りくぼーの音楽感想倉庫

音楽CDの感想を綴っていきます

Total / Total

Total [Analog]


曲目リスト


1. Intro feat. Puff Daddy
2. Do You Know
3. No One Else feat. Da Brat
4. Whose Is It? (Interlude)
5. Kissin' You
6. Do You Think About Us?
7. Definition of a Bad Girl (Interlude)
8. Can't You See feat. The Notorious B.I.G.
9. Someone Like You
10. Tell Me
11. Love Is All We Need
12. Don't Ever Change
13. Spend Some Time
14. When Boy Meets Girl
15. No One Else (Puff Daddy Remix) feat. Da Brat, Foxy Brown, Lil' Kim


評価: ★★★★★★★☆☆☆


Puff Daddy率いるBad Boy Recordsから登場したR&Bユニット、Totalの1stアルバム。
1996年4月3日発売。


彼女たちが初めて登場したのはThe Notorious B.I.G.(以後Biggie)のデビューシングル曲である「Juicy」。
この曲のHookを担当したのがTotalで、ヒット曲になったこともあって彼女たちも話題に。
その後もBiggieのシングルへの参加を経て、プロデューサーを務めるPuff Daddyと共に1stアルバムの作成を開始。
1995年に映画「New Jersey Drive」のサウンドトラックで初のシングル曲である「Can't You See feat. The Notorious B.I.G.」を発表。
R&Bチャートでは2位、ビルボードでも13位と好セールスを記録。

それから1年後、1stアルバムである本作をリリースしました。
当然話題作となりプラチナディスクに認定。
当時のメンバーはKeishaとPam、Kimaの3人でしたが、のちにPamは脱退した模様。


では、内容に。


当時のBad Boy Recordsといえば、ラッパーのアルバムでもシンガーのボーカル使いを多用してキャッチ―楽曲を作るのが十八番なレーベルという印象です。
そんなレーベルからシンガーグループとしてデビューしたということで、当然ながら歌がメイン。
歌唱力に関してはすごく上手いかと言われると微妙なところではあるんですけど、トラックとの相性はいいので気になりません。


Puff DaddyのMCチックなイントロを経てのM-2「Do You Know」はお洒落なトラックの上でのコーラスから耳を掴まれること必至。
コーラスを交えながらそれぞれのマイクを回していくのは定番ではありますが、3バース目でちょっとトラックの雰囲気が変わるなど聴きどころをおさえているので楽しく聴けます。

M-3「No One Else feat. Da Brat」はDa Bratが参加。
もうこの曲はトラックの歪みっぷりが半端なくて一度聴いただけで頭に残りますね。
TotalメンバーとDa Bratもそんなトラックに負けることない仕事ぶりを歌でもラップでも見せており、もうここまで聴いたらこの先も聴きたくなるはず。

M-4「Whose Is It? (Interlude)」は会話のInterludeで、Interludeの割には2分20分と長いです。
バックトラックがあるので曲としても聴けなくはないんですが、聴いた感じ大分イヤらしい感じはするので曲として聴きたいかと言われるとNOですね。


M-5「Kissin' You」はゆったりとしたトラックで上品な雰囲気。
曲名から連想させるキャッチ―さで、Totalの歌もすんなりと馴染んでます。ドライブの時なんかに聴きたいですね。


M-6「Do You Think About Us?」も似たような感じですが、初っ端のPamの掴みがグイっときます。
全体的にPamが主導してる曲で、Pamのちょっと強気な印象の歌がゆったりしたトラックと絶妙な化学反応を起こしてますね。


スキットを経てのM-8「Can't You See feat. The Notorious B.I.G.」は上にも書いた通りBiggieが参加したシングル曲。
初っ端からBiggieがラップを乗せ、その後にTotalの歌。しかもプロデュースしたPuff Daddyも随所で参加してるという贅沢な作り。
Hookでの歌の絡みも絶妙で、ヒットしたのも頷けますね。


M-9「Someone Like You」はお洒落ながらもノリのいいトラックで、初っ端のコーラスからすごくキャッチ―。
身体を揺らしたくなります。

M-10「Tell Me」はレイドバックした気怠い雰囲気のトラックで本作でも異色。
こちらもPam主導の曲で、Puff Daddyが絡むイントロが結構長くて冗長に感じます。全体的に単調なので聴いている途中でちょっと飽きてしまいましたね。


M-11「Love Is All We Need」はグイグイ来る感じとクールな感じが合わさったようなトラックが中々聴いていて面白いです。
その上に乗るTotalの歌も違和感なく溶け込んでます。

