りくぼーの音楽感想倉庫

音楽CDの感想を綴っていきます

GRATEFUL / DJ KHALED

グレイトフル


曲目リスト


Disc 1


1. (Intro) I'm so Grateful - feat. Sizzla
2. Shining feat. Beyoncé & JAY Z
3. Wild Thoughts feat. Rihanna & Bryson Tiller
4. I'm the One feat. Justin Bieber, Quavo, Chance the Rapper & Lil Wayne
5. On Everything feat. Travis Scott, Rick Ross & Big Sean
6. It's Secured feat. Nas & Travis Scott
7. Interlude (Hallelujah) feat. Betty Wright
8. Nobody feat. Alicia Keys & Nicki Minaj
9. I Love You so Much feat. Chance the Rapper
10. Don't Quit / DJ Khaled & Calvin Harris feat. Travis Scott & Jeremih


Disc 2


1. I Can't Even Lie feat. Future & Nicki Minaj
2. Down for Life feat. PARTYNEXTDOOR, Future, Travis Scott, Rick Ross & Kodak Black
3. Major Bag Alert feat. Migos
4. Good Man feat. Pusha T & Jadakiss
5. Billy Ocean feat. Fat Joe & Raekwon
6. Pull a Caper feat. Kodak Black, Gucci Mane & Rick Ross
7. That Range Rover Came With Steps feat. Future & Yo Gotti
8. Iced Out My Arms feat. Future, Migos, 21 Savage & T.I.
9. Whatever feat. Future, Young Thug, Rick Ross & 2 Chainz
10. Interlude feat. Belly
11. Unchanging Love feat. Mavado
12. Asahd Talk (Thank You Asahd) / Asahd Khaled
13. Wild Thoughts feat. Rihanna & Bryson Tiller (Medasin Dance Remix)
14. Wild Thoughts feat. Rihanna & Bryson Tiller (NOTD Dance Remix)


評価: ★★★★★★★☆☆☆


アメリカのフロリダ州マイアミ出身のDJ、DJ KHALEDの10thアルバム。
2017年6月23日発売。


90年代から活動し、2006年にデビューを果たした後に、コンスタントにアルバムをリリースしていったDJ KHALED。

通算9枚目のアルバムである前作が、グローバルで販売されたこともあり、USチャート1位を獲得し、ゴールドディスク認定。
様々な国で名前を大きく広げることになります。
その後も話題に事欠かず。
グラミー賞ノミネートや、ジョーダンとのコラボスニーカーの販売などなど。


ですが、何といっても一番の出来事は彼の第一子、Asahdの誕生です。(ジャケの左)
インスタを初めとするメディアで、KHALEDは常にAsahdに対する感謝や愛情を発信していました。
そんな彼が自分のアルバムを作る上で息子が無関係であるはずでなく・・・。
なんと本作のエグゼクティブプロデューサーにクレジットされているのはAsahd。
まだ当時は生後1年経っていなかったAsahdがメガホンを握った(勿論形式上だとは思いますが)アルバムとなったのです。

参加した制作陣はなんと40組以上!
客演を見ても分かる通り、非常に豪華な人選です。


ともあれ、アルバムを出した以上は内容勝負。
では内容に。


タイトルの「GRATEFUL」は直訳すると「感謝」です。
内容は確かにKHALEDからAsahdに対する感謝のメッセージが所々に確認できます。
ただ、それは国内版のRemixを除く22曲のうち数曲(しかもinterludeなど)に留まり、基本的にはDJにはよくあるHIP HOPのお祭りアルバムとなっています。


Disc1はクラブ向けの楽曲が中心となった内容。
KHALEDとSizzlaによる感謝の気持ちを告げるイントロを経て、シングルで切られた3曲が立て続けに続きます。
3曲とも人気曲ですが、個人的にはM-3「Wild Thoughts feat. Rihanna & Bryson Tiller」が一番です。
ラップと歌両方でナイスパフォーマンスを披露するRihannaと、スムーズにラップを乗せていくBryson Tillerの相性がバッチリですね。詞の内容はちょっと刺激的とはいえ。のんびりした雰囲気のトラックの豪華メンバーによるマイクリレー、M-4「I'm the One feat. Justin Bieber, Quavo, Chance the Rapper & Lil Wayne」もDisc 1の中では耳を惹きますね。


