りくぼーの音楽感想倉庫

音楽CDの感想を綴っていきます

B-Boy Park 2000 9/3. 約束の土地で... / V.A.

B-BOY PARK 2000 9/3.約束の土地で…


曲目リスト


1. Intro-B-STREET(GO STEPPERS GO) / DJ Beat
2. WARNING 21(21世紀への警告) / Cake K & Create
3. B-BOYS JAMS(KOOL HERC Message 01) / DJ Kool Herc
4. DOWN BY LOW (Live at YOYOGI PARK) / KICK THE CAN CREW feat. Crazy-A
5. OLD SPORTS JAM(DJ BATTLE’99 FINAL 4)
6. 13:00 CRAZY-Aの開始合図 / Crazy-A
7. GENERATION JACK / Ruff Rhymers
8. ILLMURA Free Style / ILLMURA
9. We Are The Wild(DJ KRUSH Remix) / Gathering Of Tha All Stars
10. B-BOYS JAMS(KOOL HERC Message 02) / DJ Kool Herc
11. DJ BATTLE 2000 Digest(8/31@ASTRO HALL)
12. バトルの「B」(Live at YOYOGI PARK) / CUEZERO feat. Dohzi-T, SIMON JAP
13. BODY ROCK / Crazy-A
14. MC BATTLE 2000 CHAMPION FINAL STAGE(9/2@HARLEM)
15. PANEL DISCUSSION(9/2@BX CAFE)
16. MOTOY Free Style / MOTOY
17. ROCK DA HOUSE 2000 / DJ Beat feat. Donald-D
18. B-BOYS JAMS(KOOL HERC Message 03) / DJ Kool Herc
19. B-BOY BATTLE 2000 発表(9/1@ON AIR EAST)
20. We Are The Wild(オリジナル・ヴァージョン) / Gathering Of Tha All Stars
21. Outro-B-BOYイズム(Live at YOYOGI PARK) / RHYMESTER


評価: ★★★★★★☆☆☆☆


日本語ラップ界のイベントB-BOY PARK 2000の開催記念としてリリースされたコンピレーションアルバム。
2000年8月30日発売。


B-BOY PARKは1997年から2017年まで毎年夏に代々木公園で行われていた日本のHIP HOPイベントです。
日本語ラップ好きなリスナーなら知らない人はいない有名すぎるイベントで、東京近辺から様々なラッパーやDJたちが毎年参加していました。
そのB-BOY PARKが2000年にも開催決定したときにその前日に記念としてリリースされたのが本作です。(B-BOY PARK 2000は8月31日から9月3日)


では、内容に。


上にも書いたようにB-BOY PARKの記念としてリリースされたアルバムということもあって、ライブ音源をそのまま収録した楽曲、さらにはMCをそのまま入れただけの曲というよりはただの繋ぎのような楽曲も何曲もあり、普通のコンピレーションアルバムとして楽しむのは断念せざるを得ません。
あくまで記念アルバムと思いましょう。


DJ Beatのイントロを経ての(このイントロは始まりとしては良い感じで好きです)M-2「WARNING 21(21世紀への警告)」はCake K & Createによるもの。
シンプルなトラックの上でのラップは臨場感はありますが、21世紀の警告なんてタイトルの割にはリリックがインパクト不足で、曲名に負けてる面が否めず。

HIP HOPの歴史を語るうえで欠かせない人物であるKool Hercのメッセージを経て、M-4「DOWN BY LOW (Live at YOYOGI PARK)」は曲名にもある通りライブ音源。
ライブの雰囲気を味わえるものの屋外ということもあってか曲の良さ自体がイマイチ伝わってきません。
M-5「OLD SPORTS JAM(DJ BATTLE’99 FINAL 4)」はDJ BATTLEについての楽曲で、マイクを握るのはRHYMESTERの2人。
クラッチを入れまくった気合の入ったトラックで、Mummy-D宇多丸の両者も流石の安定感のあるMCを披露。
序盤ではずば抜けて聴きごたえのある内容です。

Crazy-AのMCを経てのM-7「GENERATION JACK」はRuff Rhymersで、疾走感のあるトラックの上でのマイクリレーがヤバいです。
合唱Hookもカッコいいですし、どうもこの辺りからアルバムとしても気合を入れてきた模様。

次のILLMURAのフリースタイルも1分42秒ほどの短さですけど、その短さでもしっかりと聴きごたえのあるフリースタイルを聴かせてくれます。

そして間違いなく本作の目玉曲であるM-9「We Are The Wild(DJ KRUSH Remix)」へ続くのですが、総成38人というメンツで、不穏な雰囲気のトラックの上でのマイクリレー。
悪いはずがないですね。聴いていて首を振りたくなること必至。

Kool Hercの2度目のメッセージの後のM-11「DJ BATTLE 2000 Digest(8/31@ASTRO HALL)」はDJ BATTLEの様子をそのまま録音したもので、参加DJたちのスキルに圧倒されます。
MCはRHYMESTER

M-12「バトルの「B」(Live at YOYOGI PARK)」はまたしてもライブ音源で、この辺りは現場を意識した流れ。


Crazy-AによるM-13「BODY ROCK」はインストで、その次のM-14「MC BATTLE 2000 CHAMPION FINAL STAGE(9/2@HARLEM)」はMC BATTLEの様子をそのまま録音したもの。
M-15「PANEL DISCUSSION(9/2@BX CAFE)」も1分半ほどのトラックの上での喋りで、繋ぎのような役割です。

