りくぼーの音楽感想倉庫

音楽CDの感想を綴っていきます

GRAND CHAMPION / 妄走族

GRAND CHAMPION


曲目リスト


1. RX-78 (introduction)
2. 族中法度
3. 大騒導
4. 晩餐
5. skit
6. バビロンシティ
7. STEREO
8. ブリブリテーマソング feat. 565 Family
9. ふるさと -EROTICAL KNOCKOUT 2001-
10. 続' 君臨
11. グランドチャンピオン
12. skit
13. SHOOTING GAME -PSYCHO CYBER-
14. クソラップ
15. NO.1
16. BAD BOY BLUES -極悪坊主- feat. G.K. MARYAN


評価: ★★★★★★★★★☆


東京三軒茶屋で結成されたラップグループ、妄走族の2ndアルバム。
2001年7月11日発売。


存在アピールの為マイクジャックというモラルに反した行為を繰り返した上に、暴走族から結成されたグループということもあってシーンから歓迎されていなかった立場ですが、2000年にリリースした1stアルバムを皮切りにシーンの中に居場所を構築していった妄走族
同年にはメンバーの般若がシングルをリリースしてソロデビューを果たし、その後は妄走族としてもアナログを3枚リリース。
同業者との交流も始まり、2001年に2ndアルバムである本作をリリースしました。
本作以降はメンバーに565(現G-MAN)、DJ TURBO、DJ JACK HELERが加入するため、7MC体制でリリースされた最後の作品となります。


では、内容に。


前作の特徴はヤンキー色が強く出たリリックと勢いでしたが、果たして本作では。

イントロは「妄走族だバカヤロウ」というフレーズをスクラッチしまくるという構図は前作のイントロと同じですが、暴走族感が強かった前作とは違い幻想的なビートの上にフレーズを乗せています。
もうこの入りだしから本作のカラーを出していますね。


M-2「族中法度」はアルバム間にリリースされた3枚目のアナログの表題曲。
不穏な雰囲気なトラックの上でのDEN主導の全員参加マイクリレーもの。
どのメンバーも前作同様キレキレなパンチラインを繰り出していてここからもうぶっ飛ばされること必至。
特に神→剣桃太郎→スクラッチ→狼の流れが問答無用でカッコいいですね。最後に曲を〆るスクラッチもかなりいい働きをしています。
イントロを経てのこの曲を聴いた時点で聴き進めるのを止められなくなること必至。

M-3「大騒導」は「族中法度」のカップリング曲で、これまた7人全員参加のマイクリレー。
トラックは単調ですがここでも全員が最後まで飽きさせないラップで楽しませてくれます。
特に最後の般若のリリックはもうイカれてる(誉め言葉)としか言いようがなく、この般若のバースを聴くだけでも価値は凄くあります。
狼やMASARUも結構危ないリリックを書いていていいんですが、もうこの般若のバースが別格なんですよね。


M-4「晩餐」はアルバム間にリリースされた2枚目のアナログのカップリング曲で、妄の中でも勢いのあるラップを聴かせる剣と般若のタッグ。
前半にストレートな言葉で煽る剣、後半でトラックの上で縦横無尽に暴れまわる般若。
先ほどのマイクリレー楽曲に全く負けていない聴きごたえを提供してくれます。2分40秒という短さですが、そんなのを感じさせない満足感があります。

落ち着いた雰囲気のスキット(M-4「晩餐」からかなりいい感じの箸休め的な役割)を経てのM-6「バビロンシティ」は2001年3月にリリースされた先行シングル曲。
幻想的で包み込むようなトラックの上でDENのHookを交えながらのマイクリレー。イケイケなイメージがある妄走族ですけど、結構どのメンバーもこういう雰囲気のトラックもハマるんですよね。
全員言葉選びの面でも文句なしで、トラックの雰囲気も相まってじっくり聴けます。


M-7「STEREO」はDENとZORROのガスクラコンビ。
不穏で暗い雰囲気のトラックで、ZORROの淡々としたラップとDENのキザなラップが文句なしのハマり具合です。

