りくぼーの音楽感想倉庫

音楽CDの感想を綴っていきます

SEAN KINGSTON / SEAN KINGSTON

ショーン・キングストン(期間生産限定盤)


曲目リスト


1. Intro
2. Kingston
3. Take You There
4. Me Love
5. Beautiful Girls
6. Dry Your Eyes
7. Got No Shorty
8. There's Nothin feat. Paula Deanda
9. I Can Feel It
10. Drummer Boy
11. Your Sister
12. That Ain't Right
13. Change
14. Colors (2007) (Reggae Remix) feat. Vybz Kartel, Kardial Official
15. Beautiful Girls (Instrumental)


評価: ★★★★★★★★☆☆


アメリカのフロリダ出身のシンガー、SEAN KINGSTONの1stアルバム。
2007年7月31日発売。


SEAN KINGSTONは1990年にアメリカのフロリダのマイアミに生まれるものの、その後はジャマイカで育ちました。
SEANはREGGAEの世界では知らない人はいないREGGAE DEEJAYであるBuju Bantonの甥で、なおかつこれまた名シンガーであるLawrence "Jack Ruby" Lindoの孫。
そんな環境に生まれた時から身を置いていました。
最も彼が14歳の時に母と妹が警察に逮捕されるということも経験しており(本作のリリース時も、母親はまだ刑務所の中にいたとのこと)、恵まれた環境で育ったわけではないようです。


彼も当然ながらやがて音楽の道へ志すようになり、2006年の春に当時は注目のプロデューサーの1人であったJonathan Rotemに自ら連絡を開始。
Jonathanは最初はそこまで乗り気では無かったようですが、SEANの音楽的才能に一目ぼれしてしまい、すぐさまSEANをマイアミからロサンゼルスに呼び寄せ、契約を1回目のミーティングで決意。
そしてJonathanが完全プロデュースしたうえでできたのが本作というわけです。
特にBen E KINGの大有名曲である「Stand By Me」をサンプリングした本作のM-5「Beautiful Girls」は凄まじい話題曲となり、ビルボードの1位を3週渡って取り続けるという快挙を達成。
当時17歳でありながらここまでの成功を達成してしまうとは、音楽界の大物と血がつながっているとはいえ恐ろしいものです。


さて、内容に。


SEANの特徴は聴いているこっちが明るくなりそうな明るい歌声。
ジャンル的にはREGGAEに当たるようですが、他のジャンルが好きな人でも受け入れられそうな雰囲気です。
この歌いこなしっぷりを17歳で見せつけていたとは本当に驚かされます。


Introを経ての前半はまさにそんなSEANの歌唱の真骨頂。
クラブなどでかけたら体を揺らす人が続出すること間違いなしな楽曲が続きます。
特にM-4「Me Love」は対訳を見ると失恋ソングなのにも関わらず、非常に楽しい雰囲気の楽曲です。
聴いているだけで燦燦と輝く太陽の下にいるような気分になってしまうこと請け合いです。
その後に続くM-5「Beautiful Girls」も、大ヒットしたのも頷ける良曲。
国内版のボーナストラックとしてこの曲のインストのM-15「Beautiful Girls (Instrumental)」が収録されていますが、やはりこのSEANの歌唱が乗っているバージョンの方がいいですね。
SEANの歌声があったからこそあんなヒット曲になったのだと思います。


M-6「Dry Your Eyes」はそんな今までの楽曲とは雰囲気が変わり、ちょっと暗めの雰囲気。
刑務所にいる母親に向けた感謝ソングで、SEAN自身が「本作の中でも重要な曲」と語っているほど。
SEANの明るい歌声でもこんなに哀愁ある楽曲になるのか、と驚いてしまいました。
曲自体も良曲なのは言うまでもなく。
この曲の後は気分が上がってしまうような楽曲が続くので、アルバムの中でもいいアクセントになっていますね。

本作ではボーナストラックを除くと唯一の客演を迎えた曲であるM-8「There's Nothin feat. Paula Deanda」は両者ともかなり気合が入った恋愛ソングで、SEANはぶっちゃけこの曲が一番力込めて歌ったのではと思ってしまう歌唱を見せてくれます。
PaulaとSEANの掛け合いもかなり聴いていて楽しいです。

その後もSEANの歌いこなしとトラックのサポートっぷりが好相性な楽曲が続き、とにかく楽しい流れが続きます。
(特にM-13「Change」のSEANの歌唱、詞は必見!)


個人的に期待していたボーナストラックであるM-14「Colors (2007) (Reggae Remix) feat. Vybz Kartel, Kardial Official」がちょっとイマイチな出来なのが惜しかったですが。

ですがそれを差し引いても本当に聴いていて楽しい時間にすごせる1枚。
どんなジャンルが好きな人でも抵抗なく入れる内容だと感じるので、興味のある方は是非どうぞ!


