りくぼーの音楽感想倉庫

音楽CDの感想を綴っていきます

The Freestyle Megamix / Bobby Brown

Free Style Mega-Mix


曲目リスト


1. The Free Style Mega-Mix (12" Version)
2. Girl Friend
3. Girl Friend (Instrumental)
4. Seventeen (Extended Club Version)
5. Seventeen (Radio Edit)
6. Seventeen(Instrumental)
7. Seventeen (Bonus Beats)


評価: ★★★★★★☆☆☆☆


アメリカのR&Bシンガー、Bobby Brownのフリースタイルを纏めたEP。
1991年2月25日発売。


80年代も終わりに差し掛かる頃に、キラーチューン「Every Little Step」を世界的に大ヒットさせ、2ndアルバム「Don't Be Cruel」もアメリカで500万枚以上、世界で1000万枚以上というセールスを記録。
日本でも「ボビ男」という社会現象を巻き起こしたBobby。

1992年にリリースした3rdアルバム「Bobby」も、200万枚以上のセールスを叩きだすヒットアルバムに。


その4年間のインターバルの中にもリミックスアルバムなどBobby関連の音源リリースはありました。
その中でひっそりとリリースされたのが本作です。

リミックスアルバムというのはオリジナルアルバムと同じくらい話題になることもありますが、本作はBobbyのフリースタイルをMIXしたものに加えてBobbyの過去のアナログ音源をプラスしたという、フリースタイルミックスアルバムです。かなりマニアックな代物。

Bobbyのファンの方でも知らない方もいるのではないでしょうか?
ネットで検索かけても余り情報は出てきませんし。


とりあえず内容に。


M-1The Free Style Mega-Mix (12" Version)」は、Bobbyの人気曲である「On Our Own」、「Don't Be Cruel」、「Every Little Step」、「My Prerogative」の計4曲のフリースタイルをRita LiebrandがMIXした本作の目玉曲。

MIXとしてはまずまずの出来かなという印象です。
特に「Don't Be Cruel」から「Every Little Step」に繋がる流れは中々かっこいいです。
本作の一番の聴きどころとしてはそこですね。


純粋な新曲(?)はその一曲のみで、後はBobbyが過去にアナログでリリースした音源を収録しています。

M-2「Girl Friend」はBobbyが1986年に初めてリリースした1stシングルで、甘くてとろけそうな雰囲気のバラード。
Bobbyの歌声と甘いトラックがマッチした一曲で、アメリカのR&Bチャートで1位を獲得しただけはある良曲。
M-3「Girl Friend (Instrumental)」はそんな「Girl Friend」のインスト。
インストとは言ってもHookにはしっかりとコーラスの歌唱は乗っています。これは好みが分かれるでしょうね。


M-4「Seventeen (Extended Club Version)」はこれぞ80年代という雰囲気が漂うパーティーチューン。
この時代に青春を過ごされた方なら懐かしさを覚えるのでは?
ただちょっと8分近くもある楽曲のため聴き疲れしなくもないですね・・。原曲は3分から5分くらいでしたが。

M-5「Seventeen (Radio Edit)」は文字通りRADIO用に編集された「Seventeen」。
それでも5分ほどと1曲としては十分長い部類に入りますが。
というかRADIOバージョンなのに原曲より長いとはこれいかに?

M-6「Seventeen (Instrumental)」は「Seventeen」のインストですが、何故か原曲より長い。
これまたHookのコーラスはしっかりと乗っています。
必要性は人それぞれ。

M-7「Seventeen (Bonus Beats)」は「Seventeen」のリズムトラック。
これはかなりコアなリスナー向けに入れたんでしょうか。


と、内容としてはしつこいようですがかなりマニアックな作りで、これはBobbyブームの中でもそこまで話題にならなかったのも頷けます。
本当にM-1The Free Style Mega-Mix (12" Version)」以外は過去にリリースされたアナログ2枚の内容をそのまま入れただけですからね。
それぞれのインストはまだしも、M-5「Seventeen (Radio Edit)」やM-7「Seventeen (Bonus Beats)」なんかは正直かなりコアなリスナーくらいにしか需要が無いように思いますし。

また、曲目リストを見てもらうと分かるように、「Seventeen」のバージョン違いが4曲も収録されているのにも関わらず、「Seventeen」の原曲が収録されていません。
このようなCDをリリースするなら著作権保有するレーベルに頼んで原曲を収録するくらいのサービスはあっても良かったのでは。


ですが、メインのM-1The Free Style Mega-Mix (12" Version)」はまずまずの出来ですし、それぞれの楽曲が駄曲だとは思わないので、個人的に買って損したとは思っていません。