M-16のMOTOYのフリースタイルはまさにバトル向きのフリースタイルという感じで、バトルではそれなりの成果があるのも納得できる内容。音源では余りいい評判をきかないですけど、いつかチェックしてみます。


M-17「ROCK DA HOUSE 2000」はUSからDonald-D(!)が参加したB-BOY PARKについてのチューン。
DJ Beatによるトラックもスクラッチが随所で聴いていて緊迫感がありますし、その上でのDonald-Dのラップも流石の乗りこなしっぷりです。

その後も現場の状況をそのまま録音したのが2曲続き、本作の目玉曲2発目のM-20「We Are The Wild(オリジナル・ヴァージョン)」へ。
M-9のRemixとは全く違うパーティ感満載のトラックの上でのマイクリレーは圧巻で、どちらも違ったよさがあって十分に楽しめますよ。
最後にRHYMESTERの「Outro-B-BOYイズム(Live at YOYOGI PARK)」。
B-BOYイズム」のライブ音源でアルバムは幕を閉じます。


上にも書いたようにライブ音源やMCをそのまま録音した楽曲が半分以上であり、まともな曲の曲数で言えばミニアルバムの曲数程度。
その為純粋な音楽のアルバムとして聴こうとすると間違いなく裏切られます。
DJ BATTLEやMC BATTLEの部分も個人的にはそこそこ楽しめましたが、HIP HOPに興味がない人にとっては飛ばしてしまう部分かもしれません。


しかしながら本作に入っている音源としての収録曲はなかなか良曲も多く、特に「We Are The Wild」はオリジナルもRemixも言うことなしの名曲。
この曲だけを目当てにしても手に入れる十分な動機にはなると思います。
ライブ音源が多いだけあって現場の雰囲気は楽しめるので、B-BOY PARKの当時の空気を知りたい方は是非。

アルバム全体の音楽的な部分も考慮すると、星の数はこれくらいで。


↓M-20「We Are The Wild(オリジナル・ヴァージョン)」のPV。
www.youtube.com

Protect Ya Neck / V.A.

PROTECT YA NECK~自分の身は自分で守れ


曲目リスト


1. Tribute To The 5th Brother / 9th Prince feat. RZA
2. Trying To Blow / MMO feat. Kurupt
3. Stop Playing Games / MMO
4. My Life / Ice Grillz
5. Freeze / MMO
6. Last Days / MMO
7. Free Ol' Dirty / Ol' Dirty Bastard feat. Deadly Venoms & Brooklyn Zoo
8. The Earthquake / Deadly Venoms feat. Wu-Tang Clan
9. Yeah Unh Hunh / Shyheim
10. Party Time / Bambi 'The Iron Maiden'
11. Hotel Hoodlums / MMO feat. Wu Syndicate & Black Knights
12. Madd Long / Deadly Venoms feat. Tekitha & La The Darkman
13. E.Y.E. Love NY / MMO
14. Explosion Don't Use Bomb Threat / Deadly Venoms
15. PYN Symphony / MMO feat. KGB & Deadly Venoms
16. The Evil That Men Do / Bambi 'The Iron Maiden'
17. Ready / Deadly Venoms
18. Feds Are Watching Me / Trigga feat. Probyn & P.I.R.U.


評価: ★★★★★★★☆☆☆


もう今年の1月も折り返し地点ですが、あけましておめでとうございます。
新年早々仕事方面で失敗をやらかし、車をガードレールに擦って車体の傷を増やしてしまうなど(もともと何か所か傷はあったんですけど、新しく増やした箇所だけでもおそらく7万は飛びます、もともとあったところも修理したら間違いなく6桁です)気分落ちることが多かったです。
今年もやる気あるんだかの更新率になるであろうことはあらかじめお詫びしておきます。
申し訳ありません、今年もよろしくお願いします。
とりあえず今年最初の記事はHIP HOPコンピでお届け。


アメリカのラップグループのWu-Tang Clan周辺のミュージシャンの楽曲を集めたコンピレーションアルバム。
2002年4月26日発売。(アメリカでは同年7月2日発売)


1993年に1stアルバムをリリースして以降、HIP HOPシーンの重要グループとなったWu-Tang Clan
周辺のミュージシャンもブレイクをしていき、HIP HOPシーンの活性化の原動力の1つになりましたね。
本作はそんなWu-Tang周辺のミュージシャンのコンピレーションアルバムになります。
リリース元はアメリカではProtect Ya Neck Records。Wu-Tangの1stシングル曲の名前をそのまま使用したレーベル名になっています。
日本では2000年から活動しているHandCuts Recordsからのリリースで、先行販売という形になりました。
今はどちらも音源リリースなどは行ってない模様・・(というか存続しているかも怪しい)、残念。


では、内容に。


Wu-tang周辺のミュージシャンが集まっているわけですが、Wu-Tang自体が大所帯なこともあって当然その周辺も大所帯です。


幕を開けるM-1Tribute To The 5th Brother」は9th PrinceとRZAという兄弟タッグですが、2分半という短さもあってかイントロ的な役割。
様々な音を所々にぶち込むビートは如何にもRZAといったところ。
MMOとKuruptによるM-2「Trying To Blow」は貫禄のあるマイクリレーを展開。
乗りこなしの難しそうなトラックですが、全員しっかりとした力量で乗りこなしています。
続くM-3「Stop Playing Games」はMMO単独の曲で、初期のWu-Tangのアルバムに入っていても違和感なしな楽曲です。
その辺りが好きな人なら気に入るでしょうね。