M-12「Don't Ever Change」はこちらもPam主導の曲。Pam主導の曲多いですね。
しっとりとした雰囲気のバラードですが、リズムがしっかりしてて聴きごたえはあります。

M-13「Spend Some Time」は始まり方がパーッとしていて神聖な雰囲気。
こちらもPam主(ryで、ゆったりしたバラード。


M-14「When Boy Meets Girl」はクールな雰囲気のトラックで、Hookでの歌との絡み具合が気持ちいいですね。
途中でトラックの雰囲気を変えてくるのも飽きずに聴ける構成です。


最後にボーナストラックとして控えているのがM-15「No One Else (Puff Daddy Remix) feat. Da Brat, Foxy Brown, Lil' Kim」。
M-3「No One Else feat. Da Brat」のRemixということで原曲とほぼ変わらないトラックの上でTotalの歌Hookを挟みながらFoxy Brown→Lil' Kim→Da Bratの順番でマイクを回していきます。
もう全員手抜き一切なしの仕事ぶりで悪いはずがありません。贅沢な〆をしてきましたね。


トラックは割と硬派なものが多いながらも、歌がメインということもあってキャッチ―な楽曲が多めです。
身体を揺らしたくなる楽曲もあればバラードもありなのでどんな方でも気に入る楽曲ができるでしょうね。
冗長に感じるSkitがあったり似たような曲が続く流れがあったりと難点もあるアルバムですけど、全体的にはボーナストラックまで楽しめる良作。
とりあえず何曲か試聴をおススメします。


↓M-5「Kissin' You」のPV。
www.youtube.com

Humanity / Humanity

HUMANITY


曲目リスト


1. This is...
2. Humanity
3. Shadow & Smell
4. Seeking Time
5. MAWASE
6. A Cha.Me
7. Real Life


評価: ★★★★★★★★☆☆


2025年初記事です。
今年もかなりマイペースな投稿になりますが、よろしくお願いします。


2019年に突如出現したユニット、Humanityの1stアルバム。
2019年12月4日発売。


HumanityはCOMA-CHI、RITTO、焚巻からなるユニット。
2019年に1stアルバムである本作をリリースした以外はグループとしては全く情報がありません。
ジャケにもメンバーの名前と全てのトラックを手掛けたFReECOolの名前が書いてあるため、恐らく本作のみの企画ユニットと思われます。


では、内容に。


ざっくりとした貫禄のあるラップを操るRITTO、通る声で軽快にラップする焚巻、紅一点として華を添えるCOMA-CHI。
スキルには定評のある3人だけあって、聴いてみるとかなりバランスの取れたユニットになっています。


色々な音を混ぜこんだカオスなイントロのM-1This is...」でアルバムはスタート。
表題曲であるM-2「Humanity」はCOMA-CHIの粘っこいラップとHookが印象的。
混沌とした雰囲気はアウトロと変わらずで、RITTOと焚巻もそれぞれラップで応戦している感じです。
もうここから相性の良さがバシッと来てます。

M-3「Shadow & Smell」はマイクを握るのはCOMA-CHIと焚巻。
軽い感じのリズムの取り方が気持ちいいですね。
イントロの後とHookのCOMA-CHIの歌声は伸びやかで、M-2「Humanity」とは全く違う引き出しを見せつけてくれます。
しかし2バース目では駆け抜けるようなラップを披露しており、彼女の器用さが実感できます。
焚巻の軽快なラップもいいアクセント。

M-4「Seeking Time」はマイクを握るはRITTOと焚巻。
初っ端からRITTOの歌で掴むわけですが、哀愁漂う歌いぶりがアダルトな雰囲気のトラックにしっかりハマってます。
その上に乗る両者のラップもお互いの良さが生かされてますね。


M-5「MAWASE」はちょっとシリアスな雰囲気のトラック。
初っ端の焚巻の詰め込んだラップにぶっ飛ばされますね。そこから3人の声が絡んだHookが絶妙です。
トラックにへばりつくようなCOMA-CHIのラップ、こぶしを利かせたようなRITTOのラップもトラックに全く負けていない仕事ぶり。

M-6「A Cha.Me」はマイクを握るはRITTOとCOMA-CHI。
本作の中でも異色な曲で、唯一と言っていい陽気な雰囲気のパーティチューン。
Hookが思い切り下ネタですけど、もはやここまで振り切ればあっぱれというもの。
聴いていて体を揺らしたくなること必至です。

〆となるM-7「Real Life」はピアノの音がとても心地良いトラックで、ラストにふさわしい雰囲気。
HookのCOMA-CHIの歌、RITTOと焚巻のラップも嫌味なく溶け込んでおり、〆としては十分な曲。


