りくぼーの音楽感想倉庫

音楽CDの感想を綴っていきます

Bobby / Bobby Brown

Bobby


曲目リスト


1. Humpin' Around (Prelude)
2. Humpin' Around
3. Two Can Play That Game
4. Get Away
5. Til the End of Time
6. Good Enough
7. Pretty Little Girl
8. Lovin' You Down
9. One More Night
10. Something in Common duet with Whitney Houston
11. That's the Way Love Is
12. College Girl
13. Storm Away
14. I'm Your Friend duet with Debra Winans


評価: ★★★★★★★★☆☆


アメリカのR&Bシンガー、Bobby Brownの3rdアルバム。
1992年8月25日発売。


多分2ndアルバムからこの作品くらいまでがBobbyの全盛期だったんではないでしょうか。

世界的な大ヒットアルバムとなった2ndアルバムをリリース後、リミックスアルバムも好調なセールスを記録。そしてなんと音楽ファンの間で未だに語り草にされるシンガー、Whitney Houstonとの婚約まで発表とハッピーな話題には事欠かなかったBobby。

このアルバムも見事にその話題を生かした楽曲(M-10「Something In Common feat. Whitney Houston」)が収録されていたこともあって、かなり注目を浴びたヒット作になりました。


……最も、この後のBobbyに待ち受けているものを考えると、火事で全焼する前の立派なお屋敷を見ているような気分にはなってしまいますが。


さて、内容に。


1stアルバムの感想でも書いたように、Bobbyは正直歌唱力はそこまであるわけではありません。
しかしながら万人受けもしやすいであろうBobbyの色気のある声はそれで切り捨てるには余りに捨てがたい魅力があります。

本作の大部分を占めるシンプルで聴きやすいトラックとの相性もバッチリで、老若男女問わず気楽に聴けるであろうとっつきやすい内容になっています。
最も詞の内容は恋愛ものが中心で、スケベな内容の詞もあるのでその辺りは好みが分かれるかもしれませんが。


15秒ほどの女性のコーラスからM-2「Humpin' Around」に繋がる流れなんて問答無用にカッコいいですし、そこからフロア向けの楽曲を続かせた後にしっとりした楽曲を持ってくるのも親指を立てたくなる作り。しかもどの曲も聴きごたえがある良曲と来るんですから…!
特に結婚の歌であるM-5「'Til The End Of Time」はBobby自身が結婚を控えていただけに気合いが入っている感じです。結婚式のBGMにはもってこいでは?
最もその後にM-6「Good Enough」というちょっとスケベな楽曲を入れるのはどうなんだろうとは思いますが笑


そしてWhitneyをマイクゲストに迎えたM-10「Something In Common duet with Whitney Houston」は間違いなく本作中盤のハイライト。
二人を祝福する雰囲気を出しつつもお互いを引き立たせるトラックの上で歌う2人の歌はかなり聴きごたえあり!
…まあこの2人の末路を知っている身としては複雑な気分になりますけどね。

またこのアルバムの最後を締め括るM-14「I'm Your Friend」もアルバムのトリに相応しい名曲です。
華やかなトラックの上でのBobbyとDebraの絡みは一級品。


全体的に見ると中盤辺りに中だるみがあるのは否めませんし、派手な感じはそこまでありませんが、トラックやBobbyの歌、ラップが全て丁寧に作られた快作であることは間違いないですね。
上にも書きましたが、本当にこれは普段J-POPやクラシックしか聴かない人でも聴けるのではないでしょうか。
本当にそのくらい聴きやすいんですよ。

ブックオフなどの安売りスペースの常連アルバムですので、比較的手にいれやすいと思います。(廃盤なので新品での入手は無理ですが)

興味のあるかたは是非聴いてみてください。


↓M-2「Humpin' Around」のPV。
youtu.be

にほんブログ村 音楽ブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 音楽ブログ CDレビューへ
にほんブログ村

ファンキーモンキーベイビーズ / FUNKY MONKEY BABYS

ファンキーモンキーベイビーズ


曲目リスト


1. 恋の片道切符
2. そのまんま東
3. 西日と影法師
4. GO! GO! ライダー
5. ALWAYS
6. One
7. 笑顔
8. Oh My Lady
9. ろくでなしCRUISE [album version]
10. オレオレRAP
11. 勝負パンツ
12. B・W・H
13. チェケラッチョ


