りくぼーの音楽感想倉庫

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Two Shot / THE HUMAN BEATS

Two Shot


曲目リスト


1. Two Shot
2. Two Shot -Instrumental-


評価: ★★★★★★★★★★


東日本大震災からもう10年が経ったんですね。
僕の地元である福島も大分帰宅困難区域などが縮小されてはきましたが、それでもまだ住めない地域があります。
正直「もう10年も経ったのか」という心境ですね。
昨年に双葉町の震災資料館に行った際に帰宅困難区域の中も車で通ったんですけど、その区域の中は震災の時から時間が止まったままでした。
この10年の間にロゴなどが変わった飲み物ってたくさんあると思いますけど、区域の中にある自動販売機の商品表示は、当時のロゴのままだったんですよ。
「立ち入り禁止」の看板が立ってる家は朽ちている家もあり、もう家主が戻ることはあるのかなとも思いました。

では今回は震災関連の作品の紹介を。


東日本大震災後に結成されたユニット、THE HUMAN BEATSの1stシングル。
2012年9月19日発売。


THE HUMAN BEATSは東日本大震災をきっかけに結成されたユニットの1つであり、プロデューサーの亀田誠治氏、ディレクターの箭内道彦氏、MONDOL800のキヨサク、RHYMESTERMummy-Dの4人で結成されました。
そのTHE HUMAN BEATSの作品としてリリースされたのが本作です。

「様々な形で知ってもらうため」「聴いた人がそれぞれで作詞できるように、自分だけの「Two Shot」ができるように」あえて著作権登録はしていないようです。


さて、内容に。


表題曲のM-1Two Shot」は、様々なところで言われていることに嘘はなく、「こんなにも優しさを感じる曲ってめったにないよな」と感じてしまう曲です。
素朴な演奏の上でマイクを握るのはキヨサクとMummy-D
基本的にはキヨサクが歌を担当し、Mummy-Dは後半からラップで参加。

キヨサクの優しさ100%な歌いまわしもさることながら、こんなトラックの上で流暢にラップを乗せるMummy-Dの力量にも感服してしまいますね。
サビでのDとキヨサクのコーラスもすごく聴きごたえがあって、完全に聴き入ってしまいます。
両者の言葉選びもベストで、すごくストレートでわかりやすい表現なんですけどこの手のタイプによくある薄っぺらさや安っぽさ、押しつけがましさというものは微塵もなく、ただただスッと入ってきます。


インストであるM-2「Two Shot -Instrumental-」もすごく地味なサウンドではあるんですけど、それが優しさを演出している要素として働いていて、インストだけでも耳を惹きますね。


今まで数多くの作品に触れてきましたけど、ここまで「優しさ」というものに溢れていて、まったく押しつけがましくなくて、尚且つ音楽としてしっかりと聴ける作品は中々あるものではありません。
「震災便乗ソングじゃないの?」なんて意見もあると思いますが、実際に聴けばそんな言葉で切り捨てられるようなヤワな楽曲ではないのは実感できると思います。
インストは本作でしか聴けないので、このインスト目当てだけでも手に入れる価値はあると断言できます。
聴いたその日から心に残ること間違いなしです!


購入すると利益全額が「あしなが東日本大地震津波遺児募金」へ寄付されるとのことですが・・・残念ながら今はTOWER RECORDSでは扱っていないようですね。
Amazonだと定価より高いですが扱いがあるという限られた入手手段になっていますが、手に入れて絶対に損はないと思います。
コロナや震災など様々なアクシデントがある最近ですが、この曲を聴いてパワーをつけて乗り切りましょう。


M-1Two Shot」のPV。
www.youtube.com

M-1Two Shot」のレコーディング映像。
www.youtube.com