りくぼーの音楽感想倉庫

音楽CDの感想を綴っていきます

Curtis / 50 Cent

Curtis


曲目リスト


1. Intro
2. My Gun Go Off
3. Man Down
4. I'll Still Kill feat. Akon
5. I Get Money
6. Come & Go feat. Dr.Dre
7. Ayo Technology feat. Justin Timberlake, Timbaland
8. Follow My Lead feat. Robin Thicke
9. Movin on Up
10. Straight to the Bank
11. Amusement Park
12. Fully Loaded Clip
13. Peep Show feat. Eminem
14. Fire feat. Young Buck, Nicole Scherzinger
15. All of Me feat. Mary J. Blige
16. Curtis 187
17. Touch the Sky feat. Tony Yayo


評価: ★★★★★★★☆☆☆


アメリカのNY出身のラッパー、50 Centの3rdアルバム。
2007年9月11日発売。


2005年にリリースした2ndアルバムがリリース4日目で100万枚以上のセールスを記録した50 Cent
G-UnitからThe Gameが去ったものの、Mobb Deepや40 Gloccなどを加入させることに成功したことで、相変わらずHIP HOP業界での存在感はピカイチ。
その後も自分のアルバムリリースの為に曲を作り続けていました。
2007年に3rdアルバムである本作をリリースしたのですが、本作はちょっと特殊な経緯があります。

元々3rdアルバムとしてリリースする予定だったのは彼の4thアルバムとしてリリースされている「Before I Self Direct」であり、50はそのコンセプトでアルバム5、6枚分の楽曲を作っていました。
しかしどれも時代遅れになったという理由でお蔵入りに。
そんなこともあってか彼は「Beforer I Self Direct」の制作をストップさせ、代わりに本作の制作に入り、本作を3rdアルバムとしてリリースすることにしたのです。
ちなみにタイトルを「Curtis」にしたのは50の本名はCurtis Jacksonで、50がCurtis3代目であるため。だから3枚目をこの名前にしようと考えたとのこと。
そして本作はKanye Westの3rdアルバムとリリース日が同じであり、50は「Kanyeの3枚目にセールスで負けたら引退してやる」と宣言。
結果的にどちらもヒット作になって成功することはできたものの、セールスの面ではKanyeに敗退しチャート2位の結果に(Kanyeはチャート1位)。
評論家の間からも賛否両論となり、50いわく「思ったほど成功しなかったが、俺はヒット・ポテンシャルのあるアルバムだと思う。ライブで使いたいと思える曲もあるしな」とのこと。


では、内容に。


50のラップは良くも悪くも相変わらずのホニャホニャしたラップ。
本作でもそれは変わらずです。


イントロを経てのM-2「My Gun Go Off」はハードな雰囲気で一気にリスナー側の耳を引き込むような感覚。
随所に銃声が鳴り響くトラックとHookでのタイトル名を叫ぶ様が本当にカッコよく、ホニャホニャしたラップなのに臨場感を出しています。
M-3「Man Down」もハードな雰囲気ですが、悲し気なピアノのサウンドが印象的で前曲との違いをはっきり出しています。
もうこの流れで聴き進めるのが楽しみになること請け合い。初っ端の掴みはグッドですね。


M-4「I'll Still Kill feat. Akon」はAkonが参加。
Hookを手掛けてるのは勿論Akonで50はバースでラップを披露する・・という感じですがどちらもイマイチ持ち味を出せてない感が。
ちょっとトラックがサウスっぽい雰囲気ですけど、それが50との相性が微妙な気がします。
M-5「I Get Money」は個人的にはアルバム前半のハイライト。
バースでの50のざっくりとしたラップさばき、つい口ずさんでしまうような中毒性のあるHook、緊迫感のあるトラックとどれについても文句のつけようなし。
人気曲になるのもそれは当たり前だよなと思います。