↓M-4「Me Love」のPV。
www.youtube.com

予定 ~〇〇に帰ったら~ / V.A.

tower.jp


曲目リスト


1. 予定 ~福島に帰ったら~ / だっぺズとナンバーザ
2. 予定 ~いわてに帰ったら~ / あんべ光俊とナンバーザ
3. 予定 ~宮城に帰ったら~ / 宮藤官九郎中村雅俊とナンバーザ
4. 予定 ~富岡に帰ったら~ / 渡辺俊美とナンバーザ (ボーナストラック)


評価: ★★★★★★★★☆☆


今年もやってきましたね。3月11日。
一昨年と去年は仕事上の都合で更新できませんでしたが、今年は3年ぶりにこの日に更新できました。


あの東日本大震災から9年、当時高校受験を終えたばかりだった僕が、今では社会人になって3年になろうとしているわけで、本当にあっという間だったような気もしますし長かったような気もします。
しかしまだ地元福島では帰宅できない地域もあるわけで、まだまだ完全復旧は長い道のり。
これからどんな方向に向かうか。


というわけで、久しぶりに東日本大震災関連の1枚を紹介。


福島のロックバンド、Number theが中心となって制作されたチャリティーシングル。
2013年3月6日発売。


発生してから、様々なミュージシャンに影響を与えた東日本大震災
多くのミュージシャンが震災絡みの楽曲を発表しましたが、本作もその1つになります。

震災後の猪苗代湖ズの活動が話題になりましたが、その傍らで復興イベントで勢を出していたのがNumber Theで、震災前から決まっていた自分たちのイベントを急遽チャリティーイベントに変更。
そしてその幾多のイベントで披露されたのが本作のM-1予定 ~福島に帰ったら~」。
当然凄まじく福島県内で話題となり、テレビやラジオで何度もエアプレイされることになります。


2011年8月には本作のM-3「予定 ~宮城に帰ったら~」を参加メンバーで披露し、福島だけでなく全国で話題に。
その後もたびたびライブで披露され、その度に話題曲としてどんどん広がっていきました。
それから2年後、やっとタワーレコードにて音源CDが発売。
販売利益は全て福島県岩手県宮城県富岡町に寄付されます。


さて、内容に。


本作は全てメロディーは同じで、詞の内容、歌い手だけを変えてそれぞれの故郷を歌うという内容になっています。
震災ソングだからといって決して手抜きはなく、メロディーはどの世代にも受け入れられそうな馴染みやすさが特徴です。


詞の内容は4曲とも、地元の人にしか分からなそうな地名や名物が詰まっています。
M-1予定 ~福島に帰ったら~」、M-4「予定 ~富岡に帰ったら~」は福島県民なこともあって全部理解できますし、M-2「予定 ~いわてに帰ったら~」、M-3「予定 ~宮城に帰ったら~」もほとんど理解できますが、他の地域の人ではわからない言葉も多いでしょうね。

詞の他にも要注目なのが4曲とも歌い手が違うので、同じような詞でもメロディーへの乗せ方が全然違うこと。
そのこともあって4曲とも同じメロディーなのに最後まで飽きずに聴き通せます。
声とメロディーの相性も4曲とも抜群です。
どの歌い手の方もいい味が出てますよ。


上にも書いたように様々な名物が出てくるので是非旅行などに行く際の参考にしてみてほしいですね。
チャリティーとしてリリースされた作品ですが、純粋に音楽作品としても十分に良作の1枚になっていますよ。


今でもタワーレコードで購入すると利益の寄付がされるので、気になった方はぜひ。
ちなみに今では様々な県のバージョンが作られており、下記サイトで有料でダウンロードできます。
無論収益は全て被災地に寄付されます。ぜひチェックしてみてください!
yoteii.jp


M-1予定 ~福島に帰ったら~」のPV。
www.youtube.com

efiL4zaggiN (+100 Miles And Runnin') / N.W.A

Niggaz4Life(+100 Miles and Runnin’)


曲目リスト


1. Prelude
2. Real Niggaz Don't Die
3. Niggaz 4 Life
4. Protest
5. Appetite for Destruction
6. Don't Drink That Wine
7. Always Into Somethin'
8. Message to B.A.
9. Real Niggaz
10. To Kill a Hooker
11. One Less Bitch
12. Findum, F---um & Flee
13. Automobile
14. She Swallowed It
15. I'd Rather F*** You
16. Approach to Danger
17. 1-900-2-Compton
18. Dayz of Wayback, The
19. 100 Miles and Runnin' (bonus track)
20. Just Don't Bite It (bonus track)
21. Sa Prize, Pt. 2 (bonus track)
22. Kamurshol (bonus track)


評価: ★★★★★★★★☆☆


アメリカのコンプトンで結成されたラップグループ、N.W.Aの2ndアルバム。
1991年5月28日発売。(本作は2015年12月9日発売)


1990年にリリースされたEP「100 Miles and Runnin'」が、50万枚のセールスをあっという間に達成したN.W.A。
ICE CUBEが1989年に抜けたのが非常に大きな穴だったと様々な評者から言われたN.W.Aですが、セールス的にはそんなことも大きなダメージにならないくらいに当時の人気は絶大だったわけですね。
1991年にそんなブーム冷めやらぬ中出された2ndアルバムが「efiL4zaggin」。


セールス的にもすさまじい話題作となり、ギャングスタラップでは史上初の全米チャート1位を獲得。
この2ndアルバムリリース後にこれまた主力メンバーであるDr.DREが脱退したため、実質解散になります。
その後も再結成するのではという噂はありましたが、1995年にEazy-EがHIVに罹患し逝去したため(享年31)、本来のメンバーでの再結成は不可能になりました。
結果的に2ndアルバムがN.W.Aとしては最後の音源になります。


そして本作は、2000年以降にリリースされた、その2ndアルバムとEPを一枚にコンパイルしたお得な作品です。


さて、内容に。


西海岸HIP HOPを代表するアルバムである本作。
とにかくこれぞギャングスタラップ創成期!という雰囲気のトラックとラップが詰め込んであります。まあその時期にリリースされたので当たり前ではありますが・・・。


M-1Prelude」は当時のN.W.Aのメンバーとその仲間たちがトラックの上で掛け合いを乗せるオープニングの役割としての楽曲。
2分ちょっとですが随所に入るスクラッチがMC陣の煽りを後押しする様が非常にカッコいいです。
そこからM-2「Real Niggaz Don't Die」に行く流れも素晴らしいですね。
3MCともしっかり存在感のあるラップを披露し、トラックもその過激も過激な内容のラップをしっかりと受け止めています。
Hookも聴いているだけで興奮してしまうこと間違いなしの臨場感がありますし、dialogueの狂ったような煽りもすさまじい。狂ってますね!