評価: ★★★★★★★★☆☆


東京八王子で結成されたラップグループ、FUNKY MONKEY BABYSの1stアルバム。
2006年7月19日発売。


FUNKY MONKEY BABYSはMCのファンキー加藤モン吉、DJのDJケミカルの3人からなるグループです。
2004年の元旦に、元々ソロで活動していたファンキー加藤モン吉が結成しました。
DJ ケミカルは元々はライブDJで、メンバー加入を希望していたもののリーダーであるファンキー加藤から中々OKが出ませんでした。
何とか晴れて正式メンバーになったものの、この1stアルバム発売時に「このジャケで売れなかったらクビ」と言われてしまったと・・・。
シャレで言ったのかマジで言ったのかは分からないですけどね。
あのファンキー加藤W不倫騒動以降、「ファンキー加藤の性格の悪さ」がビックアップされることがネット上で多かったですけど、どこまで本当なんでしょうか。


そして本格的に活動開始したのちに、2006年1月に1stシングル「そのまんま東へ」でメジャーデビューを果たします。
その後にシングルを短いスパンでリリースしていき、メジャーデビューからわずか半年でこの1stアルバムをドロップ。
このアルバムの前に出したシングルはそこまでチャート順位が振るったわけではなかったのですが、この1stアルバムはチャート15位という好セールスを記録し、テレビ番組でのDJケミカルのパフォーマンスで一気に知名度を上げたのです。
今では日本では知らない人がいないと言ってもいいくらいのグループになりましたよね。


では、内容に。


ファンモンと言えば、「あとひとつ」とか「ちっぽけな勇気」などの青春系、あとは「Lovin' Life」、「告白」なんかの恋愛ソングを思い浮かべる人が大多数だと思います。
そのせいか売れ線の音楽や薄っぺらい詞を嫌う自称音楽愛好家たちや、熱狂的なHIP HOPファンからはしばしば嘲笑の的にされるグループです。
おまけに2016年のファンキー加藤W不倫報道により、解散後にも関わらず、ファンからも総スカンを食らう羽目になってしまった不運なグループでもあります。
他の2人は完全にとばっちりなんですけどね・・。
おそらくこの記事を読まれている方にも、彼らの音楽が嫌いな人は絶対にいらっしゃるでしょう。


そんなあなたにもちょっと聴いてみてほしいのがこの1stアルバムです。


この1stアルバムはそんなに青春系や恋愛ソングはなく、色々なタイプの曲が収録されているんですね。
この頃はまだちょっと自分たちのスタイルを模索していたのかな?っと感じました。

2ndシングルの表題曲であるM-1恋の片道切符」、デビュー曲であるM-2「そのまんま東」と、初っ端からシングル曲が2曲続きます。
前者は片思いソング、後者は自分へのエール曲となっており、両方ともシングルを切っただけあってトラックは2人の雰囲気によく合っていますし、ファンキー加藤モン吉も気合を入れてラップしています。
アルバムのスタートとしてはいい入りだしですね。


M-3「西日と影法師」は、3rdシングルのカップリング曲で、哀愁漂うトラックの上で西日から想像できる自分の昔の思い出を紡いでいくリリックを展開する楽曲で、彼らのスタイルとしっかりハマった良曲。
仕事から退勤する時のBCMには間違いなくピッタリでしょうね。
続くM-4「GO!GO!ライダー」は2ndシングルのカップリング曲で、トラックもリリックも全てにおいておふざけ100%の楽曲。
哀愁漂う楽曲の次にこれかよ!って感じですが、これが何だかんだで聴いてて楽しい流れ。ちょっとスケベなリリックがあるので親子で聴いていると気まずいかもですが・・。

そこからM-5「ALWAYS」からM-7「笑顔」までは基本的にポジティブなリリックが並ぶ流れです。
特にM-5「ALWAYS」は3rdシングルの表題曲で、個人的には本作のハイライト。
トピックこそよくある応援歌ですが、トラックも勢いが半端ないですし、何よりMC2人のラップがギア全開で聴きごたえ抜群。
後半のファンキー加藤の早口ラップなんて不倫報道後のファンキー加藤からは想像もできないカッコよさがあります。
続く2曲も、トラックと2MCのラップの相性の良さを見せつける楽曲で、聴いているだけで笑顔になってしまうような雰囲気を味わえます。


M-8「Oh my lady」はトラックは殆どROCKに近く、2MCの乗りこなしもラップというよりは歌に近いように感じます。
HIP HOPファンから見ると不快に思うかもしれませんが、とにかく割り切って聴いていればものすごく楽しく聴ける楽曲です。
キャッチ―な雰囲気で、首を振りたくなってしまうこと請け合い。

