りくぼーの音楽感想倉庫

音楽CDの感想を綴っていきます

It Was Written / Nas

It Was Written


曲目リスト


1. Album Intro feat. AZ
2. The Message
3. Street Dreams
4. I Gave You Power
5. Watch Dem Niggas feat. Foxy Brown
6. Take It In Blood
7. Nas Is Coming feat. Dr. Dre
8. Affirmative Action feat. The Firm (AZ, Cormega & Foxy Brown)
9. The Set Up feat. Havoc
10. Black Girl Lost feat. Joel "Jo-Jo" Hailey
11. Suspect
12. Shootouts
13. Live Nigga Rap feat. Mobb Deep
14. If I Ruled The World (Imagine That) feat. Lauryn Hill
15. Silent Murder


評価: ★★★★★★★★★☆


HIP HOP界のレジェンドラッパーの1人であるNasの2ndアルバム。
1996年7月2日発売。


前作がHIP HOPの歴史的作品となり、早くも世間からの称賛を味わったNas
当然の事ながらこの2ndアルバムにも多大なる注目が注がれました。

余りにも高評価を浴びた「Illmatic」の後にアルバムを作るというプレッシャーは半端ではなかったでしょう。


前作は東海岸の本気!としてNYのプロデューサーで固められていましたが、本作は西からDr. Dreも参加しています。
それだけ前作とは違う作品を作ろう、いいものを作ろうという意気込みを感じますね。
そこら辺も恐らく話題になったのでしょうね。

そんな大注目の中リリースされた本作は全米チャート1位、瞬く間に300万枚を売り上げ、商業的には成功することができました。
しかし、残念ながらHIP HOPファンからの評判は芳しくなく、Nasにとっても「失敗作」という位置付けのようです。


さて、内容に。


R&Bシンガーをfeatしたり、マイクリレーものがあったりと、前作にはなかった様々な試みがされており、比較的一般受けがしやすいであろう作品に仕上がっています。
それが「ハングリーさがない」などのイメージに繋がり、酷評されたのかもしれませんね。


しかし個人的には一つの作品として素直に聴いてほしいですね。純粋に中身を見れば、間違いなく素晴らしい作品です。


Nasのラップは相変わらずのキレ具合で、ナイフのような鋭いフロウ、癖のないスムーズなラップを聴かせてくれます。対訳を見てもリリシストぶりも健在。

トラックも様々なトラックが用意されていますが、本作の半分以上のトラックを手がけたTrackmastersをはじめ、見事にNasのラップの魅力を引き出すことに成功しています。
それがfeat陣があくまで脇役で、しっかりとNasというラッパーの作品となっている要因なのでしょう。


特にM-2「The Message」、M-3「Street Dreams」、M-4「I Gave You Power」はNasのラップとトラックの相性が素晴らしく、絶対に一度は聴いてほしい楽曲に仕上がっていますね。

M-2「The Message」はStingの「Shape Of My Heart」という大ネタ使いが発売当時は顰蹙を買ったらしいですが、個人的にはどこに顰蹙を買う要素があるのか…。


R&Bシンガーとfeatした楽曲でもNasとR&Bシンガーの妙が楽しめ、M-5「Watch Dem Niggas feat. Foxy Brown」では単調ながら聴き応えのあるトラックの上でNasのキレキレのラップとFoxy BrownのHookのコーラスの比がたまらないです。

そして一番驚いたのがM-10「Black Girl Lost feat. Joel "Jo-Jo" Hailey」。
憂鬱なトーン暗めな楽曲が多めのこの作品の中でずば抜けて爽やかなトラックで、アルバム全体としてもいいアクセントになっていますが、爽やかなトラックでもNasのラップを魅せることができるということを証明した楽曲だと思います。
Joel "Jo-Jo" Haileyの好演もあって非常に聴きやすい、素敵な化学反応が楽しめる楽曲になっています。


