りくぼーの音楽感想倉庫

音楽CDの感想を綴っていきます

In Love And Death / The Used

イン・ラヴ・アンド・デス(初回限定盤)


曲目リスト


1. Take It Away
2. I Caught Fire (In Your Eyes)
3. Let It Bleed
4. All That I've Got
5. Cut Up Angels
6. Listening
7. Yesterday's Feelings
8. Light With A Sharpened Edge
9. Sound Effects And Overdramatics
10. Hard To Say
11. Lunacy Fringe
12. I'm A Fake


評価: ★★★★★★★★☆☆


アメリカのユタ州のオレムで結成されたROCKバンド、The Usedの2ndアルバム。
2004年9月28日発売。


2002年にリリースした1stアルバムがプラチナディスクに認定され、デビュー作から話題をかっさらったThe Used
2003年2月には初来日も果たし、ライブ会場が小さな規模だったこともあってかチケットが即ソールドアウトするという出来事もあり、日本でも話題になりました。
同年7月には未発表音源やライブ音源などが収録されたCD/DVDがリリースされ、これまたプラチナディスク認定。
そんな彼らは2ndアルバムの作成にも取り掛かりましたが、バンドメンバーはプロデュサーのFeldmannと何度も方向性について対立。
またセッション中にMcCrackenの友人の2人が亡くなるという不幸も発生。
その内の1人は、妊娠中の元ガールフレンドで、麻薬の過剰摂取により亡くなったとのこと。
本作のタイトル「In Love and Death」は、その出来事からつけられたのです。
2003年秋にリリースされた本作は累計100万枚以上のセールスを記録してこれまたプラチナディスク認定。
彼らのアルバム史上最も好セールスを記録したアルバムになっています。


では、内容に。


全体を通して思うのは、聴きやすいROCKサウンドだなということ。
メロディーを大事にしたサウンドが多めで、どんな人にも聴けるのではないでしょうか。


喋りのイントロから一気にガーンとしたサウンドで攻めるM-1Take It Away」から臨場感のある始まり方。
対訳を見ると結構鬱っぽい詩ですけど、最初の楽曲としてはいい入りだしです。
M-2「I Caught Fire (In Your Eyes)」はHookの歌が非常に聴きやすく、様々な音が入り込んでいますがどれもいい感じでちりばめられています。
その後もそのような楽曲が続くので、楽しく聴けますね。
HookらしいHookがない楽曲も多いですけど、ハードさと聴きやすさがうまく両立されています。
M-4「All That I've Got」が個人的には前半のハイライト。目を閉じると広大な草原のような風景が浮かんできます。


M-7「Yesterday's Feelings」はそれまでの如何にもなROCKサウンドから一線を画した落ち着いた雰囲気の楽曲。
そしてM-8「Light With A Sharpened Edge」もサウンドがそこまで主張しておらず、ボーカルの声が比較的目立っています。
感想の音が結構ドラマティック。


M-9「Sound Effects And Overdramatics」はとにかく感想でのギターがすごいですね。シャウトもすごく印象的でインパクトは満点。

M-10「Hard To Say」は聴いているだけで田舎の自然の情景が目に浮かんでくるような雰囲気。
M-11「Lunacy Fringe」は陽気なチューンで、音もそれほどしつこくないため好印象。
しゃべりが数十秒ほど続いたイントロから煽り、一気にドラムが大暴れするM-12「I'm A Fake」は落ち着いた雰囲気の曲が並んだ後半のうっ憤を一気に解消に回ったような曲で、かなりインパクトがあります。
ボーカルの叫び声も半端ないですし、楽器隊もかなり気合が入っていますね。


CDの福袋BOXに入っていて何となく聴いてみた1枚でしたが、あまりROCK音楽を聴かない僕でもすんなりと聴けた1枚でした。内容の良さもさることながら。
好セールスを記録したのも頷けますね。
中古屋でもよく見かける1枚なので、見かけたらチェックしてみては?