Ice GrillzによるM-4「My Life」は序盤では一番印象に残る曲と言ってもいいですね。
Hookの歌がインパクトが強いです。バースの方でもそれに負けないようにしっかりとラップを披露しています。
それ以降はMMOの曲が2曲連続。
前者は如何にもなラップチューンですが、後者はトラックが独特で他にはない雰囲気。
ただちょっと好みは分かれそうかも。


M-7「Free Ol' Dirty」、M-8「The Earthquake」はマイクリレーもの。
前者はとにかくそれぞれ好き勝手やっており、所々ではライブを録音したかのような個所もあります。ただその部分はちょっと悪乗りしすぎな気も。
後者はMC陣も頑張っているのですが、トラックがグイグイ強すぎてラップが余り頭に入ってきません。


M-9「Yeah Unh Hunh」はWu-tang関連でも年少メンバーのShyheim。
ボーカル使いのHookとラップの対比が楽しめます。
続くBambiによるM-10「Party Time」は個人的にアルバム中盤のハイライト。
トラックの上でのBambiのバンバンラップを乗せていく乗りこなしが聴きごたえ抜群で、本作でもかなり聴かせる曲。

1分半ほどのスキットを挟んでのM-12「Madd Long」は幻想的なトラックの上でのラップ合戦。
全員が生き生きしたマイクリレーを聴かせてくれます。特にDeadly Venomsの女性陣はインパクトが強し。

M-13「E.Y.E. Love NY」はMMOによる楽曲ですが、本作のMMOの楽曲では一番聴きごたえがあります。
ラテン風味のトラックの上でのラップ捌きが聴きごたえあります。

M-14「Explosion Don't Use Bomb Threat」はここでやっとDeadly Venomsの単独曲。
コラボ曲よりもこの単独曲の方が彼女たちのラップの魅力をしっかり味わえます。
全員1人1人しっかりと個性のあるラップを披露。この曲を聴いただけでもDeadly Venomsの他の音源をチェックしたくなること請け合い。
(同じく単独曲のM-17「Ready」も彼女たちに魅力が存分に発揮されています)


M-15「PYN Symphony」は計12人という大所帯のマイクリレー。
シリアスな雰囲気のトラックの上で芯のあるラップを全員が聴かせてくれます。
これだけの人数なのにも関わらず5分以内でしっかり決めてくれるのも流石の一言。

次に控えるM-16「The Evil That Men Do」はBambiですが、哀愁漂うトラックの上でのBambiのラップがこれまた聴かせてくれます。

最後を締めくくるM-18「Feds Are Watching Me」は3人でのラップ合戦ですが、緊迫した雰囲気でのマイクリレーが聴きごたえあり。


流石にマイクリレーに定評があるWu-Tangの周辺が集まっただけあってマイクリレーが中心。
次々とMCが変わっていく様は聴きごたえもありますし、キャラ立ちもしています。

ただ楽曲にはちょっと良し悪しがありますし、メンバーが多いこともあってか全体的にごちゃごちゃしているのも否めず、雑多な印象も受けます。
そのせいかアルバムとしては余りまとまりはありません。


しかしWu-Tang周辺の魅力を味わうという意味では十分な1枚であるのも事実。
そういう目的なら、ぜひともお勧めします。
ごちゃごちゃした雰囲気もお祭り的な雰囲気が好きな人なら楽しめるでしょう。
入門編としては最適な一枚です。


↓M-15「PYN Symphony」。
www.youtube.com

REALRHYME TRAX Phase2 / V.A.

Real Rhyme Trax(2)


曲目リスト


1. Shotcaller / DJ HASEBE feat. LUNCH Time Speax
2. Radio Radio / MIC BANDITZ
3. LIVE LIFE LIVE / GAGLE
4. 深海魚 / EELMAN
5. One Night Flower -Remix- / RYO the SKYWALKER
6. 喜びの唄 / TATE feat. MARKIE
7. GIVE ME YOUR LOVE-DJ WATARAI Deep forest mix- / Tyler
8. SEXY WORLD / F.O.H
9. 昨日のNo,明日のYes / GAKU-MC
10. マイペース / SOFFet
11. オレンジ / Mount Sugar
12. Devastated / SBK
13. RASHINBAN / GOICHI
14. KICK オフ(DJ TATSUTA remix) / KICK THE CAN CREW
15. By the Way-YSST remix- / RIP SLYME


評価: ★★★★★★★★☆☆


ワーナーミュージックからリリースされたコンピレーションアルバム。
2002年11月20日発売。


先日に紹介した2002年2月にリリースされた日本語ラップ系のコンピレーションの「Real Rhyme Trax」。
↓前作の記事
rikubo3270music.hateblo.jp


その第2弾が本作というわけです。


さて、内容に。


メンツを見た限りだと、前作よりはそこまでごちゃごちゃしていない印象を受けます。
前作ではミクスチャーバンドなどもいましたが、本作ではとりあえずラップ系のミュージシャンで固めていますね。


M-1Shotcaller」はシンプルなトラックながらも随所に入るスクラッチが聴いていて気持ちがいいです。
その上に乗るLUCHのラップも癖がなくサラッと聴き通せます。
続くMIC BANDITZのM-2「Radio Radio」も高速なラップと随所に挟まれる多彩な音が聴きごたえあり。
素直に聴き進めるのが楽しみになる流れです。


