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音楽CDの感想を綴っていきます

BAYSIDE RIDAZ / DS455

BAYSIDE RIDAZ


曲目リスト


1. THA GATE OF LOCOHAMA ~INTRO~
2. D.P.G. RECORDS feat. Daz Dillinger For THA DOGG POUND
3. BAYSIDE RIDAZ feat. MACCHO
4. 僕の中の少年 ~遠い記憶IV~
5. Tha Message from WCC & G PRIDE
6. えぐる挽歌 feat. GANXSTA DX
7. D`s Nutz FM
8. ~INTERLUDE~ 夕(ゆう) Part 1.
9. SMOKE IN THA MARMALADE feat. CORN HEAD
10. Smoked Conversation ~OUTRO~


評価: ★★★★★★★★☆☆


神奈川県横浜のラップグループ、DS455の1stアルバム。
2000年7月27日発売。


DS455は1989年にMCのKayzabroとSHALLAで結成されたラップグループ。
元々はKayzabroが地元の友人たちと組んだグループが原型とのこと。
その後にMACCHO、DJ PMXが加入し、有名になってからのDSに近くなっていきます。
(MACCHOはすぐ脱退してしまいましたが)


しかしながら、しばらくの間はそれぞれのメンバーが裏方仕事に徹しており、グループとしての音楽活動はほとんどなく、みんなで集まってHIP HOP話に華を咲かせたり、お酒をのみながらラップをしたり、サークルに近かったようです。

最初こそ、そこら辺にいるラッパーの集団とそんな違いはなかったDSですが、N.W.Aを筆頭とする西海岸HIP HOPが日本にも入ってきてから少しずつ他のラッパー集団とは違う道を進んでいきます。
1992年にDr. Dreの1stアルバムがリリースされ、その魅力にどっぷりとハマってしまったメンバー達は、西海岸サウンド日本語ラップを!という試みを開始。

しかし、残念ながら当時のリスナーの心をつかんだのは専ら東海岸サウンド
レコーディングをすることすら難しい状況で、長らく活動の場に恵まれませんでした。
表舞台には出てこないものの、アメリカのラッパーやレーベルと交流を持つなど、細々と、しかしながら着実に名前を広げていきます。


そして結成から苦節11年、とうとう1stアルバムである本作をリリース。
彼らの11年間の成果がここにあります。


では、内容に。


DS455の特徴はこれでもかというくらいの、「アメリカの西海岸HIP HOP」の再現。
DJ PMXのトラックは、まさしくアメリカの西海岸HIP HOPのそれであり、独特な爽やかさと聴きやすさを持っているため、アメリカのHIP HOPを聴かない方でも抵抗なく入り込めるのでは。


M-1THA GATE OF LOCOHAMA ~INTRO~」は不穏な雰囲気のイントロ、M-2「D.P.G. RECORDS feat. Daz Dillinger For THA DOGG POUND」はアメリカからDaz Dillinger(!)のコールのスキット。
スキットやインストが2曲続くと、くどくなったりしがちですが、これが割りとすんなりと耳に入ってくる構成。
そしてその後のM-3「BAYSIDE RIDAZ feat. MACCHO」がやっとのラップ入りの楽曲になります。
2曲連続で焦らした後に控える楽曲だけあって、すごくかっこいいです。
DSのオリジナルメンバーが勢揃いしたマイクリレーで、SHALLA、Kayzabro、MACCHOの3人ともキレキレのラップ合戦を見せてくれます。


そしてそんな熱いマイクリレーの後にM-4「僕の中の少年 ~遠い記憶IV~」へ続きます。
攻撃的なM-3「BAYSIDE RIDAZ feat. MACCHO」とは裏腹に、情緒漂うトラックの上でSHALLAとKayzabroの両者が素敵なリリックを乗せる、言葉の面でも音楽の面でも極上な一曲。
序盤の二曲でこれだけの二面性を出してくるのはすごいですね。


仲間たちからのコールのスキットを挟み、M-6「えぐる挽歌 feat. GANXSTA DX」。
これは思い切りなギャングスタチューンで、個人的にはこの曲がアルバムベスト。
爽やかながらも危機感のあるトラックの上で危険なラップを乗せる3人が熱すぎます。
特にGANXSTA DXのアメリカのギャングスタラッパーのリリックをそのまま輸入したかのような、ギャングギャングな言葉さばきは聴いているだけで臨場感があります。


後半に入ると、MAYによるスキットのM-8「~INTERLUDE~ 夕(ゆう) Part 1.」。
このスキットが何気に好きな一曲です。
PMXのトラックとMAYの歌声が見事にマッチしていて、スキットにしてはもったいないくらいの良曲になっています。
(前後の2曲は、悪くはないですがちょっとKayzabroが目立っていないように感じます。SHALLAとCORN HEADが目立ってますね。)


そしてそして、クレジットこそされていないものの、M-10のアウトロの後にはボーナストラックとして「BAYSIDE RIDAZ」のRemixが収録されています。
原曲の爽やかな雰囲気とは違って、かなり攻撃的な雰囲気のトラックになっています。Hookも別物。
原曲に全く負けていないRemixで、聴きごたえは十分すぎるくらいあります。
最後にいいのぶちこんでくれたなあ!と思える流れです。


全体を通して本当にサラッと聴ける爽やかさと、聴きごたえを見事に両立した快作アルバムになっています。

結成から11年経ってやっと出された1枚だけに、納得のいく内容ですね!


そしてこのアルバムリリースを機に、日本語ラップシーンに新しい風が吹き込んでいく・・・胸が熱くなる展開を作った1枚でもあります。
アメリカの猿真似?そんなことは聴いてから判断をお願いしますよ。

興味のある方はご一聴を!


↓M-3「BAYSIDE RIDAZ feat. MACCHO」。
www.youtube.com