ただやはりBobbyファン向けですかね。


↓M-4「Seventeen (Extended Club Version)」。
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愛しい人へ / ET-KING

愛しい人へ


曲目リスト


1. 愛しい人へ
2. NANIWA
3. 愛しい人へ (Instrumental)
4. NANIWA (Instrumental)


評価: ★★★★★★★★★☆


大阪のラップグループ、ET-KINGの3rdシングル。
2007年2月14日発売。


2006年にユニバーサルミュージックからメジャーデビューを果たし、コンスタントにシングルをリリースしていったET-KING。
前作となる2ndシングル「Beautiful
Life」で圏外からチャート200位以内まで入り込んだものの、全国的に知名度はまだまだな状態でした。


そんな彼らが一気に知名度を全国的に広めたのがこの3rdシングル「愛しい人へ」のヒットです。
デジタル・ダウンロードは100万件を突破し、メディアにも度々取り上げられました。

恋愛ソング関連のコンピやDJ KAORIのMIXアルバムにも収録されたりしているので、ET-KINGといえば真っ先にこの曲を連想する方も多いのでは。


さて、内容に。


M-1愛しい人へ」はこれ以上になくストレートな言葉で表現した恋愛ソング。

MC5人が様々な方向性から表現しているので散漫な印象を受けなくもないものの、それをしっかり纏めあげているのはNAOKI-Tのトラックプロデュースの賜物。
NAOKI-Tの親しみやすいトラックとET-KINGのMCの相性はとても良いんですが、もうこの頃から相性の良さは発揮されていたんですね。

どのMCも違った魅力はありますが個人的には最後のいときんのバースが一番好きです。
熱いリリックとトラックへの不器用なラップの乗せ方は心を打つものがあります。


そしてカップリングはM-2「NANIWA」なのですが、2010年に「シングルコレクション!」がリリースされるまではファンの間の隠れた名曲扱いされていた曲で、ファン投票では2位にランクインしています。

そんな経歴を持つ楽曲だけあってかなり聴き応えのある一曲です。

まるで舞台が始まるかのようなイントロから、ET-KINGのラップが始まる様は問答無用でかっこいいですし、それぞれのMCのラップの気合いの入りも半端なし!

5分程の楽曲ですが、あっという間に感じてしまいます。


M-3「愛しい人へ (Instrumental)」、M-4「NANIWA (Instrumental)」は2曲のインストですが、どちらのインストも中々聴き応えあり。
大抵のリスナーはインストなんて・・・と思うかもしれませんが、このインスト目当てで買っても損はしないと思います。


M-1愛しい人へ」は彼らの1stアルバムは勿論、ベストアルバムにも収録されたりしていますし、M-2「NANIWA」もシングル大全集である「シングルコレクション!」の2CD版のファン投票セレクション(DISC 2)に収録されているので、その2曲のみが聴きたい方はそちらをオススメします。

ただしこのシングルも2曲のインストがかなりいい出来なので、個人的には是非チェックして頂きたいです。


M-1愛しい人へ」のPV。
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↓今年(2018年)にTVで披露されたM-1愛しい人へ」のライブ映像。
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What's Up? Hip Hop Gratest Hits 5 / V.A.

ワッツ・アップ?-ヒップホップ・グレイテイスト・ヒッツ V


曲目リスト


Disc 1

1. Show Me What You Got / Jay-Z
2. London Bridge / FERGIE
3. The Sweet Escape (Konvict Remix) / GWEN STEFANI feat. AKON
4. Smack That / AKON feat. EMINEM
5. Promiscuous / NELLY FURTADO feat. TIMBALAND
6. Buttons / THE PUSSYCAT DOLLS feat. SNOOP DOGG
7. That's That Shit / SNOOP DOGG feat. R.Kelly
8. It's Okay (One Blood) / THE GAME feat. JUNIOR REID
9. Hip Hop Is Dead / NAS feat. WILL I AM
10. Pump It / THE BLACK EYED PEAS
11. We Run This / MISSY ELLIOTT
12. Zingy / Ak'senT feat. BEENIE MAN
13. Jiggle It / YOUNG LEEK
14. Bojangles Remix / PITBULL feat. Lil Jon, Ying Yang Twins
15. Girls Gone Wild / LUDACRIS
16. Ms. New Booty / BUBBA SPARXXX
17. Ridin / CHAMILLIONAIRE feat. KRAYZIE BONE
18. Throw Some D's / RICH BOY
19. Lean Wit It, Rock Wit It / DEM
FRANCHIZE BOYZ feat. Peanut, Charlay


