りくぼーの音楽感想倉庫

音楽CDの感想を綴っていきます

EGOTOPIA / RHYMESTER

EGOTOPIA


曲目リスト


1. Intro
2. 20世紀 ~開け心~
3. 悪趣味節
4. 知らない女
5. 口から出まかせ feat. KING GIDDRA, SOUL SCREAM
6. 知らない男 feat. BOY-KEN
7. あしたのショー feat. DJ TONK
8. エゴトピア
9. The God / The Mad
10. 君の瞳に映るオレに乾杯
11. Return of Funky Grammar feat. EAST END, MELLOW YELLOW
12. And You Don't Stop


評価: ★★★★★★★★☆☆



早稲田大学にて結成されたラップグループ、RHYMESTERの2ndアルバム。
1995年6月25日発売。


1993年に1stアルバムをリリースしてからは、着々とアピールを重ね、シーンの中で自分たちのスタイルを作っていったRHYMESTER
その2年後、この2ndアルバムをドロップ。


このアルバムがリリースされた1995年は、徐々にですが様々なラッパーたちが自分たちの居場所を作っていき、日本語ラップ界で今も語り草になっている作品が多く排出された年でもあるのです。

ちなみに僕がこの世に誕生した年でもあります。(関係ない)


MICROPHONE PAGERの1stアルバム「Don't Turn Off Your Light」、キングギドラの1stアルバム「空からの力」、LAMP EYEのデビューEP「下剋上」などなど。
そしてそれらの作品と共に語り草にされるのがこのRHYMESTERの2ndアルバム「EGOTOPIA」。
日本語ラップファンでRHYMESTERの1stアルバムを評価する人は余り見たことがありませんが、この2ndアルバムからは結構評価をされてきた印象がありますね。

1stは本人たちにとっても聴くに堪えない作品みたいなのでしょうがないですけどね。


さて、内容に。


初期のRHYMESTERの特徴と言えば日常や思っていることを彼らならではの言葉選びで彩るスタイル。
1stアルバムから2年経ってリリースされた本作ですが、そんな彼らのラップも安定感が増しました。


イントロを経てのM-2「20世紀 ~開け心~」はイントロに続くジャグジーな雰囲気。
しかしながらHookを聴くとライブではかなり盛り上がるのが想像できます。
M-3「悪趣味節」は、安易に日本語ラップをけなす人間に向けたメッセージソング。
重たいトラックの上でのMC SHIROとMummy-Dの言葉選びが強烈で、聴けばいろんなフレーズが頭に残ること必至です。


M-4「知らない女」は電車で知らない女性に対する恋心、そのときの状況を描いた曲。
聴いているだけで状況が頭に思い浮かんでしまう言葉選びで、まるで小説を読んでいるような気分になります。

M-5「口から出まかせ feat. KING GIDDRA, SOUL SCREAM」は本作の中では最も有名な曲で、2007年リリースのベストアルバムでも本作から唯一収録された曲ですね。
RHYMESTER、KING GIDDRA、SOUL SCREAMの3グループでマイクを回していくマイクリレー曲。
全員が強烈なパンチラインを繰り出しており、随所でこの頃ならではの雰囲気を出しています。
1曲の中でトラックが切り替わっていく流れもたまらなくカッコよくて、日本語ラップのクラシックと呼ばれるのも納得の一曲です。

その後のM-6「知らない男 feat. BOY-KEN」は自分を弄んでいた女性に対しての恨み節100%ソングで、かなり独特な失恋ソング。
RHYMESTERの2MC、客演のBOY-KEN、シンプルながらも強烈なトラック、いずれも最高の仕事ぶり。
本当に言葉選びが絶品すぎますよ。アクは強いですが・・。


M-7「あしたのショー feat. DJ TONK」は日本語ラップの認知度がまだまだ低かった時期の苦労を綴ったバッキンダデイズもの。
Hookの言葉選びからして初期の彼らの苦労が伝わってきます・・。
DJ TONKはちょっとだけしか顔を出しませんが、中々いいスパイスになってます。
でも1995年というと、まだまだこんな感じだったんでしょうね・・。
高校生ラップ選手権やフリースタイルダンジョンでラップブームが数年前にきましたが、そのブームが終わりつつあるこれからはシーンはどう変わっていくのか。
気になるところです。


続くM-8「エゴトピア」は表題曲ですが、かなりおふざけ要素が強い楽曲です。
面白いと取るかくだらないと取るかで評価が変わるでしょうね。

M-9「The God / The Mad」は確かアナログで切られた楽曲ですね。
命をテーマにした楽曲で、最後のビッグバンのような音が印象的。


M-10「君の瞳に映るオレに乾杯」はトピック自体はHIP HOPにはよくあるナルシストもの。
しかしリリックの目の付け所が本当に良くて聴きごたえがあります。
お洒落なトラックもポイント高しですね。


M-11「Return of Funky Grammar feat. EAST END, MELLOW YELLOW」は当時のFGグループの仲間たちとマイクを交わすマイクリレーもの。
ネタ感の強いトラックの上で全員が大暴れしていますが、やはりRHYMESTERの2人が並んで一番キレキレですかね。

M-12「And You Don't Stop」も最初は余り印象に残らなかった曲ですが、よくよく詞を聴いてみると中々しみる内容。
年を取るたびに聴きたくなる1曲です。


日本語ラップ界の大物たちがマイクを回していくM-5「口からでまかせ feat. KING GIDDRA, SOUL SCREAM」が注目されやすい本作ですが(いや、確かにこの曲は間違いなく名曲ですが)、他の曲にもこの曲に負けず劣らずの楽曲が収録されていて、リリースから23年経った今でもしっかり聴ける1枚ですよ。

未だに日本語ラップファンの間で語り草となるのも納得の本作、見かけたら是非聴いてみてください!


↓M-10「君の瞳に映るオレに乾杯」。
www.youtube.com