M-9「ろくでなしCRUISE[album version]」は、以前彼らがコンピレーションアルバムに参加した際の参加曲のREMIX。
モン吉の声が非常にDJ TATSUTAのトラックとマッチしていて、いい感じに暴れまわっています。
ファンキー加藤のラップもいいアクセントとして働いてますね。


以降はトラックをDJ TAKI-SHITが手掛けており、後期のファンモンからは想像もできないようなハードな曲を披露しています。
M-11「勝負パンツ」、M-12「B・W・H」は曲名からもわかる通りエロネタで、親子で聴いていたら親の方が気まずくなること必至。
ただこちらの後半は、前半や中盤と比べるとちょっと勢いが落ちますね。
やっぱりファンモンの2人はPOPテイストな曲が合うなあと思ってしまいました。


正直僕もあのW不倫の騒動以降ファンモンの楽曲を積極的になんて聴いていなかったんですけど、久しぶりにこのアルバムを聴いてみたら後半の失速はあるものの予想していたよりずっと良くてびっくりしました。
不倫していたり、麻薬に手をだしたりするミュージシャンなんてぶっちゃけ数えきれないくらいいるので余り気にしないようにはしてるんですけど、ファンモンやファンキー加藤の場合は作っている曲が作っている曲でしたからね・・・。その被害も甚大だったというわけでしょうね。
恐らくあの騒動の後でも聴いてみて一番被害を被っていないアルバム・・だと思うので、機会があったら聴いてみても悪くないですよ。


↓M-2「そのまんま東」のPV。
www.youtube.com

SUIKEN Presents SIXTEEN STARS / SUIKEN

SUIKEN Presents Sixteen Starz Orchestra 2001(’75Til Infinity)



曲目リスト



1. SPECIALJOINTRO

2. P.C.T.4000 feat. P.H.

3. N.A.F.O.N feat. GORE-TEX

4. E-V-1

5. NEKIUS

6. INFINITY Pt.2 feat. DELI, DJ JIF ROCK

7. HIGHLIGHT

8. Sui SLANGIN'01

9. THINK ONE

10. SCISSORS

11. P.O.P NO DIGGIDY

12. KEEP ON

13. 千夜月兎 feat. bird

14. E-V-2

15. STATION 79.7 feat. JOSEPH CACCHO E~NA

16. ALKMAN (album version)



評価: ★★★★★★★☆☆☆



日本のラップグループであるNITRO MICROPHONE UNDERGROUNDのメンバー、SUIKENの1stアルバム。

2001年4月11日発売。



NITROが結成されるまではDABOやK-BOMBなどとCHANNEL 5というグループで活動しており、自主制作でテープもリリースしていたみたいですね。

その後にBUDDHA BRANDSHAKKAZOMBIEの作品に客演として参加し、リスナーの認知度を上げていきました。

1998年にソロ名義でアナログ「THE SENSE」をリリースし、ソロデビュー。

NITROの中では地味な印象を持たれるSUIKENですが、NITROメンバーの中ではGORE-TEXに次いで2番目に早くソロデビューを果たしていたんですね。

最も、2人ともソロデビュー作では余りいい評価を得られなかったそうですが・・。



2000年の8月にSONYからシングル「ALKMAN」をリリースして、メジャーデビューを果たします。

その後に、今でも日本語ラップファンの間では語り草にされるNITROの1stアルバム「NITRO MICROPHONE UNDERGROUND」がメジャーからリリースされ、「これはすごい奴らがでてきた!」と日本語ラップファンの心をわしづかみ。

それと並行してSUIKENは2000年12月に2ndシングル「PAR CHEE TAH 四千」(M-2)、2001年3月に3rdシングル「千夜月兎」(M-13)とコンスタントにソロ作品のリリースを続けていき、2001年4月にこの1stアルバムをドロップ。

まさにNITROがノリに乗っていた時期に出された1枚なわけですね。

チャートでの最高順位は20位で、SUIKENの歴代アルバムの中では最高順位を叩きだしている作品でもあります。



さて、内容に。



SUIKENはくせ者揃いのNITROの中で比較的オーソドックスなラップスタイルを見せるメンバーであるものの、純粋な迫力や格好良さを一番見せるメンバーでもあります。

予測不能な言葉を紡いでリリックを作っていくのは他のNITROメンバーと変わらないですが、SUIKENは特にその傾向がありますね。

このアルバムでもそれは変わらず、予測不能な言葉を紡いだラップを聴かせてくれます。

ただNITROの「3 ON THREE(三銃 SHI*T)」などで見せた暴れまわるようなスタイルは比較的なりを潜めているので、そこを期待すると裏切られてしまうかもしれません。