M-1Take It Away」のPV。
www.youtube.com

SOUL LAUNDRY / ET-KING

SOUL LAUNDRY(富くじ・手ぬぐい付初回限定盤)


曲目リスト


1. ギフト
2. シャンパンゴールド
3. さよならまたな
4. 夏大盛り2008
5. やまんでダンス
6. うまい!お弁当
7. スカッと一発!
8. 華舞台
9. 大花火
10. ふたりの歌
11. まだまだ
12. 晴レルヤ
13. 陽あたり良好


評価: ★★★★★★☆☆☆☆


大阪府大国町を拠点とするラップグループ、ET-KINGの2ndアルバム。
2008年6月4日発売。


3rdシングルの表題曲「愛しい人へ」がヒット曲となったことで、直後にリリースした1stアルバムがチャート4位という新人の1stアルバムとしては順調な滑り出しだったET-KING。
その後もコンスタントにシングルリリースを重ねた上にメディアへの露出も増え、着々と知名度をUP。
そして前作から約1年後となる2008年6月、2ndアルバムである本作をリリースしました。
チャートでは10位を記録と、ET-KINGのアルバムの中では前作に次いで好順位をマークしました。
ちなみに同日7thシングルとなる「ふたりの歌/ヤッターマンの歌」もリリースしています。


では、内容に。


ET-KINGの特徴は様々なジャンルの音を取り入れた上での5MCのストレートな歌詞表現。
良く言えば幅が広い、悪く言えば節操がないとも言えますが、良くも悪くも彼らにしか出せない雰囲気を放っているのは確かです。


M-1ギフト」~M-3「さよならまたな」まではメッセージソングが並ぶ流れ。
M-1ギフト」は贈り物をテーマにした彼女に対する感謝ソングで、彼らの良さが発揮されたハッピーな恋愛ソングに仕上がっています。
マーティフリードマンから高評価をされたのも頷けます。
M-2「シャンパンゴールド」は明るいトラックの上での前向きなリリックを乗せる楽曲で、聴いているだけで元気になること必至。


シングルを切ったM-3「さよならまたな」を経て、M-4「夏大盛り2008」からはそんなメッセージを聴かせる流れから一転、力を抜いて作ったのが分かる緩い楽曲が並びます。
M-4「夏大盛り2008」は1stシングルの「夏大盛り」のリメイクです。
ただこれは原曲の方がトラックに勢いがあって好きですね。楽し気なリリックなのにトラックが大人しめでいまいち活きていない気がします。

続くM-5「やまんでダンス」は名前の通りパーティーチューンですが、トラックは非常に落ち着いた雰囲気。
その上でダンスについてラップするという構図は中々面白い・・んですけど、上手くハマっているかと言われるとこれまた微妙。
TENNの早口ラップは面白かったですが。

M-6「うまい!お弁当」は、まあこの曲名を見て曲の内容を想像していただければ大体正解です。
後半にいきなり社会的な主張が入ってきたのはちょっとびっくりしました。
早弁のくだりはちょっとだけ笑みをもらえます。


M-7「スカッと一発!」は客演としてクレジットこそされていませんが、大西ユカリ氏が参加。
ここでまたメッセージ性のある内容で、マナーの大切さを説くという。
大西ユカリとET-KINGのメンバーの歌のせめぎあいがこれまたちょっと面白いです。
最後のダジャレっぽいリリックはちょっと狙いすぎ感が否めず。

M-8「華舞台」はお祭りソングで、勢いのある和風なトラックの上でのマイクリレー。
個人的にはこの曲が本作一のハイライト。どのメンバーも芯のあるラップを聴かせ、全員で合唱するHookも途中のDJ BOOBYのスクラッチも中々のカッコよさ。
全体的に熱さを感じる曲で、ET-KINGの楽曲の中でも全員の個性が発揮された楽曲だと思います。


M-9「大花火」はこれまた和風で夏を感じるトラックですが、夏まつりのとある光景をET-KING流に描いた楽曲。
この光景の行く先は・・。それは曲を聴いて確かめてください。まあそんな煽るほどの内容でもないんですが。


ここからはまたしてもメッセージ性が強めの楽曲が並びます。
M-10「ふたりの歌」は名前から想像できるようにずっと支えてくれた恋人に対する感謝ソング。
余り歌は上手くない彼らですけど、それだけにこういうトピックでは説得力が出ます。
後半のメッセージ楽曲の中でも一際光る曲です。