イントロを除くと全員集合曲が3曲、メンバー間でのデュエット曲が3曲。
どの曲もそれぞれの良さが存分に出た内容となっていて、このメンバーでなければ作れない作品に仕上がっています。
FReECOolが手掛けたトラックも色々な音が入った面白い構成で、インストでも聴いてみたいくらいです。
そして7曲で25分を切るというタイトさなので、全部通してサクッと聴けるのも魅力。
どんな方でも楽しめる内容なので、見かけたら是非チェックを。


↓M-2「Humanity」のPV。
www.youtube.com

A Mi Shabba / Shabba Ranks

A Mi Shabba


曲目リスト


1. Ram Dance Hall
2. Shine Eye Gal feat. Mykal Rose
3. Spoil Mi Appetite
4. Well Done
5. Fattie Fattie feat. Leroy Sibbles
6. Rough Life
7. Let's Get It On
8. Ice Cream Love feat. Patra
9. High Seat
10. Gal Nuh Ready
11. Medal and Certificate
12. Original Woman


評価: ★★★★★★★☆☆☆


ジャマイカのセントアン出身、キングストン育ちのReggaeDeejay、Shabba Ranksの12thアルバム。
1995年6月13日発売。


80年代からコンスタントに作品をリリースし続け、1989年にEpicと契約を結んだShabba Ranks。
その後は様々なヒット曲を量産し、1992年と1993年には7thアルバムと10thアルバムがグラミー賞を受賞するという快挙を達成。
1993年までは毎年のようにアルバムをリリースしていましたが、1994年は特に目立った活動はなく、1995年に12thアルバムである本作をリリースしました。
アメリカのReggaeチャートでは2位を記録するなど、中々のセールスになったようです。
ただ1996年にRanksはEpicに契約を解除されたため、Epicからリリースされた最後の作品になります。


では、内容に。


Shabba Ranksの特徴は野太い声で、その声はまさにReggaeの世界で生きるために生まれた声と言っても過言ではない感じです。
ちなみにリリックの内容はとんでもなく卑猥なことでも有名。
しかし今回紹介するのは輸入盤の為、そのリリックには触れない感想になることをお伝えしておきます。


シャウトからせわしないトラックへの流れでグイっと耳を掴むM-1Ram Dance Hall」は最初としてはいいスタート。
Hookでの合唱もRanksの隙間ないラップに挟まれていいアクセントになってます。

M-2「Shine Eye Gal feat. Mykal Rose」はまたしてもRanksのシャウトからのスタートで、Mykal Roseがボーカルとして参加。
RanksのザラっとしたラップとRoseのトラックに絡むような歌は相性はよく、RanksがラップしているバックでもRoseが援護しているのがカッコいいですね。


ここまではダークな雰囲気が続いてましたが、M-3「Spoil Mi Appetite」は陽気なトラックで雰囲気が変わります。
Ranksも歯切れのいいラップを乗せていて首を振りたくなりますね。

M-4「Well Done」はまたしてもシャウトからのスタート。この人シャウトでのスタート好きですね。
トラックはシンプルなワンループトラックですが、Ranksが隙間なくラップを乗せていることもあって最後まで飽きずに聴けます。


M-5「Fattie Fattie feat. Leroy Sibbles」はLeroy Sibblesがボーカルとして参加。
のんびりとしたトラックで、Sibblesの伸びやかな歌声がガッチリとハマってますね。
Ranksのラップとの絡みも流石のもの。

M-6「Rough Life」はシリアスで危険な雰囲気が漂う楽曲で、本作の中でも異色な曲。
中盤に持ってきたのは正解でしたね。全体でいいアクセントになっています。


M-7「Let's Get It On」はスタイリッシュなトラックで、HookでのバックボーカルとRanksのラップのギャップが面白いですね。
90年代のReggaeってこういうサウンド多い印象があります。

M-8「Ice Cream Love feat. Patra」はPatraがボーカルとして参加。
トラックの雰囲気はM-7「Let's Get It On」と同じですが、Patraの爽やかな歌声とRanksの野太いラップの絡みが絶妙です。

M-9「High Seat」は少しシリアスな雰囲気のトラックで、隙間なくRanksがラップを乗せるスタイル。
悪くはないですが最初から最後まで淡々としていて可もなく不可もなく。

M-10「Gal Nuh Ready」は迫るようなトラックが他にはない雰囲気で、Ranksも所々で乗せ方を変えている印象です。
これはトラックの面白さもあって楽しく聴けますね。