他にも結構な聴きどころもあり、
確かに聴きやすい楽曲が多いですが、それで切り捨ててしまうには余りにももったいない、良曲揃いの作品です。
しかし高評価を得たアルバムの後のアルバム作りって本当に難しいんですね。
これだけの作品を出したのにも関わらず「売れ線」、「軽い」、「ガッカリ」などの言葉で一蹴され酷評されてしまうとは。
前作「Illmatic」の呪縛は余りにも大きかったようです。

最も、段々このアルバムも再評価され始め、やっと評価を受けられるようになりました。
これからも間違いなく再評価され続けていくであろう作品、是非聴いてみてください。


↓M-2「The Message」のPV。
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ひまわり / 遊助

ひまわり


曲目リスト


1. ひまわり
2. さくら物語
3. そよ風
4. ひまわり -instrumental-


評価: ★★★★★★☆☆☆☆


遊助こと上地雄輔の1stシングル。
2009年3月20日発売。


2008年、クイズ番組「ヘキサゴンⅡ」から上地、つるの、野久保からなるアイドル?(つるのはもう既婚者でしたけど)ユニットの羞恥心が大当たりして、ちょっとしたヘキサゴンブームが起こりました。
世間的にはGReeeeN矢島美容室に並んだ2008年音楽界でのブームでしたね。


その後も島田紳助プロデュースでヘキサゴンかららくだとカッパ、一発屋2008など様々なユニットが結成され、2008年にヘキサゴン史上初のコンサートが開催。
そのコンサートで上地が他のメンバーやファンに内緒で友人である餓鬼レンジャーのDJ N.O.B.Bと一緒に制作していた、今までお世話になった人への感謝の曲をサプライズで披露したのです。

その楽曲が、このタイトル曲「ひまわり」。
元々はCDでは出さないって言ってたみたいですが、上地の人気が当時は絶大だったのもあり、SONYからリリースされました。
上地の歌手としての名前、遊助の1stシングルとして。
なんと初動売り上げは20万枚越え。


さて、内容に。


羞恥心の時から上地に関しては余り歌は上手くないなあと思っていましたが、ソロで聴いてもやっぱり上手くはないですね。
終始一本調子ですし、伸ばすところものぺーっとしてますし。
歌唱力を重視する人なら間違いなく気に入らないでしょう。


しかし、上地の声と良くも悪くもまっすぐな詞、今回の3曲で用意されたポップで聴きやすいトラックの相性は意外にも悪くなく、企画ものとしてだけでなく音楽としてもしっかり成立する楽曲に仕上がっています。
所々には「ほう」と声を出してしまうような詞もありますし、M-3「そよ風」なんかは上地の声と和風なトラックがバシッとハマってます。


皮肉にも一番良かったのが最後の「ひまわり -instrumental-」だったりします。
シンプルなトラックですけど、上地の歌が入っているver.では分からなかった変調などがあり、中々楽しんで聴けました。
コーディネートやアレンジもしやすいと思うので、何かの素材にもいいかもしれませんね。


Youtubeで生の音源を聴いた時は歌の上手くなさが目立っていて余りいい印象を持てませんでしたけど、CDになると予想以上に聴ける楽曲になっていてちょっとびっくりしました。
所々に悪い意味で素人っぽさが目立っている所がありましたけど、まだ許容できる範囲です(ただ、M-2「さくら物語」のサビは余りに捻りが無さすぎてどうかと思いましたけど)。


M-1ひまわり」以外の3曲はこの作品でしか聴けず、値段もかなり安くなっていますので、興味のある方は買ってみてもいいかもしれません。
ただ、やっぱり上地ファン向けですかね。


M-1ひまわり」のPV。(スマホからはYouTubeアプリでご覧下さい)
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The Rising Tied / Fort Minor