M-11「まだまだ」は逃げそうになっている自分に「まだまだやれるだろ」というメッセージをかける楽曲。
哀愁漂うトラックが個人的に好みで、TENNといときんのラップが熱さを感じられて好きです。

M-12「晴レルヤ」はシングルで切られたその名前から想像できるように応援歌。
彼ららしいリズムのいいトラックの上で前向きなメッセージを乗せていく流れですが・・・詩の内容もイマイチ切れがなく、だからと言ってノリノリになれるかというわけでもなくちょっと中途半端な印象。
個人的にET-KINGのシングル曲は大体好きなんですけど、この曲は未だにちょっと好きになれないんですよね・・。


M-13「陽当たり良好」はリリックの内容はよくある音楽賛歌。
何ですが、正直この曲はラップはおまけ程度で、メインは合唱とトラック。
トラックのリズムの良さでひたすら押し切っていて、本作最後の曲にして一番異色な曲。
リリック自体は中身があるわけではないため好みが非常に分かれそうです。
個人的には「歌は音!」と割り切って聴く分にはいいかと。


全体的にに見ると様々なトピックが詰まっていておもちゃ箱のようなアルバムになっています。
ただ曲単位で見ると良し悪しが出ており、しかもいい曲とイマイチな曲がちょっと固まっているため退屈な流れもあり。
賛否が分かれるアルバムだと思います。
しかしながら本作で一押しのM-8「華舞台」は本作でしか聴けないですし、他にも本作でしか聴けない曲が満載。
ET-KINGに興味のある方なら聴いて損はないと思います。
まずは試聴を!


↓M-10「ふたりの歌」のPV。
www.youtube.com

I Just Wanna Live / Good Charlotte

アイ・ジャスト・ワナ・リヴ


曲目リスト


1. I Just Wanna Live (Album Version)
2. The Chronicles Of Life And Death (Acoustic Version)
3. S.O.S. (Live From Sessions@AOL)
4. Mountain (Live From Sessions@AOL)


評価: ★★★★★★★★★☆


アメリカのメリーランド州で結成されたバンド、Good Charlotteの2ndシングル。
2004年発売。(今回紹介する国内版は2005年1月26日発売)


2004年にリリースした3rdアルバムが世界で好セールスを記録して全米でプラチナディスクに認定されたGood Charlotte
本作はその3rdアルバムからのリカットシングル。
今回紹介する国内版には3rdアルバムの表題曲のアレンジバージョンであるM-2「The Chronicles Of Life And Death (Acoustic Version)」が限定で収録されています。


さて、内容に。


表題曲のM-1I Just Wanna Live (Album Version)」は3分もない短い楽曲。
しかしその中で聴きやすく親しみやすいサウンドながらも臨場感のある曲構成でしっかりと楽しませてくれます。
むしろ3分以内に終わるタイトさは素敵ですね。

他の3曲は同じようなタイプの曲で、ギターのサウンドが非常に心地よさがあるもの、芯のある歌唱でずっしりと聴かせます。
M-3「S.O.S. (Live From Sessions@AOL)」、M-4「Mountain (Live From Sessions@AOL)」はどちらもライブ音源なのに、CD音源と聴いても普通にだまされそうな感じです。
しかも3曲ともほとんどギターと歌だけで魅せていて、しっかりと曲として成立しているのが凄み。


なんとなく手に取った1枚でしたが、4曲入りシングルながらも聴きごたえのある内容にびっくりしました。
本作にしか収録されていないM-2「The Chronicles Of Life And Death (Acoustic Version)」を聴くためだけでも手に入れて損はないかと。
見かけたらどうぞ。


M-1I Just Wanna Live」のPV。
www.youtube.com

BAD BOY PARADISE / HOKT

BAD BOY PARADISE


曲目リスト


1. BAD BOY PARADISE ~INTRO~
2. HEAT UP
3. NARIAGARI
4. SHININ' feat. Kayzabro(DS455)
5. BIZZY-B
6. WATCH YOUR STEP ~KILLA KIX 75'~ feat. SUIKEN, DABO
7. CHILL IN DA HOUSE ~SKIT~ feat. TERRY THE AKI-06
8. マウエデテ マ★マ★スィータ feat. NORTH COAST BAD BOYZ, DANI, LANDO
9. LA-LA-LA
10. OH? feat. AK-69 a.k.a Kalassy Nikoff
11. BLOOD in BLOOD out ~MACK TOWN LIFE II~ feat. 1-KYU, S55 a.k.a SPOCK
12. I LOVE FRI DAY
13. So Many Tears feat. YORK
14. Summer Breeze feat. SOICHIRO