M-3「LIVE LIFE LIVE」は前作から続いてセレクトされたGAGLE
前作ではちょっと癖のある楽曲でしたが、この曲は純粋に聴いていて楽しいパーティーチューンです。
HUNGERのラップも確かなスキルを発揮しながらも癖がなく、誰でも楽しく聴けるラップを提供していますね。
その後に控えるEELMANのM-4「深海魚」は歌心があるラップが癖になりそうな楽曲で、ライミングも非常に上手いです。
リリックもかなり練られていて、本作の中でもかなり作りの上手さを感じますね。

M-5「One Night Flower -Remix-」は前作でも参加していたRYO the SKYWALKERの楽曲。
前作に引き続きなんでこのメンツの中に混ざっているんだ?って感じですが、曲自体はこれまたGOOD。
とあるコンピアルバムで原曲聴いたことあるんですけど、このRemixは正直原曲より好きかも。
ゆったりとしたトラックの上でのRYOの元気なガラガラ声が不思議な化学反応を起こしています。


M-6「喜びの唄」はTATEとMARKIEによる感謝をテーマにしたメッセージソング。
本作の中では一番わかりやすいメッセージが込められています。
どちらのラップもトラックの雰囲気に合っていますね。

続く2曲はどちらも歌もの。
前者はTylerの色っぽい歌声とクールなトラックが絶妙な相性で、後者はスリリングなトラックの上でのF.O.Hによるセクシャルな歌が聴きごたえあり。
ただ後者は子どものいる前で聴いたらちょっと気まずいかも。


前作から引き続いて参加のGAKU-MCのM-9「昨日のNo,明日のYes」は平和なトラックの上に乗るお気楽なリリックが印象的。
メッセージ性もあるんですけどお気楽な雰囲気のお陰でまったく押しつけがましく聴こえないのが凄みを感じますね。
SOFFetのM-10「マイペース」もまったりとした雰囲気と歌がしっかりハマっていて、聴いていると体を伸ばしたくなります。

M-11「オレンジ」はMount Sugarによる楽曲で、まったりながらも色々な展開を見せるトラックが面白いですね。
その上の綺麗な歌声も相性抜群。

まったり系の楽曲はそこで終わりで、あとはパーティーチューンがメインになっています。
前作でも参加していたSBKのM-12「Devastated」はスクラッチが随所に入っていてハードな印象ですが、MC陣が余り印象に残らず。

GOICHIによるM-13「RASHINBAN」は和風なトラックで、本作ではちょっと異色な雰囲気です。


最後の2曲はKICKとRIPという当時ハードコアなラップ愛好家や同業者から鬼の首を取ったように叩かれていたグループの楽曲のREMIX。
どちらのグループもラップスキルという面ではかなりの実力を持つグループなので聴きごたえでは流石。


前作の感想を書いたばかりということもありどうしても前作との比較傾向が強くなってしまいますがご了承を。

前作と比べるとごちゃごちゃはしていないですね。
ラップ系やR&Bのシンガー系のミュージシャンで固まっており、むしろ全体的に統一感が取れていて、曲順も無理がなく程よくまとまっています。
しかしながら曲のバラエティはしっかりあり、最初から最後まで楽しんで聴けます。

前作にあった短所は解消し、長所は維持する。
かなり理想的な2作目となったのではないかと。

前作は新しいミュージシャンを開拓してみたい!という人に向けた作品でしたが、本作はそのような人も対象に入れつつ純粋に色々なラップや歌を聴きたい!という人でも楽しめると思います。
見かけたら是非どうぞ。


↓M-10「マイペース」。
www.youtube.com

Play With Me / Lene

プレイ・ウィズ・ミー


曲目リスト


1. Virgin Superstar
2. Pretty Young Thing
3. It's Your Duty
4. Play With Me
5. Bad Coffee Day
6. Here We Go
7. Bite You
8. Up In Smoke
9. We Want To Party
10. Pant Sup
11. Surprise
12. Scream
13. Doin It To You
14. Paper Bag


評価: ★★★★★★★☆☆☆


ノルウェーのトンスベルグ出身のシンガー、Leneの1stアルバム。
2003年9月21日発売。


Leneはノルウェーのトンスベルグ出身のシンガーで、1994年にバンドのJoyspeed(後にAquaと改名)のリードシンガーとして起用されました。
1996年からシングルをリリースしていったAquaは世界では1500万枚以上、日本でも100万枚以上のセールスを記録する90年代後半を代表するバンドに。
2001年にAquaが解散したのち、Leneはソロ活動を開始。
2003年に1stアルバムである本作をリリース。デンマークノルウェーではなかなかのセールスを記録したようです。
この1stアルバムリリース後から数年後にAquaが活動を再開したのに加えて、女優業に力を入れるようになったせいか、Leneのアルバムは2020年現在本作のみとなっています。


さて、内容に。


Aquaの作品は聴いたことがないのでそれと比較しての感想はできませんが、純粋にLeneの歌声を聴いた印象としてはアイドルっぽい可愛い歌声です。
パーティーチューンが多めですが、そのトラックとLeneの相性は中々。


M-1Virgin Superstar」は最初は低めの声で歌い始めるものの、Hookで一気に勢いを発散させるという構成が面白いパーティーチューン。
M-2「Pretty Young Thing」はちょっと壮大な雰囲気を感じる恋愛ソングですが、Leneの雰囲気に合っているかと言われるとちょっと微妙。