Rising Tied


曲目リスト


1. Introduction
2. Remember The Name feat. Styles Of Beyond
3. Right Now feat. Black Thought Of The Roots, Styles Of Beyond
4. Petrified
5. Feel Like Home feat. Styles Of Beyond
6. Where'd You Go feat. Holly Brook, Jonan Matranga
7. In Stereo
8. Back Home feat. Common, Styles
Of Beyond
9. Cigarettes
10. Believe Me feat. Bobo, Styles Of Beyond
11. Get Me Gone
12. High Road feat. John Legend
13. Kenji
14. Red To Black feat. Kenna, Jonah Matranga, Styles Of Beyond
15. The Battle feat. Celph Titled
16. Slip Out The Back feat. Mr. Hahn


評価: ★★★★★★★★☆☆


世界的に有名なミクスチャーバンド、LINKIN PARKのMCであるMike ShinodaのHIP HOPプロジェクト、Fort Minorの1stアルバム。
2005年11月22日発売。


Mike Shinodaは父親が日系アメリカ人、母親がロシア系アメリカ人であるため、日本名もあります。
Kenji」(M-13)は彼の日本名です。

2005年当時はもう既にLINKIN PARKは成功を獲得していて、MC担当であったMike Shinodaがサイドプロジェクトを立ち上げようと思い、結成されたのがこのHIP HOPプロジェクト、Fort Minorです。

プロジェクトに参加したメンバーがfeatという形で参加しています。
なので実質Mike Shinodaのアルバム、と言っていい気もしますね。
ほぼ全ての楽器の演奏と作曲はこの人がやったそうです。気合いを感じられるエピソードですね。

監修はLINKINと以前から交流があるHIP HOPプロデューサーのJAY-Z
活動の幅広いですねこの人。


さて、内容に。


LINKINとは全く違うプロジェクトでHIP HOPプロジェクトと掲げているだけに、ミクスチャー色はなく、むしろかなり初期のHIP HOPマナーに誠実な作りです。
こんなHIP HOPど真ん中な作品が2000年代に出されたのは当時のHIP HOP状況から見ても衝撃的だったのでは。


ストレートなループトラックの上で、様々なMCがマイクリレーを繰り広げていく様は定番ではありますけど、非常に聴きごたえがあって小気味良いです。
どのMCもMike Shinodaに勝るとも劣らないラップを披露しています。
トラックもシンプルながら様々な楽器の音が転がっており、Mike Shinodaの音職人としての仕事も聴かせてもらえます。


そんな中でもやはりシングルカットされたM-2「Remember The Name feat. Styles Of Beyond」、M-10「Believe Me feat. Bobo, Styles Of Beyond」の2曲が飛び抜けているでしょうか。
M-2「Remember The Name feat. Styles Of Beyond」はStyles Of Beyondが初っぱなからこの作品一番の仕事を見せてくれますし、M-10「Believe Me feat. Bobo, Styles Of Beyond」はクラブでもかけられそうなガッチリとした硬派チューンで、この作品の収録曲の中では一番色々なリスナーに受け入れられやすいと思います。


ちなみにM-13「Kenji」は彼の家族の第二次世界大戦での実話を元にした楽曲で、対訳を見ると本当に当時の悲惨すぎる状況がイメージできます。
ただただ聴いてほしい楽曲です。


さらにこの作品のすごいのはとにかくバランスが素晴らしいんです。
誰かが前に出すぎるわけでもなく、足を引っ張るわけでもなく。
曲自体もHIP HOP好きなリスナーにも聴けて、それ以外の音楽が好きな人でもとっつきやすい。
M-1Introduction」からM-16「Slip Out The Back feat. Mr. Hahn」まで、飽きることなく聴かせてくれる。
ここまでバランスがいい作品に出会えたのは久々かも。


Mike Shinodaという男の本気が詰まった、誰にでもオススメできる快作。
是非聴いてみてください。


↓M-4「Petrified」のPV。
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オレンジボール / ORANGE RANGE