プロデューサーは刀頭やMACKA-CHIN、DJ YASなど多彩なメンツを迎えており、1曲1曲ごとに雰囲気が違っていて最初から最後まで聴き飽きることはありません。

その反面、アルバムとしてのまとまりがあまりないことも確かですし、明らかにSUIKENのラップとマッチしていないトラックも存在しているので、残念ながらクラシックアルバムとは言えないですかね。



そんな中でM-3「N.A.F.O.N feat. GORE-TEX」、M-6「INFINITY Pt.2 feat. DELI, DJ JIF ROCK」なんかはNITROメンバーを客演に迎えていることもあって、NITROの1stアルバムの雰囲気を受け継いでいる感じです。

特にM-3「N.A.F.O.N feat. GORE-TEX」はオーソドックスながら勢いのあるSUIKENのラップとどっしりとしたGORE-TEXのラップ、SUIKENぶっきらぼうにたたみかけるラップを披露するHookが見事にシンプルなトラックにはまった1曲で、アルバムの中でも一際カッコいい楽曲です。

NITRO好きな人なら他に過去音源をMIXしたスキットであるM-11「P.O.P NO DIGGIDY」なんかも楽しめるでしょうね。



SUIKENならではの魅力が発揮されているという面では、M-2「P.C.T.4000 feat. P.H.」、M-13「千夜月兎 feat. bird」は先行シングルとして切られただけあって流石の楽曲に仕上がっています。

前者は中華風のトラックの上でSUIKENとP.H.が楽し気にマイクを回す様が楽しめる中毒性の高い1曲ですし、後者はSUIKENの気だるいラップと気だるいトラック、birdのコーラスが素晴らしい化学反応を起こしていて、名前に「月」と入れたのは大正解な楽曲です。おまけに所々に意味ありげな言葉を入れているのが何ともいえないやり口。



トラック的に一番魅力を感じたのはM-15「STATION 79.7 feat. JOSEPH CACCHO E~NA」。

SUIKENのラップはゆったりとしたトラックととても相性がいいんですよ。

で、この曲のトラックもゆったりとしたトラックなんですけど・・ここではあえてそのトラックの詳細には触れません。是非とも聴いて味わってみてください。



そして外せないのがこのアルバムの最後をしめるM-16「ALKMAN (album version)」。

この曲は疾走感のあるトラックにSUIKENがラップを乗せる楽曲。

基本的にHookの部分にラップは乗りません。しかしながら最後のほうでSUIKENがその部分でラップを乗せてくるのですが・・・その乗りこなし方がとんでもなくカッコいいんですよ。

この曲を流しながら夜の都会を見下ろせるところをドライブするのは夢になりますね。



結構賛否両論が分かれる作品ですが、個人的には何だかんだで楽しめる1枚でした。

そんなに強くお勧めをするわけではありませんが、興味がある方は是非聴いてみてください。



↓M-13「千夜月兎 feat. Bird」。

www.youtube.com

にほんブログ村 音楽ブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 音楽ブログ CDレビューへ
にほんブログ村

SOURCE / EXTRIDE

SOURCE

曲目リスト



1. Mic Goes On feat. HANA, JOKER

2. Keep Your Head Up feat. DESTINO

3. 2006 Soul

4. Rootz

5. -To Be feat. Cielo

6. Now To Next feat. GIPPER

7. Outro Mixed By Fillmore



評価: ★★★★★★★☆☆☆



ドドド久しぶりの更新です。

81TCのメンバーであるEXTRIDEが、POWER SOURCE RECORDZからリリースした1stミニアルバム。

2006年10月11日発売。



EXTRIDEは東京・横浜を拠点として活動しているMCで、2001年に所属していたグループが解散したのを機に、ソロMCとして活動するように。

同じく東京・横浜で活動するクルー、h.g.p.やNORA CREWとの交流を深め、コンピレーションアルバムへの参加やfeatでの楽曲参加で名前を全国にもアピールしていきました。

そのような活動を経た後81TCに加入し、このミニアルバムリリースにたどり着いたのです。

さて、内容に。



この作品でのEXTRIDEの紹介で必ずと言っていいほど書かれているのが「玄人を納得させる確かなスキル」と「万人に受け入れられる極上の気持ちよさ」を併せ持つMC、とのこと。

