曲目リスト
1. AMEMURAN DREAM feat. 韻踏合組合
2. GO feat. SEEDA
3. 日本人ラッパー総選挙 feat. 般若
4. 24 BARS TO KILL feat. ANARCHY, RINO LATINA Ⅱ, 漢, MACCHO
5. JAPANESE TOKKOTAI BANCHO feat. TETRAD THE GANG OF FOUR
6. MY CITY feat. GAZZILA
7. HEAVEN'S DOOR feat. RYUZO, B.I.G. JOE
8. RUNNIN' feat. バラガキ, ZEUS
9. REMEMBER SHADOWMEN feat. K.G.E. THE SHADOWMEN
10. ROC RATED feat. ANARCHY, LA BONO, RYUZO
11. MCW(MUCHA CUCHA WARU) feat. TWIGY, DABO
12. FOLLOW ME feat. SMITH-CN
13. HEY TAXI feat. ISSUGI, S.L.A.C.K.
14. 24 BARS TO KILL REMIX feat. DJ TY-KOH, ZEEBRA, SIMON, D.O, SHINGO☆西成
評価: ★★★★★★☆☆☆☆
2000年代を代表する日本語ラップレーベル、R-RATEDからリリースされたコンピレーションアルバム。
2010年10月20日発売。
本作は2005年にRYUZOが設立したR-RATED RECORDS(以後R-RATED)から初めてリリースされたコンピレーションアルバムで、全曲アメリカのプロデューサーであるSKI BEATZが全てのトラックを手掛けています。
作品の解説に入る前に、SKI BEATZについてちょっと紹介しておきましょう。
SKI BEATZは上にも述べたようにSKI BEATZはアメリカのトラックメイカーであり、主に90年代に活動開始しました。
1996年にリリースしたJAY-Zの1stアルバムでも4曲のトラックを手掛けたことで、多くのリスナーたちにその名を轟かせます。
他にもLil KimやFat Joe、I-20など様々なラッパーにトラックを提供し、アメリカのHIP HOP界では有名なトラックメイカーの1人になったのです。
2000年代に入ってからはレーベルを立ち上げ、地元のアーティストの育成に力を入れるように。
そのSKIが常駐するNYのスタジオは、不夜城のごとく常にエンジニアやミュージシャンが作業しているため、やがて「24 Hour Karate School」と呼ばれるようになったのです。(NYは空手にも馴染み深い場所です)
2010年にアメリカのHIP HOPシーンにて、「SKI BEATZのトラックに様々なラッパーがラップを乗せる」というコンピレーションアルバムである「24 HOUR KARATE SCHOOL」をリリースしました。
Jim Jones、Curren$y、Stalleyなどといったメンツを迎えた本作は話題作となりました。
この名前からお分かりでしょう。
要するに本作はこの「24 HOUR KARATE SCHOOL」の日本版なのです。
クレジットを見てもらえると日本語ラップ好きなリスナーなら分かりますが、参加メンツは非常に豪華。
当然のことながら日本語ラップ界でも2010年の凄まじい話題作となっています。
では内容に。
SKI BEATZのトラックは昔ながらのHIP HOPらしいシンプルさながらも、様々な音が地味に織り込んである引き出しの多い構成。
参加メンツは上にも書いたように非常に豪華で、当時でも日本語ラップ歴10年以上のベテランから、期待の新人として注目されていたラッパーまで揃っています。
日本語ラップ好きなリスナーならクレジットを見ただけでワクワクしてしまうこと請け合いでしょう。
ところが・・いざ最初から最後まで聴いてみると、「あれ?悪くはないけどそれほど良くも・・?」という感じです。
どうもSKIのトラックとラッパーの相性が余り良くなかったり、ラッパーたちが奮ってないように見える楽曲が多いのです。
単独で曲を任されたSEEDAのM-2「GO」やGAZZILAのM-6「MY CITY」なんかはどちらも底力のあるラッパーですが、本作ではどうも奮っていないですね。
SMITH-CNのM-12「FOLLOW ME」は、上記の2人と比べるとまだ生き生きしていますが、それでも普通程度。
そしてベテラン勢で1曲を任された般若のM-3「日本人ラッパー総選挙」なんて非常にもったいなく感じてしまいます。
般若の目の付け所、リリックの内容も面白いですし、SKIのトラックもラッパーによっては名曲に化けそうなトラックを提供していますが、どうも双方の相性が微妙で、結果的にどっちつかず。
その他の2人以上の楽曲もそんな感じで、全体的にどっちつかずな楽曲が多い印象ですね・・。
(SKIのトラックで一番かっこいいと思えたのはISSUGIとS.L.A.C.K.によるM-13「HEY TAXI」のトラックですが、これもISSUGIとS.L.A.C.K.のラップがあまり奮わず)
しかしながら聴いて損はしない楽曲があるのも事実。
韻踏合組合によるM-1「AMEMURAN DREAM」はSKIのトラックの上でいつもながらの韻踏メンバー4人での気持ちよいマイクリレーを繰り広げる聴きごたえありの良曲。
この曲で始まったときは聴き進めるのが楽しみになりました。
そしてなんといっても本作の目玉曲であるM-4「24 BARS TO KILL」。本作の中でも超絶話題になったのも頷ける、かなり勢いのあるマイクリレーです。
最初にインパクトのある入りだしで魅せるANARCHY、スムーズながらも貫禄のあるラップで持っていくRINO、まくしたてるようなラップを披露する漢、がっつりとしたラップで締めくくるMACCHOと、誰一人として無駄がありませんね。
SKIとのトラックとの相性も抜群で、本作の中でもずば抜けてかっこよすぎる楽曲。
ラストに控えるこの曲のREMIXも、ZEEBRA、SIMON、D.O、SHINGO☆西成がトラックに負けない生き生きしたマイクリレーを披露。
特にZEEBRAの入りだしと、D.Oのパンチラインの応酬は必聴です。
ただDJ TY-KOHのシャウトは入れなくてよかったと思いますが・・・。
全体的には良作という評価は付けられないですが、この3曲を聴くためだけでもなんとか手に入れてほしい1枚でしょうか。
あとAmazonレビューではSKIのトラックがかっこよくない、という声が多いですが、個人的にはそんなにSKIのトラックが悪いとは感じなかったですね。
むしろ普通にかっこよく感じました。もしインスト盤があったらほしいかも。
もし興味のある方はどうぞ。
↓M-4「24 BARS TO KILL」のPV。
www.youtube.com