M-3「Niggaz 4 Life」は黒人の蔑称である言葉がテーマの、黒人が黒人として生きていくことの苛烈さを吐き出す内容。
3人とも対訳を見るとまるでその苛烈な状況が映像として流れてくるような映画性のあるリリックを用意しています。
特に最後の有名なEazy-Eのラインは、おどけた感じで歌っているだけに本当に強烈ですね。
是非対訳でこれは見てほしいです。


ニュースのスキットを挟んでのM-5「Appetite for Destruction」は危険な雰囲気のトラックの上に、3MCがマイクパスをしていくのが小気味良いです。

またコマーシャルのスキットを挟んでいくM-7「Always Into Somethin'」は怪しさがありつつもカッコよさは十分のトラックの上でRENとDREがラップを乗せていく様が本当に聴きごたえありです。
随所のスクラッチ音もかなり強烈でいいアクセント。

M-8「Message to B.A.」は脱退したICE CUBEに対する恨み節満載のDIS曲(というよりスキットですが)で、正直聴いているこっちも気分が悪くなりそうな内容。
そもそもこの直後にDREも脱退したことを考えると、本当に崩壊前夜という感じがしてしまいます。

M-9「Real Niggaz」はEPで先行発表された曲で、唯一EPにもアルバムにも収録された曲。
それだけに、3MCとDJ Yellaの4人がバンバンとカッコいい様を見せる1曲!
トラックもラップも文句なしにカッコいいです。


スキットを挟んだM-11「One Less Bitch」からはとにかくS〇XやBIT〇Hなどといった女性ものの楽曲が並びます。
リリックの内容はとにかく下品の極みで、対訳を見たら女性なんかは特に不快感示す人いるんじゃないかという感じです。
個人的には全体的に冷たい雰囲気が漂うM-11「One Less Bitch」、MC RENの1人舞台であるM-14「She Swallowed It」、バーとかでも流せそうな雰囲気のトラックなのにリリックの内容は下品というギャップが面白いM-15「I'd Rather F*** You」辺りが好きです。


そんな女、女ばかりの内容の後のM-16「Approach to Danger」から一気に重たい雰囲気になります。
トラックも本当に聴いているだけで危険を感じてしまいそうな不穏なトラックです。
というかEazy-Eの最後のリリックが・・・これも対訳チェック必須。

これまたスキットを挟みM-18「Dayz of Wayback, The」へ行きます。
M-3「Niggaz 4 Life」と同じく黒人の苛烈な生活を、淡々とRENとDREがラップしていく内容になっています。


これで本来ならアルバムは終わるわけですが、本作はここで終わらずEPの4曲が続くわけです。


M-19「100 Miles and Runnin'」はとにかくトラックの疾走感がすごいのですが、そこに乗っかる3人のラップも大暴れです。
聴いていて頭を振りたくなってしまうことは必至ですね。
途中でトラックが変化を見せるのもすごくカッコいいです!

後の3曲はそんなに力を入れては作られていないかなという感じです。
M-20「Just Don't Bite It」はRENとEazy-EによるS〇Xの楽曲。
M-21「Sa Prize, Pt. 2」はN.W.Aの一番の有名曲の「Fuck The Police」のセルフリメイクですし、M-22「Kamurshol」は2ndアルバム(要するにこのEPが収録されていない本来の2ndアルバム)の宣伝の為の、短めの楽曲です(トラックはM-1Prelude」と同じものが使われています)。


N.W.Aの1stアルバムから記事を書きたかったのですが、この2ndアルバム(+EP)を昨年末と今月はよく聴いていたので、記事にすることにしました。
全体を通して聴いてみるとさすがはアメリカの伝説的な西海岸HIP HOPグループの作品。
流石に計22曲という曲の多さとスキットの多さでちょっと雑多な印象は否めないですが、リリースから30年近く経った今でも色褪せていないです。

今では入手困難なEPの音源もまとめて聴けてしまうのですから、本当にこの企画を考えた方には感謝したいですね!
今から聴いてみたい方は本当にこのEP音源付きをおススメします!
N.W.Aの映画「Straight Outta Compton」が2015年に公開された影響により、音質が良い状態のCDがリリースされているので、是非チェックしてみてください!


↓M-5「Appetite for Destruction」のPV。
www.youtube.com


↓M-19「100 Miles and Runnin'」のPV。
www.youtube.com

FREE WAY / TERRY

FREE WAY


曲目リスト


1. BELIEVE feat. ERIKA
2. YOU’RE LIAR feat. ROKU, RIDE, M.O.T
3. Interlude with LB
4. Never Ever Give Up feat. LB
5. Party Cruisin'
6. FREE MAN feat. FRENZY
7. Crystal Snow feat. ERIKA
8. This Is My Feelings feat. FRENZY
9. I sing for you feat. ERIKA, CROVER