Disc 2

1. Because Of You / Ne-Yo
2. Favorite Girl / MARQUES HOUSTON
3. Best Friend / 50 CENT
4. Kick, Push / LUPE FIASCO
5. Unfaithful / RIHANNA
6. Love / KEYSHIA COLE
7. Go Too Far / JIBBS
8. Down The Aisle / LL Cool J feat. 112
9. One More Chance / YUMMY BINGHAM
10. Complete / MILA J
11. No Matter What They Say / PENELOPE JONES feat. MYA
12. The One / MEMPHIS BLEEK feat. RIHANNA
13. Help / LLOYD BANKS feat. KERI HILSON
14. 4 Ever / METHOD MAN feat. MEGAN ROCHELL
15. Back Like That / GHOSTFACE KILLAH feat. Ne-Yo
16. Sorry Baby / FIELD MOB feat. Bobby Valentino
17. DJ Play A Love Song / JAMIE FOXX
18. 4 Minutes Remix / AVANT feat. KRAYZIE BONE, SHAWNNA, LAYZIE BONE
19. Mas Que Nada / SERGIO MENDES feat. The Black Eyed Peas


評価: ★★★★★★★☆☆☆


ユニバーサルミュージックからリリースされた、通算5枚目のHIP HOPコンピレーションアルバム。
2007年5月30日発売。


様々な音楽へのパイプを持つレーベル、ユニバーサルミュージックが2003年から2008年まで1年に1枚のペースでリリースしていたHIP HOPコンピレーションアルバムの第5弾に当たる作品ですね。

ちなみに2008年以降はR&BとHIP HOPが一緒くたにされたコンピレーションがユニバーサルからリリースされています。


ユニバーサルミュージックは洋楽の面でも日本の音楽の面でもヒット曲を集めたコンピレーションアルバムを多くリリースしています。
この作品も曲目リストを見てもらえば分かる通り、2006年辺りにHIP HOPの分野でヒットした有名曲がぎっしりコンパイルされています。


有名曲を集めたコンピレーションアルバムなので、特に前置きはいらないでしょう。

さて内容に。


ユニバーサルミュージックは基本的に音楽界では定番とされているものに沿って作品をリリースするイメージが強いですが、本作も例に違わず。

2枚組となっており、Disc1はクラブside、Disc2はラバーズside。

どちらも19曲70分以上。ボリュームはありますね。


Disc 1の方はクラブサイドと言えるだけあってアゲアゲなチューンがどっさり詰まっています。

FERGIEのM-2「London Bridge」の楽しさからもうパーティーな気分になること必至。ラップと歌を両立している力量は流石!(Jay-ZM-1Show Me What You Got」も悪くないですが、トラックとJay-Zのラップがもうちょいハマってほしかったです、大ネタ使いのゴージャスなトラックは◯)

M-3「The Sweet Escape (Konvict Remix)」もちょっとクールな雰囲気なのにしっかりとしたクラブ向けに仕上がってるのがすごいですね。
GWEN STEFANIAKONも見事な仕事ぶりです。
続くAKONEMINEMのM-4「Smack That」もEMINEMのお馬鹿さんなラップが面白くて中毒性があります。

M-5「Promiscuous」は何と行ってもHookで難なくトラックを乗りこなすTIMBALANDの仕事ぶりがナイス!
この曲辺り(前半の中盤?)からはちょっと幻想的なトラックの曲がメインになるので、好きな人はたまらないと思います。
個人的にはこの辺りの流れはもう少しハジケがある曲がちょっとあるとなお良かったですかね・・。


THE GAMEとJUNIOR REIDのM-8「It's Okay (One Blood)」でちょっとだけ雰囲気が変わりますが、決定的に雰囲気が変わるのはNASの有名曲であるM-9「Hip Hop Is Dead」。
というかアルバム通して聴くとこの曲だけ明らかに空気が違います。

他の楽曲が恋愛ソングやクラブチューンなど軽い内容が占める中で、HIP HOPに対しての真摯なリリックは英語が分かる人にも異色に映るでしょうね。

ただ曲としては文句なしに名曲ですが!