評価: ★★★★★★★☆☆☆


北海道札幌出身のラッパー、HOKTの2ndアルバム。
2007年8月8日発売。


2006年に1stアルバムをリリースして全国ツアーも行ったHOKT。
その翌年の2007年、1stアルバムのリリース日と同日に2ndアルバムである本作をリリースして、同時にメジャーデビューを果たしました。
この頃は日本の西海岸系が勢いがあった時期でもあったため、HOKTもその時期に上手く乗れた感じですね。

では、内容に。


ちょい高めのハスキー声のラップを操るHOKT。
スキルがそれほど高いわけではありませんが、独特の存在感があるんですよね。


イントロを経てのM-2「HEAT UP」はDJ PMXプロデュースで爽快感のあるHOKTのラップと爽やかなトラックが心地よくサラッと流れるパーティーチューン。
続くM-3「NARIAGARI」は爽やかながらもHookの前でぐいぐいと前に出るようなトラックでのバッキンダデイズ物。
アルバムのスタートとしてはかなりいい入りだしで、この2曲を聴いた時点で聴き進めたくなっていくこと請け合い。

M-4「SHININ' feat. Kayzabro」はS55がトラックを担当し、怪しげなHookも相まってSOUTHノリな雰囲気。
Kayzabroのラップがこういうトラックに乗るのは良くも悪くも新鮮ですけど、やはりKayzabroは西海岸な雰囲気が似合うなと思います。

M-5「BIZZY-B」はトークボックスも強烈な恋愛ソング。
ラップなのに甘さまで表現してしまうのがHOKTのラップの長所ですが、その長所をいかんなく発揮しています。

M-6「WATCH YOUR STEP ~KILLA KIX 75'~ feat. SUIKEN, DABO」はS55のトラックで、またしてもSOUTHよりなトラック。
HookもSOUTH HIP HOPな雰囲気が出ていますが、正直ちょっとしつこさを感じますね。
それぞれのバースはいいだけに。

TERRY THE AKI-06による開始20秒くらいは面白いスキットを挟んだ後に控えるボッセカットのM-8「マウエデテ マ★マ★スィータ feat. NORTH COAST BAD BOYZ, DANI, LANDO」はS55のSOUTHノリのトラックの上でのマイクリレー。
全体的にせわしない印象で、本作では一番MC陣が多いのに印象薄し。


M-9「LA-LA-LA」は甘い雰囲気のバッキンダデイズ物・・とはいってもM-3「NARIAGARI」とはちょっと着眼点が違っています。
激しい曲が続いた中でこの流れは少しホッとしますね。

M-10「OH? feat. AK-69 a.k.a Kalassy Nikoff」はヘイタ―DIS曲で、前作でも個人的には客演MVPだったAK-69が今回も大活躍。
HOKTのラップを完全に食う勢いで歌もラップも力がこもっています。


M-11「BLOOD in BLOOD out ~MACK TOWN LIFE II~ feat. 1-KYU, S55 a.k.a SPOCK」は哀愁漂うトラックの上で「絆」をテーマにマイクを回すマイクリレーで、3人とも聴いていると胸が熱くなるようなリリックを披露。
1-KYUがちょい高めのガラガラ越えながらもちょっと優し気な雰囲気を出しているのが新鮮です。

M-12「I LOVE FRI DAY」はDS455の有名曲「NIGHT CRUISE ~星降る夜に~」のトラックを使用したパーティーチューンで、カッコよさという面では「NIGHT CRUISE ~星降る夜に~」の方が上ですが、明るさと甘さという面ではこちらに分があります。
どちらも負けず劣らずの良曲です。


