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The Best Of DS455 / DS455

The Best Of DS455(初回盤)


曲目リスト


Disc 1

1. SUMMER PARADISE ~Risin' To Tha Sun~ feat.青山テルマ
2. 僕の中の少年+~遠い記憶IV~ -New Recording Version-
3. NIGHT CRUISE~星降る夜に~ -New Recording Version-
4. Ride In Peace feat. II-J,Iz
5. LOWRIDE 4 LIFE -New Recording Version-
6. Very Special Weekend
7. Ride Wit tha D.S.C.~Just Like Me~ -New Recording Version-
8. Summer Sweetz~CIGAR & LIQUOR~
9. Still Belong In Tha Street (Ah Yeeah)
10. Throw Ya Handz Up
11. To Myself
12. Night 4 Playaz feat. MAY -New Recording Version-
13. MY SWEET HONEY feat. Kalassy Nikoff
14. White Nite
15. L.I.F.E. ~Livin' In tha Far Eastside~


Disc 2

1. Very Special Weekend -REMIX-
2. L.I.F.E. ~Livin' In tha Far Eastside~ -REMIX-
3. Still Belong In Tha Street feat. BIG RON -Smooth Radio Mix-
4. LOWRIDE 4 LIFE (REMIX) -New Recording Version-
5. NIGHT CRUISE ~星降る夜に~ Remix feat. Iz -New Recording Version-


評価: ★★★★★★★★☆☆


遅ればせながらあけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願い致します。
とりあえず今年初めに結構聴いていた日本のアルバムを一つ。


神奈川県横浜のラップグループ、DS455のベストアルバム。
2008年4月23日発売。


90年代の日本語ラップシーンではほとんど無視されていたと言ってもいいのが西海岸サウンド
キングギドラスチャダラパー、BUHHDA BRANDなど様々なラッパーがメディアに出るようになり、日本語ラップシーンというものが作成されていったものの、その全てはLL Cool JRakimNASWu-Tang Clan、Run Dmcなどの東海岸系のHIP HOPから影響を受けたものでした。
N.W.Aや2PACなどといった伝説となるラッパーが西海岸のHIP HOPシーンに登場したものの、東海岸HIP HOPほどのプロップスを当時は得られなかったのです。(名盤であるNASの1stアルバムの解説を担当していた泉山氏も解説で「東海岸びいきをやめられないでいる」ということを述べていました。それほど当時は「西海岸はダサい」というようなイメージがついていたのです)
そのような環境の中で、西海岸サウンド日本語ラップシーンの中でシーンとして存在し始めたのが2000年から。DS455が1stアルバムをインディーズでリリースしたことによって、全国各地の西海岸HIP HOPに影響を受けたラッパーやDJ達がうようよと登場し始めたのです。
2002年からはDSがメジャーデビューを果たしたことにより、ますますその勢いは止まらず。
h.g.p、NORA、PHOBIA OF THUG、LGY、GHETTO INC.、NORTH COAST BAD BOYZなどといった西海岸系ラップグループが日本のシーンでも精力的に活動を開始しました。
結果的に日本の音楽界での一つのムーブメントとなったのです!
このムーブメントは2009年くらいまで続くことになります。


そして上を読んでもらえるとわかる通り、そのムーブメントの起爆剤となったのがこのDS455
そのシーンの中心にい続けたのも、このDS455です。
1989年から活動を続け、1stアルバムをリリースしたのは結成から11年後。
メジャーデビューを果たしたのは、結成から13年後。
結果として自分たちが起爆剤となって一つのシーンを確立しただけでなく、ムーブメントまで到来。
彼らの努力の賜物が一気に出た結果と言えます。


その環境に甘んじることなく、2006年にはレーベルを立ち上げ、DSとしても積極的にシングルやアルバムをリリースしていきます。
そんなDSが結成20周年を迎える直前の2008年(結成19年時)に、ベストアルバムである本作をリリースしました。
当時はすでにアルバムを5枚、シングルを9枚リリースしていたこともあり(White NiteはDS455+BIG RON名義)、ベストアルバムを出すには十分なタイミングだったと言えるでしょう。


さて、内容に。


DSの特徴といえば90年代の西海岸HIP HOPをトラックの面でもラップの面でもその再現にこだわるスタイル。
DJ PMXが手掛けるトラックは攻撃的なものも心地よく聴けるものもありますが、爽やかさがあるのが共通点です。
それはオリジナルアルバムを聴いていても感じることですが、シングルカットされた全曲、アルバムからの代表曲を集めたこのベスト盤を改めて聴いていると、それが特に顕著に感じられます。


100%サマーチューンなM-1SUMMER PARADISE ~Risin' To Tha Sun~ feat.青山テルマ」から、情緒的なリリックで魅せるM-2「僕の中の少年+~遠い記憶IV~ -New Recording Version-」の流れで、「これはいい」と思った人は、ぜひともそのまま最後まで聴き進めてほしいですね。
その後も基本的にそのようなサウンドが続くので。
M-3「NIGHT CRUISE~星降る夜に~ -New Recording Version-」はまさにこれぞDS!というクルージングチューンですし、M-4「Ride In Peace feat. II-J,Iz」もKayzabroとII-Jの硬派なラップにIzとMAY(こちらは客演にクレジットされていませんが)の伸びやかな歌声が華を添える、さすがにアルバム曲からセレクトされただけはある良曲。