評価: ★★★★★★★☆☆☆


宮城県仙台出身のラッパー、TERRYの1stアルバム。
2011年5月25日発売。


TERRYは宮城県仙台を拠点に活動するラッパーで、2000年代にLGY(現LGYankees)のHIROが指揮をとっていた、仙台を拠点とするラッパー集団、西海岸CREWに加入してキャリアをスタート。
その中で生まれたグループであるEIGHT TRACKにも参加し、活動の場もコンピレーションへの参加や仲間のラッパーの客演などで広げていきました。
西海岸CREWが解散した後には、HIROが立ち上げた音楽レーベルであるNO DOUBT TRACKSにEIGHT TRACKのメンバーと共に所属し、HIRO主導のコンピレーション「NORTH EAST Ⅱ」に参加。
その直後に自身が所属するEIGHT TRACKの1stアルバムがNO DOUBT TRACKSからリリースされ、1万5千枚というセールスを記録。

2008年後半に他のEIGHT TRACKメンバーとNO DOUBT TRACKSを離れて独立し、自主製作でTERRYソロ名義では初の音源である1stシングルをリリースします。
手売りと通販という限られたリリースながら6000枚ほどのセールスを果たしました。

その後も客演やコンピ参加などを地道に続け、2010年で1stシングルでの人気曲であった「I sing for you feat. ERIKA, CROVER」(M-9)が着うたサイトのクラブチャートで月間1位を達成。
2010年末にはEIGHT TRACKが2ndアルバムをリリースしたこともあり、TERRYの名前もますます広がりを見せることに。

2011年、とうとうTERRY名義では初のアルバムとなる本作がリリースされました。


さて、内容に。


TERRYの特徴は力強いラップとリリック。
EIGHT TRACKの作品やコンピレーションアルバムでもそのどっしりとした貫禄のあるラップさばきは異彩を放っていました。
ただリリックの内容は湘南乃風のような不良臭さがあるため、好みは分かれるかもしれないですね。


M-1BELIEVE feat. ERIKA」は本作のリードトラックで、既に十八番となっていたERIKAとのコラボ曲。
ERIKAの歌唱とTERRYの相性の良さを見せてくれる佳曲です。
この曲を初めて聴いた時にはTERRYってこんな切ないトラックとも相性が合うラッパーなんだ、って驚いた記憶があります。

M-2「YOU’RE LIAR feat. ROKU, RIDE, M.O.T」は、ROKU & RIDEの2人と以前からSPIDER NETSで一緒にやっていたM.O.Tを客演に迎えたマイクリレーもの。
リリックの内容は前向きシットで好みは分かれそうですが、4人とも芯のあるラップと歌を聴かせてくれるので聴きごたえがあります。


M-3「Interlude with LB」は本作のリリース時の2ヵ月半前に起こった東日本大震災時のTERRYとLBの電話での会話を元にしたフリースタイルもの。
試みは面白いですが、個人的にはそんなに惹かれるものはなかったですね。
そこからのEIGHT TRACKメンバーを迎えた新曲のM-4「Never Ever Give Up feat. LB」、M-6「FREE MAN feat. FRENZY」は、強烈なギターをフューチャーしたロック調なサウンド
ある意味新鮮ではありましたが、TERRYのラップはともかくとしてLBのラップとFRENZYの歌があまり活きていない気がします。というかM-6「FREE MAN feat. FRENZY」のトラックはFRENZYの歌とはかなり相性が悪いタイプなのでは・・?
(あ、でもこの2曲に挟まれた本作唯一のTERRYの単独曲であるM-5「Party Cruisin'」はトラックの変化の仕方とTERRYのラップの乗せ方が中々面白くて良かったです)


その後のM-7「Crystal Snow feat. ERIKA」からM-9「I sing for you feat. ERIKA, CROVER」までは2008年にリリースしたEPの収録曲が続く流れです。
M-7「Crystal Snow feat. ERIKA」、M-8「This Is My Feelings feat. FRENZY」は客演の歌の使い方がとても活きていますし、TERRYのラップも中々の仕事ぶり。
最後に控えるのは上にも書いたようにTERRYの最大のヒット曲と言ってもいいM-9「I sing for you feat. ERIKA, CROVER」。
流石に宣伝文に「100万人が涙した」とあるだけあって切ない恋愛ソングです。
ただあまり客演の2人の必要性があまり感じられませんでした。TERRY1人だけでも十分聴かせる歌に出来たのでは。


全体を通してみると、TERRYの持ち味である力強いラップは十分に堪能できます。
何度もコラボしているERIKAの歌唱との相性の良さも見せつけられますし、(リリース当時では)久しぶりの共演だったM.O.Tの健在ぶりも当時嬉しかったです。

ただ上にも書いたようにEIGHT TRACKメンバーとのコラボ曲がちょっとイマイチだったのは惜しいですね。
あとTERRYは1人でも十分聴かせられる力量はあるので、もうちょっとソロ曲があってもよかったような気もします。


とはいえ良作。EIGHT TRACKやコンピレーションの作品でTERRYのラップが気になった人は是非。


M-1BELIEVE feat. ERIKA」のPV。
www.youtube.com

A Day Without Rain / Enya

A Day Without Rain


曲目リスト


1. A Day Without Rain
2. Wild Child
3. Only Time
4. Tempus Vernum
5. Deora Ar Mo Chroi (Tears On My Heart)
6. Flora's Secret
7. Fallen Embers
8. Silver Inches
9. Pilgrim
10. One By One
11. The First Of Autumn
12. Lazy Days


評価: ★★★★★★★★☆☆


アイルランドの歌手、Enyaの4thアルバム。
2000年11月17日発売。


1stアルバムの成功以降、リリースされるアルバムが百万枚単位のセールスを記録することになるEnya
中でもこの4thアルバムは全世界で1000万枚以上というセールスを記録しました。
日本でもこの頃になると人気は完全に定着したようですね。

