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前回のLGMonkeesこと山猿です。 / 前回のLGMonkeesこと山猿です。

前回のLGMonkeesこと山猿です。


曲目リスト


1. Intro
2. 春夏秋冬 feat. GIO, ITACHI, DJ PSYCHO
3. ペルセウス
4. 未来列車
5. きき手
6. 朝7:30ちょうどにすれ違ったマドンナに恋をした
7. Dear...君へ
8. Outro


評価: ★★★★★★★★☆☆


福島県会津若松市出身のシンガー、山猿の2ndミニアルバム。
2011年3月16日発売。


2010年10月にLGMonkeesの名義でミニアルバムをリリースした山猿。
その後も主にNO DOUBT TRACKS関連の作品に客演等として参加を続け、名前をますます広げていきます。
そして前作から5ヵ月というインターバルで2ndミニアルバムである本作をリリースしました。
名義はアルバム名と同じく「前回のLGMonkeesこと山猿です。」となっており、LGMonkeesが山猿だということを改めてアピールした形になります。
東日本大震災の5日後という難しい時期にリリースされた上、山猿自身も当時宮城県仙台市に住んでいたことから被災してしまったためリリース記念のライブなどは思うようにできなかったようです。


では、内容に。


前作ではイントロとアウトロ以外で客演がなかった曲は「花火」のみでしたが、本作は打って変わって客演参加がある曲は1曲のみ。
前作以上に山猿の柔らかい声を堪能できる構成になっているのでは。


前作のアウトロのトラックを引用したイントロを経てのM-2「春夏秋冬 feat. GIO, ITACHI, DJ PSYCHO」はSteady & Co.の同名曲のカバー。
前作の「Grateful Days feat. Noa」ではリリックが山猿のオリジナルなリリックに変わっていましたが、この曲ではリリックは原曲と全く同じです。
原曲はギターの音が強調されたクールな感じの楽曲ですけど、こちらはかなり明るい感じになっていてガラッと雰囲気が変わっています。
そこに乗る4名のラップと歌も非常に楽しんで乗せている感じで、かなり元気な印象ですね。トラックの雰囲気にはよく合っていると感じます。
当時はかなり賛否両論があったカバーでしたが、個人的には明るさで突き抜けたこちらも好きですね。


M-3「ペルセウス」はテガミバチのEDとして起用された楽曲で、勢いがありながらも色々な音を混ぜ込んだトラックがかなりカッコいいですね。
その上に乗る山猿の歌との相性もかなり良くて、山猿だからこそ作れた曲と言えます。
切ない雰囲気の音使いとリリックも好印象。

M-4「未来列車」は優し気なイントロから耳をグイっと掴まれます。
その上に乗る山猿の柔らかい歌声と相性がいいのは言うまでもなく、Hookで一気で大げさなトラックに変化するのも印象的です。
詞カードを見なくても何を言っているのか分かるのが山猿の強みですが、この曲では特にその強みが発揮されていますね。


M-5「きき手」はイントロの後にすぐメッセージ性のある歌を乗せる構成が他の曲にはない構成。
本作でも屈指のガンガンした音使いのトラックなのもあって山猿も中々気合の入った歌を乗せています。
最初から最後まで強烈な印象を放っている曲なので、メッセージ性強めなリリックも相まって一度聴いたら耳に残るはずです。

M-6「朝7:30ちょうどにすれ違ったマドンナに恋をした」は本当に曲名の通りの楽曲で、どこの誰かも知らない人に恋をしてしまった男性の気持ちを歌った内容。
この曲では山猿が結構ラップらしいラップを乗せていて、そこも中々キャッチ―に感じました。
随所での女性のコーラスも相まって、こちらもM-5「きき手」に劣らない耳に残る曲です。
最後のオチはいい〆でした。そう思ってます。

M-7「Dear...君へ」は前作のアウトロと本作のイントロと同じサウンドを1曲分使ったトラックになっているという構成。
リリックの内容は曲名の通り本作を聴いた人へのメッセージソングで、山猿の嫌味のないラップとリリックはトラックの雰囲気にもバッチリです。
Hookでの歌もいいアクセントで、最初から最後までいい意味でスッと聴けます。

最後を〆るのは声ネタスクラッチのアウトロ。
アウトロらしいアウトロですが、M-7「Dear...君へ」で終わった方が山猿らしい作品になったのでは?という気がします。


前作はデビュー作というのもあって周りの仲間と協力しながら作った感じでしたが、本作は純粋に山猿というミュージシャンの作品になったなという印象で、前作とはまとまりの良さが段違いです。
前作と比べると歌の割合が増えましたが、歌とラップのハイブリッドスタイルになったことで山猿自身の引き出しもさらに広げられたかと。
本作でしか聴けない楽曲もあるので、山猿ファンならもちろんのこと、これから山猿を聴いてみようという方にもおススメできます。
見かけたら是非どうぞ。


↓M-3「ペルセウス」。
www.youtube.com