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音楽CDの感想を綴っていきます

100% Rap Originals / V.A.

100% Rap Originals


曲目リスト


1. Mr. Big Stuff / Heavy D. & The Boyz
2. Peter Piper / Run-DMC
3. Move The Crowd / Eric B. & Rakim
4. Set It Off / Big Daddy Kane
5. Rock The Bells / LL Cool J
6. Lookin' Out The Front Door / Main Source
7. Scenario (LP Mix) / A Tribe Called Quest feat. Busta Rhymes
8. My Philosophy (Extended Remix) / Boogie Down Productions
9. It's My Beat / Sweet Tee & Jazzy Joyce
10. Let It Roll / Doug Lazy
11. Play That Beat Mr. D.J. / G.L.O.B.E. & Whiz Kid
12. Say No Go / De La Soul
13. Doowutchyalike / Digital Underground
14. South Bronx / KRS-One & DJ Scott La Rock
15. It Takes Two / Rob Base & DJ E-Z Rock
16. Last Night / Kid 'N' Play
17. Go See The Doctor (Uncensored Version) / Kool Moe Dee
18. My Adidas / Run-DMC


評価: ★★★★★★★★☆☆


80~90年代のHIP HOP系の楽曲を集めたコンピレーションアルバム。
1996年4月19日発売。


80~90年代において完全に音楽の世界に根付いたHIP HOPミュージック。
全盛期と呼ぶ人が多いのが90年代ですが、本作はそんな時代にリリースされたコンピレーションアルバムです。


さて、内容に。


Heavy D. & The BoyzによるM-1Mr. Big Stuff」によってアルバムは幕開け。
色々なリズムを挟み込んでいて飽きさせないトラックとその上を巧みに乗りこなすラップで初っ端からガッチリ耳を掴まれます。
M-2「Peter Piper」はRun-DMCで、シンプルな音使いながらも随所でのスクラッチが強烈なトラック。
ラップの割合こそ少ないもののトラックだけで十分聴かせます。

M-3「Move The Crowd」はEric B. & Rakimでサンプリング全盛期であった当時の音をふんだんに発揮したネタ感満載のトラック。
その上での隙間のないRakimのラップも完璧な相性で、堂々と名曲と言える仕上がり。

M-4「Set It Off」もBig Daddy Kaneのラップがアカペラでも十分聴けるのではないかと思うくらいに乗りこなしが半端なく聴きごたえ抜群。
トラックはとてもシンプルですが、それだけにKaneのラップの凄みを素直に感じられます。


M-5はLL Cool Jの有名曲で「Rock The Bells」。
所々でのギターの強烈なリフとスクラッチが印象的なトラックで、その上を確かなスキルで乗りこなすLL Cool Jの力量も流石なもの。

M-6「Lookin' Out The Front Door」はネタ感が強めのトラックの上でのMain Sourceのラップが非常にスムーズ。
ここにきてやっと落ち着いた雰囲気の楽曲で、アルバム全体としてもいい流れ。

M-7「Scenario (LP Mix)」はA Tribe Called QuestBusta Rhymesが参加。
またしてもネタ感が強いトラックの上でのマイクリレーで、MC陣は全員間違いない仕事ぶりを披露。
楽し気なHookも首を振りたくなること間違いなし。

M-8「My Philosophy (Extended Remix)」はBoogie Down Productionsでスクラッチを入れまくったトラックが強烈。
5分半ほどの楽曲ですがそのスクラッチの手腕で全く最後まで飽きさせません。


M-9「It's My Beat」はSweet Tee & Jazzy Joyceでここでやっと女性ユニットの登場。
シンプルなトラックの上での歯切れのいいラップというオーソドックスな組み合わせですが、当時ではまだ珍しかった女性のラッパーということもあってアルバム全体でもかなりいいアクセントになっていますね。

M-10「Let It Roll」はDoug Lazyで、DJということもあって本作の収録曲でもトラックの作り込みはピカイチ。
その上でのDoug Lazyのラップも相性は中々。

M-11「Play That Beat Mr. D.J.」はG.L.O.B.E. & Whiz Kidで大勢で叫ぶ形のHookが印象に残りますが、ラップの方も中盤のバースの方は巧みな乗りこなしを見せてくれます。

M-12「Say No Go」はDe La Soulでおなじみのパーティラップ。
もう最初から最後まで楽しさ満載の楽曲で、聴いていて体を動かしたくなるのは間違いありません。
トラックもラップも本当に文句なしのノリの良さです。

M-13「Doowutchyalike」はDigital Undergroundでちょっと変わった音使いで本作でも異色の楽曲。
喋るようなラップが良くも悪くも個性的な感じです。


M-14「South Bronx」はKRS-One & DJ Scott La Rockでラップだけでなくトラックも歯切れがよく、聴いていてとても気持ちよくなります。
こういうトラックだとラップも乗せにくいと思いますが、難なくラップを乗せてみせるのはKRS-Oneの力量があってこそ。

M-15「It Takes Two」はRob Base & DJ E-Z Rock。
結構トラックの主張が強めですが、それに負けていないラップが流石です。

M-16「Last Night」はKid 'N' Playでサンプリング元をHookに存分に生かしたこの時代ならではの楽曲。
バースでの骨太なラップとお洒落な雰囲気のHookの対比が面白いです。

M-17「Go See The Doctor (Uncensored Version)」はKool Moe Deeで、かなり地味なトラック。
ラップで勝負にかかっているという雰囲気が曲全体から感じ取れます。
悪くはないですけど本作の収録曲では遊びが全くないため余り印象に残らず。

最後の〆はM-18「My Adidas」はRun-DMCで強烈なスクラッチが印象的。
ただ〆としてはちょっと弱いでしょうか。


80~90年代の良作HIP HOPが全18曲も詰められた本作。
ちょっと最後の流れの面でひっかかるところもありはしましたが、とにかくパーティな雰囲気の楽曲が多めで単純に聴いてて楽しめます。
トラックの構成自体はシンプルなんですけど、スクラッチやサンプリング元の扱い方などで差別化している楽曲が中心と感じましたね。
中古ショップなどでもよく見かける1枚なので、見かけたらチェックしてみては?
最も本作は国内版はリリースされておらず、対訳等を見ることはできないのでご注意を。


↓M-12「Say No Go」のPV。
www.youtube.com