M-3「It's Your Duty」は1stシングルで切られた曲で、またしてもパーティーチューンに戻ります。Hookではつい口ずさんでしまいそうな強烈でキャッチ―な雰囲気。
しかしながら対訳を見ると内容はかなりセクシャル。
こういうセクシャルな内容が洋楽では普通にヒット曲になるのですから面白いもの。
続くM-4「Play With Me」は表題曲ですが、こちらはそこまで露骨にいやらしい表現はないものの肉食系(既に死語?)な女性を演じています。
ギターの強烈なサウンドもそれを強調させていますね。


M-5「Bad Coffee Day」はROCK風味なバラードで、Leneが本作で最もやりたかったサウンドらしいです。
Leneもかなり気合を入れて歌唱しているのが伝わってきます。


M-6「Here We Go」は個人的に本作では1番Leneの歌が活きていると感じますね。
Hookでは非常にノリのいいサウンドを乗りこなし、バースでは落ち着きながら流暢に歌いこなす。
ハイブリッドなスタイルが聴きごたえ抜群です。

M-7「Bite You」は最初から最後まで低めの声で歌う本作でも異色な楽曲。
ちょっと癖がある内容なので好き嫌い分かれそうです。


M-8「Up In Smoke」は歯切れがいいトラックの上でちょっとラップっぽい歌唱を乗せています。
乗りこなしが難しそうなトラックですけど、Leneの乗りこなしは中々のもの。
次のM-9「We Want To Party」も勢いのあるトラックですが、こちらは純粋な歌を乗せています。
Hookが非常にキャッチ―で耳に残ります。


M-10「Pant Sup」はノリのいいトラックながらもちょっと落ち着いた雰囲気。
最も和訳を見るとこれまたぐいぐい来てますが・・。


M-11「Surprise」ではLeneの本格的なラップが聴けます。
Leneの可愛い歌声を求める人には受けはどうなんだろうとは思いますが、良いアクセントになっていると感じますね。

M-12「Scream」は本作の中では一番正統派よりなバラード。
Leneの歌声をしっかりと聴けますが、良くも悪くも無難なところで落ち着いた感じです。


後の2曲は国内版限定のボーナストラック。
どちらも可愛い雰囲気の楽曲ですが、前者は最初から最後まで淡々と歌う様が今までにない感じで、後者は良くも悪くも本作でのパーティーチューンの延長線上。
ノリのいいパーティーチューンです。


とりあえず色々なことに挑戦しているなという印象です。
ラップに挑戦したり、バラードに挑戦したり、可愛い声を生かしたパーティーチューンをやったりと。
そのおかげで楽曲面では良し悪しがあるものの、最後まで飽きずに聴けます。
Leneの歌声は可愛いので好みは分かれそうですけど。


1度試聴してからの購入をおススメします。


M-1Virgin SuperStar」のPV。
www.youtube.com

REALRHYME TRAX / V.A.

REAL RHYME TRAX


曲目リスト


1. STEPPER'S DELIGHT / RIP SLYME
2. TOKIO LV / SBK
3. CLUBへ ~熱帯夜mix~ / ケツメイシ
4. 謎?謎 / GAGLE
5. スーパーオリジナル / KICK THE CAN CREW
6. NO QUESTION / MELLOW YELLOW
7. Blue Star / RYO the SKYWALKER
8. クロール / GAKU-MC
9. テキトーな奴ら~Why can't we be friends? / DELiGHTED MINT
10. ROCK SHOCK(Time To Riot Mix) / 宇頭
11. ソード オブ ライチェスネス / smorgas
12. 歩 / Scratch 4 Jagger
13. HOT SHOT / トリカブト
14. Mirrorball Satellite 2012 / m-flo
15. UP and Down / Steady & Co.


評価: ★★★★★★☆☆☆☆


ワーナーミュージックからリリースされたコンピレーションアルバム。
2002年2月27日発売。


2000年代に入って日本でも音楽の1ジャンルとして定着したHIP HOP。
本作はそんなHIP HOPが定着しつつある時期にリリースされたコンピレーションの1枚になります。


さて、内容に。


「Realな曲を入れたコンピレーション」という意味でこんなタイトルにしたんだと思いますが・・正直よくわからないラインナップですね。
GAKU-MCMELLOW YELLOW、KICK辺りはまだわかるんですけど、何組かはミクスチャーバンドなども混ざっていますし、RYO the SKYWALKERに至ってはREGGAEなんですよね。

とりあえずラップが入っている曲でカッコいい曲を!という基準で選曲したのでしょうか。
RealRhymeと銘打つならキングギドラRHYMESTEREAST ENDとか入れた方がもうちょっと説得力はあったと思うんですけどね。

ちょっと片手落ち感が否めないセレクトです。


とりあえずM-1STEPPER'S DELIGHT」からM-3「CLUBへ ~熱帯夜mix~」までの流れは聴きやすくて楽し気なパーティーチューンが揃っています。
コアなHIP HOPファンからすると不快に感じる流れかもしれませんが、これからラップを聴こうというリスナーに向けたものであるならこの流れは良い感じの流れと言えます。
M-3「CLUBへ ~熱帯夜mix~」は個人的にケツメイシの1stアルバムでは1番好きな曲なのでこの曲にスポットがあてられたのは素直にうれしいです。
ただケツメイシの1stアルバムのボーナストラックとして聴くとすごく良く聴こえるんですが、この流れで聴くとそれより若干良さが下がってる気がします。
曲自体は名曲なんですけど、やはり流れって大事ですね・・。