M-11「Medal and Certificate」は音の使い方は面白いもののワンループトラック。
Ranksは相変わらずの隙間ないラップの連射です。
〆となるM-12「Original Woman」も同じような感じでアルバムは幕を閉じます。


Ranksの隙間なくラップを詰め込む技術は確かで、シンガーとの絡みもこなれたもの。
トラックも90年代のReggaeど真ん中と言ってもいいようなものが揃っており、この時代のReggae愛好家ならバチーンとやられることでしょう。
難点を言うとしたら後半でのRanksのラップが良くも悪くも予想通りのものになっていて、ちょっと飽きが来ることでしょうか。
もうちょっと他のアーティストとの絡みがあればネクストレベルにいけたかなと。そこが本作の評価がまちまちとなった点なのかなと感じます。
ただ90年代のReggaeを期待するなら裏切らない作品であるのは事実。何曲か試聴をおススメします。


↓M-7「Let's Get It On」のPV。
www.youtube.com

前回のLGMonkeesこと山猿です。 / 前回のLGMonkeesこと山猿です。

前回のLGMonkeesこと山猿です。


曲目リスト


1. Intro
2. 春夏秋冬 feat. GIO, ITACHI, DJ PSYCHO
3. ペルセウス
4. 未来列車
5. きき手
6. 朝7:30ちょうどにすれ違ったマドンナに恋をした
7. Dear...君へ
8. Outro


評価: ★★★★★★★★☆☆


福島県会津若松市出身のシンガー、山猿の2ndミニアルバム。
2011年3月16日発売。


2010年10月にLGMonkeesの名義でミニアルバムをリリースした山猿。
その後も主にNO DOUBT TRACKS関連の作品に客演等として参加を続け、名前をますます広げていきます。
そして前作から5ヵ月というインターバルで2ndミニアルバムである本作をリリースしました。
名義はアルバム名と同じく「前回のLGMonkeesこと山猿です。」となっており、LGMonkeesが山猿だということを改めてアピールした形になります。
東日本大震災の5日後という難しい時期にリリースされた上、山猿自身も当時宮城県仙台市に住んでいたことから被災してしまったためリリース記念のライブなどは思うようにできなかったようです。


では、内容に。


前作ではイントロとアウトロ以外で客演がなかった曲は「花火」のみでしたが、本作は打って変わって客演参加がある曲は1曲のみ。
前作以上に山猿の柔らかい声を堪能できる構成になっているのでは。


前作のアウトロのトラックを引用したイントロを経てのM-2「春夏秋冬 feat. GIO, ITACHI, DJ PSYCHO」はSteady & Co.の同名曲のカバー。
前作の「Grateful Days feat. Noa」ではリリックが山猿のオリジナルなリリックに変わっていましたが、この曲ではリリックは原曲と全く同じです。
原曲はギターの音が強調されたクールな感じの楽曲ですけど、こちらはかなり明るい感じになっていてガラッと雰囲気が変わっています。
そこに乗る4名のラップと歌も非常に楽しんで乗せている感じで、かなり元気な印象ですね。トラックの雰囲気にはよく合っていると感じます。
当時はかなり賛否両論があったカバーでしたが、個人的には明るさで突き抜けたこちらも好きですね。


M-3「ペルセウス」はテガミバチのEDとして起用された楽曲で、勢いがありながらも色々な音を混ぜ込んだトラックがかなりカッコいいですね。
その上に乗る山猿の歌との相性もかなり良くて、山猿だからこそ作れた曲と言えます。
切ない雰囲気の音使いとリリックも好印象。

M-4「未来列車」は優し気なイントロから耳をグイっと掴まれます。
その上に乗る山猿の柔らかい歌声と相性がいいのは言うまでもなく、Hookで一気で大げさなトラックに変化するのも印象的です。
詞カードを見なくても何を言っているのか分かるのが山猿の強みですが、この曲では特にその強みが発揮されていますね。


M-5「きき手」はイントロの後にすぐメッセージ性のある歌を乗せる構成が他の曲にはない構成。
本作でも屈指のガンガンした音使いのトラックなのもあって山猿も中々気合の入った歌を乗せています。
最初から最後まで強烈な印象を放っている曲なので、メッセージ性強めなリリックも相まって一度聴いたら耳に残るはずです。

M-6「朝7:30ちょうどにすれ違ったマドンナに恋をした」は本当に曲名の通りの楽曲で、どこの誰かも知らない人に恋をしてしまった男性の気持ちを歌った内容。
この曲では山猿が結構ラップらしいラップを乗せていて、そこも中々キャッチ―に感じました。
随所での女性のコーラスも相まって、こちらもM-5「きき手」に劣らない耳に残る曲です。
最後のオチはいい〆でした。そう思ってます。