その後の楽曲はちょっとROCKっぽいトラックがあったり、曲間が短い流れがあったりでちょっと好みが分かれるかも。
個人的にはノリのいいトラックに病み付きになるような音を乗っけて、Lil Jonが所々のコールでパーティーな雰囲気を後押しする様がかなり楽しいPITBULL、Lil JonYing Yang TwinsによるM-14「Bojangles Remix」を推し曲としておきます。


ラバーズサイドであるDisc 2はラバーズと言うだけあって心地よいナンバーがぎっしり。

初っぱなからNE-YOの綺麗な歌声が光るナンバーであるM-1Because Of You」で始まる流れはドライブなどにもいいかもしれませんね。

ただ前半はそれぞれのミュージシャンの力量は申し分ないものの、正直「よくあるバラード」に落ち着いている曲が多く、ちょっと消化不良な感はありますかね。(硬派なトラックの上で硬派なラップを乗せるLUPE FIASCOのM-4「Kick, Push」は例外)

50 CENTの映画のサントラでシングルカットされた話題曲であるM-3「Best Friend」が個人的に前半ではイチオシです。
50 CENTがいつも吐き出しているビッグマウスや暴力的で下品なリリックはなりを潜めており、紳士的で優しいリリックで構成されていますが、トラックの雰囲気と50 CENTのラップが見事にマッチした一曲となっています。
Disc 2の中でも飛び抜けて好きな曲です。


中盤に入りかかり辺りのJIBBSとMELODYのM-7「Go Too Far」からの流れは好きですね。
JIBBSとMELODYとの相性の良さと心地よさの光りっぷりもさることながら、次に控えるLL Cool Jと112によるM-8「Down The Aisle」がたまりません。
ラップとシンガーがこれほどお互いにいい働きをしてる楽曲って中々ないと思います。

YUMMY BINGHAMのM-9「One More Chance」、MILA JのM-10「Complete」もシンプルながら聴き応えのあるトラックの上で歌いこなす様が相性の良さを見せつけてくれます。


それから比較的明るいチューンが続いた後に一気に冷たい雰囲気で待ち受けるLLOYD BANKSとKERI HILSONのM-13「Help」に行く流れもいいですね。
HookどKERIの歌いこなしがLLOYDを食べてしまうくらいの勢いです。

そしてそして最後に控えるSERGIO MENDESとThe Black Eyed PeasによるM-19「Mas Que Nada」が外せません。
大胆なサンプリングとその上で絡むラップと歌が聴き手の心を掴むこと間違いなし!
まあ、聴いてみてください。


「ミーハー向け」などとバカにされることも多いユニバーサル製のコンピレーションアルバムですが、本作に関しては率直に言ってしまうと良いか悪いかで言えば良かったです。
熱狂的なHIP HOPファンなら間違いなく「こんなのHIP HOPじゃない!」なんて言いそうな楽曲がありますし、有名な音源ばかりなのは否めないですけど、それでも良曲と言える楽曲はしっかりありますしね。


ただ、Disc 1とDisc 2でテーマが分けられていますが、クラブとラバーズの構成で19曲もあるので流石に聴き疲れしてしまい、後半になると飽きてしまうところは否めないでしょうか。
アルバムとしてたらればを挙げるとやはり出てきてしまいます。


良くも悪くもHIP HOPビギナー向けの1枚ですね。
これからHIP HOPを聴いてみようという人は是非チェックして、お気に入りのミュージシャンを見つけるきっかけとしてください!


↓Disc 1のM-2「London Bridge」のPV。
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↓Disc 2のM-10「Complete」のPV。
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It's Already Written / Houston

イッツ・オールレディ・リトゥン(CCCD)




曲目リスト


1. It's Already Written Part I
2. I Like That feat. CHINGY, NATE DOGG, I-20
3. Twizala Interlude
4. Twizala
5. Ain't Nothing Wrong
6. My Promise feat. LETOYA
7. Keep It On The Low feat. DON YUTE
8. What You Say
9. Love You Down
10. Allright
11. Bye Bye Love
12. Didn't Give A Damn Interlude
13. Didn't Give A Damn
14. She Is
15. It's Already Written Part II
16. I Like That (Chris Cox Remix)
17. Ain't Nothing Wrong (Full Phatt Remix)
18. Ain't Nothing Wrong (G4orce Garage Extended Mix)


評価: ★★★★★★☆☆☆☆


アメリカのシンガー、Houstonの1stアルバム。
2004年8月10日発売。


Houstonはカルフォルニア州ロサンゼルスの出身で、父親がいない家庭で育ちました。
そのため母親に育てられるわけですが、母親が音楽好きであったため、Houstonは色んな場所で歌うことを奨励されたのです。
高校では普通科に通っていたHoustonでしたが、音楽科のイベントにも度々出演し、シンガーとしての才能を開花させていきます。


そんな彼がとうとうプロとなるきっかけをつかんだのは、地元のタレントコンテストへの出場でした。
そのタレントコンテストでの映像がレコード会社の目に止まり、トントン拍子で契約が進んでプロデビューしたのです。

