加藤

My VOICE

曲目リスト


1. My VOICE
2. リスタート
3. 桜 ふわり ふわり


評価: ★★★★★★★★☆☆


東京都八王子市出身のシンガーソングライター、ファンキー加藤の1stシングル。
2014年2月12日発売。


2013年6月のラストライブツアーを持って解散したFUNKY MONKEY BABYS
そのリーダーであったファンキー加藤が、それからしばらくしてソロで音楽活動を開始することを発表し、その翌年にデビューシングルとして本作を発表しました。

その2日後には映画「ファンキー加藤 / My VOICE 〜ファンモンから新たな未来へ〜」も公開され、本作のM-1My VOICE」が挿入歌として起用されましたね。
ファンキー加藤は本作のセールスよりも映画の動員数の方が気になっていたそうです。


さて、内容に。


ファンキー加藤は、歌唱力に関しては正直そんなにある方ではありません。
ただファンモンでも発揮されていた、真っ直ぐで不器用な歌い方は、好感を持たれた方も多いのでは。
(だからこそ、あのW不倫でそのイメージがぶっ壊れたわけですが)


M-1My VOICE」とM-2「リスタート」は、新しくスタートを切ったファンキー加藤が、ずっと支えてくれた人に対してのメッセージを送る、メッセージソング。
具体的にいえば、モン吉DJケミカル、そしてファンモン時代にずっと支えてくれたファンに対してでしょう。

どちらもファンキー加藤らしさがあるまずまずの出来の楽曲ですが、個人的にはM-2「リスタート」の方が好みです。
臨場感のあるトラックと、ファンキー加藤の不器用ながらも熱のある歌い方がしっかりとした聴きごたえを提供してくれます。
(M-1My VOICE」はもうちょっとトラックに臨場感があればもっとよかったです)


M-3「桜 ふわり ふわり」は、卒業をテーマにした片想いソングですね。
正直本作では一番好きな楽曲です。
ピアノの素敵な旋律が耳を惹くトラックと、ファンキー加藤の優しげな歌い方の生み出す化学反応が素晴らしい一曲になっています。
ファンキー加藤の歌がここまでぴったりなトラックも中々珍しいですね。

恋愛ソングということで、詞に関しては突っ込みたくなる方もいるでしょうけど、少なくとも僕は今でも「この曲は好き!」と胸を張って言えます。


ファンモンの1stアルバムの記事でも書いたように不倫騒動以降は評価がただ下がりになってしまったファンキー加藤
元々恋愛ソングや青春ソングが多かっただけに、多くの楽曲が響かなくなるのでは・・・という雰囲気もありました。


ただファンモンの1stアルバムもそうでしたけど、いざこうやって過去の音源を聴いてみると、そんなに魅力を失っていないのと、予想以上に内容がいいのはちょっとびっくりします。
特に上にも書いたようにM-3「桜 ふわり ふわり」は、とにかく「音」そのものの魅力が素晴らしくて、全く評価が下がりませんでした。


3曲ともファンキー加藤の1stアルバムに収録されているため、今から聴きたい方はそちらをオススメしますが、とりあえずファンキー加藤のデビュー時の曲をさらっと聴いてみたい、という方には本作もいいかもしれません。


M-1My VOICE」のライブ映像。
www.youtube.com