りくぼーの音楽感想倉庫

音楽CDの感想を綴っていきます

NASIR / NAS

ナシール


曲目リスト


1. Not For Radio feat. Puff Daddy & 070 Shake
2. Cops Shot The Kid
3. White Label
4. Bonjour feat. Tony Williams
5. everything feat. The-Dream
6. Adam and Eve feat. The-Dream
7. Simple Things


評価: ★★★★★★☆☆☆☆


アメリカのNY出身のラッパー、NASの11thアルバム。
2018年6月15日発売。


NASは90年代から活動するラッパーの1人で、1994年に1stアルバム「Illmatic」をリリースしてからコンスタントにアルバムをリリースしていました。
9thアルバム「Untitled」までは最低でも3年に1枚以上リリースしていましたね。

10thアルバム「Life Is Good」は「Untitled」から4年のインターバルを経て2012年にリリース。
元妻のKELISの式の時のドレスを持ったジャケなどもあり2012年の話題作となりました。


しかしそれ以降、NASのアルバムのリリースがアナウンスされることはしばらくなくなります。
洋楽邦楽問わずオリジナルアルバムのインターバルが何年も十何年も空くことは珍しいことではありませんが、NASはラッパーの中でもコンスタントに出していたラッパーなので、割りと期待していたリスナーも多かったのでは。
HIP HOP界の伝説のラッパーの一人ですしね。


そんな中、そのような情報が入ってきたのは2016年。
2000年代のHIP HOP界のプロデューサー、DJ KHALEDがNASを客演に迎えた楽曲「NAS ALBUM DONE feat. NAS」を発表したのですが、この曲名は訳すると「NASのアルバムが出来た」であり、「とうとうNASがニューアルバムを!?」とリスナーの間で話題になったのです。


・・・ところが、結局2016年にNASのアルバムがリリースされることはありませんでした。

それから2年経って2018年、やっと正式にアルバムリリースが公表され、Kanye Westのフルプロデュースにより6月にリリースされました。

前作の「Life Is Good」は前々作「Untitled」から4年のインターバル、NASのアルバムで最も長いインターバルでリリースされたアルバムでしたが、本作「NASIR」は前作「Life Is Good」から6年という史上最長のインターバルを経てリリースされたアルバムとなりましたね。


さて、内容に。


今まで様々なプロデューサーと組んで作品を完成させてきたNASですが、本作のプロデューサーはKanye West
2016年の時点でKanyeが「次のNASのアルバムのトラックを俺が手掛けるとオバマに約束した」という発言をしていましたが、それが実現した形になります。


Kanyeの手掛けたトラックは中々重厚な内容ながらシンプルなトラックが多く、トラック単独での聴き応えはかなりありそうです。インストがあったら欲しいかも。

NASのラップは良くも悪くも相変わらず。
普段HIP HOPを聴かない人でもとっつけそうな乾いた声は健在です。


ただ、その2つが巧いこと化学反応を起こしたかと言われるとちょっと厳しいところ。
Kanyeのトラックは単体なら間違いなく上質ですが、NASのラップを引き立てているとは言い難い曲が多め。
客演陣も、正直NASより前に出てしまっている感があり、どっちが主役か分からない状態になっています。


そのような特徴のせいか、7曲26分というタイトな内容なのにも関わらず、どうもとっ散らかった印象が残ります。
Kanye、NAS、客演陣、それぞれが違う方向にキックやパンチを打っていて、上手く噛み合ってないというか。


ただ良曲が全くないかというと決してそんなことはありません。

M-2「Cops Shot The Kid」はタイトル名をひたすらコールするトラックの上で、NASがショッキングなリリックを紡いでいく、聴いていてゾクゾクしてしまう一曲。
所々に挿入される叫び声が何とも恐ろしいアクセントになっています。
この曲を聴くときは英語ができない方は対訳必須です。
日本語を通してにはなりますが、NASの叫びに耳を傾けてください。


後は良曲と感じたのはこのアルバムの最後を締めるM-7「Simple Things」。
比較的シンプルなトラックはNASのラップとの相性も中々で、NASのラップを本作で一番引き立たせていると感じます。
リリックの内容も、今まで様々な経験を経てきたNASだからこそ伝えられるメッセージが詰まっています。
この曲を最後にしたのは大正解でしたね。


上に書いたように作品の出来としてはちょっと厳しい部分もありますが、NASのリリシストぶりを楽しみたい方はご安心を。
対訳を見れば分かりますが、NASのリリシストぶりは本作でも十分堪能できます。
(特に「あの」歴史上の人物に踏み込んでいる部分は必見・・・!)
リリックに衰えがないのは嬉しかったですね。


やはり全体的に客演とトラックとNASのラップが上手く噛み合ってないのは大きなマイナスポイントでした。
リリックの内容は相変わらずすごいのですから、トラックや客演の相性が良ければかなりの名作アルバムを作れると思います。
次回はそんなアルバムがリリースされることを期待しています!
やはり今後も要注目なラッパーです!


↓M-2「Cops Shot The Kid」。
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