僕もこの作品を聴く前から彼のfeatした音源やコンピの参加音源は何曲か聴いていましたけど、確かにその表現は間違っていないと思いますね。

EXTRIDEのラップは癖がなくて幅広い人に受け入れられそうですし、スキルも全体的に上手いとはいい難い西海岸系のMCが多い中では高い部類に入るのでは。

ただしその反面、癖がなさ過ぎてインパクトに欠けてしまい、コンピでは他のMCの楽曲に比べて印象に残りにくい楽曲を作るMCであったことも否めませんでした。



曲のトピックはアウトロを除いて6曲という少なさの中でも、マイクリレーや応援歌、仲間について、バッキンダデイズものなど様々なトピックを取り揃えています。

ただ応援歌であるM-2「Keep Your Head Up」、M-6「Now To Next」なんかはもっと心に響く応援歌はいくらでもあるよって気がしてしまいましたね・・。

DESTINOやGIPPERは詞カードを見なくてもリリックの内容が耳に入ってきますが、EXTRIDEはそのラップの特性上、詞カードを見ないと余りリリックの内容が耳に入ってきません。

メッセージソングでこれは・・どうなんでしょうね。



ただ、そのあたりに目をつぶって純粋にサウンドとして聴く分には7曲25分というちょうどいい感じで時間を彩ってくれる作品であるのも事実です。

M-1Mic Goes On」は81TCのメンバー2人とマイクを回すマイクリレーですが、走り抜けるようなトラックの上で3人とも勇ましくラップを乗せていく様は素直にカッコいいですし(というかこの曲の2バース目のJOKERのバースは上の応援歌2曲よりぐっとくるラインがあります)、M-5「-To Be」なんかはしっとりとしたトラックとEXTRIDEの声の相性の良さを見せつける楽曲になっていますしね。

EXTRIDEのラップはしっとりとした冷たいトラックとの相性はすごくいいんですよ。



個人的にこのアルバムの一番の聴きどころはバッキンダデイズものであるM-4「Rootz」。EXTRIDEが昔どう思っていたかなどを風景も交えながらラップしていく楽曲で、切なげなトラックとEXTRIDEのラップの相性も抜群です。



そんなわけで、EXTRIDEのラップに興味がある人は買ってもいいかなって感じです。

それ以外の人は1度どこかでEXTRIDEのラップを聴いてから購入を考えることをおススメします。



M-1Mic Goes On feat. HANA, JOKER」のPV。

www.youtube.com

にほんブログ村 音楽ブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 音楽ブログ CDレビューへ
にほんブログ村

ZERO / DABO

ZERO



曲目リスト



1. ZERO

2. MIC CHECK

3. 拍手喝采 REMIX feat. BIGZAM, DELI, OSUMI

4. ZERO (Instrumental)

5. MIC CHECK (Instrumental)



評価: ★★★★★★★★☆☆



NITRO MICROPHONE UNDERGROUNDの一員、DABOの4thシングル。

2001年5月30日発売。



2000年に多くの日本語ラップリスナーからクラシックと評される1stアルバム「NITRO MICROPHONE UNDERGROUND」をリリースし、日本語ラップ界のアイドルとなったNITRO MICROPHONE UNDERGROUND

それからはグループの活動と共に各メンバーのソロ活動も活発化し始めました。



さて、当然人気絶頂のグループとして8人とも確かにすごい評価を受けていましたが、その中でも一際高い評価を受けていたのがこの男、DABO。



NITROの中でもずば抜けたスキルと低音の効いたスムーズなラップは、大勢のリスナーの心をわしずかみにしてしまいました。

NITROのアルバムをリリースする前にもソロ名義で2枚のアナログをリリースしているのですが、NITROのアルバムをリリースしてから3rdシングル「拍手喝采」をCDでリリース。

これがもう話題沸騰となり、どんどんソロMCとしても勢いを加速。

その4ヶ月後にリリースされたのが、この「ZERO」。

DABOが最も輝いていた頃の作品の1枚ですね。



では内容に。



上でも書いたようにDABOの特徴は、日本人離れした低音の効いたスムーズなラップ。

この声が好き!というリスナーも結構多いはずです。



本作は言うならば、「ダークでクールな作品」という言い方がしっくりくる1枚ですね。

M-1ZERO」、M-2「MIC CHECK」はどちらもクールで冷たいトラックの上に、DABOがスムーズなラップを乗っけていく、まさに彼にしか作れない2曲になっています。

