りくぼーの音楽感想倉庫

音楽CDの感想を綴っていきます

Street Dreams / Fabolous

Street Dreams


曲目リスト


1. Intro
2. Not Give a F**
3. Damn
4. Call Me
5. Can't Let You Go feat. Mike Shorey, Lil' Mo
6. Bad Bitch
7. Why Wouldn't I feat. Paul Cain
8. Up on Things feat. Snoop Dogg
9. Sickalicious feat. Missy Elliott
10. This Is My Party
11. Into You feat. TAMIA
12. Change You or Change Me
13. Respect
14. Forgive Me Father
15. Never Duplicated
16. My Life feat. Mary J. Blige
17. Throw Back
18. Keepin' It Gangsta (Remix) feat. Styles, Jadakiss, M.O.P.
19. Trade It All, Pt.2 feat. P.Diddy, Jagged Edge
20. Can't Let You Go (Main Remix Original Version)


評価: ★★★★★★★★★☆


アメリカのNY出身のラッパー、Fabolousの2ndアルバム。
2003年3月4日発売。


2001年にリリースした1stアルバムが100万枚以上のセールスでチャート4位に食い込み、ゴールドディスクを獲得するという、新人としては異例の大健闘を果たしたFabolous
2002年からはNELLYAmerie、Big Tymersなどとのパッケージツアーを行い、アメリカ全土を回りつつも、2ndアルバムである本作の制作に取り掛かりました。


本作からはリリース後に3枚のシングルをリリースしましたが、その内の「Can't Let You Go feat. Mike Shorey, Lil' Mo」(M-5)、「Into You feat. TAMIA」(M-11)はチャートでも上位を獲得し、2003年のHIP HOPシーンの代表曲とも言える存在に。
そんなこともあり本作も凄まじい話題作となり、前作を超える110万枚以上のセールス、チャート3位という快挙を成し遂げました。
2019年現在、Fabolousのアルバムでは最も成功した作品となっています。
見ての通り二枚目なこともあり、アイドルラッパーなどという批判もあったそうですが、セールスで結果を出した以上は彼の勝ちですね。


では、内容に。


Fabolousの特徴はちょっとヘロヘロとしたラップ。
例えて言うなら50 CENTのラップからかなり肉を削ぎ落としてアクも薄めた(和訳を見ると過激な詞はあるものの)という感じです。
好みは間違いなく分かれますね。


トラックは2000年代のHIP HOPサウンドがベースながらも、従来のHIP HOP層にも一般層にも受け入れられそうな、バランスがいい物が多いです。
そのトラックとFabolousのラップの相性も抜群です。

特に前半はそのFabolousとトラックの相性の良さをガツンと見せつけられる楽曲群が多めです。
イントロを経てのM-2「Not Give a F**」からM-4「Call Me」の流れは客演こそいないものの、捨て曲など無しです。
M-2「Not Give a F**」はダークな雰囲気のトラックの上でのFabolousのラップの乗りこなしが癖になります。M-3「Damn」、M-4「Call Me」はお洒落で可愛い雰囲気のトラックとHook、それとFabolousのラップの相性も抜群で、ドライブのBGMには持ってこいなこと間違いなしですね。

シングルとして切られた2曲のM-5「Can't Let You Go feat. Mike Shorey, Lil' Mo」、M-11「Into You feat. TAMIA」は、これはもうラッパーがFabolousでなかったら作れなかっただろうな、と思ってしまいます。それくらいFabolousとシンガー陣、そしてトラックとのハマり具合がすごいです。
確かにこれはヒットするのも必然だったと言っていいのでは!


中盤では比較的攻撃的な雰囲気の楽曲が多いですが、シングルとして切られたM-10「This Is My Party」を初めとして、ここでもFabolousのトラックへのアプローチが絶好調。
特にM-7「Why Wouldn't I feat. Paul Cain」~M-9「Sickalicious feat. Missy Elliott」までの流れはFabolousと客演メンバーとのマイク合戦が楽しめる、アルバムの中でもすごく聴きごたえのある展開です。一曲単位で見ても素晴らしいのは言うまでもなく。


M-12「Change You or Change Me」からは比較的ハードなトラックが多めです。
前半や中盤と比べるとタイトなラップが聴けます。
それでもHIP HOPが苦手な人でも聴けそうな雰囲気。
Hookも比較的強調されているのも聴きやすいポイントですね。
80年代や90年代のHIP HOPにこだわりが強い人は不快に感じるかもしれませんが、個人的にはノリやすくていいと感じましたね。
個人的にはM-16「My Life feat. Mary J. Blige」が後半のハイライト。
FabolousのラップとMary Jの歌いこなしがとても素敵で、シングルカットされた3曲にも何ら引けを取っていません。


M-17「Throw Back」からM-19「Trade It All, Pt.2 feat. P.Diddy, Jagged Edge」は本作のボーナストラック。
ボーナストラックなんて侮ってはいけません。
熱いマイクリレーが楽しめる1stアルバム収録曲のRemixのM-18「Keepin' It Gangsta (Remix) feat. Styles, Jadakiss, M.O.P.」、ボーカル使いがとてつもなく上手いM-19「Trade It All, Pt.2 feat. P.Diddy, Jagged Edge」なんて普通に名曲と言っていいレベルです。
M-20「Can't Let You Go (Main Remix Original Version)」は国内版限定のボーナストラックで、M-5「Can't Let You Go」のバージョン違い(Remixではありません)。
かなりハードな内容になっていて、これはこれで悪くはありませんが、個人的にはシングルで切られたバージョンの方がずっと好きですね。


最近では細々とした活動になり、「一発屋」「ミーハーに受けただけ」などという声もHIP HOPファンから挙がることもあるFabolous
しかし2ndアルバムである本作。久しぶりに聴いてみたら予想以上の内容の良さで、何度も聴き返してしまいました。
流石にFabolousの歴代アルバムでの最高セールス獲得は伊達ではありませんね。
HIP HOPをこれから聴いてみる人には最適なことは言うまでもありませんが、熱心なHIP HOPファンも久しぶりに聴き返してみては。
本当に傑作なので、興味のある方はどうぞ!


↓M-10「This Is My Party」のPV。
www.youtube.com