M-8「ブリブリテーマソング feat. 565 Family」は妄からのメンバーは剣のみでMISTA SMITHと後にメンバーとなる565が客演として参加。
ネタ感の強いピーヒャラトラックの上で3人とも面白いラップを披露。
特に565のラップは上手いか下手かは置いておくとしてもかなりキャラが強め。
曲の中ではいい味となっています。

続くM-9「ふるさと -EROTICAL KNOCKOUT 2001-」は最初に曲名を見た時に「なんで「ふるさと」で「ERO」なんだ?」と思って実際に聴いたら序盤の剣のHook後の神のパンチラインで一発で納得したのがいい思い出です。
神はドストレートな下品かつ神秘的?なラップもさることながら般若のいかれ具合がヤバいです。これまた聴く価値ありすぎ仕事認定。

M-10「続' 君臨」は疾走感のあるトラックの上での全員参加のマイクリレーですが、7人がしっちゃかめっちゃかにマイクを回していくスタイルで集団の強みが存分に味わえます。
全員の仕事ぶりもいいですがHookのスクラッチもとんでもなくカッコいいです。

M-11「グランドチャンピオン」は本作の表題曲で、狼、神、ZORRO、剣の4人による暴走族をテーマにした楽曲。
狼の入りだしの金属バットの下りも面白いですが、最初から最後まで不良色がどぎついリリックと勢いのあるラップを披露する剣が一番キレキレですかね。


レトロゲームな雰囲気のスキットを経てのM-13「SHOOTING GAME -PSYCHO CYBER-」はアルバム間にリリースされた1枚目のアナログの表題曲。
参加しているのは般若、ZORRO、狼、DENの4人での当時のシーンに対する喝入れ曲で、WACKなMCを的に見立てて撃っていくという面白い目の付け所。
曲自体も全員がいい感じに荒ぶってて最後まで飽きずに聴けます。

M-14「クソラップ」は般若、狼、剣、神、DEN、MASARUが落ち着いた雰囲気のトラックの上でそれぞれラップについての思いを綴った楽曲。
結構胸が熱くなるパンチラインが多く、トラックが落ち着いた雰囲気なのでピシッとしまった楽曲になっています。流れとしてもいいアクセント。


M-15「No.1」はアルバム間にリリースされた2枚目のアナログの表題曲で、シンプルなトラックの上でNo.1をテーマにDEN、神、剣、ZORRO、般若がマイクを回していきます。
この曲はシンプルなトラックなだけに最後の般若の暴れっぷりが光ってますね。
般若は他のメンバーと比べるとバースの比率が小さいのに存在感がとてつもないです。

最後を〆るM-16「BAD BOY BLUES -極悪坊主- feat. G.K. MARYAN」は雷からMARYANが参加。
DEN→MARYAN→MASARU→剣→般若→神の順番でHookを交えながら2人づつマイクを回していくマイクリレーもので、Hookはリリックこそ同じですがその際のバースを担当した2人がそれぞれのHookを担当するという面白い構成。
Hookでのスクラッチもいい味が出てますし、MARYANも難なく雰囲気に馴染んでいます。


前作はインパクトのある言葉選びと半端ない勢いで構成された作品でしたが、本作はインパクトのある言葉選びはそのままにしつつも、さらに曲のトピックを広げたという印象です。
しかもそれぞれのトピックでも全員中々の仕事ぶりを見せていて、彼らのポテンシャルが大いに発揮されたと言えますね。
イントロやスキットもいい箸休めになっていますし、曲全体の曲順なども最初から最後まで飽きさせない構成です。
前作は1stゆえに粗い部分があったもののそれが気にならないくらいに勢いで押し切ったという印象でしたが、本作は腹を括って完成度を高めた印象です。
「1stアルバムの正統進化盤」というのが本作に対する1番しっくりくる評価ですね。


見かけたら是非どうぞ。


↓M-6「バビロンシティ」のPV。
www.dailymotion.com