ラップのスムーズさからして、日本版NASと言えるかもしれませんね。

最もNAS程のリリシストかどうかはさておき・・。。



M-1ZERO」にしろM-2「MIC CHECK」も良曲と言える楽曲ですが、その2曲を凌ぐ出来なのがM-3「拍手喝采 REMIX feat. BIGZAM, DELI, OSUMI」。

イントロはOSUMI、1バース目は原曲のDABOの1バース目、2バース目はBIGZAM、3バース目はDELIと、4人でマイクを回していくマイクリレー楽曲。

4MCともキャラ立ちしたラップをトラックに乗せ、爆発力のあるREMIXに仕上がっています。

もう一つの「拍手喝采」と言ってもいいくらいの出来です。



M-4とM-5のインストはクールでダークなトラックなのでちょっと物足りない感もありますけど、フリースタイルとかの練習にはもってこいでしょう。



M-1ZERO」は1stアルバムにも収録されていますが、アルバムバージョンとはイントロの語りがちょっと違っています。

後の楽曲はM-2「MIC CHECK」は1stアルバムに、M-3「拍手喝采 REMIX feat. BIGZAM, DELI, OSUMI」はベスト盤に収録されているので、シングルバージョンのM-1ZERO」やインストに興味のない人はそっちを買うことをお勧めします。勿論シングルバージョンのM-1ZERO」やインストに興味がある人は勿論このシングルもお勧めですけどね。



M-1ZERO」のPV。

www.youtube.com

にほんブログ村 音楽ブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 音楽ブログ CDレビューへ
にほんブログ村

EGOTOPIA / RHYMESTER

EGOTOPIA


曲目リスト


1. Intro
2. 20世紀 ~開け心~
3. 悪趣味節
4. 知らない女
5. 口から出まかせ feat. KING GIDDRA, SOUL SCREAM
6. 知らない男 feat. BOY-KEN
7. あしたのショー feat. DJ TONK
8. エゴトピア
9. The God / The Mad
10. 君の瞳に映るオレに乾杯
11. Return of Funky Grammar feat. EAST END, MELLOW YELLOW
12. And You Don't Stop


評価: ★★★★★★★★☆☆



早稲田大学にて結成されたラップグループ、RHYMESTERの2ndアルバム。
1995年6月25日発売。


1993年に1stアルバムをリリースしてからは、着々とアピールを重ね、シーンの中で自分たちのスタイルを作っていったRHYMESTER
その2年後、この2ndアルバムをドロップ。


このアルバムがリリースされた1995年は、徐々にですが様々なラッパーたちが自分たちの居場所を作っていき、日本語ラップ界で今も語り草になっている作品が多く排出された年でもあるのです。

ちなみに僕がこの世に誕生した年でもあります。(関係ない)


MICROPHONE PAGERの1stアルバム「Don't Turn Off Your Light」、キングギドラの1stアルバム「空からの力」、LAMP EYEのデビューEP「下剋上」などなど。
そしてそれらの作品と共に語り草にされるのがこのRHYMESTERの2ndアルバム「EGOTOPIA」。
日本語ラップファンでRHYMESTERの1stアルバムを評価する人は余り見たことがありませんが、この2ndアルバムからは結構評価をされてきた印象がありますね。

1stは本人たちにとっても聴くに堪えない作品みたいなのでしょうがないですけどね。


さて、内容に。


初期のRHYMESTERの特徴と言えば日常や思っていることを彼らならではの言葉選びで彩るスタイル。
1stアルバムから2年経ってリリースされた本作ですが、そんな彼らのラップも安定感が増しました。


イントロを経てのM-2「20世紀 ~開け心~」はイントロに続くジャグジーな雰囲気。
しかしながらHookを聴くとライブではかなり盛り上がるのが想像できます。
M-3「悪趣味節」は、安易に日本語ラップをけなす人間に向けたメッセージソング。
重たいトラックの上でのMC SHIROとMummy-Dの言葉選びが強烈で、聴けばいろんなフレーズが頭に残ること必至です。


M-4「知らない女」は電車で知らない女性に対する恋心、そのときの状況を描いた曲。
聴いているだけで状況が頭に思い浮かんでしまう言葉選びで、まるで小説を読んでいるような気分になります。

M-5「口から出まかせ feat. KING GIDDRA, SOUL SCREAM」は本作の中では最も有名な曲で、2007年リリースのベストアルバムでも本作から唯一収録された曲ですね。
RHYMESTER、KING GIDDRA、SOUL SCREAMの3グループでマイクを回していくマイクリレー曲。
全員が強烈なパンチラインを繰り出しており、随所でこの頃ならではの雰囲気を出しています。
1曲の中でトラックが切り替わっていく流れもたまらなくカッコよくて、日本語ラップのクラシックと呼ばれるのも納得の一曲です。