M-13「So Many Tears feat. YORK」は、よくあるラッパーとシンガーの曲。
恋人に対する懺悔の楽曲ですが、これはちょっと狙って外してしまった感が否めず。
YORKの歌もHOKTのラップも力が入りすぎて空回りした感じです。
続くM-14「Summer Breeze feat. SOICHIRO」もこれまたシンガーとのコラボ曲ですけど、これも両者の相性が微妙で外した感があります。


全体的に見た印象としては、メジャーデビュー作ということもあって前作よりはいいですね。
聴きやすい曲もあればハードな曲もあったりと、14曲飽きずに聴かせてくれます。
ただ曲には当たり外れがあり、特にS55プロデュースのSOUTH風トラックはHOKTを始めとするMC陣との相性が微妙で、トラック自体は良いのにもったいなく感じました。
しかしそれでもHOKTのポテンシャルが発揮された良作。気になったらチェックしてもいいかと。


↓M-3「NARIAGARI」のライブ映像。
www.youtube.com

Mind Of Mine / ZAYN

Mind of Mine


曲目リスト


1. MiNd Of MiNdd (Intro)
2. PILLOWTALK
3. iT's YoU
4. BeFoUr
5. sHe
6. dRuNk
7. INTERMISSION: fLoWer
8. rEaR vIeW
9. wRoNg feat. Kehlani
10. fOoL fOr YoU
11. BoRdErSz
12. tRuTh
13. lUcOzAdE
14. TiO
15. BLUE
16. BRIGHT
17. LIKE I WOULD
18. SHE DON'T LOVE ME
19. Do Something Good
20. Golden
21. Pillowtalk (The Living Room Session)


評価: ★★★★★★★☆☆☆


イングランドのブラッドフォード出身のシンガー、ZAYNの1stアルバム。
2016年3月25日発売。


ZAYNはイギリスで2010年に結成されたバンド、1DことOne Directionのメンバーとして活動していました。
1Dでの活動は成功も成功であり、結成から数年足らずで世界的なスターバンドに。(1Dの記事ではないので、そこら辺の詳細は省きます)
しかしそんな1Dの2015年のワールドツアー中に、強度のストレスを訴えライブ活動から離脱し、同年3月25日に正式に1Dからの脱退を表明。
余りのタイトなスケジュールに疲れ切っていたのもありましたが、1番の理由としては音楽性の違い。
「普通の22歳になりたくて芸能界を離れる」とメディアの前で発表しましたが、その宣言の翌週にソロで活動することを所属事務所から発表。
発表後は曲作りをすぐさま開始し、7月にはソロミュージシャン、ZAYNとしてレコード会社と契約。
ソロで活動を発表してから1年後、1stアルバムとして本作をリリースしました。
多くの国のチャートで1位を記録し、新人(ソロミュージシャンとして)としては異例の大成功を果たしました。


では、内容に。


1Dの音源は聴いたことがないのでそのスタイルと比較することは出来ませんが、聴いてみた印象としては2016年当時としては珍しいくらいの正統派シンガーだなと感じました。
トラックがとにかくシンプルで、あくまで主役はZAYNの歌というのをかなり意識しています。


イントロを経てのM-2「PILLOWTALK」はトラックはHook以外はほとんどおまけ程度で、ZAYNの歌唱を思い切り前面に出しています。と思いきや後半からはサウンドもちょっと前面に出始め、ZAYNの歌唱を援護射撃している感じです。
そんな変化にも難なく対応するZAYNの歌唱力もなかなかのもの。
M-3「iT's YoU」は神秘的な雰囲気のバラードで、ZAYNの歌唱もかなり生きています。


M-4「BeFoUr」は、前の2曲からちょっと雰囲気が変わって、落ち着いた雰囲気ながらもノリのいいトラック。
対訳を見ると彼のソロデビュー時の決意を歌っているように感じます。

M-5「sHe」も同じくちょっとリズムが癖になるような音展開を見せており、Hookではちょっと頭を振りたくなってしまいますね。
そしてM-6「dRuNk」が曲間がなくいきなりM-5「sHe」からバトンパスをし、まるで2曲が1曲のように聴こえます。
まあこちらはシンプルなトラックの恋愛ソング。