その後にはデビューシングル「I Like That」(M-2)がマクドナルドのCMソングに起用されて話題作となるなど、スターへの階段を順調に上がっていきました。
そしてこの1stアルバムをリリース。
セールス面では中々のセールスを記録したようです。


では内容に。


さすがに小さい頃から音楽に親しんでいただけあって歌唱力は確かなもの。
声質も色気もあるけど誠実さもあるような、そんなバランスの良さがあり、女性から人気があったというのも頷けます。

詞の内容もそんな声に魅せられた人を掴むであろう恋愛ものが中心です。
日本語で全部歌われたら間違いなく胸焼けしますね。


ただその結果アルバムとしてはちょっと全体的に単調な印象が否ないでしょうか。
何よりもトラックが単調で盛り上がりに欠けるものが多め。
その上で綺麗に歌い上げるHoustonの力量は流石ですが、全体的にそこしか見せ場がなし。
客演も所々に呼んでいるものの、アルバムの流れに段急をつけるほどの活躍をしていないため、余りパッとせず。

そんな状態が15曲ほど続くため、流し聴きするのにはいいものの、真剣に聴くのはちょっとキツいものがあるかもしれません。


無論良曲はありますよ!

まず外せないのはやはりヒットシングルとなったM-2「I Like That feat. CHINGY, NATE DOGG, I-20」。
掴みがバッチリなイントロから始まるド派手なパーティーチューンで、豪華なメンバーを集めただけはあるナンバーです。


そんなシングルカットからInterludeを挟んで流れるM-4「Twizala」もInterludeを挟んでいるだけはある良曲。
HookでのHoustonの歌いこなしはこのアルバムの収録曲で一番すごいと思います。
ここまでの流れならかなり期待しちゃうリスナーも多いのではないですかね?


中盤に控えるM-9「Love You Down」も良曲に入れていいかと。
爽やかで甘いトラックの上でHoustonが歌いこなす様がピッタリはまった一曲です。
詞の内容は余りに恋愛恋愛で好きにはなれませんが。


後洋楽の国内版についてくるボーナストラックは大抵期待してはいけない出来ですが、本作のボーナストラックのRemixは中々輝きを見せています。
M-16「I Like That (Chris Cox Remix)」なんか原曲と同じくらいノリノリになれる出来ですし、M-17「Ain't Nothing Wrong (Full Phatt Remix)」は正直原曲より好きです。
原曲以上にHoustonの歌が生き生きしています。


これは間違いなく輸入版ではなく国内版推奨ですね。
正直この国内版のボーナストラックがなかったらもっと評価は低かったです。
(CCCDなのが玉にきずですが・・)
まずは試聴してみるのをオススメします。


なお、上にも書いたように鳴り物入りでデビューしたHoustonですが、このアルバム以降音源リリースはしていません。
国内版の解説を見ていてもかなり期待されていたようなのですが。
残念です。
マイクを置いてしまったのでしょうかね。


↓M-5「Ain't Nothing Wrong」のPV。
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NASIR / NAS

ナシール


曲目リスト


1. Not For Radio feat. Puff Daddy & 070 Shake
2. Cops Shot The Kid
3. White Label
4. Bonjour feat. Tony Williams
5. everything feat. The-Dream
6. Adam and Eve feat. The-Dream
7. Simple Things


評価: ★★★★★★☆☆☆☆


アメリカのNY出身のラッパー、NASの11thアルバム。
2018年6月15日発売。


NASは90年代から活動するラッパーの1人で、1994年に1stアルバム「Illmatic」をリリースしてからコンスタントにアルバムをリリースしていました。
9thアルバム「Untitled」までは最低でも3年に1枚以上リリースしていましたね。

10thアルバム「Life Is Good」は「Untitled」から4年のインターバルを経て2012年にリリース。
元妻のKELISの式の時のドレスを持ったジャケなどもあり2012年の話題作となりました。


しかしそれ以降、NASのアルバムのリリースがアナウンスされることはしばらくなくなります。
洋楽邦楽問わずオリジナルアルバムのインターバルが何年も十何年も空くことは珍しいことではありませんが、NASはラッパーの中でもコンスタントに出していたラッパーなので、割りと期待していたリスナーも多かったのでは。
HIP HOP界の伝説のラッパーの一人ですしね。


そんな中、そのような情報が入ってきたのは2016年。
2000年代のHIP HOP界のプロデューサー、DJ KHALEDがNASを客演に迎えた楽曲「NAS ALBUM DONE feat. NAS」を発表したのですが、この曲名は訳すると「NASのアルバムが出来た」であり、「とうとうNASがニューアルバムを!?」とリスナーの間で話題になったのです。