M-7「Dear...君へ」は前作のアウトロと本作のイントロと同じサウンドを1曲分使ったトラックになっているという構成。
リリックの内容は曲名の通り本作を聴いた人へのメッセージソングで、山猿の嫌味のないラップとリリックはトラックの雰囲気にもバッチリです。
Hookでの歌もいいアクセントで、最初から最後までいい意味でスッと聴けます。

最後を〆るのは声ネタスクラッチのアウトロ。
アウトロらしいアウトロですが、M-7「Dear...君へ」で終わった方が山猿らしい作品になったのでは?という気がします。


前作はデビュー作というのもあって周りの仲間と協力しながら作った感じでしたが、本作は純粋に山猿というミュージシャンの作品になったなという印象で、前作とはまとまりの良さが段違いです。
前作と比べると歌の割合が増えましたが、歌とラップのハイブリッドスタイルになったことで山猿自身の引き出しもさらに広げられたかと。
本作でしか聴けない楽曲もあるので、山猿ファンならもちろんのこと、これから山猿を聴いてみようという方にもおススメできます。
見かけたら是非どうぞ。


↓M-3「ペルセウス」。
www.youtube.com

BYO Split Series Volume III / NOFX & RANCID

https://m.media-amazon.com/images/I/51MxuTOcDNL._AC_.jpg


曲目リスト


1. I'm the One / NOFX
2. Olympia WA / NOFX
3. Tenderloin / NOFX
4. Antennas / NOFX
5. Corazon de Oro / NOFX
6. Radio / NOFX
7. Moron Bros / RANCID
8. Stickin' in My Eye / RANCID
9. Bob / RANCID
10. Don't Call Me White / RANCID
11. Brews / RANCID
12. Vanilla Sex / RANCID


評価: ★★★★★★★★☆☆


Byo Recordsが企画した、NOFXRANCIDのスピリットアルバム。
2002年3月4日発売。


Punk Rock関連を中心に展開していたレーベルのByo Recordsが定期的にリリースしていたコンピレーションアルバムの第3弾にあたるのが本作です。
内容は共にアメリカの西海岸を拠点としながら活動していたバンドであるNOFXRANCIDのコンピアルバムとなります。
これだけ聞くと普通のスピリットアルバムに思えるかもしれませんが、なんとお互いのカバー曲を6曲ずつ披露するという面白いアイデアのアルバムなんですよね。
ちなみにジャケが緑とオレンジの二種類があり、緑はNOFXRANCIDの曲順、オレンジはRANCIDNOFXの曲順となっています。
今回紹介するのは緑版です。
緑版の方はAmazon機能で画像を貼れなかったので、ジャケット画像のリンクを貼りつけました。


さて、内容に。


序盤はNOFXによるRANCIDのカバー曲が続く展開。
初っ端から曲名を連呼するインパクトの強いM-1I'm the One」でアルバムは幕開け。
最初から最後までキャッチ―な掴みが聴いていて2分もない曲なのに十分聴いた後に満足感があります。
原曲と聴き比べると最初から最後まで絶叫色が強くなっていて、面白いアレンジになっていますね。

M-2「Olympia WA」は疾走感のある入りだしがとても気持ちよく、ドラムの縦横無尽な叩かれぶりに圧倒されます。
歌を乗せるのも難しそうなサウンドなのに、難なく歌を乗せる力量も流石です。
原曲と比べるとかなり大胆なアレンジになっていますが、かなり聴きごたえのある構成です。

M-3「Tenderloin」は曲名を連呼するHookが中々キャッチ―。
1分24秒なのにしっかりとした曲になってます。こちらは原曲をガッチリ継承したアレンジになってますね。

M-4「Antennas」はもっと短く1分19秒。
大げさなイントロでグイっと耳を惹き、そこから落ち着いた雰囲気、ド派手な雰囲気と音をひっくり返していく構成がインパクト強め。
こちらも短いせいか原曲と大差ないアレンジ。

M-5「Corazon de Oro」は落ち着いた雰囲気から激しい雰囲気になっていくという今までの曲とは逆なパターン。
音の展開が読めないサウンドで、最後までガッチリ聴いてしまうこと請け合い。
原曲と比べると激しいサウンド方面がかなり強化されていますね。