今でも大人気なシンガーであるEnyaですが、1枚1枚に非常に時間をかけて制作されるため、キャリアに対して割とリリースアルバムはそんなに多くないんですよね。


さて、内容に。


Enyaの特徴はとにかく圧倒的な歌唱力と優しく爽やかな歌声。
聴いてみた印象としては、とにかく彼女の声を最大限に生かしている内容だと感じます。
サウンドが彼女の歌をかき消すということは一切なく、彼女の歌声を引き立たせる一心で作られたサウンドですね。


まずM-1A Day Without Rainからしていいですね。
ピアノによるインストですが、アルバムの最初としては素晴らしい幕開けです。


そこからはまさにEnyaの歌声が生かし切った内容が続きます。
M-2「Wild Child」、M-3「Only Time」はもうEnyaの楽曲史上最も有名な曲と言ってもいい2曲ですが、これはもうそうなってしまうのも心の底から頷けてしまいます。
パーッとした明るい雰囲気と、そこに乗るEnyaの歌声がこの上ない相性の良さです。

そこからのM-4「Tempus Vernum」はちょっと重たい雰囲気で、本作の中でも異色な楽曲です。
好みは分かれるかもしれませんが、個人的には好きですね。

M-5「Deora Ar Mo Chroi (Tears On My Heart)」は伴奏自体があまりなく、ほとんどEnyaの歌声で魅せている構成ですね。
Enyaのような抜群の歌唱力を持っているシンガーだからこそなせる業です。
M-2やM-3と同じような路線のM-6「Flora's Secret」を挟んだ後の、M-7「Fallen Embers」もそのような構成となっています。
どちらも聴きごたえは十分ありますよ。

M-8「Silver Inches」はインスト。嫌でも朝焼けの光景が頭に浮かぶこと間違いなしの楽曲です。本当に美しい音を作りますね。

M-9「Pilgrim」、M-10「One By One」とM-2、M-3と同路線の楽曲が続き、
M-11「The First Of Autumn」へ。
Enyaのコーラスが乗ってはいるものの、ほとんどインストに近いです。近づいては遠のいてくのを繰り返すような音のうねりがすごいですね。

最後にM-12「Lazy Days」で非常に爽やかにアルバムは幕を閉じます。
この曲がぶつっと終わる形式でなく、段々音が小さくなりフェードアウトしていく終わり方なのもいいと思いました。


なんとなく手に取った1枚でしたが、さすがに全世界で凄まじいセールスを獲得しただけはある内容ですね。
インストもとにかく音の繊細さがすごく、どこを取っても手抜きされていないのがよくわかります。
とにかく音が「美しい」。普段うるさい音楽を聴いている僕は余り体験したことのない感覚でした。

有名曲も何曲か入っているので、Enyaを知らない人でもすんなり入り込めるのでは。自分もそうだったので。
中古屋でも割とある1枚なので、興味のある方は是非どうぞ。


↓M-7「Fallen embers」。
www.youtube.com

The Best Of DS455 / DS455

The Best Of DS455(初回盤)


曲目リスト


Disc 1

1. SUMMER PARADISE ~Risin' To Tha Sun~ feat.青山テルマ
2. 僕の中の少年+~遠い記憶IV~ -New Recording Version-
3. NIGHT CRUISE~星降る夜に~ -New Recording Version-
4. Ride In Peace feat. II-J,Iz
5. LOWRIDE 4 LIFE -New Recording Version-
6. Very Special Weekend
7. Ride Wit tha D.S.C.~Just Like Me~ -New Recording Version-
8. Summer Sweetz~CIGAR & LIQUOR~
9. Still Belong In Tha Street (Ah Yeeah)
10. Throw Ya Handz Up
11. To Myself
12. Night 4 Playaz feat. MAY -New Recording Version-
13. MY SWEET HONEY feat. Kalassy Nikoff
14. White Nite
15. L.I.F.E. ~Livin' In tha Far Eastside~


Disc 2

1. Very Special Weekend -REMIX-
2. L.I.F.E. ~Livin' In tha Far Eastside~ -REMIX-
3. Still Belong In Tha Street feat. BIG RON -Smooth Radio Mix-
4. LOWRIDE 4 LIFE (REMIX) -New Recording Version-
5. NIGHT CRUISE ~星降る夜に~ Remix feat. Iz -New Recording Version-


評価: ★★★★★★★★☆☆


遅ればせながらあけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願い致します。
とりあえず今年初めに結構聴いていた日本のアルバムを一つ。


神奈川県横浜のラップグループ、DS455のベストアルバム。
2008年4月23日発売。


90年代の日本語ラップシーンではほとんど無視されていたと言ってもいいのが西海岸サウンド
キングギドラスチャダラパー、BUHHDA BRANDなど様々なラッパーがメディアに出るようになり、日本語ラップシーンというものが作成されていったものの、その全てはLL Cool JRakimNASWu-Tang Clan、Run Dmcなどの東海岸系のHIP HOPから影響を受けたものでした。
N.W.Aや2PACなどといった伝説となるラッパーが西海岸のHIP HOPシーンに登場したものの、東海岸HIP HOPほどのプロップスを当時は得られなかったのです。(名盤であるNASの1stアルバムの解説を担当していた泉山氏も解説で「東海岸びいきをやめられないでいる」ということを述べていました。それほど当時は「西海岸はダサい」というようなイメージがついていたのです)
そのような環境の中で、西海岸サウンド日本語ラップシーンの中でシーンとして存在し始めたのが2000年から。DS455が1stアルバムをインディーズでリリースしたことによって、全国各地の西海岸HIP HOPに影響を受けたラッパーやDJ達がうようよと登場し始めたのです。
2002年からはDSがメジャーデビューを果たしたことにより、ますますその勢いは止まらず。
h.g.p、NORA、PHOBIA OF THUG、LGY、GHETTO INC.、NORTH COAST BAD BOYZなどといった西海岸系ラップグループが日本のシーンでも精力的に活動を開始しました。
結果的に日本の音楽界での一つのムーブメントとなったのです!
このムーブメントは2009年くらいまで続くことになります。