その後のM-6「知らない男 feat. BOY-KEN」は自分を弄んでいた女性に対しての恨み節100%ソングで、かなり独特な失恋ソング。
RHYMESTERの2MC、客演のBOY-KEN、シンプルながらも強烈なトラック、いずれも最高の仕事ぶり。
本当に言葉選びが絶品すぎますよ。アクは強いですが・・。


M-7「あしたのショー feat. DJ TONK」は日本語ラップの認知度がまだまだ低かった時期の苦労を綴ったバッキンダデイズもの。
Hookの言葉選びからして初期の彼らの苦労が伝わってきます・・。
DJ TONKはちょっとだけしか顔を出しませんが、中々いいスパイスになってます。
でも1995年というと、まだまだこんな感じだったんでしょうね・・。
高校生ラップ選手権やフリースタイルダンジョンでラップブームが数年前にきましたが、そのブームが終わりつつあるこれからはシーンはどう変わっていくのか。
気になるところです。


続くM-8「エゴトピア」は表題曲ですが、かなりおふざけ要素が強い楽曲です。
面白いと取るかくだらないと取るかで評価が変わるでしょうね。

M-9「The God / The Mad」は確かアナログで切られた楽曲ですね。
命をテーマにした楽曲で、最後のビッグバンのような音が印象的。


M-10「君の瞳に映るオレに乾杯」はトピック自体はHIP HOPにはよくあるナルシストもの。
しかしリリックの目の付け所が本当に良くて聴きごたえがあります。
お洒落なトラックもポイント高しですね。


M-11「Return of Funky Grammar feat. EAST END, MELLOW YELLOW」は当時のFGグループの仲間たちとマイクを交わすマイクリレーもの。
ネタ感の強いトラックの上で全員が大暴れしていますが、やはりRHYMESTERの2人が並んで一番キレキレですかね。

M-12「And You Don't Stop」も最初は余り印象に残らなかった曲ですが、よくよく詞を聴いてみると中々しみる内容。
年を取るたびに聴きたくなる1曲です。


日本語ラップ界の大物たちがマイクを回していくM-5「口からでまかせ feat. KING GIDDRA, SOUL SCREAM」が注目されやすい本作ですが(いや、確かにこの曲は間違いなく名曲ですが)、他の曲にもこの曲に負けず劣らずの楽曲が収録されていて、リリースから23年経った今でもしっかり聴ける1枚ですよ。

未だに日本語ラップファンの間で語り草となるのも納得の本作、見かけたら是非聴いてみてください!


↓M-10「君の瞳に映るオレに乾杯」。
www.youtube.com

俺に言わせりゃ / RHYMESTER

俺に言わせりゃ


曲目リスト



1. イントロ

2. 笑うな

3. ちょっとしたヒガミ

4. LIVE FROM 俺んち

5. AB・A・O・B

6. なんもやる気しねえ

7. 星に願いを

8. あわよくばパワー

9. ルーパー氏のテーマ feat. ジミー

10. ユニフォーマーズ宣言

11. ワンアンドオンリー

12. 愛のなんでなんだ

13. FUNKY GRAMMAR feat. EAST END, MELLOW YELLOW

14. ヴァイオレンス・ファンタジー

15. アウトロ

16. あわよくばパワー Real Love Mix



評価: ★★★★★★★★☆☆



早稲田大学で結成されたラップグループ、RHYMESTERの1stアルバム。

1993年4月25日発売。



RHYMESTERは1989年にメンバーの出身大学である早稲田大学のサークルでMC SHIRO(現宇多丸)とMummy-Dの2人が結成したグループです。

現在のメンバーはその2人とDJ JINの3人ですが、このアルバムをリリースした頃は、メンバーが比較的流動的だったらしく、DJ ICEにDJ CHOCOLATE、Dr.Looperもメンバーに名前を連ねていました。

ダンサーも従えた「RHYMESTER ALL STARS」としてライブを行っていた時期もあり、結構な歴史があります。もうすぐ結成30年を迎える彼らの歴史は伊達ではありません。



そんな経歴を経て、1993年にこの1stアルバム「俺に言わせりゃ」でデビューを果たします。

しかし、その頃はまだ日本語ラップのシーンというものがあってないようなものだったそうで、ミュージシャン本人たちがチケットを売っていたり、ライブでもお客より関係者が多いのは当たり前。