M-6「Radio」は本作でNOFX最後の曲にして一番異色な楽曲で、とても陽気な雰囲気。
曲の雰囲気はROCKというよりはREGGAEに近く、かなりゆったりとしています。
激しい曲がこれまで続いた中で、これはホッとする流れ。
原曲はオーソドックスなROCK楽曲なのに、まったく違う楽曲に変えてしまいました。
でも曲の良さは十分で、原曲ファンでも納得できるでしょう。


ここからはRANCID陣営。

M-7「Moron Bros」は初っ端のギターでの掴み、そしてベースの冴えっぷりが印象強め。
駆け抜けていくようなサウンドの上での歌の乗せ方も縦横無尽で面白く聴けます。
こちらは基本は原曲に忠実ですが、途中でガラッと雰囲気が変わる箇所が無くなっているためちょっとあっさり目。

M-8「Stickin' in My Eye」は初っ端の優しいギターでもイントロから急に激しいサウンドに行く急展開。
その上での歌の乗せ方も結構スリリングで緊迫感があります。
こちらも原曲に割と忠実にこなした印象です。

M-9「Bob」はギターの音がメインな感じで、その上に歌声が絡むような構成が今までにない感じです。
原曲の方はホーンも入ったりして陽気な雰囲気もあるんですが、こちらはひたすらROCKサウンドで硬派に押し切りましたね。


M-10「Don't Call Me White」はドスの利いた声で曲名を叫ぶ入りだしから印象的。
とにかく勢いのあるサウンドで、最後までドス声で押し切る様に貫禄を感じますね。
原曲ではそこまでドスの利いた声ではないので、そこが一番の違いです。

M-11「Brews」は基本はギターメインの王道なサウンド
途中では派手な音使いもしていますが、それがいいアクセントになっています。
原曲では合唱が多いこともあって楽しい雰囲気ですが、こちらは最後までクール。

M-12「Vanilla Sex」は〆で、最初こそ優しい雰囲気ですが、途中からガンガンなサウンドに変わります。
途中の間奏はベースのゆがみが半端なくて、そこが一番の聴きどころですね。
原曲はもっとその辺りが強調された構成になっているので、比べるとあっさりめ。


全体的に見るとNOFXは原曲に比べると派手なアレンジ、RANCIDは原曲に比べるとあっさりしたアレンジという印象です。
スピリットアルバムという構成で、こうもバンドのアレンジの方向性の違いがはっきり出るというのも面白いですね。
カバー合戦ということでお互いの良さが出た内容で楽しく聴けた一枚でした。
ROCK好きならもちろん、原曲を知らなくても楽しめる内容なので、見かけたら是非どうぞ。


↓M-6「Radio」のライブ映像。
www.youtube.com

↓M-9「Bob」のPV。
www.youtube.com

FLASH PLAYERS / NO DOUBT FLASH

FLASH PLAYERS


曲目リスト


1. Intro
2. DO-CO feat. 吉見一星
3. 秋桜に書いた恋文
4. You feat. headphone-Bulldog
5. 抱きしめて×抱きしめた
6. You're Not Alone feat. 吉見一星
7. Bye for Now Ⅱ
8. ROCK de NECK te GO MEN feat. ShaNa
9. Beautiful Girl feat. ITACHI
10. FOOT STAMP feat. 山猿
11. FULL
12. Outro


評価: ★★★★★★★★☆☆


宮城県仙台市を拠点として活動していたユニット、NO DOUBT FLASHの1stアルバム。
2010年10月6日発売。


LGYankeesのHIROが2007年に設立して以降、2013年頃までレーベル単位でプチヒット作を製造していたNO DOUBT TRACKS。
2010年も山猿がLGMonkeesでソロデビューを果たしたり、3年ぶりにコンピレーションアルバムをリリースしたりと話題に事欠かなかったレーベルでした。
そんな最中に突如発表されたユニットがこのNO DOUBT FLASH
当時NO DOUBT TRACKSに所属していたミュージシャンで結成されたユニットで、第一弾のメンバーはLGYankeesのメンバーのHIRO、ClefのメンバーのTAKA、ソロからはGIOとNoaの4人。
かっちりメンバーが決まっているユニットというわけではなくアルバムをリリースする度にメンバーが変わるので、この4人体制で出した唯一の作品です。


では、内容に。


TAKAは男性の歌、Noaは女性の歌、HIROがラップと歌、GIOがラップを担当という構成になっており、割とバランスがいいメンバー構成になっています。
無論当時のNO DOUBT TRACKSの作品の持ち味であった聴きやすい楽曲がメインとなっています。