聴いているとのどかなお花畑のような情景を思い浮かべてしまうようなインストを挟み、アルバムは中盤へ。

リズムのいいトラックの上で優しい歌声を聴かせるM-8「rEaR vIeW」の後のKehlaniを客演に迎えたM-9「wRoNg feat. Kehlani」は中盤ではハイライトと言えますね。
Kehlaniの綺麗な歌唱がアルバム全体としても曲としてもいいアクセントになっています。
ダークなトラックと2人の相性も抜群。
続くM-10「fOoL fOr YoU」はHookでZAYNが本作でもかなり気合の入った歌唱を見せます。
Kehlaniとのコラボ曲の後に再び自分の存在感を出したかったんでしょうか。その反動かそこから3曲程度は最初から最後まで落ち着いた歌唱を見せています。


M-14「TiO」はダークな雰囲気ながらも歯切れのいいリズムのトラックで、初っ端からZAYNが気合の入った歌声を見せます。
冷たい雰囲気のHookも丁寧な歌いこなし。
M-15「BLUE」はM-3「iT's YoU」と同じく神秘的な雰囲気のバラード。

パーティーでの恋愛風景を描いたM-16「BRIGHT」を挟んだM-17「LIKE I WOULD」は対訳を見ると非常に詩が情熱的。


M-18「SHE DON'T LOVE ME」は片思いの楽曲で、ZAYNの歌唱もトラックも中々気合が入っています。
次のM-19「Do Something Good」はアルバム中でも異色で、まるで西部劇のバーのような雰囲気が全体に漂っています。
最後の方でちょっと面白い飛び道具を出してきましたね。

本来だと最後の曲にあるM-20「Golden」は聴いている人たちに前向きなメッセージを送る最後の〆としては素晴らしい楽曲。
ただちょっと曲の終わり方があっさりしすぎな気もします。


M-21「Pillowtalk (The Living Room Session)」は国内版限定のボーナストラック。
良くも悪くも本作での中心的なスタイルでの延長で、ZAYNの本作でのスタイルが好きなら気に入るとかと。


初めてZAYNの歌声を聴きましたが、とにかく歌唱力の高さには圧倒されました。
サウンドも80年代や90年代のR&Bを彷彿とさせるものが多めで、当時にリリースされていたといっても騙されるかもしれません。
ただ国内版のボーナストラックやインストを含めてとは言っても21曲という曲数は流石に聴き疲れしますね。
1stアルバムということもあって気合が入ったのでしょうが、ちょっと詰め込みすぎの感も。
もうちょっと曲数を絞っていたらもっと聴き返したくなるアルバムになったかもしれませんね。惜しいです。

しかし1曲単位で見ると良曲が詰まっている作品なのも事実。
R&Bのオーディオやプレイリストのネタ不足の皆様、いかがですか?


↓M-4「BeFoUr」のPV。
www.youtube.com

THE GREAT SENSATION / M.O.S.A.D.

THE GREAT SENSATION


曲目リスト


1. Intro feat. K.K, U.X.I
2. Super Ball 2002 feat. SYGNAL, WATT
3. What's Mother Fuckin' Name feat. SYGNAL
4. If I...
5. E.a.t. feat. G-Conqueror
6. Perfect Game feat. Gangsta Cue, Mr.OZ
7. Right Now Liner(Skit)
8. Right Now Liner
9. Mobb Stars feat. MACCHO
10. Dopeman feat. DopeMan
11. Sweepas feat. B-Ninjah & AK-69
12. On The Road feat. WATT
13. Custro The Second feat. U
14. Young Gunz [Skit]
15. Ballers Back
16. Cold Game feat. Phobia Of Thug, Kalassy Nikoff


評価: ★★★★★★★★☆☆


愛知県名古屋で結成されたラップグループ、M.O.S.A.D.の1stアルバム。
2002年12月18日発売。


M.O.S.A.D.は1996年に名古屋で結成されたグループで、TOKONA-Xと"E"qual、AKIRAの3MCで結成されました。(この時のグループ名はMaster Of Skillz)
TOKONAはDJ 刃頭とラップグループのILLMARIACHIで活動していたこともあってか名前も広がっていき、名古屋のラップシーンも開拓されていきました。
2000年にはDJのFixerが加入し、グループ名をMaster Of SkillzからM.O.S.A.D.に改名。
そんな彼らが音源リリースを本格的に始めたのは2002年。シングルを3枚立て続けにリリースし、日本語ラップ界では話題作に。
2002年の12月、とうとう1stアルバムである本作をリリースしました。
この2年後にはメンバーのTOKONAが亡くなったこともあり、M.O.S.A.D.名義でのアルバムはこれっきりとなっています。


