りくぼーの音楽感想倉庫

音楽CDの感想を綴っていきます

Power Of The Doller / 50 CENT

www.datpiff.com


曲目リスト


1. Intro
2. The Hit
3. The Good Die Young
4. Corner Bodega (Coke Spot)
5. Your Life's On The Line
6. That Ain't Gangsta
7. As The World Turns feat. Ugk
8. Ghetto Qu'ran (Forgive Me)
9. Da Repercussions
10. Money By Any Means feat. Noreaga
11. Material Girl feat. Dave Hollister
12. Thug Love feat. Destiny's Child
13. Slow Doe
14. Gunrunner feat. Black Child
15. You Ain't No Gangsta
16. Power Of The Dollar
17. I'm A Hustler
18. How To Rob feat. The Madd Rapper
19. Da Heatwave feat. Noreaga
20. Rowdy, Rowdy


評価: ★★★★★★★★★☆


アメリカのNY出身のラッパー、50 Centの未発表アルバム。
2000年7月4日発売予定でした。


90年代には「知っている人は知っている」ラッパーとなっていた50 Cent(以後50)。
そんな彼は1999年8月10日にリリースしたシングル「How To Rob」で初音源リリースとなるのですが、この内容が何十人もの様々なラッパーやシンガー、DJに「次々と強盗してやる」と宣戦布告をするというもの。
50はガチでビーフを仕掛けようとしたつもりはなく、新人ラッパーがシーンにインパクトを与えるためにお芝居的なものとして制作しました。
しかしながらJay-ZやBig Pun、KuruptにMiisy Elliottなど標的にされた人間たちが次々にこの曲に対してアンサーを返す事態になり、まさにHIP HOP界隈では一種の社会現象に。
当然ながら「何者なんだ、この50 Centという男は!?」と注目を浴びるようになり、やがてコロンビアレコードと契約。
その翌年の2000年、1stアルバムとしてコロンビアレコードからリリースされる予定だったのが本作でした。


ですが1stアルバムの感想でも書いたように、リリース2ヵ月前に50が発砲事件に巻き込まれるという事態が発生。
争いに巻き込まれるのを避けたいというコロンビアレコード側の思惑により、50はコロンビアレコードから契約解除を言い渡されました。
リリースが予定されていた本作は、お蔵入りとなってしまったのです。


注目を浴びた作品だったのにも関わらずその後結局本作が正式にリリースされることはなかったため、本作の海賊版は大分流通したようです。
本作の収録曲の内何曲かは50のその後の作品に収録されたりしましたが、フルアルバムとしてはその海賊版を手に入れるか、関係者のみ所有していたプロモのCD-Rを入手するしか方法がありませんでした。
後者はまず不可能なので、どうしても聴きたがったリスナーは海賊版に手を出した人がほとんどだったでしょう。
(勿論褒められる行為ではないですけど、正直その海賊版を入手しようとしたリスナーの気持ちはよく分かります)


そんな状態が長らく続きましたが2009年、2000年代後半から運営されているHIP HOPを主としたフリー音源サイト「datpiff」でフルアルバムとして無料ダウンロードでの配布開始。
2021年現在、今でも全曲ダウンロードが行えますよ。
MP3形式なのでCD音源より音質は落ちますが、本来なら聴けなかった音源を聴けるというだけでも素直に喜びましょう。


では、内容に。


本作は50が事件に巻き込まれて口に銃弾を撃たれる前に制作された作品ということで、事件前の50のラップが聴けます。
他のサイトでもありましたが、正直に言うと声を聞くとかなりJay-Zに似ています。
本作の情報なしにいきなり本作を聴いたらJay-Zの作品と聴き間違える方もいるかもしれません。


イントロを経てのM-2「The Hit」、M-3「The Good Die Young」の流れはシンプルながらも聴きごたえのあるトラックの上で50がスムーズにラップを乗っけていきます。
聴いていて首を揺らしたくなってきますね。

ここまででもしっかり聴きごたえのある流れなのですが、M-4「Corner Bodega (Coke Spot)」からはさらに聞きごたえが急上昇。50特有の癖になるHookとサンプリングのセンスが光るトラックが印象的です。
続くM-5「Your Life's On The Line」はシングルでも切られた上に色々な作品で再録されているので本作でも最も有名でしょうね。僕も今まで紹介した50の音源でこの曲のカッコよさは語っていますが、本作の流れも無論カッコいいです。


M-6「That Ain't Gangsta」は硬派なトラックが80年代のG-RAPを彷彿とさせる雰囲気。
その上での50のラップとHookでのタイトル名を叫ぶコーラスも問答無用のカッコよさ。

M-7「As The World Turns feat. Ugk」は初っ端から50の脱力したような歌で「あ、やっぱり50だ」と思ってしまいます。
この頃から50って歌ってたんですね・・・上手くはないですけど癖になります。
UGKの貫禄のあるラップもいいアクセントです。

続くM-8「Ghetto Qu'ran (Forgive Me)」は後にリリースされたミックステープでも収録された楽曲で、ロマンチックな音使いが本作の中でも異色な楽曲。
こういう楽曲だと50のHook作りの上手さが冴えわたりますね。

その後はまたハードな曲が続く流れ。相変わらず聴きごたえはしっかりあります。

M-11「Material Girl feat. Dave Hollister」、M-12「Thug Love feat. Destiny's Child」は50のまくしたてるようなラップとDave、Childの色気のある歌声が何とも言えない相性の良さで中毒性があります。
どちらもお洒落なバーとかで掛けても違和感がなさそうですね。


以降はまたしてもハードな雰囲気が漂う楽曲が多め。所々で銃のブローバック音が入っていたりと危険な香りが漂うトラックが中心です。
その上に乗せる50のラップも相性がいいのは言うまでもなく。中でもM-17「I'm A Hustler」はDJ Scratchのスクラッチが聴いていてかなり気持ちよく、50のラップ以上に印象的です。


M-18「How To Rob feat. The Madd Rapper」は上にも書いた通りHIP HOP界に現象を巻き起こした楽曲で、様々なラッパーやシンガー、DJの名前を挙げて宣戦布告する楽曲。
The Madd Rapperの仕事ぶりも相まって聴きごたえは抜群です。
M-19「Da Heatwave feat. Noreaga」でNoreagaとは相変わらずの相性の良さを発揮した後、本作の中でも迫力あるトラックのM-20「Rowdy, Rowdy」でアルバムは幕を閉じます。


1stアルバムとしてリリースされる予定だったとのことですが、本当にお蔵入りにされたのがもったいないくらいのいい作品です。
これだけのアルバムを作ったのなら、50もフリーでとはいえ公開したくなるのも頷けますよね。
50のこの頃ならではのタイトなラップ、客演の好演、そして硬派なトラックとの相性の良さと、50の才能を見せつけられます。
もし本作が50の1stアルバムとしてリリースされていたらどうなっていたのかが気になります。


無料でダウンロードできるので、チェックしない手はありません!


↓M-16「Power Of The Doller」。
www.youtube.com