M-6「Come & Go feat. Dr.Dre」は予想通りDreのプロデュース。
客演にクレジットされていますがHookでちょっとコーラスに参加しているだけなので実質50のソロ曲です。
ハードな雰囲気のトラックながらも50ならではの耳に残るHook作りでしっかり聴けます。
M-7「Ayo Technology feat. Justin Timberlake, Timbaland」、M-8「Follow My Lead feat. Robin Thicke」はどちらもシンガーを客演に迎えたよくある構成。
前者は50がバースでラップをのっけた後にHookで実力派の2人がきっちり歌を乗せる様が感服。
本作からのシングルでヒット曲になりましたが、それはそうなるでしょうね。
3人とも凄まじい仕事ぶりです。
後者は基本的には50のステージでRobinが所々で歌で絡む構成。
50とRobinの声が違和感なく絡んでいてスッと入ってきます。


M-9「Movin on Up」、M-10「Straight to the Bank」はシンプルながらも中毒性のあるトラックの上で50が耳に残るラップを聴かせる、初期のミックステープ時代の50を彷彿とさせる曲。
耳に残るHookを作らせたらやはり天下一な男です。後者はHookでの間抜けなコーラスがちょっと笑えます。
M-11「Amusement Park」は50の歌心あるラップがHookとバースそれぞれで活きていて、まさに50にしか作れない曲ですね。
M-12「Fully Loaded Clip」はシリアスな雰囲気のトラックで50単独の楽曲としてはちょっとパンチが弱め。

M-13「Peep Show feat. Eminem」はちょっと速めなトラックでEminemが参加。
これはちょっとEminemに食われている感があります。
50のホニャホニャラップも悪くはないですけどこういうトラックだとやはり縦横無尽に駆け回るEminemが目立ってしまうんですよね。
M-14「Fire feat. Young Buck, Nicole Scherzinger」はシンガーのNicole、G-UnitのメンバーのBuckが参加。
Nicoleの歌がトラックを巧みに乗りこなしていますがBuckがちょっと印象薄め。というかクレジット見るまでBuckが参加してたことに気づきませんでした。

M-15「All of Me feat. Mary J. Blige」はこれまたシンガーを客演に迎えた曲。
Mary Jの歌が中毒性抜群で、それに負けない50のラップもいい仕事ぶり。個人的には後半のハイライト。


M-16「Curtis 187」は単調なワンループの上に50がラップを乗せる内容で、最初から最後まで淡々としていて可もなく不可もなくといったところ。
最後を締めくくるM-17「Touch The Sky feat. Tony Yayo」はG-Unit結成時からの仲間であるYayoが参加。
この曲は50よりYayoが目立っている気がしますね。
曲としてはまずまずですけど、最後の〆としてはちょっと弱いです。


全体を通して聴くと、前半から中盤までは50の歴代アルバムの中でも屈指の良曲ぞろいで、かなり楽しめる内容です。
しかし後半になってからは失速気味で、曲もパンチが弱く、曲順の面でも微妙ですね。
M-11「Amusement Park」で終わっていたら、個人的に50のアルバムで1番好きな「Power Of The Doller」と並んでいたのですが・・。(M-15「All of Me feat. Mary J. Blige」は好きですけど)


ちなみに本作は50の歴代アルバムの中ではシンガーを客演に迎えた曲が多いアルバムでもあります。
他アルバムではシンガーを客演に迎えた曲は1、2曲くらいしかありませんが、本作ではシンガーを迎えた曲は5曲。
しかもどの曲も50のラップもシンガーの歌も活きていて(M-4「I'll Still Kill feat. Akon」は惜しかったですが)、アルバムとしてもいいアクセントになっています。
なのでラッパーとシンガーの組み合わせの楽曲が好きな人は50のアルバムでは一番気に入るかもしれませんね。

後半のアルバムの失速はあるものの、前半から中盤の流れを聴くだけでも価値はあると思います。
中古屋でもよく見かける1枚なので、見かけたら是非。


↓M-8「Follow My Lead feat. Robin Thicke」のPV。
www.youtube.com