オレンジボール


曲目リスト


1. 奏重鼓
2. ガジェットグルーヴ
3. キリキリマイ
4. フラワーガーデン
5. 中毒
6. ベロシティー
7. ファンクテューン
8. 奏重鼓(RKDRMX)


評価: ★★★★★★☆☆☆☆


沖縄のミクスチャーロックバンド、ORANGE RANGEがメジャーデビュー前にインディーズからリリースしたミニアルバム。
2002年2月22日発売。


ORANGE RANGEは2001年に高校の仲間内で結成されたバンドであり、アマチュア時代から地元沖縄で精力的な活動を行い、高校生バンドでありながら年間70近くのライブに参加。
最初は山嵐Dragon Ashなどの先輩ミュージシャンのカバーを行っていましたが、メンバーが固まってきたらオリジナル曲を作り出すようになっていきました。

そのオリジナル曲がこの作品に収録されている曲というわけです。
なのでライブなどで見ていた人にとってはベスト盤的な作品だったのでしょうね。

最初は沖縄での限定販売でしたが、2004年に全国で再版されました。


内容はというと、当時のORANGE RANGEがいかにライブバンドであったかが分かる、ファンなら間違いなく楽しめる一枚になっています。


何といっても良かったのはM-2「ガジェットグルーヴ」、M-4「フラワーガーデン」の2曲。

M-2「ガジェットグルーヴ」はこの作品の中で一番ラップらしいラップを聴くことができますが、この頃のORANGE RANGEならではの粗削りなラップが楽しめます。詞の内容も中々面白いですよ。
M-4「フラワーガーデン」もまた粗削りな部分がいい感じに生かされた楽曲になっており、聴きごたえがあります。


後の楽曲はライブなら間違いなく盛り上がるであろう楽曲で、軽いラウドロックサウンド、といった感じでしょうか。
M-1奏重鼓」がこの系統では一番です。
「これぞライブバンド!」というサビの爆発力と迫力を見せてくれます。

ちなみにM-3「キリキリマイ」とM-6「ベロシティー」は名前の通りメジャーデビュー後の楽曲「キリキリマイ」、「ベロシティー3000」の元曲です。
良くも悪くも軽いですね。
詞が少し違う部分があるので比べてみるのも面白いかもしれません。

ちなみにあるメンバーの声が今とは少し違います。聴いてからのお楽しみで。


ただ3MCという個性を余り生かせていない部分もあったり、音もとにかく軽いのでかなり好き嫌いが分かれると思います。

しかしどの曲もこのアルバムでしか聴けませんし、当時の彼らを味わってみるのもいいかと。


というわけで、どちらかといえばこの作品はORANGE RANGEファン向けの作品です。
これからORANGE RANGEを聴こうと思っている人には余りオススメしません。
そのような人はまずはメジャーデビュー後の作品をオススメします。


↓M-7「ファンクテューン」のライブ映像。
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The Marshall Mathers LP / EMINEM

MARSHALL MATHERS LP


曲目リスト


1. Public Service Announcement 2000
2. Kill You
3. Stan feat. Dido
4. Paul skit
5. Who Knew
6. Steve Berman
7. The Way I Am
8. The Real Slim Shady
9. Remember Me? feat. RBX, Sticky Fingaz
10. I'm Back
11. Marshall Mathers
12. Ken Kaniff skit
13. Drug Ballad
14. Amityville feat. Bizarre from D-12
15. Bitch Please II feat. Dr. Dre, Snoop Dogg, Xzibit, Nate Dogg
16. Kim
17. Under The Influence feat. D-12
18. Criminal


評価: ★★★★★★★☆☆☆


アメリカの白人ラッパー、EMINEMの3rdアルバム。
2000年5月23日発売。


1999年にリリースした2ndアルバム「The Slim Shady LP」が800万枚というセールスを挙げ、大成功という結果を収めたEMINEM
「黒人のコミュニティ音楽」としての役割が強いHIP HOPの世界では白人のラッパーなんて前代未聞でしたし、何よりHIP HOP界隈では知れない人間はいないDr. Dreががっちりプロデュースしてましたしね。
瞬く間にリスナーの間では話題になり、この3rdアルバムに対する期待もかなり世間的に大きくなっていたんでしょうね。
結果として、前作を越える成功を納めることになります。


