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音楽CDの感想を綴っていきます

THE DUTCHESS / FERGIE

The Dutchess


曲目リスト


1. Fergalicious feat. Will i am
2. Clumsy
3. All That I Got (The Make Up Song) feat. Will i am
4. London Bridge
5. Pedestal
6. Voodoo Doll
7. Glamorous feat. LUDACRIS
8. Here I Come feat. Will i am
9. Velvet
10. Big Girls Don't Cry
11. Mary Jane Shoes
12. Losing My Ground
13. Finally
14. Get Your Hands Up feat. The Black Eyed Peas


評価: ★★★★★★☆☆☆☆


アメリカのカルフォルニア州出身のシンガー、FERGIEの1stアルバム。
2006年9月13日発売。


FERGIEは子どもの頃からダンスの勉強をして、アメリカの子ども番組に9歳から14歳まで出演していました。
両親からの援助を得るために高校では常にオールAの成績を取ったり、チアリーダーの経験もあったりと芸能界以外でも多忙な日々を過ごしていたようです。
1995年に友人たちとガールグループのWild Orchidを結成し、音源のリリースをしていきます。


しかし、それまでの多忙な日々がたたり、FERGIEはストレス解消のために覚醒剤に手を出してしまい、中毒患者になってしまいます。
その後は治療によって克服するものの、Wild Orchidからは正式に脱退。
覚醒剤に子役時代に稼いだお金を使い果たして無一文になってしまったFERGIEは、ダンサーやバックシンガーのバイトを繰り返すうちに、自身が大ファンであったBlack Eyed Peasと仕事が重なります。
そこから彼女は彼らの友人となり、2003年に紅一点としてThe Black Eyed Peasに加入。(この頃からTheがついた)

その後のThe Black Eyed Peasが快調にヒットを出したこともあり、 FERGIEの名前も世界的に知れわたることに。
2006年、とうとう本作で念願のソロデビューを果たしました。
全米で390万枚のセールスを記録し、2006年を代表するシンガーの1人になりましたね。


では、内容に。


2006年当時にはHIP HOPで中心的なサウンドとなっていた、POPにかなり近いクラブサウンドがメインとなっています。
良くも悪くもラジオ向けの楽曲が多いですね。
とっつきやすいFERGIEの歌声との相性も悪くないですが、80年代や90年代の硬派なHIP HOPサウンドを好む方はちょっと不快に思うリスナーもいそうです。
好みがかなり分かれるWill i amのプロデュースですし。


M-1Fergalicious feat. Will i am」、M-2「Clumsy」と最初からヒットシングルが2曲続く展開。
2ndシングルとして切られた前者はシングルとして聴く分には悪くないかもしれませんが、アルバムの最初を飾るにしてはちょっと弱いですかね。
せっかく疾走感があるトラックなのですから、FERGIEにも早口ラップをやらせればネクストレベルに行けた気も。
5thシングルとして切られた後者はHookの軽快さと歯切れの良いFERGIEの歌唱がナイスで、こちらの方が個人的にはお気に入り。


そこからバラードを挟んだ後に1stシングルのM-4「London Bridge」に行きます。
序盤ではやはりこの曲が個人的ベスト。
ラップでも歌の面でも見事な両立っぷりですし、単純に聴いていて首を縦に振りたくなってしまいます。
続くM-5「Pedestal」はハンドクラップ系のトラックで、FERGIEとの相性は微妙ですが、bridgeでの煽るような歌唱は聴いていて気持ちいいですね。


さて、中盤へ。
80、90年代に近いトラックが耳を惹くM-6「Voodoo Doll」を経て、3rdシングル曲のM-7「Glamorous feat. LUDACRIS」。FERGIEはアルバム屈指のいい仕事ぶりですが、LUDACRISはちょっと印象が薄め。この曲を聴き終わった後にLUDACRISがいたことを覚えているリスナーは果たしてどれくらいいるのでしょう。

個人的に「おっ」と感じるのはM-9「Velvet」からM-11「Mary Jane Shoes」までの流れ。3曲ともFERGIEの歌声が生かされている上に、非常に聴きやすい楽曲に仕上がっています。
M-11「Mary Jane Shoes」の一気に雰囲気が変わる展開はちょっとびっくりしてしまいますね。
シリアスな雰囲気のM-12「Losing My Ground」はHookがちょっとしつこい印象で余り好きになれませんが、M-13「Finally」はシンプルなトラックでFERGIEが歌い上げる、FERGIEの歌声が好きな方ならとても楽しみにしていい楽曲だと思います。
FERGIEの歌声を純粋に楽しめますよ。

最後を締める、The Black Eyed PeasのボッセカットのM-14「Get Your Hands Up」はかなりPOP寄りなクラブチューン。
ちなみにこの曲の後にボートラがあり、クールなトラックのお洒落な雰囲気が耳を惹きます。


全体を通して見ると、良曲もちょこちょこあり、FERGIEの魅力も味わえる作品ではありますが、通してアルバムとして纏まりがイマイチだったり、客演が余りいい働きをしていないなど、粗も目立ちます。
一昨年に11年ぶりにアルバムをリリースしたようなので、そちらではもうちょっと整理されていることを期待したいですね。


そんなに強くお勧めはしませんが、2006年くらいの流行りのサウンドが好きな方は一聴の価値ありですよ。


↓M-10「Big Girls Don't Cry」のPV。
www.youtube.com