そして上を読んでもらえるとわかる通り、そのムーブメントの起爆剤となったのがこのDS455
そのシーンの中心にい続けたのも、このDS455です。
1989年から活動を続け、1stアルバムをリリースしたのは結成から11年後。
メジャーデビューを果たしたのは、結成から13年後。
結果として自分たちが起爆剤となって一つのシーンを確立しただけでなく、ムーブメントまで到来。
彼らの努力の賜物が一気に出た結果と言えます。


その環境に甘んじることなく、2006年にはレーベルを立ち上げ、DSとしても積極的にシングルやアルバムをリリースしていきます。
そんなDSが結成20周年を迎える直前の2008年(結成19年時)に、ベストアルバムである本作をリリースしました。
当時はすでにアルバムを5枚、シングルを9枚リリースしていたこともあり(White NiteはDS455+BIG RON名義)、ベストアルバムを出すには十分なタイミングだったと言えるでしょう。


さて、内容に。


DSの特徴といえば90年代の西海岸HIP HOPをトラックの面でもラップの面でもその再現にこだわるスタイル。
DJ PMXが手掛けるトラックは攻撃的なものも心地よく聴けるものもありますが、爽やかさがあるのが共通点です。
それはオリジナルアルバムを聴いていても感じることですが、シングルカットされた全曲、アルバムからの代表曲を集めたこのベスト盤を改めて聴いていると、それが特に顕著に感じられます。


100%サマーチューンなM-1SUMMER PARADISE ~Risin' To Tha Sun~ feat.青山テルマ」から、情緒的なリリックで魅せるM-2「僕の中の少年+~遠い記憶IV~ -New Recording Version-」の流れで、「これはいい」と思った人は、ぜひともそのまま最後まで聴き進めてほしいですね。
その後も基本的にそのようなサウンドが続くので。
M-3「NIGHT CRUISE~星降る夜に~ -New Recording Version-」はまさにこれぞDS!というクルージングチューンですし、M-4「Ride In Peace feat. II-J,Iz」もKayzabroとII-Jの硬派なラップにIzとMAY(こちらは客演にクレジットされていませんが)の伸びやかな歌声が華を添える、さすがにアルバム曲からセレクトされただけはある良曲。


それからM-5「LOWRIDE 4 LIFE -New Recording Version-」はちょっと空気が変わり、攻撃的なトラックの上でKayzabroがパーティラップを乗せるパーティーチューン。上記の4曲を聴いてきた人にとってはちょっと異色に映るかもしれませんね。M-6「Very Special Weekend」はちょっと派手目なトラックでのクラブチューンで、これまた客演にクレジットはされていませんがMAYとIzの歌声とKayzabroのラップがばっちりのハマりを見せてくれます。
M-7「Ride Wit tha D.S.C.~Just Like Me~ -New Recording Version-」はまったりした雰囲気のパーティーチューンで、華やかな雰囲気のM-6から一気に違う雰囲気に持って行ってくれます。


M-8「Summer Sweetz~CIGAR & LIQUOR~」はM-1SUMMER PARADISE ~Risin' To Tha Sun~ feat.青山テルマ」と同じくサマーチューンですが、雰囲気は全くの別物で、カラッとしたようなトラックにA☆ZACKのトークボックスが絡みつく様が一度聴いたら耳に残ること間違いなし。
MAY(これまた客演にクレジットはry)の一瞬の歌声とKayzabroのラップ、トラックのの相性も抜群なのは言うまでもなく。
M-9「Still Belong In Tha Street (Ah Yeeah)」、M-10「Throw Ya Handz Up」はこれまでのメロウな雰囲気から一転して攻撃的なトラックのパーティーチューン。
Kayzabroのラップも中々攻撃的で、ちょっと好みが分かれそうですね。


M-11「To Myself」はまた落ち着いた雰囲気に戻り、自分たちの音楽でのヒストリーを交えながらのメッセージソングで、トピック的には割と珍しいのを持ってきましたね。HooksでのSAYのボーカルがいい味を出してます。
M-12「Night 4 Playaz feat. MAY -New Recording Version-」は今までの本作収録曲では客演にはクレジットされていなかったMAYがやっと客演としてクレジットされているパーティーチューン。
この曲ではMAYも中盤でラップを披露しており、この上なくいいアクセントになっています。
M-13「MY SWEET HONEY feat. Kalassy Nikoff」、M-14「White Nite」は恋愛ソングで、前者はKalassy Nikoff(AK-69のシンガー名義)、後者はBIG RONの伸びやかな歌声も相まって、甘さ100%の楽曲に。
Kayzabroのリリックはちょっとベタベタなところもあるものの、サラッとした声質のお陰でそれほど嫌味なく聴けます。

Disc 1の最後を締めるM-15「L.I.F.E. ~Livin' In tha Far Eastside~」は、曲名の通り人生についてラップするメッセージソング。
華やかな清涼感100%のトラックに、Kayzabroのラップが見事堪えた一曲で、この曲を最後に持ってきたのは大正解と感じます。