・・・ところが、結局2016年にNASのアルバムがリリースされることはありませんでした。

それから2年経って2018年、やっと正式にアルバムリリースが公表され、Kanye Westのフルプロデュースにより6月にリリースされました。

前作の「Life Is Good」は前々作「Untitled」から4年のインターバル、NASのアルバムで最も長いインターバルでリリースされたアルバムでしたが、本作「NASIR」は前作「Life Is Good」から6年という史上最長のインターバルを経てリリースされたアルバムとなりましたね。


さて、内容に。


今まで様々なプロデューサーと組んで作品を完成させてきたNASですが、本作のプロデューサーはKanye West
2016年の時点でKanyeが「次のNASのアルバムのトラックを俺が手掛けるとオバマに約束した」という発言をしていましたが、それが実現した形になります。


Kanyeの手掛けたトラックは中々重厚な内容ながらシンプルなトラックが多く、トラック単独での聴き応えはかなりありそうです。インストがあったら欲しいかも。

NASのラップは良くも悪くも相変わらず。
普段HIP HOPを聴かない人でもとっつけそうな乾いた声は健在です。


ただ、その2つが巧いこと化学反応を起こしたかと言われるとちょっと厳しいところ。
Kanyeのトラックは単体なら間違いなく上質ですが、NASのラップを引き立てているとは言い難い曲が多め。
客演陣も、正直NASより前に出てしまっている感があり、どっちが主役か分からない状態になっています。


そのような特徴のせいか、7曲26分というタイトな内容なのにも関わらず、どうもとっ散らかった印象が残ります。
Kanye、NAS、客演陣、それぞれが違う方向にキックやパンチを打っていて、上手く噛み合ってないというか。


ただ良曲が全くないかというと決してそんなことはありません。

M-2「Cops Shot The Kid」はタイトル名をひたすらコールするトラックの上で、NASがショッキングなリリックを紡いでいく、聴いていてゾクゾクしてしまう一曲。
所々に挿入される叫び声が何とも恐ろしいアクセントになっています。
この曲を聴くときは英語ができない方は対訳必須です。
日本語を通してにはなりますが、NASの叫びに耳を傾けてください。


後は良曲と感じたのはこのアルバムの最後を締めるM-7「Simple Things」。
比較的シンプルなトラックはNASのラップとの相性も中々で、NASのラップを本作で一番引き立たせていると感じます。
リリックの内容も、今まで様々な経験を経てきたNASだからこそ伝えられるメッセージが詰まっています。
この曲を最後にしたのは大正解でしたね。


上に書いたように作品の出来としてはちょっと厳しい部分もありますが、NASのリリシストぶりを楽しみたい方はご安心を。
対訳を見れば分かりますが、NASのリリシストぶりは本作でも十分堪能できます。
(特に「あの」歴史上の人物に踏み込んでいる部分は必見・・・!)
リリックに衰えがないのは嬉しかったですね。


やはり全体的に客演とトラックとNASのラップが上手く噛み合ってないのは大きなマイナスポイントでした。
リリックの内容は相変わらずすごいのですから、トラックや客演の相性が良ければかなりの名作アルバムを作れると思います。
次回はそんなアルバムがリリースされることを期待しています!
やはり今後も要注目なラッパーです!


↓M-2「Cops Shot The Kid」。
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Forever / Puff Daddy

Forever


曲目リスト


1. Forever (Intro)
2. What You Want
3. I’ll Do This For You feat. Kelly Price
4. Do You Like It… Doo You Want It… feat. Jay-Z
5. Satisfy You feat. R. Kelly
6. Is This The End Pt. 2 feat. Twista
7. I Hear Voices feat. Carl Thomas
8. Fake Thugs Dedication feat. Redman
9. Diddy Speaks! (Interlude)
10. Angels With Dirty Faces feat. Bizzy Bone
11. Gangsta Shit feat. Lil’ Kim & Mark Curry
12. P.S. 112 (Interlude)
13. Pain feat. G-Dep
14. Reverse feat. Shyne, G-DepCee-LoBusta Rhymes & Sauce Money
15. Real Niggas feat. The Notorious B.I.G. & Lil’ Kim
16. Journey Through The Life feat. Nas, Beanie Siegel, Lil’ Kim & Joe Hooker
17. Best Friend feat. Mario Winans
18. Mad Rapper (Interlude)
19. P.E. 2000 feat. Hurricane G
20. P.E. 2000 (Rock Remix)