なんとこの作品、発売1週間で179万枚というセールスを記録し、ギネスブックに登録される快挙を成し遂げたのです。
最終的に1700万枚という凄まじいセールスを記録。
最も余りに売れすぎたので色々物議を醸した作品でもあるのですが。
やっぱり有名になるとリスクもありますね。


また前置きが長くなりそうなので内容に行きましょう。


作品名に自分の本名が入っているだけあり、生い立ちなどのリリックが多めの比較的シリアスな内容の楽曲が多いですね。
しかしどんなトラックでもタフに乗りこなし、様々なフロウで魅せてくれるEMINEMのラップや客演の好演のお陰で中々聴かせてくれる佳作になっています。


M-7「The Way I Am」、M-14「Amityville feat. Bizarre from D-12」など鬼気迫る楽曲はEMINEMの狂気じみたラップがリスナーにゾクゾクした恐怖を届けてくれる楽曲ですね。
虐待を受けた母親に対する憎悪をラップしたM-2「Kill You」、ほとんど侮辱的な内容の元妻へのラブソングM-16「Kim」なんかもEMINEMの葛藤が伝わってくる楽曲に仕上がっています。
この2曲で曲としては魅せ方が違うのもすごいですね。
流石はEMINEM。初ステージでは黒人からブーイングの嵐を食らった経験があるだけに半端ない力量を持つ男です。


哀愁漂うトラックの上でラップでは暴れまわり、Hookでは落ち着いた雰囲気を魅せるM-11「Marshall Mathers」なんていう楽曲もあります。ちなみにその路線で一番よかったのはM-3「Stan feat. Dido」。
Didoの「Thank You」をサンプリングした楽曲ですが、最初は普通のファンだった男が段々ストーカーのような狂気に満ちた男に変貌していく様を描いたストーリーテーリングもので、非常に冷たい雰囲気を味わえる楽曲になっています。


他の系統の曲で良かったのは、まずM-8「The Real Slim Shady」。コミカルなトラックの上でEMINEMのラップが暴れまわる、EMINEMにしか作れないであろう楽曲になっています。

後はM-15「Bitch Please Ⅱ feat. Dr.Dre, Snoop Dogg, Xzibit, Nate Dogg」ですね。
シンプルなトラックの上に変わる変わるラップを乗せていくマイクリレー楽曲ですが、EMINEM含む5人がそれぞれいい仕事っぷりを見せてくれるマイクリレーの醍醐味が味わえる楽曲です。


ただ苦言をいうと、もうちょっとバチーンと来る曲が欲しかったかも。全体的に綺麗にまとまっているアルバムなんですけど、そこにあと一味あれば…という感じです。

またEMINEMは声に癖があり、リリックの内容もアクが強く、リスニングが出来る人なら嫌悪してしまう人もいるかもしれませんね。
聴く人を選ぶかもしれません。
やはり買う前に試聴はした方が無難かも。
それでビビッときたら是非どうぞ。
無論、EMINEMファンなら必聴です。


↓M-3「Stan feat. Dido」のPV。
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NORAAAH!! / NORA

NORAAAH!!


