りくぼーの音楽感想倉庫

音楽CDの感想を綴っていきます

efiL4zaggiN (+100 Miles And Runnin') / N.W.A

Niggaz4Life(+100 Miles and Runnin’)


曲目リスト


1. Prelude
2. Real Niggaz Don't Die
3. Niggaz 4 Life
4. Protest
5. Appetite for Destruction
6. Don't Drink That Wine
7. Always Into Somethin'
8. Message to B.A.
9. Real Niggaz
10. To Kill a Hooker
11. One Less Bitch
12. Findum, F---um & Flee
13. Automobile
14. She Swallowed It
15. I'd Rather F*** You
16. Approach to Danger
17. 1-900-2-Compton
18. Dayz of Wayback, The
19. 100 Miles and Runnin' (bonus track)
20. Just Don't Bite It (bonus track)
21. Sa Prize, Pt. 2 (bonus track)
22. Kamurshol (bonus track)


評価: ★★★★★★★★☆☆


アメリカのコンプトンで結成されたラップグループ、N.W.Aの2ndアルバム。
1991年5月28日発売。(本作は2015年12月9日発売)


1990年にリリースされたEP「100 Miles and Runnin'」が、50万枚のセールスをあっという間に達成したN.W.A。
ICE CUBEが1989年に抜けたのが非常に大きな穴だったと様々な評者から言われたN.W.Aですが、セールス的にはそんなことも大きなダメージにならないくらいに当時の人気は絶大だったわけですね。
1991年にそんなブーム冷めやらぬ中出された2ndアルバムが「efiL4zaggin」。


セールス的にもすさまじい話題作となり、ギャングスタラップでは史上初の全米チャート1位を獲得。
この2ndアルバムリリース後にこれまた主力メンバーであるDr.DREが脱退したため、実質解散になります。
その後も再結成するのではという噂はありましたが、1995年にEazy-EがHIVに罹患し逝去したため(享年31)、本来のメンバーでの再結成は不可能になりました。
結果的に2ndアルバムがN.W.Aとしては最後の音源になります。


そして本作は、2000年以降にリリースされた、その2ndアルバムとEPを一枚にコンパイルしたお得な作品です。


さて、内容に。


西海岸HIP HOPを代表するアルバムである本作。
とにかくこれぞギャングスタラップ創成期!という雰囲気のトラックとラップが詰め込んであります。まあその時期にリリースされたので当たり前ではありますが・・・。


M-1Prelude」は当時のN.W.Aのメンバーとその仲間たちがトラックの上で掛け合いを乗せるオープニングの役割としての楽曲。
2分ちょっとですが随所に入るスクラッチがMC陣の煽りを後押しする様が非常にカッコいいです。
そこからM-2「Real Niggaz Don't Die」に行く流れも素晴らしいですね。
3MCともしっかり存在感のあるラップを披露し、トラックもその過激も過激な内容のラップをしっかりと受け止めています。
Hookも聴いているだけで興奮してしまうこと間違いなしの臨場感がありますし、dialogueの狂ったような煽りもすさまじい。狂ってますね!

M-3「Niggaz 4 Life」は黒人の蔑称である言葉がテーマの、黒人が黒人として生きていくことの苛烈さを吐き出す内容。
3人とも対訳を見るとまるでその苛烈な状況が映像として流れてくるような映画性のあるリリックを用意しています。
特に最後の有名なEazy-Eのラインは、おどけた感じで歌っているだけに本当に強烈ですね。
是非対訳でこれは見てほしいです。


ニュースのスキットを挟んでのM-5「Appetite for Destruction」は危険な雰囲気のトラックの上に、3MCがマイクパスをしていくのが小気味良いです。

またコマーシャルのスキットを挟んでいくM-7「Always Into Somethin'」は怪しさがありつつもカッコよさは十分のトラックの上でRENとDREがラップを乗せていく様が本当に聴きごたえありです。
随所のスクラッチ音もかなり強烈でいいアクセント。

M-8「Message to B.A.」は脱退したICE CUBEに対する恨み節満載のDIS曲(というよりスキットですが)で、正直聴いているこっちも気分が悪くなりそうな内容。
そもそもこの直後にDREも脱退したことを考えると、本当に崩壊前夜という感じがしてしまいます。

M-9「Real Niggaz」はEPで先行発表された曲で、唯一EPにもアルバムにも収録された曲。
それだけに、3MCとDJ Yellaの4人がバンバンとカッコいい様を見せる1曲!
トラックもラップも文句なしにカッコいいです。


スキットを挟んだM-11「One Less Bitch」からはとにかくS〇XやBIT〇Hなどといった女性ものの楽曲が並びます。
リリックの内容はとにかく下品の極みで、対訳を見たら女性なんかは特に不快感示す人いるんじゃないかという感じです。
個人的には全体的に冷たい雰囲気が漂うM-11「One Less Bitch」、MC RENの1人舞台であるM-14「She Swallowed It」、バーとかでも流せそうな雰囲気のトラックなのにリリックの内容は下品というギャップが面白いM-15「I'd Rather F*** You」辺りが好きです。


そんな女、女ばかりの内容の後のM-16「Approach to Danger」から一気に重たい雰囲気になります。
トラックも本当に聴いているだけで危険を感じてしまいそうな不穏なトラックです。
というかEazy-Eの最後のリリックが・・・これも対訳チェック必須。

これまたスキットを挟みM-18「Dayz of Wayback, The」へ行きます。
M-3「Niggaz 4 Life」と同じく黒人の苛烈な生活を、淡々とRENとDREがラップしていく内容になっています。


これで本来ならアルバムは終わるわけですが、本作はここで終わらずEPの4曲が続くわけです。


M-19「100 Miles and Runnin'」はとにかくトラックの疾走感がすごいのですが、そこに乗っかる3人のラップも大暴れです。
聴いていて頭を振りたくなってしまうことは必至ですね。
途中でトラックが変化を見せるのもすごくカッコいいです!

後の3曲はそんなに力を入れては作られていないかなという感じです。
M-20「Just Don't Bite It」はRENとEazy-EによるS〇Xの楽曲。
M-21「Sa Prize, Pt. 2」はN.W.Aの一番の有名曲の「Fuck The Police」のセルフリメイクですし、M-22「Kamurshol」は2ndアルバム(要するにこのEPが収録されていない本来の2ndアルバム)の宣伝の為の、短めの楽曲です(トラックはM-1Prelude」と同じものが使われています)。


N.W.Aの1stアルバムから記事を書きたかったのですが、この2ndアルバム(+EP)を昨年末と今月はよく聴いていたので、記事にすることにしました。
全体を通して聴いてみるとさすがはアメリカの伝説的な西海岸HIP HOPグループの作品。
流石に計22曲という曲の多さとスキットの多さでちょっと雑多な印象は否めないですが、リリースから30年近く経った今でも色褪せていないです。

今では入手困難なEPの音源もまとめて聴けてしまうのですから、本当にこの企画を考えた方には感謝したいですね!
今から聴いてみたい方は本当にこのEP音源付きをおススメします!
N.W.Aの映画「Straight Outta Compton」が2015年に公開された影響により、音質が良い状態のCDがリリースされているので、是非チェックしてみてください!


↓M-5「Appetite for Destruction」のPV。
www.youtube.com


↓M-19「100 Miles and Runnin'」のPV。
www.youtube.com