Disc 2はDSのオリジナルアルバムには収録されていなかった既発曲のリミックス5曲が収録されています。
M-1Very Special Weekend -REMIX-」、M-2「L.I.F.E. ~Livin' In tha Far Eastside~ -REMIX-」、M-4「LOWRIDE 4 LIFE (REMIX) -New Recording Version-」はどちらも原曲に比べるとあっさりとしたトラックのRemix。悪くはないですが原曲の方が雰囲気があって好きですね。
M-3「Still Belong In Tha Street feat. BIG RON -Smooth Radio Mix-」は原曲とは全く雰囲気が違っていて、HookはBIG RONの歌になっています。
ひたすらトラックもリリックも攻撃的な原曲とは異なり、トラックがBIG RONの歌も相まってメロウな雰囲気になっています。
かなり大胆な変え方ですが、これはこれでいいですね。ドライブ時には原曲よりこっちの方がピッタリかもしれません。
M-5「NIGHT CRUISE ~星降る夜に~ Remix feat. Iz -New Recording Version-」は、本作のリミックスでは一番雰囲気が原曲に近いかもしれません。
というか全く同じクルージングチューンですね。
ただこちらはIzが客演としてクレジットされていることもあり、原曲よりIzの存在がずっと目立っています。
実を言うと原曲よりこっちのほうが好きです。原曲よりKayzabro、Iz、DJ PMXそれぞれが活きているように感じるんです!


久しぶりにDSのベストアルバムを聴きましたが、やはりシングル曲やそれぞれのアルバムの代表曲を収録していることもあって、間違いない内容だと感じました。
ラップが下手だとかリリックに中身がないとか言われることもあるKayzabroですが、何だかんだでDJ PMXのトラックに一番合うのは彼のラップですね。
AmebreakでのインタビューでKayzabroが「俺がパブちゃん(DJ PMX)のビートでラップすれば、それはもうDSになる」と言っていましたが、本当にその通りです。

上にも書いたようにとても良いベストアルバムではあるのですが、Disc 2のRemixも含め、純粋な新曲はないので、今までのDSの音源をすべてチェックしている人や、シングルやアルバムを全て買い集めようと思っている人は無理に買う必要はないかもしれません。
ただ、本作は2ndアルバムの楽曲とDisc 2のM-4「LOWRIDE 4 LIFE (REMIX) -New Recording Version-」が「-New Recording Version-」として音質を飛躍的に向上させている上に、2ndアルバムにあった前後の楽曲のつなぎも無くなっているため、プレイリストなどに収録しやすいという利点があります。
Disc 2のRemixもすべて既発曲であるものの、それぞれのシングルを購入する手間を考えればお手軽に入手できるという利点もありますね。
どちらを選ぶかは自由ですが、どうしてもインストが欲しいという人でなければ本作を手に入れる方がお得かなと思います。
通常盤にはDisc 2が付いていないので、今から手に入れようと思う方はぜひDisc 2が付いた初回限定版を。


1つのシーンを作り上げたグループの間違いないベストアルバム、興味のある方は是非どうぞ。


↓Disc 1のM-4「Ride In Peace feat. II-J,Iz」。
www.youtube.com

↓Disc 2のM-1Very Special Weekend -REMIX-」。
www.youtube.com

The Hunger For More / Lloyd Banks

The Hunger For More


曲目リスト


1. Ain't No Click feat. Tony Yayo
2. Playboy feat. DJ Whoo Kid
3. Warrior
4. On Fire feat. 50 Cent
5. I Get High feat. 50 Cent, Snoop Dogg
6. I'm So Fly
7. Work Magic feat. Young Buck
8. If You So Gangsta
9. Warrior Part 2 feat. 50 Cent, Eminem, Nate Dogg
10. Karma feat. Avant
11. When The Chips Are Down feat. The Game
12. Til The End feat. Nate Dogg
13. Die One Day
14. South Side Story
15. Just Another Day
16. Take A Good Look


評価: ★★★★★★★★☆☆


皆さんお久しぶりです。仕事先で新たな場所で仕事することになり、奔走していました。
とりあえず今年の〆として本作を紹介させて頂きます。
今月に入って、結構聴いていた作品なので・・。


アメリカのNY出身のラッパー、Lloyd Banksの1stアルバム。
2004年6月29日発売。


HIP HOPミュージシャンは過酷な家庭で育った経歴を持つラッパーが多いですが(というかそもそもそれがHIP HOPという文化においては一種のステータスになっている)、このLloyd Banks(以後Banks)も例外ではありません。
Banksの両親が未婚の状態でBanksは産まれ、父親はほとんど刑務所にいるという家庭でした。
自身が所属するG-UNITのメンバーであるTony Yayo(以後Yayo)と同じストリートで育ったのです。

50 CENT(以後50)が友人であるYayoとラップグループのG-Unitを結成したのが1997年だったのですが、Banksは当時学生だったこともあってか共通点が少なく、そんなに一緒には活動していませんでした。
2000年に50が銃撃事件に巻き込まれ、地元に帰った際に、Banksが少しスタイルが変わった、ということをYayoから聞きつけ、Banksが自分たちのスタイルと合ったスタイルになったということを認識したのです。

それが結果的に彼のG-Unit加入に繋がったのは2001年9月10日の夜(偶然にも911の前夜)のこと。
とあるクラブの前で営業活動を終わった後にタムロをしていたメンバーに対し、何者かが発砲し、5人がケガをしたという事件が起こりました。
その内の1人がBanksだったのです。
その時に「過去に自分も撃たれた経験がある」50に対し、彼に付いていくことを心に決め、G-Unitへ加入することに。