曲目リスト


1. Beautiful Sunday
2. Kawasaki City (Skit)
3. High-Ero-Graph
4. NORA WALK
5. パフパフ・モンデ・オールアップ
6. 044-045 (Shit) feat. Shalla
7. Real Smokers Shit
8. Too Dogg
9. The Page of 23
10. Visualize
11. Loungin'


評価: ★★★★★★★★★☆


神奈川県川崎市の武蔵小杉から生まれたラップグループ、NORAの1stアルバム。
2003年4月5日発売。


NORAは2000年に結成されたグループで、当時のメンバーはTicky "D" Tac、GIPPER、NEECH、YOZE、TRIPPEN、Mascott Boy、AK the Bandee、Jun、Lay-D Chill、FUEKISS!!の10名。なんとこの当時にはAK the BandeeとLay-D Chillという女性メンバーが2人いたのです。今のNORAメンバーから思うとちょっと想像できないですよね。僕も初めて知った時は驚きました。


川崎丸子や武蔵小杉などでライブを重ね、リスナーからのプロップスを得ていきました。
そうしてリスナーからのプロップスを高めた上でこの作品の全国リリースに踏み切った訳です。
メンバーのGIPPERもとあるインタビューで、「ラッパーになるためには?」という質問に、「積極的にライブをすることかな。人に見てもらわないと上達しないからね」ということを発言していましたが、恐らくこの経験があってのことなんでしょうね。


最も、何故か日本語ラップリスナーから批判の的にされがちで手を伸ばされにくいWEST SIDEサウンド系のグループに分類されているため(何故か一般層には比較的人気ですけどね)、余りHIP HOPファンからは認知度はないかもしれませんね。
何故HIP HOPファンは線引きがこうも大好きなんですかね〜。個人的にはこういう線引きは余り好きじゃないんですけど。


また話が脱線しそうなので内容に。


とりあえず言うと、いい意味で「おかしい、不思議」な作品です。


曲構成、ラップ、トラック…全てにおいてです。


NORAのトラックメイカーであるFUEKISS!!の作る音は日本のラップシーン、いや音楽シーンでもかなり独特で多彩です。打ち込み系のトラックもあれば、爽やか系のトラックもあり、重苦しいトラックもありと。
しかしそのどれもがいい曲なんですよ。当時はまだ20代そこらだった筈なのに…すごいです。


そしてそのFUEKISS!!のトラックの上にメンバーがラップを乗っけていく訳なんですが、見事にみんな曲者だらけで、まるでアニメや漫画の世界。
集団でありながら大人数でのマイクリレーものはなく、1人か2人のMC又はシンガーで全ての曲が構成されていますが、その分全てのメンバーの味をじっくり堪能できます。

トラックとそれぞれのメンバーのラップの相性も抜群で、FUEKISS!!とMC&シンガー陣の力量の賜物ですね。


どの曲もオススメですが、ずば抜けている曲を選ぶとすれば、

まずM-3「High-Ero-Graph」。この曲ではNEECHもいい感じに怪しいラップで序盤を盛り上げてくれるのですが、2バース目と3バース目のGIPPERのバースがもうこの人にしか書けないですよ…というくらいの独特なリリックとエロエロっぷり。
あ、くれぐれも子どもいる横でかけちゃダメですよ。

M-4「NORA WALK」もとにかくGIPPERとAK the Bandeeの暴れっぷりと低音が利いたトラックの怒髪天っぷりが凄まじい名曲。
そしてNEECHとYOZEが打ち込み系トラックの上で雑多なマイクパスを繰り広げるM-5「パフパフ・モンデ・オールアップ」、GIPPERが相変わらずパンチライン連発の強烈なラップを繰り出すM-7「Real Smokers Shit」、後にユニットⅡ Doggを結成するTRIPPENとYOZEが怪しげなトラックの上で狂暴に駆け回るM-8「Too Dogg」なんかはもう今作のハイライトといっていいですね。


ちなみに爽やかな曲で一番よかったのはアルバムの最後を飾るLay-D Chillの一人舞台、M-11「Loungin'」ですね。
本当にこの曲は最後に相応しい爽やかさで、いい後味を聴いた後に残してくれます。


