りくぼーの音楽感想倉庫

音楽CDの感想を綴っていきます

It Was Written / Nas

It Was Written


曲目リスト


1. Album Intro feat. AZ
2. The Message
3. Street Dreams
4. I Gave You Power
5. Watch Dem Niggas feat. Foxy Brown
6. Take It In Blood
7. Nas Is Coming feat. Dr. Dre
8. Affirmative Action feat. The Firm (AZ, Cormega & Foxy Brown)
9. The Set Up feat. Havoc
10. Black Girl Lost feat. Joel "Jo-Jo" Hailey
11. Suspect
12. Shootouts
13. Live Nigga Rap feat. Mobb Deep
14. If I Ruled The World (Imagine That) feat. Lauryn Hill
15. Silent Murder


評価: ★★★★★★★★★☆


HIP HOP界のレジェンドラッパーの1人であるNasの2ndアルバム。
1996年7月2日発売。


前作がHIP HOPの歴史的作品となり、早くも世間からの称賛を味わったNas
当然の事ながらこの2ndアルバムにも多大なる注目が注がれました。

余りにも高評価を浴びた「Illmatic」の後にアルバムを作るというプレッシャーは半端ではなかったでしょう。


前作は東海岸の本気!としてNYのプロデューサーで固められていましたが、本作は西からDr. Dreも参加しています。
それだけ前作とは違う作品を作ろう、いいものを作ろうという意気込みを感じますね。
そこら辺も恐らく話題になったのでしょうね。

そんな大注目の中リリースされた本作は全米チャート1位、瞬く間に300万枚を売り上げ、商業的には成功することができました。
しかし、残念ながらHIP HOPファンからの評判は芳しくなく、Nasにとっても「失敗作」という位置付けのようです。


さて、内容に。


R&Bシンガーをfeatしたり、マイクリレーものがあったりと、前作にはなかった様々な試みがされており、比較的一般受けがしやすいであろう作品に仕上がっています。
それが「ハングリーさがない」などのイメージに繋がり、酷評されたのかもしれませんね。


しかし個人的には一つの作品として素直に聴いてほしいですね。純粋に中身を見れば、間違いなく素晴らしい作品です。


Nasのラップは相変わらずのキレ具合で、ナイフのような鋭いフロウ、癖のないスムーズなラップを聴かせてくれます。対訳を見てもリリシストぶりも健在。

トラックも様々なトラックが用意されていますが、本作の半分以上のトラックを手がけたTrackmastersをはじめ、見事にNasのラップの魅力を引き出すことに成功しています。
それがfeat陣があくまで脇役で、しっかりとNasというラッパーの作品となっている要因なのでしょう。


特にM-2「The Message」、M-3「Street Dreams」、M-4「I Gave You Power」はNasのラップとトラックの相性が素晴らしく、絶対に一度は聴いてほしい楽曲に仕上がっていますね。

M-2「The Message」はStingの「Shape Of My Heart」という大ネタ使いが発売当時は顰蹙を買ったらしいですが、個人的にはどこに顰蹙を買う要素があるのか…。


R&Bシンガーとfeatした楽曲でもNasとR&Bシンガーの妙が楽しめ、M-5「Watch Dem Niggas feat. Foxy Brown」では単調ながら聴き応えのあるトラックの上でNasのキレキレのラップとFoxy BrownのHookのコーラスの比がたまらないです。

そして一番驚いたのがM-10「Black Girl Lost feat. Joel "Jo-Jo" Hailey」。
憂鬱なトーン暗めな楽曲が多めのこの作品の中でずば抜けて爽やかなトラックで、アルバム全体としてもいいアクセントになっていますが、爽やかなトラックでもNasのラップを魅せることができるということを証明した楽曲だと思います。
Joel "Jo-Jo" Haileyの好演もあって非常に聴きやすい、素敵な化学反応が楽しめる楽曲になっています。


他にも結構な聴きどころもあり、
確かに聴きやすい楽曲が多いですが、それで切り捨ててしまうには余りにももったいない、良曲揃いの作品です。
しかし高評価を得たアルバムの後のアルバム作りって本当に難しいんですね。
これだけの作品を出したのにも関わらず「売れ線」、「軽い」、「ガッカリ」などの言葉で一蹴され酷評されてしまうとは。
前作「Illmatic」の呪縛は余りにも大きかったようです。

最も、段々このアルバムも再評価され始め、やっと評価を受けられるようになりました。
これからも間違いなく再評価され続けていくであろう作品、是非聴いてみてください。


↓M-2「The Message」のPV。
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