アメリカのLL COOL JM.C. HAMMERなどのHIP HOPが日本に入ってきて、日本でもいとうせいこうなどがラップを披露するようになってHIP HOPというジャンルが定着してはいったものの、まだまだ日本ではキワモノ扱い状態でした。

そのため、RHYMESTERキングギドラMICROPHONE PAGERスチャダラパーなどこの頃から活動していたラップミュージシャンたちは、手探りで自分たちの生きる道を開拓していました。

その手探っていた頃の時代の産物の内の1枚がこの1枚です。

残念ながら当時の他のラッパーたちの作品に比べて評価は芳しくなく、評論家からも酷評を浴びせられてしまいました。

しかしながらRIP SLYMEやKICKにとってはバイブル的な作品で、何度かこのアルバムの曲をライブでやらせてほしいと本人たちに言っていたそうですが、本人たちから一切許可が出なかったため、できなかったそうです。

というのもRHYMESTER本人たちにとっては、酷評した評論家たちと同じ気持ちで、このアルバムは黒歴史以外の何物でもなく、闇に葬ってほしい作品だそうです。

なのでライブでもこのアルバムの収録曲は一切やらず、ほとんどなかったことにされています。

でも、このブログではしっかり紹介させて頂きます笑



さて、内容に。



様々な生存策をとっていた当時の日本語ラップミュージシャンたちの中で、RHYMESTERがとったスタイルは、主に日常や思っていることをコミカルに描くスタイル。

ギドラのような政治的な部分ではなく、本当に日常の会話や出来事で感じている部分をそのまま赤裸にトラックに乗せています。

トピックはやる気が出ない状況とか、占いについてなど様々ですが、比較的男女関係が占めている割合が高いですかね。



MC SHIROとMummy-Dのラップはこの頃はまだトラックへの声の乗せ方、ライミングの仕方などが確立されておらず、自分たちのスタイルを模索していたのがこれ以上なく伝わってきます。

流石にこれ以降の作品の彼らのラップと比べると印象に残らないラップですが、それでもこれはこれで味があって個人的には好きです。



リリックの内容も上に書いたとおりのことがテーマながら「上手い!」と言えるようなリリックが随所にあり、結構楽しみながら聴けますよ。



一番面白いのは男女関係などをテーマにした曲ですね。

M-3「ちょっとしたヒガミ」なんかは、男女関係や上手くいっている人たちに対する嫉妬心をストーリーも用いて上手く描写されていて、誰でも一度は共感できる一曲になってますし、身体目当ての男の心を描いたM-7「星に願いを」、M-8「あわよくばパワー」は内容は最低としか言いようがないですけど、まさにこの頃の彼らにしか作れないパンチラインが連発されます。この頃からのRHYMESTERファンの中で名曲にあげられるのも納得の出来です。(しつこいようですが内容は本当に最低です笑)

ちなみに最後のこの曲のRemixは爽やかな雰囲気と最低なリリックの対比がたまらない1曲に仕上がっており、原曲に劣らない最低曲だけど名曲(?)です。

M-12「愛のなんでなんだ」も恋愛の意味不明さ、矛盾を投げかけたリリックで、中々現実味がある所をついており、うんうんと頷きながら聴けます。トラックもその内容を引き立てていて文句の付けどころなし。



それ以外のトピックでは、M-5「AB・A・O・B」。

何と血液型占いとそれを持ちかけてくる人間を強烈に批判している1曲。

今ではもう完全に科学的に全くの出鱈目だと証明されている血液型占いですが、もうこの頃からテーマに選んでいる彼らは勲章ものでしょう。

血液型占いで悪者にされやすいO型やB型の方なら、聴いていてスカッとしてしまうはず。



M-6「なんもやる気しねえ」もやる気がしない気持ちを非常に上手く描写していて、誰でも共感できてしまう内容。

早稲田大学出身の彼らなのに、ダメ人間のリリックを描かせると天下一品のリリックになるのですから分からないですね。



というように、普通の水準で、この頃の彼らのラップが嫌いでなければ結構面白い曲も多いんですよ、この作品。

確かに完成度という面ではイマイチ高くない点は否めませんけど、このアルバムの音源はこのアルバムでしか聴けませんし、レンタルでもいいので是非一度は聴いてもらいたい作品です。

果たしてこの感想を本人たちが見たらどう思うでしょうね笑



↓M-3「ちょっとしたヒガミ」。

www.youtube.com

にほんブログ村 音楽ブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 音楽ブログ CDレビューへ
にほんブログ村