イントロを経ての(この華やかなイントロはカッコよくて割と好きです)M-2「DO-CO feat. 吉見一星」は吉見一星が参加。
駆け抜けるようなイントロからのNoaの歌という入りだしはとてもキャッチ―。
HIROの歌交じりのラップ、NoaのHookを挟んだ後のTAKAとGIOの掛け合い→吉見一星の歌という流れは聴いていて飽きがこない構成で、作り込んでいるのが嫌でも伝わります。

M-3「秋桜に書いた恋文」は様々な音を入れ込んだしっかりとしたトラック。
Hookは引き続きNoaが担当しており、1バース目はHIROとGIOがラップで担当し、2バース目はTAKA→HIROという順番でマイクを回しています。
ただHookと終盤はNoaが担当しているだけあってNoaがかなり目立っている印象です。


M-4「You feat. headphone-Bulldog」はheadphone-Bulldogが参加したメッセージソング。
ここでHookがNoa以外の曲がやっと来まして、Hookはheadphone-Bulldogが担当。
headphone-Bulldogの透き通るような声が冴えたHookは一度聴いたら耳に残るはず。
疾走感があるトラックなのもあってGIOのラップがメンバーの中では目立っています。
彼の如何にもなラップはこういうトラックにはよく合うんですよね。

M-5「抱きしめて×抱きしめた」はGIOとHIROの詰め込むようなラップが聴きごたえありますね。
そこからNoaのHookもいいアクセントになっており、最後のTAKAの歌→Noaの歌という展開もお互いが活きていて、全員の良さが見事に発揮されてます。


M-6「You're Not Alone feat. 吉見一星」は吉見一星がまたしても参加。
この曲ではM-2「DO-CO feat. 吉見一星」と同じくシンガーが3人もいるせいかHIROもGIOと同じく如何にもなラップを乗せてます。
ちなみにTAKAが一言でしか参加してなくてちょっとかわいそうになりました。
吉見一星のパートをちょっとTAKAに分けても良かったのでは。

M-7「Bye for Now Ⅱ」は今までM-4「You feat. headphone-Bulldog」を除いて恋愛ソングでしたがこの曲は仲間ソング。
この曲はGIOはラップの比率も高い上にHookでも顔を出しているため貢献度が高いですね。
2バース目と3バース目のTAKAとGIOの掛け合いもカッコいいですし、HookでのHIROの絡みも嫌味がなくていい仕事ぶり。


M-8「ROCK de NECK te GO MEN feat. ShaNa」はShaNaが参加。
ここでやっと純粋なパーティチューンが来ました。TAKAは不参加ですが。
Hookはこういう系ではお馴染みの合唱Hookで、とにかくノリノリな感じが楽しいです。
最初から最後まで首を振りたくなること必至です。

M-9「Beautiful Girl feat. ITACHI」はパーティチューンからの反動かNoaのベタベタな歌から始まる恋愛ソング。この曲でもTAKAは不参加。
GIOのガラガラ声のラップとITACHIの貫禄のあるラップはとても相性いいんですよね。
ラップを挟みながらのNoaの歌Hookもいいアクセント。

M-10「FOOT STAMP feat. 山猿」は山猿が参加。
この曲のトピックは応援ソングで、全体的に全員優しい雰囲気の歌とラップを乗せています。
HookでのNoaの歌→山猿のラップという流れが他にないHookの構成でインパクトがありますね。
TAKAはソロパートこそないものの、GIOのラップパートでコーラスを担当していて見事な雰囲気作りをしています。


M-11「FULL」はかなり勢いのある大げさなトラックで、初っ端のHIROのブチ切れたようなラップで一気に耳を掴まれます。
無論トラックに負けないように全員が気合入りまくりのラップと歌を乗せており、本作では一番インパクトのある楽曲と言えますね。

最後は華やかな雰囲気のアウトロで〆です。


メンバーを知った時は「いやいや、これどういうユニット?」って思ったんですが、聴いてみるとそれぞれの良さが出ている組み合わせで驚きました。
曲自体もとびぬけた曲こそないものの聴きごたえのある良曲がびしっと並び、最初から最後まで楽しめる構成となっています。
最も他のメンバーに比べるとTAKAの扱いにちょっと困っているきらいがありますが、それも気にならないくらいのいい内容。
40分台とアルバムとしても長すぎず短すぎずのボリュームですし、見かけたら是非どうぞ。