どの曲も方向性もバラバラで、MCやシンガー陣の個性も強いのに、何故か1枚のアルバムとしてしっかり聴けてしまう、何より他のCDでは聴けないような音楽がぎっしり詰まった作品です。
この頃のNORAだからこそ作れた唯一無二の作品、と言っても過言ではないと思います。
是非聴いて、その不思議な内容を体感してみてください。


↓M-9「The Page Of 23」。何故かジャケがベスト盤ですが、この曲はベストには収録されていません。
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Aaron Carter / Aaron Carter

Same


曲目リスト


1. Intro
2. I Will Be Yours
3. Surfin' USA
4. Crazy Little Party Girl
5. One Bad Apple
6. I`m Gonna Miss You Forever
7. Tell Me How To Make You Smile
8. Shake It feat. 95 South
9. Please Don't Go Girl
10. Get Wild
11. I'd Do Anything
12. Ain't That Cute
13. Crush On You
14. Swing It Out
15. Surfin' USA(Johnny Jam and Delgado Mix)


評価: ★★★★★★★☆☆☆


Nick Carterの弟の俳優&歌手、Aaron Carterの1stアルバム。
1997年12月1日発売。
とはいっても、本作はUS盤であり(最初にリリースされたのはヨーロッパ盤)、1998年6月6日発売です。


7歳の頃からバンドを組んだり、Nick CarterのBackstreet Boysとしての活動を見ていたこともあり、音楽に関しては様々な部分を見てきた、と言っても過言ではないAaron CarterがPOPアイドルとしてリリースしたのがこの1stアルバムです。
ちなみに当時若冠10歳でした。


このアルバムはNick Carterの弟が出したアルバムということで中々の好セールスを記録し、日本でも国内盤がリリースされましたね。
ちなみに日本の国内版はジャケットが違います。


しかし、あくまで推測ですけどAmazon USA版のレビューでの賛否両論っぷりを見ると、歌もそこまで上手いわけでもないせいか「Nick Carterの七光り」って声も結構あったんじゃないですかね。
最も当時10歳のAaronにとっては目の前の事で精一杯で、そんな声はどこ吹く風だったんでしょうけど。


内容はというと、当時のAaronの子どもの声を生かしたPOPアルバムになっています。
Aaronの歌は余り上手くはないですけど、可愛らしい声は子どもならではの特徴で、軽いPOPサウンドとの相性は中々いいですね。


特にM-2「I Will Be Yours」、M-6「I'm Gonna Miss You Forever」、M-11「I'd Do Anything」なんかは本当にしっとりとしたサウンドとAaronの声がこれ以上ないくらいにバシッとハマっており、前半、中盤、後半それぞれのハイライトと言っていいですね。
3曲とも聴いていてリラックスできるような楽曲に仕上がっています。


他ではパーティーチューンでもM-5「One Bad Apple」、M-7「Tell Me How To Make You Smile」の2曲は軽くて明るいサウンドにAaronの声が乗り、パーティーチューンとAaronの甘い歌声の組み合わせが楽しめる曲になっています。
またUS盤のボーナストラックの「Surfin' USA」はThe Beach Boysのカバー曲ですが、M-15のRemixが中々ノリノリな楽しいRemixに仕上がっており、聴き応えがありましたね。


ただ、当時のAaronの声を生かした作品であるとはいえ、結構好みが分かれる作品だと思います。
ちょっと癖のある声ではあるので、Amazon USA盤の賛否両論っぷりも頷けなくはないですね。
後、中々クールなサウンドな楽曲もあるんですが、それらは正直Aaronの声にあっているかと言われると微妙です。特に後半のパーティーチューンはそれが顕著に出ており、悪くは無いんですけど良いかと言われると…。


個人的にはこのAaronの歌も嫌いではありませんし、興味がある方は聴いてみて損はないと思う作品なのですが、その前に一度試聴なりしてみることをオススメします。
それでビビッときたら、是非どうぞ。

(何か「ピンときたら110番」みたいな〆の言葉になりました…)


↓M-6「I'm Gonna Miss You Forever」のPV。
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