では、内容に。


M.O.S.A.D.の特徴は3MCによる好き放題ラップ。
トラックはもろに90年代を匂わせる元ネタ感満載のシンプルな無駄がないトラックが中心で、その上で3人、客演がいる曲では3人+客演で好き放題なマイクリレーを見せてくれます。


ちょっと聴いただけでハードだなと感じてしまうイントロを経て2曲続いて客演ありのマイクリレー開始。
どちらもメンバーもSYGNALもWATTもしっかり個性を発揮していて聴きごたえは十分。
序盤で唯一の客演なしのM-4「If I...」もリリックの内容こそよくあるビッグマウスものですが、3人ともそれに見合った貫禄あるラップを披露していてまさに彼らならではの楽曲になっています。

次に控えるM-5「E.a.t. feat. G-Conqueror」が個人的には前半のハイライト。ネタ感満載のトラックと硬派なHookが耳を惹きます。それぞれのバースもカッコいいのは言うまでもなく。

M-6「Perfect Game feat. Gangsta Cue, Mr.OZ」は重たい雰囲気のトラックで、客演のチョイスの良さが冴える楽曲。
不穏なトラックにPHOBIA OF THUGの2人がラップを乗せるとなれば大多数のリスナーは期待するでしょう。当然ながらカッコいいです。
Mr.OZの声の荒さが本当にすごいですよ。


スキットを挟んでの中盤の客演なし楽曲のM-8「Right Now Liner」はスキットを挟んだ割に短いこともあってちょっとインパクト不足。
M-9「Mobb Stars feat. MACCHO」はもう客演のMACCHOの存在感に尽きます。
初っ端からの早口フロウにぶっ飛ばされること必至。またそれにTOKONAも早口ラップで応戦しており、ほかの2人をすっかり食べるくらいの勢いがあります。


M-10「Dopeman feat. DopeMan」はまさにこれぞ西海岸!というネタ感満載のトラックで、ちょっとシリアスな雰囲気。そんなトラックにもすんなりと対応して見せるラッパー陣の力量にはさすがの一言。
M-11「Sweepas feat. B-Ninjah & AK-69」はリリックとしてはまさにUSのギャングスタの直輸入で、これまた全員キレキレのラップを披露。
AK-69は今では日本でもかなり有名になりましたが、B-Ninjahは今何してるんでしょうか。

M-12「On The Road feat. WATT」も相変わらずのキレキレのマイクリレーが展開され、M-13「Custro The Second feat. U」はそれまでのノリノリな雰囲気から一転、シリアスで危険な雰囲気の楽曲。


続くスキットは銃の音、車や電車の音などを交えた喋り、ミックスなど様々なものを取り入れたもので、USのギャングスタのHIP HOPのような雰囲気。
M-15「Ballers Back」も無論USのギャングスタの雰囲気で、そっち系が好きならたまらない出来。

最後を締めくくるM-16「Cold Game feat. Phobia Of Thug, Kalassy Nikoff」はHookがAK-69のシンガー名義であるKalassy Nikoffによる歌。
その歌のHookとMC陣のバリバリなラップとの調和が見事で、最後を締めくくるにふさわしい楽曲。


M.O.S.A.Dは名古屋のラップシーンでも伝説となっていますが、そのグループの唯一のアルバムということで期待していました。
その期待通りの作品。とにかくトラックの面でもラップの面でも純粋に聴いていて楽しめます。
このアルバムでM.O.S.A.D.のリリースが終わってしまったのは実に惜しいもの。
見かけたら是非チェックをどうぞ!