↓M-3「秋桜に書いた恋文」のPV。
www.youtube.com

Neither Fish nor Flesh / Terence Trent D'Arby

Neither Fish Nor Flesh


曲目リスト


1. Declaration: Neither Fish nor Flesh
2. I Have Faith in These Desolate Times
3. It Feels So Good to Love Someone Like You
4. To Know Someone Deeply Is to Know Someone Softly
5. I'll Be Alright
6. Billy Don't Fall
7. This Side of Love
8. Attracted to You
9. Roly Poly
10. You Will Pay Tomorrow
11. I Don't Want to Bring Your Gods Down
12. ...And I Need to Be With Someone Tonight


評価: ★★★★★★☆☆☆☆


アメリカのNY出身のシンガー、Terence Trent D'Arbyの2ndアルバム。
1989年11月14日発売。


1987年に1stアルバムでデビューを果たしたTerence Trent D'Arby。
様々なヒット曲が1stアルバムから生まれ、様々なグラミー関連の賞も獲得。
一気に名声を得たシンガーとなりました。
そして2年後に2ndアルバムである本作をリリースしました。

しかし本作のプロデューサーを務めたMartyn Ware曰く「時代を先取りしたアルバム」とのことで、セールス的にも批評的にも成功はしなかったようです。


では、内容に。


Terence Trent D'Arbyは本作で初めて聴きましたが、結構なハスキー声を操る方なんだなという印象です。
どのジャンルにも分類するのは難しいので、TerenceのジャンルはTerenceということで。


ざわざわした雰囲気のイントロを経てM-2「I Have Faith in These Desolate Times」はいきなりTerenceの絶叫から始まるので激しい曲なのかなと思いきやサウンドはかなり音数少な目のしっとり系。
その上でTerenceが伸びやかな歌声を乗せる構成で、ひたすらTerenceの歌で押し切った形・・と思いきや3分ほどしたところでいきなり民族系のサウンドに変わります。
1曲の中でこんなに雰囲気を変える構成も中々ないのでは。

M-3「It Feels So Good to Love Someone Like You」はぽわーんとしたトラックでTerenceの歌は音に絡みつくような感じ。
そこから曲間なしでM-4「To Know Someone Deeply Is to Know Someone Softly」に続くのでせわしないですね。
こっちは打って変わって軽い雰囲気のトラックでTerenceの歌もすんなりと乗せていてサラッと聴けます。
M-3「It Feels So Good to Love Someone Like You」まではくっきり好みが分かれそうな曲が続いてたんですけど、この曲は比較的色々な層に受け入れられやすいのでは。

M-5「I'll Be Alright」は様々な音を入れ込んでその上でTerenceがシャウトを乗せるイントロからホーンがメインの陽気なサウンドに変わります。
やっとこの辺りでノリがいい楽曲が来ました。あのイントロ入れずに初っ端からホーンメインで行けばもっとよかったかなとは思いますが。


M-6「Billy Don't Fall」はドラムの音がしっかりしたサウンドでそのドラムの間にも様々な音使いを詰め込んでいるのが聴いていて楽しめますね。
M-7「This Side of Love」はそんなおちゃらけた雰囲気から一転して硬派なギターが印象的なサウンド
ギターのサウンドが入る部分ではTerenceは歌唱を抑えめにしてます。この辺りが音職人という感じですね。
M-8「Attracted to You」は雰囲気はM-6「Billy Don't Fall」に似ていて、音の入れ方が全く予想できません。
その上でTerenceの歌もかなり自由にやってる感じです。とにかくめちゃくちゃ。


M-9「Roly Poly」はHookでのグイグイ迫ってくる感じが癖になりますね。
サウンド的にはこれまたやりたい放題。好きな人は好きでしょうね。

M-10「You Will Pay Tomorrow」は随所でのホーンの使い方がインパクト強いですね。
かなり歌を乗せにくそうなサウンドなんですけど、そこはやりたい放題のTerence。
荒っぽくも押し切って乗せています。

M-11「I Don't Want to Bring Your Gods Down」はゆったりとしたトラックの上でTerenceが伸びやかな歌を乗せるオーソドックスな作り。

最後を〆るM-12「...And I Need to Be With Someone Tonight」はサウンドはなく、Terenceの歌のみでアウトロ的な役割。
最後にはちょろっと会話っぽいのも入ってます。


Terenceの作品は上にも書いたように本作が初めてですが、大分癖が強いなという印象です。
Terenceの歌声はハスキー系なのでその時点で好みが分かれるでしょうが、サウンドも結構ヘンテコです。
良くも悪くも色々な音使いをしていて、面白いなとは感じます。
ただその反面アルバムとしてのまとまりは微妙なので、アルバムとして何度も聴きたいかと言われると難しいところ。
とりあえず何曲か試聴を。


↓M-4「To Know Someone Deeply Is To Know Someone Softly」のPV。
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