M-4「謎?謎」はGAGLE
このメンツの中でGAGLEがしれっと入っているのも中々すごい気が。
陽気なトラックの上でHUNGERがあいかわらずの独特なラップの乗せ方を見せる楽曲。
癖があるので嫌いな人は嫌いかもしれませんが、唯一無二であることは間違いありません。

そしてM-5「スーパーオリジナル」、M-6「NO QUESTION」はKICK、MELLOW YELLOWとFG勢2連発。
どちらもFGらしい聴きやすいチューンとなっています。
特にM-5「スーパーオリジナル」は3人の確かなスキルとトラックセンスの良さを体感できる楽曲ですね。
デビュー曲なだけありますね。


M-7「Blue Star」は上でも書いたようにREGGAE勢であるRYO the SKYWALKERの楽曲。
なんでこのメンツの中に混ざっているんだ?って感じですけど、曲自体はいいです。
RYOの貫禄のある声と力強いリリック捌き、陽気なトラックが上手くハマっています。

続くGAKU-MCのM-8「クロール」も似たような前向きチューン、DELiGHTED MINTによるM-9「テキトーな奴ら~Why can't we be friends?」は仲間に向けたメッセージソングで、この辺りはリリックの内容も重視した選曲の模様。


M-10「ROCK SHOCK(Time To Riot Mix)」からM-11「」まではバンド系の楽曲が並び、HIP HOPというよりはMETAL、ROCKという感じが強いですね。
どのグループも骨太なサウンドではありますが、良くあるラップ系ROCKとの違いが分からなくてイマイチ印象には残らず。


トリカブトによるM-13「HOT SHOT」が後半では個人的に飛びぬけて気に入った曲ですね。
勢いのあるトラックの上での聴きごたえのあるマイクリレーがインパクト抜群で、聴いていて首を振りたくなること間違いなし。

m-floのM-14「Mirrorball Satellite 2012」はm-floらしいLISAとVERBALが嫌味なく絡むパーティーチューンですが、男臭いマイクリレーのM-13「HOT SHOT」の直後というこの流れで聴くとイマイチあっさりしすぎな印象。
曲自体はいいんですけど、やはり流れが・・。

Steady&CoのM-15「UP and Down」も同じく嫌味のない雰囲気のパーティーチューン。
これまた曲自体は良いんですけど、最後の〆曲としてはちょっと弱め。


全体的に見ると良くも悪くも・・という感じですね。
利点としては15曲全員が違うミュージシャンで被りは一切ないので、知らないミュージシャンを開拓するという意味では役割を果たすこと。
またメンツを様々なジャンルから呼んでいるため、誰でも数曲は好きな曲ができるであろうこと。
(僕自身はトリカブトは本作で初めて知ったのですが、彼らの他の音源もチェックしてみたいと思いました)

欠点としてはやはりメンツが系統的にごちゃごちゃしているため、アルバムとしてのまとまりがイマイチ。
そして曲順で損している曲が多いと感じました。
こういう既発曲を集めたコンピレーションアルバムって曲順の良し悪しが露骨に出るんですけど、本作はちょっとそれがマイナスに働いていた曲が多かったかも・・。(特に最後の2曲なんてもうちょっと何とかなったのでは?)
素材は悪くないだけに勿体ないです。


あくまで既発曲の寄せ集めでこのコンピならではの曲というのはないので、「ラップ系の音楽に興味があって、新しいミュージシャンを開拓したい!」という人向け。
そういう意味でならチェックして損はないかと。


↓M-3「CLUBへ ~熱帯夜mix~」。
www.youtube.com

Turbo 919 / Sean Garrett

ターボ919(初回生産限定特別価格)


曲目リスト


1. Deep Sleep Intro
2. What You Doin' With That
3. Come On In feat. AKON
4. Girlfriend Ringtone feat. LIL WAYNE
5. Turbo 919
6. I Still Believe Interlude
7. Lay Up Under Me
8. On The Hood
9. She Likes Me Interlude
10. 6 In The Morning
11. Grippin' feat. LUDACRIS
12. Patron feat. PHARRELL
13. Pretty Girl
14. Why
15. One Day


評価: ★★★★★★★★☆☆


アメリカのジョージア州アトランタ出身のR&Bシンガー、Sean Garettの1stアルバム。
2007年8月28日発売。


Sean Garettは父親が米兵であったことからグローバルな転勤族の一家で育ち、4歳の時に家族とヨーロッパに引っ越ししてからはドイツとイギリスを転々とする日々でした。
17歳の時にタレントショーで演奏したのを皮切りに、音楽の世界に足を踏み入れていくことになります。
主に名前が広がりを見せたのは2004年からで、USHERの「Yeah!!」やTeairraMariの「Make Her Feel Good」、Nicki Minajの「Massive Attack」などといった自身が制作に携わった曲で多数のヒットが生まれたのです。
そのため最もヒット曲の多いプロデューサーのビルボードで5位を記録し、敏腕プロデューサーとして全世界に名前を広げることに。
そんなプロデューサーとして定着していた彼が、そのプロデューサーに含めてR&Bシンガーとしてデビューを飾ったのが1stアルバムである本作。