評価: ★★★★★★★★☆☆


アメリカのプロデューサーであるSean CombsのMC名義、Puff Daddyの2ndアルバム。
1999年8月24日発売。


ずっとプロデューサーとしてレーベル運営をしていたものの、1997年にPuff Daddy & the Bad Boy Family名義で1stアルバム「NO
WAY OUT」をリリースし、MCとしても活動を開始したSean Combs

「様々なラッパーやシンガーをプロデュースした男がついに自身のアルバムを!」と話題になり、好セールスを記録。
その2年後にこの2ndアルバムをリリースしました。


本作もNASJAY-Z、Lil Kimなどなど多彩で豪華な客演を迎えたこともあり、USビルボードで2位を獲得する大ヒットアルバムとなりました。
ただし「豪華な客演が集まったわりにはパッとしない」と世間的な評価は余り芳しくなかったようです。


では内容に。


後に作詞も作曲も全てゴーストがいたと判明するというラッパーとしてはとんでもなくカッコ悪い事実が判明してしまったPuff Daddyですが、ラップ自体はどんな音にも馴染む声質でなかなかいい味を出しています。


何よりも上手いと感じるのはボーカル使いですね。
特に前半は女性のコーラスとの絡みが印象的。
シンプルながらも飽きの来ないトラックの上でHookで絡むシンガーの歌声が絶品なM-2「What You Want」とM-3「I’ll Do This For You feat. Kelly Price」、
バックの女性のコーラスがパーティーな雰囲気を後押ししているのに加えて、JAY-Zもタイトなラップでいい仕事ぶりを見せるM-4「Do You Like It… Doo You Want It… feat. JAY-Z」、神秘的な雰囲気なトラックの上で本作のシンガーとしては一番なのではという歌を見せるR.Kellyが素晴らしいM-5「Satisfy You feat. R.Kelly」と、どれも丁寧な仕事ぶりで感心させられてしまいます。


M-6「Is This The End Pt. 2 feat. Twista」ではそんな雰囲気からガラッと変わりますが、Puff Daddyの捲し立てるようなラップとTwistaの緊迫した歌が素敵な化学反応を起こしています。
というか自分でリリックを書いていないのにこんなラップを披露するってある意味すごいのでは。
なお、リリックの内容もこの曲から一気に物騒になります。

その後はリリックの内容もトラックも物騒な曲が多目なものの前半に比べてハマり具合は・・となりますが、M-10「Angels With Dirty Faces feat. Bizzy Bone」は聴いたとたんにぶっ飛ばされること間違いなし!
Bizzy Boneが完全にPuff Daddyを食べてしまっています。
それくらいBizzyの怒髪天っぷりが凄まじいです。
この次に控えるM-11「Gangsta Shit feat. Lil’ Kim & Mark Curry」は名前に似合わない非常に淡々とした雰囲気な楽曲ですが、最後のバースに控えるLil’ Kimの女性ならではの暴力的なラインの応酬がすごいです。

シリアスなトラックの上でシリアスな展開のリリックを描くM-13「Pain feat. G-Dep」からマイクリレーもののM-14「Reverse feat. Shyne, G-DepCee-LoBusta Rhymes & Sauce Money」に繋がる流れも中々。同じマイクリレーものであるM-16「Journey Through The Life feat. Nas, Beanie Siegel, Lil’ Kim & Joe Hooker」にも言えますが、やはりシンプルなトラックの上でのマイクリレーは聴き応えがありますね。
まあ、豪華な面子が集まったわりに地味な印象は拭えないですけど。

M-17「Best Friend feat. Mario Winans」からM-20「P.E. 2000 (Rock Remix)」の流れは話題となった曲が固まっているだけあって腹持ちは抜群です。ただ綺麗に纏めすぎた感もありますかね。


余り評判は良くない本作ですが普通の水準で聴けば、十分合格点は行ってるんですよね、この作品。
確かにかなり耳の引きが強い楽曲はなく全体的に地味な印象は否めず、随所で綺麗に纏めすぎた感はあります。
NASやThe Notorious B.I.GJAY-Zなどビッグネームを呼んだ割りには・・・」という声が多かったのもこのような優等生的に堅さがちょっとあったからかもしれません。


そんなに進んで勧められる一枚ではありませんが、もしレンタルや中古などで見かけたら何回か聴いてみてほしいですね。(要するに一回通して聴くだけだったり試聴だけでは駄目ということです)
個人的には一聴の価値ありの作品です。


↓M-5「Satisfy You feat. R.Kelly」のPV。
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純恋歌 / 湘南乃風

