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君臨 / 妄走族

君臨


曲目リスト


1. Intro
2. 君臨
3. Stupid Fuckin' Times
4. ¥ (桃太郎, 般若 & Zorro)
5. World族Music (Remix)
6. Toy The Life
7. 代表攻進曲
8. ¥¥ (VO a.k.a. 狼 & Masaru)
9. 家族 (666世紀)
10. クソMc
11. Perfect K.O feat. 薫
12. 核Mix
13. Hi-Kei
14. ¥¥¥(神 & Den)
15. オーバードライブ (暴走妄為)
16. Outro
17. Quality feat. 薫


評価: ★★★★★★★★☆☆


東京三軒茶屋で結成されたラップグループ、妄走族の1stアルバム。
2000年2月15日発売。


妄走族は1998年に東京都の三軒茶屋で結成されたラップグループで、暴走族「三軒茶屋愚連隊」に所属していたメンバーを中心に、自然発生的に結成されたグループです。
当時のメンバーはMCではDEN、ZORRO、Vo a.k.a 狼(現K5R)、神、MASARU、剣桃太郎、般若。DJではDJ TAKKIで、計8人。


彼らは暴走族出身のメンバーが中心で、先輩たちのフックアップをほとんど受けられず、自分たちで存在をアピールしていくしか道はなし。
そのため彼らは「カチコミ」と称して他のラッパーたちのライブに無断で乗り込み、マイクジャックをして存在をアピールをしていく方法を取りました。
その活動により妄走族という名前は広がっていったものの、どちらかと言えば悪い意味での意味合いが強く「ただのヤンキー上がりがオラオララップしている」と馬鹿にされがちなグループに。
1999年にはSmorgas vs 妄走族の名義でLPをリリースした後に、妄走族として1stシングルを発売。
その翌年に1stアルバムである本作をリリースしました。
本作のリリースを皮切りにシーンの中でも立ち位置を作っていき、2000年からは日本語ラップの祭典であった(現在は未実施)B-BOY PARKにも妄走族として参加するなど、活動の場を広げていきました。


では、内容に。


妄走族の特徴はヤンキー色が強く出たリリックと勢い。
数の利を生かしたマイクリレーが多いのも特徴です。


ヤンキー色が強く出たイントロを経て、M-2「君臨」では7MCがいきなり強烈なマイクリレーを披露。
インパクトのあるキレキレさにやられてください。
M-3「Stupid Fuckin' Times」は緊迫感のあるトラックの上でHookのEmikoのコーラスが不気味な雰囲気を後押ししています。
どのMCもそれぞれの声質がいいコントラクトになっていていい仕事ぶりですが、中でもZORROは地味な声ながらも強烈なパンチラインを披露していて一際目立っていますね。


M-4「¥ (桃太郎, 般若 & Zorro)」は曲名にもある3MCでお金についてラップした曲。
剣桃太郎の強烈なパンチライン、アクが強いフリスタで魅せる般若、淡々としながらもキレキレなリリックを披露するZORROと3人ともかなり気合の入ったラップを見せてくれます。

M-5「World族Music (Remix)」は先行EPで収録された同名曲のREMIX。
原曲よりトラックがかなり勢いがあるものになっていて、彼らのこの頃ならではの勢いの良さを十二分に堪能できます。

M-6「Toy The Life」は今までの曲とは異をなすスタイリッシュなトラック。
MCはDENとZORROというGAS CRACKERZコンビ。
DENのキザなラップとZORROの淡々としたラップの掛け合いが素直に楽しめます。


M-7「代表攻進曲」は勢いでとにかく押し切ったマイクリレーですが、単純ながらも前向きなHookが耳に残ります。
全体的にヤンキー臭さが強いリリックなので好みは分かれるかもですが。

M-8「¥¥ (VO a.k.a. 狼 & Masaru)」は曲名にある狼とMASARUのタッグでお金についてのラップ。
渋みがある狼のラップとあどけない声ながらもメッセージ性のあるラップを披露するMASARUのラップの化学反応が楽しめます。


M-9「家族(666世紀)」は、ZORROと神、剣と般若の4人が参加。
4人ともとにかくおふざけ全開ながらもギア全開のラップを披露していて、かなり聴きごたえがあります。
M-10「クソMC」はDENと剣、般若の3人でのK DUBDIS曲。
最もK DUBに対する明確な敵意が見えるのは剣で、DENと般若のリリックはシーン全体に向いているようにも見えます。
とりあえず3人ともキレキレでカッコいいです。


M-11「Perfect K.O feat. 薫」はパーティチューンで、Hookはシンガーの薫が担当。
全員がノリノリで楽し気なラップを披露しています。
勢いのある彼らのラップもこの上なく生きていて、薫のHookもいいアクセントになっています。

M-12「核MIX」では全員が様々なタイミングでラップを挟んでくる雑多なマイクリレー。
MCごとのバースの比率がバラバラですが、それだけに最後まで飽きずに聴けます。
トラックもものすごく勢いがあり、聴いていれば首を振りたくなってしまうこと必至です。

M-13「Hi-kei」は本作で唯一の落ち着いた雰囲気のトラックの曲で、ZORROとMASARUと狼によるマイクリレー。
3MCとも幻想的なラップを披露していていいですが、最後を〆る狼のラップがMVPですね。
普段は力があるラップを披露している狼がこの曲では優しくラップしているのが印象的でした。
アルバム全体としてもかなりいいアクセントになっています。


M-14「¥¥¥(神 & Den)」は神とDENのタッグによるお金についてのラップ。
悪くはないですがどちらもあまりラップに華があるタイプではないので、ちょっと他の2曲と比べると印象が弱め。

M-15「オーバードライブ (暴走妄為)」は妄ならではの暴走族ネタのマイクリレー。
ネタ感満載のトラックの上で全員がベストパフォーマンスを披露。
所々のキレキレのパンチラインにぶっ飛ぶこと請け合い。
特に般若の最後のパンチラインは強烈すぎて一発で頭に残ること間違いなし!
ノックアウトされてください。

ラジオの終わりのようなBGMのアウトロを挟んでボーナストラックとしてM-17「Quality feat. 薫」が控えます。
DENと薫によるタッグ曲で、男女の恋愛をテーマにした楽曲。
M-6「Toy The Life」のようなスタイリッシュなトラックが印象的で、薫のHookが艶のある歌声でいい感じです。
ただDENのラップがちょっと印象薄めでしょうか。


20そこらで、誰かのフックアップを受けずシーンに切り込んだ妄走族の1stアルバムである本作。
1stアルバムだけあって所々に粗削りなところがあるのは否めませんが、この頃の彼らだからこそ披露できた鋭いパンチライン、そして半端ない勢い。
凄く感じます。
これは聴ける状況にあったら聴いておいて損はないですよ。
見かけたら是非チェックをどうぞ。


↓M-13「Hi-Kei」。
www.youtube.com