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B-Boy Park 2000 9/3. 約束の土地で... / V.A.

B-BOY PARK 2000 9/3.約束の土地で…


曲目リスト


1. Intro-B-STREET(GO STEPPERS GO) / DJ Beat
2. WARNING 21(21世紀への警告) / Cake K & Create
3. B-BOYS JAMS(KOOL HERC Message 01) / DJ Kool Herc
4. DOWN BY LOW (Live at YOYOGI PARK) / KICK THE CAN CREW feat. Crazy-A
5. OLD SPORTS JAM(DJ BATTLE’99 FINAL 4)
6. 13:00 CRAZY-Aの開始合図 / Crazy-A
7. GENERATION JACK / Ruff Rhymers
8. ILLMURA Free Style / ILLMURA
9. We Are The Wild(DJ KRUSH Remix) / Gathering Of Tha All Stars
10. B-BOYS JAMS(KOOL HERC Message 02) / DJ Kool Herc
11. DJ BATTLE 2000 Digest(8/31@ASTRO HALL)
12. バトルの「B」(Live at YOYOGI PARK) / CUEZERO feat. Dohzi-T, SIMON JAP
13. BODY ROCK / Crazy-A
14. MC BATTLE 2000 CHAMPION FINAL STAGE(9/2@HARLEM)
15. PANEL DISCUSSION(9/2@BX CAFE)
16. MOTOY Free Style / MOTOY
17. ROCK DA HOUSE 2000 / DJ Beat feat. Donald-D
18. B-BOYS JAMS(KOOL HERC Message 03) / DJ Kool Herc
19. B-BOY BATTLE 2000 発表(9/1@ON AIR EAST)
20. We Are The Wild(オリジナル・ヴァージョン) / Gathering Of Tha All Stars
21. Outro-B-BOYイズム(Live at YOYOGI PARK) / RHYMESTER


評価: ★★★★★★☆☆☆☆


日本語ラップ界のイベントB-BOY PARK 2000の開催記念としてリリースされたコンピレーションアルバム。
2000年8月30日発売。


B-BOY PARKは1997年から2017年まで毎年夏に代々木公園で行われていた日本のHIP HOPイベントです。
日本語ラップ好きなリスナーなら知らない人はいない有名すぎるイベントで、東京近辺から様々なラッパーやDJたちが毎年参加していました。
そのB-BOY PARKが2000年にも開催決定したときにその前日に記念としてリリースされたのが本作です。(B-BOY PARK 2000は8月31日から9月3日)


では、内容に。


上にも書いたようにB-BOY PARKの記念としてリリースされたアルバムということもあって、ライブ音源をそのまま収録した楽曲、さらにはMCをそのまま入れただけの曲というよりはただの繋ぎのような楽曲も何曲もあり、普通のコンピレーションアルバムとして楽しむのは断念せざるを得ません。
あくまで記念アルバムと思いましょう。


DJ Beatのイントロを経ての(このイントロは始まりとしては良い感じで好きです)M-2「WARNING 21(21世紀への警告)」はCake K & Createによるもの。
シンプルなトラックの上でのラップは臨場感はありますが、21世紀の警告なんてタイトルの割にはリリックがインパクト不足で、曲名に負けてる面が否めず。

HIP HOPの歴史を語るうえで欠かせない人物であるKool Hercのメッセージを経て、M-4「DOWN BY LOW (Live at YOYOGI PARK)」は曲名にもある通りライブ音源。
ライブの雰囲気を味わえるものの屋外ということもあってか曲の良さ自体がイマイチ伝わってきません。
M-5「OLD SPORTS JAM(DJ BATTLE’99 FINAL 4)」はDJ BATTLEについての楽曲で、マイクを握るのはRHYMESTERの2人。
クラッチを入れまくった気合の入ったトラックで、Mummy-D宇多丸の両者も流石の安定感のあるMCを披露。
序盤ではずば抜けて聴きごたえのある内容です。

Crazy-AのMCを経てのM-7「GENERATION JACK」はRuff Rhymersで、疾走感のあるトラックの上でのマイクリレーがヤバいです。
合唱Hookもカッコいいですし、どうもこの辺りからアルバムとしても気合を入れてきた模様。

次のILLMURAのフリースタイルも1分42秒ほどの短さですけど、その短さでもしっかりと聴きごたえのあるフリースタイルを聴かせてくれます。

そして間違いなく本作の目玉曲であるM-9「We Are The Wild(DJ KRUSH Remix)」へ続くのですが、総成38人というメンツで、不穏な雰囲気のトラックの上でのマイクリレー。
悪いはずがないですね。聴いていて首を振りたくなること必至。

Kool Hercの2度目のメッセージの後のM-11「DJ BATTLE 2000 Digest(8/31@ASTRO HALL)」はDJ BATTLEの様子をそのまま録音したもので、参加DJたちのスキルに圧倒されます。
MCはRHYMESTER

M-12「バトルの「B」(Live at YOYOGI PARK)」はまたしてもライブ音源で、この辺りは現場を意識した流れ。


Crazy-AによるM-13「BODY ROCK」はインストで、その次のM-14「MC BATTLE 2000 CHAMPION FINAL STAGE(9/2@HARLEM)」はMC BATTLEの様子をそのまま録音したもの。
M-15「PANEL DISCUSSION(9/2@BX CAFE)」も1分半ほどのトラックの上での喋りで、繋ぎのような役割です。

M-16のMOTOYのフリースタイルはまさにバトル向きのフリースタイルという感じで、バトルではそれなりの成果があるのも納得できる内容。音源では余りいい評判をきかないですけど、いつかチェックしてみます。


M-17「ROCK DA HOUSE 2000」はUSからDonald-D(!)が参加したB-BOY PARKについてのチューン。
DJ Beatによるトラックもスクラッチが随所で聴いていて緊迫感がありますし、その上でのDonald-Dのラップも流石の乗りこなしっぷりです。

その後も現場の状況をそのまま録音したのが2曲続き、本作の目玉曲2発目のM-20「We Are The Wild(オリジナル・ヴァージョン)」へ。
M-9のRemixとは全く違うパーティ感満載のトラックの上でのマイクリレーは圧巻で、どちらも違ったよさがあって十分に楽しめますよ。
最後にRHYMESTERの「Outro-B-BOYイズム(Live at YOYOGI PARK)」。
B-BOYイズム」のライブ音源でアルバムは幕を閉じます。


上にも書いたようにライブ音源やMCをそのまま録音した楽曲が半分以上であり、まともな曲の曲数で言えばミニアルバムの曲数程度。
その為純粋な音楽のアルバムとして聴こうとすると間違いなく裏切られます。
DJ BATTLEやMC BATTLEの部分も個人的にはそこそこ楽しめましたが、HIP HOPに興味がない人にとっては飛ばしてしまう部分かもしれません。


しかしながら本作に入っている音源としての収録曲はなかなか良曲も多く、特に「We Are The Wild」はオリジナルもRemixも言うことなしの名曲。
この曲だけを目当てにしても手に入れる十分な動機にはなると思います。
ライブ音源が多いだけあって現場の雰囲気は楽しめるので、B-BOY PARKの当時の空気を知りたい方は是非。

アルバム全体の音楽的な部分も考慮すると、星の数はこれくらいで。


↓M-20「We Are The Wild(オリジナル・ヴァージョン)」のPV。
www.youtube.com