りくぼーの音楽感想倉庫

音楽CDの感想を綴っていきます

TOKYO CLASSIC / RIP SLYME

TOKYO CLASSIC


曲目リスト


1. ~Introduction~CHICKEN feat. Breakestra
2. By the Way
3. Tokyo Classic
4 .楽園ベイベー(Album version)
5. Case1.STAND PLAY
6. Case2.MANNISH BOY(続zeekのテーマ)
7. FUNKASTIC
8. 奇跡の森 feat. Hirotaka Mori
9. Case3.スーマンシップDEモッコリ
10. Case4.Bring your style(夜の森)
11. One
12. バンザイ
13. 花火
14. FUNKASTIC(Breakestra Version) feat. Breakestra


評価: ★★★★★★★★★☆


1994年に結成されたラップグループ、RIP SLYMEの2ndアルバム。
2002年7月24日発売。


2001年にリリースした1stアルバムがダブルプラチナディスクに認定される快挙を成し遂げたRIP SLYME
2002年に入ってからはPIZZICATO FIVEのトリビュートアルバムにも参加し、さらに名前を広げました。
同年7月に2ndアルバムである本作をリリースしました。
チャートではRIP史上初となる1位を獲得し、売り上げも史上最高。日本語ラップの世界で活動するミュージシャンの作品では初のミリオンディスク認定。
日本語ラップ史上初となる日本武道館でのライブも開催するなど、日本語ラップ界には激震を走らせた1枚となりました。
最もこの頃から多くのラッパーたちから目の敵にされるようになるのですが・・。
それは次作の記事で詳しく話しましょう。


さて、内容に。


RIP SLYMEはとにかく黒さがない、純粋に聴いていて楽しい楽曲が多いですが、本作の特徴もまさにそれ。
そのせいか多くのHIP HOP愛好家から「HIP HOPじゃない!」と罵声を浴びせられることも多いですが、個人的にはこういうスタイルもあっていいと思います。
(というかこういうこと言うリスナーってFunky Four Plus OneやM.C. Hammerをどう思ってるんですかね?嫌味で言ってるんじゃなく純粋に気になります)


M-1のイントロからすでに楽しさ全開。このイントロを聴いて「いいかも」と思ったらもう最後までバーッと聴き通しちゃってください。
続くM-2「By the Way」、M-3「Tokyo Classic」はこれぞRIPの真骨頂!と言えるような陽気なトラックの上での4MCの掛け合いがすごく楽しく聴けます。

M-4「楽園ベイベー(Album version)」はシングル曲のアルバムバージョンで、間違いなくRIPにしか作れないであろう雰囲気のサマーチューン。
どんな季節に聴いていても心の中は夏になってしまうこと請け合い!彼らの独特な世界観にやられてください。


M-5「Case1.STAND PLAY」はPESのソロ、M-6「Case2.MANNISH BOY (続 zeekのテーマ)」はRYO-Zのソロですが、どちらもグループの曲に負けず劣らずの内容。
PESの癒し系なラップの後にRYO-Zの力がこもったラップになるという構成がとても聴きごたえのある展開。

M-7「FUNKASTIC」はシングル曲で、個人的には中盤のハイライト。
序盤の楽曲と同様楽しい雰囲気の楽曲ですが、シングル曲と言うだけあってトラックの雰囲気の変わり方などもかなり気合が入っていますし、MC陣のラップも個性をバリバリ発揮。
特にPESの暴れっぷりは必聴!

その後のM-8「奇跡の森 feat. Hirotaka Mori」はクレジットを見てもわかる通り森広隆氏との合作。
Hookでは森広隆氏が歌を披露していますが、これがRIPの雰囲気に違和感なくハマっているのがすごいですね。


M-9「Case3.スーマンシップDEモッコリ」はSUのソロ、M-10「Case4.Bring your style(夜の森)」はILMARIのソロ。
前者はSUの低い声でのラップさばき、後者はスタイリッシュな雰囲気のトラックでのILMARIの歌交じりのラップが存分に堪能できます。
これまたグループの曲に負けていない出来なのが流石。


M-11「One」はシングル曲で、親しみやすいトラックの上での前向きなメッセージ性のあるリリックが印象的。Hookも非常にキャッチ―で、当時ヒットしたのも頷けます。
人によっては押しつけがましく感じそうなメッセージなのに、この曲では全く嫌味がなく素直に聴けます。
仕事帰りの時なんかに聴きたいですね。

M-12「バンザイ」はトラックもラップも非常にコミカルで、聴き始めたら最後まで笑顔になれること必至。
とりあえずHookでは一緒に手を挙げて「バンザイ」ってことで。

M-13「花火」は本作のアルバム曲では唯一と言える非常に優しい雰囲気の楽曲。
綺麗なトラックの上での失恋の心を描いたリリックが聴いている側も哀愁に誘ってしまいます。
曲が終わるまでがだいぶ長いですが、その分かなり余韻に浸ることができるので作りがうまいと感じましたね。


M-14「FUNKASTIC(Breakestra Version) feat. Breakestra」はボーナストラックで、Breakestraが参加したバージョンのM-7「FUNKASTIC」のRemix。
原曲よりもトラックがゴージャスになっているものの、RIPのラップもそれに全く負けていないので、原曲とはまた違った楽しさがあるRemixに仕上がっています。


実を言うと本作は以前記事を書いたFusion Coreの1stアルバムと同じく、長らく所持してはいたもののそんなに聴いてはいなかったんですよね。
そして今回何回か聴いてみたら、これまた余りの内容の良さに感服。
MC4人が見事に個性を発揮していますし、DJ FUMIYAのトラックも親しみやすさと楽しさを両立したものばかり。
RIP SLYMEのアルバム史上最大の売り上げを記録した本作ですが、それも心から納得できてしまう内容です。
「HIP HOPじゃない」という言葉で切り捨てたくなる気持ちは理解できなくはないんですが、それで切り捨ててしまうなんて本当に余りに勿体なさすぎます。
そんな枠を飛び越えた魅力が本作にはありますよ。
HIP HOPに興味がない人でも抵抗なく聴けると思いますし、当時のHIP HOP好きだった人も改めて聴くと良さが痛感できるのではないでしょうか。
結構中古屋でも見かける1枚なので、見かけたら是非チェックを!
HIP HOP好きな人間も興味がない人も是非RIPの世界に飛び込んでしまってください。


↓M-2「By the Way」のライブ映像。
www.youtube.com