では、内容に。


Seanはとにかく器用なシンガーという印象を受けました。
綺麗に歌う部分ではしっかりと綺麗に歌い上げ、パーティーチューンでは身軽に歌い上げる。
ギアの切り替えがうまいと感じます。


神聖な雰囲気のイントロを経てのM-2「What You Doin' With That」はお洒落な雰囲気のダンスチューン。
対訳を見ると中々セクシャルで最初の曲としてはちょっと刺激が強め。
随所に入る色っぽい口説きがそのセクシャルさを倍増させています。
AKONが参加した次のM-3「Come On In feat. AKON」も似たような感じですが、こちらはトラックが甘い雰囲気。
AKONのラップと歌もいいアクセントになっており、序盤ではハイライトと言える楽曲ですね。

M-4「Girlfriend Ringtone feat. LIL WAYNE」はトラックは甘い雰囲気ながらも癖になるリズムが特徴的で、純粋に聴いていて楽しくなるトラックです。
Seanの歌声も程よく絡んでいます。
しかしLIL WAYNEのラップがトラックの雰囲気に合っておらず、人選ミスな感が否めません。


M-5「Turbo 919」は表題曲でSeanの1人舞台。
甘い雰囲気で歌い上げるのかと思ったらHookではふざけたような歌唱を見せるという仕様で(トラックもそこはダンス調のトラックに変化)、Seanの歌の様々な乗りこなしを堪能できます。
Sean単独の曲では一際面白い曲です。表題曲になっただけはありますね。


インストを挟んでアルバムは中盤へ。
M-7「Lay Up Under Me」、M-8「On The Hood」はおなじみのセクシャルな恋愛ソングで、今度は最初から最後まで甘く歌いあげています。
ドライブのBGMには持って来いですね。
このあたりはしっとりと聴かせる方向にシフトした模様。


インストを挟んだM-10「6 In The Morning」は雰囲気が変わってノリのいいダンスチューンで、随所に入る声がLil Jonを彷彿とさせます。
堂々としたSeanの歌も聴きごたえがあり、トラックと併せて首を振りたくなります。


ここからは後半。
LUDACRISを迎えたM-11「Grippin' feat. LUDACRIS」も落ち着いた雰囲気のトラックではありますが、SeanもLUDACRISと共にラップを披露しているのもあってちょっとクラブ向けな印象も受けます。

M-12「Patron feat. PHARRELL」は落ち着いた雰囲気のトラックでは同じですが、SeanもPHARRELLもしっかりとした歌を披露。
1日の終わりを思わせるようなサウンドです。


M-13「Pretty Girl」は可愛いと思って声をかけた女性がベッドに入ったら性獣に豹変する様を描いたストーリーテーリング。
続くM-14「Why」は対訳も英詩も記載されていません。
どちらも歌いこなしが難しそうなトラックなのですが、難なく歌いこなすSeanの力量を堪能できます。


最後を締めくくるM-15「One Day」はピアノの上でSeanが歌を披露する正統派なバラード。
他の曲ではセクシャルな内容が大半を占めているSeanのリリックですが、この曲ではセクシャルな表現を一切使わずに真剣に彼女に対する愛を歌っています。
最後は綺麗に締めくくりました・・・・かね。


Seanの綺麗な歌声は結構幅広い層に受け入れられそうですし、歌唱力も確かな物。
最もダンスチューンでの歌声はちょっと好みが分かれるかもしれません。
しかしさすがはヒット曲を数々生み出したプロデューサーというだけあって聴きやすさはとてもあります。
どんなジャンルが好きな人でも何曲かは好きな曲ができるのでは。


見かけたら是非どうぞ。


↓M-11「Grippin' feat. LUDACRIS」のPV。
www.youtube.com

GROOVE ~Crusing~ / V.A.

GROOVE~cruising~


曲目リスト


1. Badboy Please / N.C.B.B(North Coast Bad Boyz)
2. Feeling... / AILI
3. Head Up High / BIG RON, RICHEE, One-2
4. Back Wild / BUZZ
5. Hood Night / DAZZLE 4 LIFE
6. 2 Of Us / 詩音 feat. RICHEE
7. Until May 23.2006 / HYENA, DESTINO, Ark
8. S. / ERIKA feat. LGY
9. Island / KATAGI
10. The Boogie That Be / NORA
11. Want You To Know / 一丁目団 feat. BIG RON
12. Groovin' Everyday / TWO-J feat. GROOVE BROTHERS
13. Hi-Car / BLACK BELT
14. 生きた心地 / RODEO MASTER feat. SAY
15. I’m Back / GDX


評価: ★★★★★★★☆☆☆


日本の西海岸系のラップ曲を集めたコンピレーションアルバム。
2006年8月23日発売。


2000年代に入ってから日本のHIP HOP業界で一つのムーブメントとなった西海岸サウンド
そのブームの真っ盛りに出たコンピアルバムですね。


では、内容に。


参加アーティストを見ると前半はN.C.B.BやBIG RONなど単独で音源を出していたりして名前が全国区に広がっていたメンツが多く、後半はBLACK BELTやRODEO MASTERなどほとんど見かけない名前が目立ちますね。
最も一番のベテランと言えるのは最後に控えるGDXですが。


幕を開けるのは北海道から札幌のラップクルーN.C.B.BのM-1Badboy Please」。
爽やかながらも攻撃的なトラックの上でのマイクリレーが聴きごたえ抜群。この曲を1曲目に持ってきたのは正解です。
それぞれのラップスキルがそれほどあるわけではないですけど、マイクリレーという形だとカッコよさが出るグループですよね。