↓M-2「Super Ball 2002 feat. SYGNAL, WATT」のPV。
www.youtube.com

The Diary Of Alicia Keys / Alicia Keys

The Diary of Alicia Keys


曲目リスト


1. Harlem's Nocturne
2. Karma
3. Heartburn
4. If I Was Your Woman/Walk on By
5. You Don't Know My Name
6. If I Ain't Got You
7. Diary feat. Tony! Toni! Tone!
8. Dragon Days
9. Wake Up
10. So Simple
11. When You Really Love Someone
12. Feeling U, Feeling Me [Interlude]
13. Slow Down
14. Samsonite Man
15. Nobody Not Really


評価: ★★★★★★★★★☆


アメリカのNY出身のシンガー、Alicia Keysの2ndアルバム。
2003年12月2日発売。


2001年にリリースした1stアルバムである前作が全世界で1600万枚以上のセールスを記録、グラミー賞を5つ受賞するなど凄すぎるも凄すぎる大成功なデビューを果たしたAlicia Keys
2年後の2003年の終わりに、2ndアルバムである本作をリリースしました。
当然話題作となり何とビルボードでは1位を記録。最初の週で61万8000枚というセールスを記録(これは女性シンガーのアルバムとしては史上初とのこと)。
全世界では800万枚のセールスを記録し、女性アーティストとしては史上6位、女性R&Bシンガーとしては史上2位となる売り上げ。
様々な雑誌で絶賛の嵐を受け、2003年を代表するアルバムの1枚となりました。


では、内容に。


とにもかくにもAlicia Keysのこの歌唱力の高さは反則級。
どんなトラックでも難なく歌いこなしてキックしてしまう様が、女性でありながら貫禄を感じてしまいますね。


お洒落な雰囲気のイントロのM-1Harlem's Nocturne」を経て繰り出される、M-2「Karma」はスロウで迫ってくるようなトラックの上でのAliciaのうねる様な歌唱が癖になりますね。
M-3「Heartburn」は一気に雰囲気が変わり、トラックがかなり勢いがあります。
ただしAliciaは難なく乗りこなしており、しっかりと曲を彩っています。


M-4「If I Was Your Woman/Walk on By」からM-7「Diary feat. Tony! Toni! Tone!」は再びしっとりした雰囲気の楽曲に戻ります。
どの曲もトラックは黒さとスタイリッシュさを両立したようなもので聴きやすく、Aliciaの歌との相性も抜群。
トラックやバックボーカルで様々なミュージシャンが名を連ねていますが、Aliciaの歌がしっかり主役になっているのも流石です。
似たような構成が多いのに、それを感じさせないほど技術で圧倒しています。


M-8「Dragon Days」はちょっと攻撃的でシリアスな雰囲気としっとりした雰囲気の両方を併せ持ったような不思議なトラックが印象的。
縦横無尽に歌でそのトラックの上を駆け回るAliciaの歌唱も聴きごたえ抜群。


M-9「Wake Up」はトラックも聴きやすくHookがちょっとキャッチ―な雰囲気。
M-10「So Simple」は、バックボーカルのLilyがAliciaに負けずの仕事ぶりで、両者の卓越した歌いこなしが堪能できます。

続くM-11「When You Really Love Someone」はトラックはシンプルですが、その上でのAliciaの芯のある歌唱がアカペラでも聴けてしまうであろう底力を感じますね。
次のM-12「Feeling U, Feeling Me」はクレジットの通りInterlude扱いの曲で2分ちょっとしかありませんが、美しいトラック使いが印象的で、1つの曲として十分聴ける出来です。
そこからのM-13「Slow Down」~M-15「Nobody Not Really」の流れも、全体的に音使いの上手さが印象的。
M-15「Nobody Not Really」はトラックが爽やかながらも様々な音を使って壮大な雰囲気で、最後の〆としていい終わり方です。


最初に聴いた時はそんなに印象に残らなかった1枚ですけど、改めて聴きなおしてみるとかなり魅力が詰まった作品でした。
最初に書いたようにとにかくAliciaの歌唱力がヤバいです。ソロアルバムなのに歌声だけでここまでアルバムを彩れるのはすごいの一言。
トラックもAliciaの歌をグインと引き出していて、全体的に穴がないアルバム。
好セールスを記録したのも納得の1枚。
中古屋でもよく見かける1枚なので、見かけたらチェックをどうぞ。


↓M-2「Karma」のPV。
www.youtube.com