シングル曲3曲が続いた後は、いよいよアルバム曲の開始。
ただ、どうもラッパーとトラックの相性が微妙な感じがする曲が続きます。
豪華なメンバーではあるんですけど、曲としては光るものがあまり。

和訳を見るとM-5「On Everything feat. Travis Scott, Rick Ross & Big Sean」のRick Rossがトランプ大統領をDISしていたり、M-6「It's Secured feat. Nas & Travis Scott」ではNasが相変わらずのリリシストぶりを発揮していたりと、和訳では楽しめるところがちょこちょこありますけどね。


Disc 1の最後を締めくくるM-10「Don't Quit」がDisc 1のアルバム曲では飛び抜けて一番の出来です。
リリックの内容はスケベなので、好みは分かれるかもしれませんが、Calvin Harrisがプロデュースを努めたトラックはDisc 1では一番HIP HOPらしいトラックで、単純に聴いていて楽しいですし、その上に乗っかるTravis Scottの歌、Jeremihのラップも絶好調で聴きごたえがあります。
この曲をDisc 1の最後にしたのは正解でしたね。


Disc 2は比較的ハードな内容になっています。

初っぱなからM-1I Can't Even Lie feat. Future & Nicki Minaj」、M-2「Down for Life feat. PARTYNEXTDOOR, Future, Travis Scott, Rick Ross & Kodak Black」と豪華なメンバーが続きます。前者は最初にしてはちょっと雰囲気が暗い印象を受けます。
後者はマイクリレーものですが、シンガー陣によるHookがなかなか強烈で、ラッパー陣がちょっと霞むくらいです。


序盤で光るのはその次のM-3「Major Bag Alert feat. Migos」。
Migosのメンバーのいい仕事ぶりが、特にHookで発揮されています。
ダークながら耳を惹くトラックもかなり好みです。(続くM-4「Good Man feat. Pusha T & Jadakiss」がイマイチでつまづきましたが)


さて中盤へ。

M-5「Billy Ocean feat. Fat Joe & Raekwon」は、シンプルなトラックの上でベテラン2人が硬派なラップを乗せる、本作では数少ない「ラップを全面的に魅せている」曲です。
というかHookが歌じゃないのってこの曲くらいでは?とにかくこの曲はトラックもラップも両方グッドワーク。
90年代のHIP HOPが好きな方にも自信を持ってオススメします。

M-6「Pull a Caper feat. Kodak Black, Gucci Mane & Rick Ross」も、ラップもHookの歌も耳を惹く佳曲。


そこから後半に入っていいと思えたのは、Mavadoの一人舞台であるM-11「Unchanging Love feat. Mavado」。
感謝の気持ちをしっかりと爽やかに歌い上げるMavadoの歌がバッチリですね。
本作の中でも異色ではありますが、最後辺りで底力を見せてくれましたね!

最後に忘れてはいけないのは、国内版のボーナストラックであるM-13「Wild Thoughts feat. Rihanna & Bryson Tiller (Medasin Dance Remix)」、M-14「Wild Thoughts feat. Rihanna & Bryson Tiller (NOTD Dance Remix)」。

後者は良くも悪くもな出来ですが、前者は正直言って原曲より好きです。
原曲に比べて明るい雰囲気なRemixになっていて、ドライブなどには持ってこいな1曲になっています。
このRemixが聴けるだけでも国内版を買う価値あり!


全体を通して見ると、客演は非常に豪華であるものの、曲としては良し悪しが出ています。
いくらなんでも詰め込みすぎて訳が分からなくなっている印象もありますね。
良くも悪くもコンピレーションアルバムを聴いている感じです。


ただこれだけバラエティに富んでいるので、何曲かは必ずお気に入りの楽曲ができるかと。
その曲を使ってリスナーがそれぞれ1枚のCDに焼けば名盤に化ける可能性を秘めた作品でもあります。

その何曲かのお気に入りの楽曲を作るだけという目的でも聴く価値はあると思います。
そこまで強くお勧めはしませんが、興味のある方はチェックをどうぞ。


↓Disc 1のM-5「On Everything feat. Travis Scott, Rick Ross & Big Sean」のPV。
www.youtube.com

↓Disc 2のM-6「Pull a Caper feat. Kodak Black, Gucci Mane & Rick Ross」のPV。
www.youtube.com