続くAILIによるM-2「Feeling...」はそんな攻撃的な楽曲から一転で心地よいトラックの上でのメロウチューン。
AILIの癖のない歌声がトラックに程よく絡む様が聴いていて気持ちいいです。
ここまでの流れで結構聴き続けるのが楽しみになること請け合いです。


M-3「Head Up High」はマイクはBIG RONにRICHEEにOne-2、トラックはDJ MARIOという後のGHETTO INCのメンバーとなる人物が勢ぞろい。
このコンピの翌年にリリースされたGHETTO INCの1stアルバムではDJ MARIOのトラックにラップが乗る曲はなかったので、今のところDJ MARIOの唯一のGHETTO INCメンバーのラップが乗ったトラックになります。
自分たちのヒストリーを基にした応援歌で、哀愁漂うトラックの上でのBIG RONの歌声がしっかりとハマっています。RICHEEとOne-2のラップも悪くはないですけどBIG RONが一番ハマっていますね。

M-4「Back Wild」を務めるのは宮城県から仙台のラップクルーのEIGHT TRACKからBUZZの1人舞台。
トラックは後にLGYankeesのメンバーとなる同じく仙台のDJ No.2。
この曲はとにかくDJ No.2のトラックがカッコいいです。神聖な雰囲気のイントロ、随所で入るスクラッチと最初から最後まで聴き逃せないですね。BUZZのラップは悪くないですけどまあまあ。

M-5「Hood Night」はD4L。確か本人たちのアルバムにも収録されていた気がします。
CMDのラップとT-Trippenのトークボックスが相変わらずのハマり具合。聴いていて首を振りたくなること間違いなし。


M-6「2 Of Us」は当時ではシーンでも期待の歌姫とされていた詩音の楽曲にRICHEEが参加。
よくある感じのパーティーチューンですけど、詩音の歌声とRICHEEのちょい高めのラップとの相性は中々。


M-7「Until May 23.2006」は、神奈川のh.g.pからHYENAにDESTINO、Ark。
勢いのあるトラックの上で3人の絆をマイクリレーで熱くラップする内容で、個人的には本作中盤のハイライト。
元々熱い内容のリリックを書かせると上手い3人。そのテーマでこの3人のマイクパスとなれば悪いはずがありません。
カッコよさの面でもリリックの面でも本作ではかなり聴かせる楽曲です。


M-8「S.」はBUZZと同様宮城県仙台市から歌姫のERIKAと当時アルバムを出したばかりだったLGY。
ERIKAの力強い歌声とLGYのがっつくようなラップが聴きごたえあり。
今はERIKAはTERRYとよくやるようになりましたけど、LGYのことはどう思ってるんでしょうか。


M-9「IsLand」はKATAGIというラッパーで、本作で初めて名前を知りました。
カナダ出身の日系ラッパーで、2000年代前半からコンピ等に参加していたようですね。
切なげのトラックの上での寂しげなラップが独特な雰囲気を醸し出しています。
BIG RONと詩音がコーラスで参加していますよ。


M-10「The Boogie That Be」は神奈川からのラップクルーのNORA。
NORA名義ですがリーダーのTicky "D" Tacは不参加で、Tacを除いた4人でのマイクリレーです。
この曲では1番GIPPERが冴えてますかね。
シンプルなトラックの上での舐めまわすようなフロウがインパクトがあります。

M-11「Want You To Know」は沖縄から一丁目団の楽曲で、BIG RONが客演として参加。
ミュージシャンとして生きていく中でいろいろと迷惑をかけてしまった恋人に対するメッセージソング。
リリックの内容に好感を持てるかで評価が変わると思います。


M-12「Groovin' Everyday」はアメリカと日本を行き来するラッパーのTWO-Jで、GROOVE BROTHERSが客演としてクレジットされていますが実質TWO-Jのソロ曲です。
随所に入るスクラッチがカッコいいものの、曲としてはちょっとパンチが弱め。

M-13「Hi-Car」はBLACK BELTというグループで、本作で初めて知ったグループです。
どうやら他に音源は出していないようですね。
疾走感のあるトラックは面白いもののちょっとラップが弱いです。


M-14「生きた心地」はRODEO MASTERというラッパーで、2006年に1枚アナログをリリースしたようですね。
綺麗なトラックの上で彼女とのひと時をラップする内容。
HookではSAYが色気のある歌で華を添えます。
RODEO MASTERのラップは余り特徴はないですけど、そのおかげでSAYの歌声の邪魔になっていないのが利点。


最後を締めくくるのは日本語ラップがまだ形になっていなかった頃から活動を続けていたベテランのGDXによるM-15「I'm Back」。
客演にはクレジットされていないですけど、バックボーカルでZeebraとBIG RONが参加しています。
西海岸風なトラックの上でGDXらしいギャングスタラップを披露。


西海岸風サウンドという縛りはあるものの、色々なタイプの曲が入っていて最後まで聴ける内容になっています。
最も曲としては良し悪しがあり、特に後半の方はちょっと失速気味な印象を受けますね。
もう少し実力派なラッパーを向けてもよかった気がします。

しかし全国的に名前が広がっているメンバーでも本作でしか聴けない音源も収録されているので、それ目当てだけでも手に入れる価値はあると思います。


↓M-2「Feeling...」。
www.youtube.com