純恋歌


曲目リスト


1. 純恋歌
2. 武乱入
3. JUMP AROUND
4. 純恋歌 〜Instrumental〜
5. JUMP AROUND 〜Instrumental〜


評価: ★★★★★★★★☆☆


神奈川県湘南にて結成されたグループ、湘南乃風の5thシングル。
2006年3月8日発売。


2003年に1stアルバムをリリースしてメジャーデビューしてから「応援歌」、「カラス」などの人気曲を排出し、メディアへの出演も多くなり順調に認知度を上げていった湘南乃風

そんな湘南乃風を一気に超有名グループに押し上げたのがこの5
thシングル「純恋歌」。

このシングルの前にリリースしたシングル4枚も全てチャートで20以内を獲得する好調さでしたが、このシングルはタイアップなしであるのにも関わらず(現時点で)60万枚以上のセールスを叩き上げ、チャートで2位を獲得するという飛躍っぷりを見せたのです。

カラオケでも様々な男女に歌われる人気曲であり、「湘南乃風といえばこの曲!」という方もかなり多いはずです。


しかしながらAmazonレビューにひどい言葉が並びまくっていることなどを見ても分かるように、熱狂的なREGGAEファンや音楽ファンなどからは一気に湘南乃風が嫌われる原因となったシングルでもあります。
「REGGAEじゃない」、「金儲けのための楽曲」などといった批判がかなり寄せられてしまったのです。
この「純恋歌」をリリースした年から横浜レゲエ祭にも呼ばれなくなりましたしね。
さらに批判の声をぶつけるのはリスナーからだけはなく他のアーティストからも・・・。


では内容に。


表題曲のM-1純恋歌」はその名の通り恋愛ソングで、綺麗なトラックの上で湘南乃風のメンバーが男女のストーリーと彼氏からの彼女への気持ちを紡ぐ一曲。
非常にロマンチックなトラックなのにその上に男臭い4人の声が乗るという構図は純粋に面白いですね。

ただこの曲の一番賛否が分かれる理由は・・やはり詞でしょうね。


上でも書いてあるように基本的にこの曲は彼氏から彼女に対しての恋愛ソングな訳なんですが・・ネットでよくあがってるパスタの下りでの件にしろ、パチンコ屋の件にしろ・・。
わりと突っ込みどころが目立つ内容なんです。

まあ音楽の世界にはもっともっと醜い男の恋愛ソングなんていくらでもあるわけで、そんなに目くじら立てるほどかなとも思いますが。
とりあえずまずは一聴してから評価をお下しください。
(ちなみに個人的には最後のコーラス前のRED RICEのバースはガラガラ声と熱い詞が相まっていて好きです)


M-2「武乱入」はアルバムでいうスキット的な役割の一曲です。シングルでこんなタイプの楽曲を入れるのは珍しいですね。
2分もない楽曲ですが、純恋歌のよくも悪くもロマンチック(?)な雰囲気から一気にアンダーグラウンドな世界にリスナーを持っていく橋渡しとしてはかなりいい感じです。
賛否が分かれるグループである湘南乃風ですが、この辺りの作り込みのセンスはもっと評価されていい気がします。


そしてこのシングルで一番の聴き所がM-3「JUMP AROUND」。
個人的にメインの「純恋歌」よりずっと好きなカップリング曲です。
重たくて暗い聴き応え抜群のトラックの上で4人がマイクを回す一曲なのですが、この曲の4人の気合いの入りっぷりが半端ではありません。
リリック、勢い、マイクパスのタイミングといい文句をつける部分が見当たらない会心の一曲。
気分を盛り上げたいときには是非聴かれたし。そんな一曲。
一曲って表現使いすぎですね。ハイ。

Amazonレビューでボロクソに書いてるレビュアーの大半、絶対このカップリングまで聴いてないと見ました。


M-4「純恋歌 〜Instrumental〜」、M-5「JUMP AROUND 〜Instrumental〜」は全く違うタイプのインストですが、どちらも彼らのしっかりとした音作りが楽しめます。


と、メインのM-1純恋歌」は間違いなく好みが分かれますけど、カップリング曲やインストのお陰で間違いなく良作ではある1枚だと思います。
まあこの1枚がきっかけでラッパーの般若やDEEJAYのRYO the SKYWALKERからDISを受け、REGGAEファンからブーイングを浴びせられた経緯を考えると色眼鏡で見てしまう方の気持ちも分かりますが・・・(なお現在はどちらも和解済み)。

ただM-1純恋歌」、M-3「JUMP AROUND」は彼らの3rdアルバムにも収録されているので、その2曲が聴きたい方にはそっちをオススメします。
無論インストなどが欲しければマストですけどね。


M-1純恋歌」のPV。
youtu.be


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