りくぼーの音楽感想倉庫

音楽CDの感想を綴っていきます

LIFE / ET-KING

LIFE (通常盤)


曲目リスト


1. ど真ん中
2. こっちこい
3. wonder for life
4. なんかいいね
5. 新恋愛 (played by OSAKA ROOTS)
6. 春の雨 (interlude)
7. メッセージ


評価: ★★★★★★★★★★


大阪のラップグループ、ET-KINGの7thアルバム。

2018年4月25日発売。


1999年に結成された後に地道に活動を続け、2007年に「愛しい人へ」、「ギフト」などのヒット曲を生産。2014年の全国ツアー後に活動休止したET-KING。


2015年に再び活動を再開したのですが、正直彼らの活動ははたからみるとどうも順調とはいえないものでした。

2014年の活動休止中に中心メンバーであったTENNが35歳の若さで逝去。

その後に6thアルバム「ideologie」をリリースして7人から6人となり再出発。


2017年に入ってこの7thアルバムの制作に入ったわけですが・・・その制作途中に今度はリーダーであるいときんがステージ4の肺腺ガンを発症したことが判明したのです。
いときんは表立った活動を休止し、この7thアルバムのレコーディングも体調が良いときにスタジオを訪れレコーディングをする、という状態になりました。
公の場では姿を見せなくなったため、ファンの中では心配もずっとあったでしょうね。


ところが・・!2017年12月のET-KINGのライブでは、まさかのいときんがステージに復帰するというイベントが起こったのです。
いつもの法被姿でステージ上に表れ、力強い歌声と闘病中に鍛え上げた身体を披露しました。
MCではあのTVでも流された伝説の言葉も披露。

そして・・その1ヶ月後の2018年1月、いときんが38歳の若さで逝去。
結果的に12月のライブはいときんの最後のステージとなり、このアルバムもいときんが全曲参加した最後のアルバムとなりました。


前置きだけで終わりそうなので、内容に。


今回のアルバムはその名の通り「LIFE」をコンセプトとしたアルバムで、「愛しい人へ」、「ギフト」などのET-KINGのヒット曲を手掛けてきたプロデューサー、NAOKI-Tのフルプロデュースとなっております。

NAOKI-Tが手掛けたET-KINGの楽曲は良曲が多いので期待していましたが…。


その期待を遥かに上回る作品でした。

前作「ideologie」をまだ入手していないため(絶対入手しますよ!)、活動休止後のET-KINGの作品を聴くのはこの作品が初めてでしたが、まさかここまでいい作品を作るグループになっていたとは。(失礼な表現かな)


ET-KINGの特長は分かりやすいリリックと、親しみやすいトラック。
本作でもそれは変わらず、様々なジャンルが好きな方に抵抗なく受け入れられるであろうトラックの上で、シンプルな分かりやすいリリックを乗せています。


「LIFE」がタイトルだけに、熱いメッセージソングが多数収録されていますが、よくあるような綺麗事を並べただけのようなリリックはありません。
彼らが本心から書いていることが明らかに分かる内容と歌い方で、説得力があります。
どの曲も「普段日常で感じたこと」をベースに構築されているからですかね。


M-1ど真ん中」、M-2「こっちこい」、M-3「wonder life」は明るくて陽気なトラックの上でET-KINGが前向きな言葉を並べる、間違いなく元気が出るであろう流れでアルバムのスタートとしてバッチリです。
曲自体もどれも名曲と言っていい仕上がり。
ET-KINGの魅力が詰まっています。


発売前にYouTubeでPVが先行公開されたM-4「なんかいいね」も、YouTubeで1曲だけ聴くのとは違って流れにぴったりハマっており、ますます魅力が上がっていますよ。
M-5「新恋愛」のリミックスもはっきり言って原曲より好きかも。
何よりもいときんのパートの変化がいいです。
どんな風に変わっているかは聴いてからのお楽しみです。


それから最後に控えるM-7「メッセージ」。
これはもうグッと来る詞のオンパレードで、ただただ聴いてほしい一曲です。
この曲が最後にあるからこそ、アルバムを聴き終わった後になんともいえない気持ち良さが残りますね。

そして・・この作品にはある曲でちょっとしたサプライズが用意されています。
今までET-KINGを聴いていた人には懐かしさと嬉しさを、初めてET-KINGを聴いた人にはもっとET-KINGを知るきっかけを届けるサプライズです。
果たしてどの曲なのか・・それは聴いてみて確認してください。


最初は「えー?7曲で2500円?」という気持ちはちょっとありましたが、聴いてみたら…間違いなくその値段の価値はある!と心から思えた作品です。
むしろ7曲30分という長すぎでもなく短すぎでもないちょうどいい長さで素晴らしい時間を提供してくれます。


いときんが亡くなったから評価が高いんじゃないか」という目で見られるかもしれませんが、そんなことがなくても、間違いなく音楽的にも、メッセージ的にも素晴らしい一枚。

この作品を最後にいときんのあの力強い声が聴けなくなってしまったのは本当に残念ですが、これだけの作品を出した以上、まだまだ彼らには期待ができそうです。


ET-KINGが好きな人ならもっと彼らを好きになりますし、ET-KINGを初めて聴く人なら彼らの良さがすごく分かる。
ET-KINGが嫌いな人なら確実に彼らを見直す。
そう言い切ってもいい作品だと思います。


今ならまだ新品でCDショップに売っているので、CDショップに行く機会があったら是非手にとってみてください。


↓M-4「なんかいいね」のPV。
youtu.be


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