それからM-5「LOWRIDE 4 LIFE -New Recording Version-」はちょっと空気が変わり、攻撃的なトラックの上でKayzabroがパーティラップを乗せるパーティーチューン。上記の4曲を聴いてきた人にとってはちょっと異色に映るかもしれませんね。M-6「Very Special Weekend」はちょっと派手目なトラックでのクラブチューンで、これまた客演にクレジットはされていませんがMAYとIzの歌声とKayzabroのラップがばっちりのハマりを見せてくれます。
M-7「Ride Wit tha D.S.C.~Just Like Me~ -New Recording Version-」はまったりした雰囲気のパーティーチューンで、華やかな雰囲気のM-6から一気に違う雰囲気に持って行ってくれます。


M-8「Summer Sweetz~CIGAR & LIQUOR~」はM-1SUMMER PARADISE ~Risin' To Tha Sun~ feat.青山テルマ」と同じくサマーチューンですが、雰囲気は全くの別物で、カラッとしたようなトラックにA☆ZACKのトークボックスが絡みつく様が一度聴いたら耳に残ること間違いなし。
MAY(これまた客演にクレジットはry)の一瞬の歌声とKayzabroのラップ、トラックのの相性も抜群なのは言うまでもなく。
M-9「Still Belong In Tha Street (Ah Yeeah)」、M-10「Throw Ya Handz Up」はこれまでのメロウな雰囲気から一転して攻撃的なトラックのパーティーチューン。
Kayzabroのラップも中々攻撃的で、ちょっと好みが分かれそうですね。


M-11「To Myself」はまた落ち着いた雰囲気に戻り、自分たちの音楽でのヒストリーを交えながらのメッセージソングで、トピック的には割と珍しいのを持ってきましたね。HooksでのSAYのボーカルがいい味を出してます。
M-12「Night 4 Playaz feat. MAY -New Recording Version-」は今までの本作収録曲では客演にはクレジットされていなかったMAYがやっと客演としてクレジットされているパーティーチューン。
この曲ではMAYも中盤でラップを披露しており、この上なくいいアクセントになっています。
M-13「MY SWEET HONEY feat. Kalassy Nikoff」、M-14「White Nite」は恋愛ソングで、前者はKalassy Nikoff(AK-69のシンガー名義)、後者はBIG RONの伸びやかな歌声も相まって、甘さ100%の楽曲に。
Kayzabroのリリックはちょっとベタベタなところもあるものの、サラッとした声質のお陰でそれほど嫌味なく聴けます。

Disc 1の最後を締めるM-15「L.I.F.E. ~Livin' In tha Far Eastside~」は、曲名の通り人生についてラップするメッセージソング。
華やかな清涼感100%のトラックに、Kayzabroのラップが見事堪えた一曲で、この曲を最後に持ってきたのは大正解と感じます。


Disc 2はDSのオリジナルアルバムには収録されていなかった既発曲のリミックス5曲が収録されています。
M-1Very Special Weekend -REMIX-」、M-2「L.I.F.E. ~Livin' In tha Far Eastside~ -REMIX-」、M-4「LOWRIDE 4 LIFE (REMIX) -New Recording Version-」はどちらも原曲に比べるとあっさりとしたトラックのRemix。悪くはないですが原曲の方が雰囲気があって好きですね。
M-3「Still Belong In Tha Street feat. BIG RON -Smooth Radio Mix-」は原曲とは全く雰囲気が違っていて、HookはBIG RONの歌になっています。
ひたすらトラックもリリックも攻撃的な原曲とは異なり、トラックがBIG RONの歌も相まってメロウな雰囲気になっています。
かなり大胆な変え方ですが、これはこれでいいですね。ドライブ時には原曲よりこっちの方がピッタリかもしれません。
M-5「NIGHT CRUISE ~星降る夜に~ Remix feat. Iz -New Recording Version-」は、本作のリミックスでは一番雰囲気が原曲に近いかもしれません。
というか全く同じクルージングチューンですね。
ただこちらはIzが客演としてクレジットされていることもあり、原曲よりIzの存在がずっと目立っています。
実を言うと原曲よりこっちのほうが好きです。原曲よりKayzabro、Iz、DJ PMXそれぞれが活きているように感じるんです!


久しぶりにDSのベストアルバムを聴きましたが、やはりシングル曲やそれぞれのアルバムの代表曲を収録していることもあって、間違いない内容だと感じました。
ラップが下手だとかリリックに中身がないとか言われることもあるKayzabroですが、何だかんだでDJ PMXのトラックに一番合うのは彼のラップですね。
AmebreakでのインタビューでKayzabroが「俺がパブちゃん(DJ PMX)のビートでラップすれば、それはもうDSになる」と言っていましたが、本当にその通りです。

上にも書いたようにとても良いベストアルバムではあるのですが、Disc 2のRemixも含め、純粋な新曲はないので、今までのDSの音源をすべてチェックしている人や、シングルやアルバムを全て買い集めようと思っている人は無理に買う必要はないかもしれません。
ただ、本作は2ndアルバムの楽曲とDisc 2のM-4「LOWRIDE 4 LIFE (REMIX) -New Recording Version-」が「-New Recording Version-」として音質を飛躍的に向上させている上に、2ndアルバムにあった前後の楽曲のつなぎも無くなっているため、プレイリストなどに収録しやすいという利点があります。
Disc 2のRemixもすべて既発曲であるものの、それぞれのシングルを購入する手間を考えればお手軽に入手できるという利点もありますね。
どちらを選ぶかは自由ですが、どうしてもインストが欲しいという人でなければ本作を手に入れる方がお得かなと思います。
通常盤にはDisc 2が付いていないので、今から手に入れようと思う方はぜひDisc 2が付いた初回限定版を。


1つのシーンを作り上げたグループの間違いないベストアルバム、興味のある方は是非どうぞ。


↓Disc 1のM-4「Ride In Peace feat. II-J,Iz」。
www.youtube.com

↓Disc 2のM-1Very Special Weekend -REMIX-」。
www.youtube.com