50がG-Unitとしてリリースするミックステープに参加するようになり、様々なHIP HOPミュージシャンから注目を浴びることになります。
2003年にリリースされたG-Unitの1stアルバムがセールス的にも話題作になったこともあり、リスナーからも要注目のラッパーの1人になりました。
50からも「生涯のダチ」と言われるほどの信頼を獲得。


2004年にとうとう、初のソロアルバムである本作をリリースしました。
当然ながら話題作となり、100万枚以上のセールスを記録し、様々な賞にノミネート。
G-Unitの1stアルバムの成功により、ただでさえ名前の広がっていたBanksの名前をさらに音楽業界に刻み込みました。


さて、内容に。


Banksの特徴はまるで聴いているこっちも舌がもつれてしまいそうなくらいのラップさばき。
G-Unitの1stアルバムでも50やBuckがホニャホニャ、モッサリとしていたラップをしていただけに彼のスタイルも強烈なスタイルとして映っていました。
そんな彼の1stアルバムである本作。
50周辺のミュージシャンたちにもある聴きやすい雰囲気もあるものの、50やG-Unitの1stアルバムに比べるとハードな雰囲気を放っています。


まず銃声のイントロから始まる、POPさの欠片もないハードなビートにラップが乗っかるM-1Ain't No Click feat. Tony Yayo」から存分にヤバさがわかるというもの。
所々でYayoからの煽りを受けながら淡々とラップを乗せていくBanksがカッコいいのは勿論ですが、最後のバースで一気に暴れまわるYayoの鬼気がすごいです!
他の作品(50やG-Unitの1stアルバムやミックステープ)では余り存在感が無かった(ように個人的に感じた)Yayoですが、この曲ではすごくカッコいいと感じました。

その後もBanksのラップの味が楽しめるナンバーが続きますが、個人的にはM-3「Warrior」、先行シングルカットされたM-4「On Fire feat. 50 Cent」がお気に入りです。前者はちょっと歌心もあるタイトル名を言うHook、後者はHookでもひたすらラップを込めまくる様がとても聴きごたえあり。
後者はヒットしたのも頷けますね!(その次に控える50とSnoopが参加したM-5「I Get High feat. 50 Cent, Snoop Dogg」はそれぞれのバースはいいものの、50が担当するHookがイマイチでちょっとつまずいた感が否めないものの)


そしてこれまた先行シングルカットされたM-6「I'm So Fly」。
これはもうBanksだからこそできた曲と言っても過言ではないですね。
リリックの内容はひたすらビッグマウスなものの、包むようなシリアスなトラックとBanksのラップの相性が何とも言えない良さです。
この後に続くM-7「Work Magic feat. Young Buck」という飛び切りハードな曲に行く流れも聴いていて楽しい(まあ和訳を見るととても楽しいなんて言ってはいけない内容ですが・・)です。


M-6「I'm So Fly」と似たような路線のM-8「If You So Gangsta」を挟んだ後に控えるのがM-9「Warrior Part 2 feat. 50 Cent, Eminem, Nate Dogg」。
M-3「Warrior」の続編となるわけですが、本作の中盤のハイライトと言っていい楽曲ですね!
50にEminemとBanksのマイクリレー、HookをNate Doggが担当するという構成ですが、全員持ち味を生かしたパフォーマンスを披露。
シンプルながらもハードなトラックも半端なくカッコいいですし、この曲だけでも本作を聴く価値はあります。

M-10「Karma feat. Avant」はそれまでのハードな展開とは違いHookにAvantの歌を採用したちょっと異色な曲ですが、Banksとのラップはしっかりハマっています。
ドライブのBGMにはもってこいでしょうね!
最も続く楽曲が本当に重たい内容なので、使うとしたらこの曲のみにした方がいいかもと思いますが・・。(M-11「When The Chips Are Down feat. The Game」は思ったよりGameが目立っていませんでした。M-12「Til The End feat. Nate Dogg」は暗すぎるトラックとNate Doggのバックコーラスの調和がナイス)
後半はひたすらハードなトラックの上でBanksがラップするという内容。どの曲もトラックとBanksのラップの相性が抜群で、客演なしでもしっかりと聴き通せる内容になっています。


M-15「Just Another Day」、M-16「Take A Good Look」の2曲は国内版限定のボーナストラックです。
前者は臨場感のあるトラック、後者はシンプルなトラックの上でBanksが硬派なラップを乗せる楽曲。
どちらもBanksのラップが冴えた内容で、是非ともチェックしてほしい楽曲です。
ボーナストラックまでしっかりと楽しめる内容になってますよ。


全体を通してみると、流石に50と共にEminemらが惚れ込んだのもあり、Banksの才能をこれでもかと言うくらい感じられる内容になっています。
G-Unitが2003年から2005年まで一種のブーム状態になったのも頷けますね。
シングルの「On Fire feat. 50 Cent」(M-4)、「I'm So Fly」(M-6)だけかと思ったら大間違い。
シングルカットしてもいいと感じる曲が他にもたくさんあります!
もう15年近く前の作品ですが、今聴いても色あせてないですよ。


しかしながら、最近のBanksはもう音楽活動に対する意欲が減ってしまったらしく、今年のネットニュースで「またアルバムを出してくれよ」というファンに対し、SNSで「現実を見てくれ。もう俺のことを注目している奴なんて一人もいないよ」と発言したことが取り上げられていました。
これだけのいい作品を出せるラッパーなのに・・ちょっともったいない気もします。
最も、ダラダラ続けるよりはいいのかな、なんて気もしますが。


とりあえず、今聴いても全く色あせていない作品、興味があればぜひチェックしてください!

↓M-10「Karma feat. Avant」のPV。
www.youtube.com