りくぼーの音楽感想倉庫

音楽CDの感想を綴っていきます

Glory / Manafest

Glory


曲目リスト


1. Don't Turn Away feat. Justin Humes
2. Bounce
3. Runaway
4. Impossible feat. Trevor McNevan
5. Dreams
6. Retro Love
7. Critics feat. Promise
8. Where Are You
9. Wanna Know You
10. Droppin' Hammers
11. Glory (You Are)
12. Rodeo (Bonus Track)
13. Skills (Bonus Track)


評価: ★★★★★★★★☆☆


カナダのオンタリオ州トロント出身のラッパー、Manafestの3rdアルバム。
2007年2月9日発売。


20世紀終盤にLINKIN PARKが登場し、世界の音楽シーンで一つのジャンルとして確立されたのがミクスチャーラップ。
日本でもDragon AshORANGE RANGEなどが台頭するようになり、ロックとラップの組み合わせでもリスナーを魅了することができるというのを知らしめましたね。

そんな中での2000年代中盤、ミクスチャー界に現れたのがManafest。
元々はHIP HOPグループのラッパーとして活動していましたが、やがて解散したため、ソロラッパーとして活動を開始。
2005年にリリースされた2ndアルバムである前作でデビューを果たし、その2年後にこの3rdアルバムを投下しました。


では内容に。


サウンドは基本的にはラウドなギターなどをフューチャーしまくった強烈なROCKサウンドが中心。HIP HOPファンよりもROCKファンの方が受け入れられそうですね。
Manafestはそんなにラップに特徴があるわけではありませんが、すごいのはどんなに強烈なサウンドでもラップが全くサウンドに負けていないところです。
しっかりとManafestというラッパーの作品になっています。


M-1Don't Turn Away feat. Justin Humes」からもうManafestの底力は体感できるはず。
初っ端からいきなり強烈なROCKのトラックが届けられますが、JustinもManafestも全く飲み込まれることなくラップを披露しています。
続くM-2「Bounce」はノリの良いトラックの上でManafestが滑らかにラップを乗せていく様が印象的な良曲。
聴いていて首を振りたくなってしまうこと請け合いです!


M-3「Runaway」はそんな2曲から雰囲気が変わり、哀愁漂うトラックで、迷惑ばかりかけた両親に対する懺悔のメッセージが込められた曲。
Hookの女性のバックコーラスが哀愁を増幅させていて◎。
アルバム全体で見てもいいタイミングで持ってきたな、と思えます。
M-4「Impossible feat. Trevor McNevan」は、ラップは淡々とした雰囲気ですが、HookではTrevorの狂ったような歌いまわしが炸裂していて、インパクトは抜群です。

M-5「Dreams」はシリアスなトラックの上で、成功者の視点からリスナーや同業者に贈るメッセージソング。
EMINEMの「Lose Yourself」が好きな方なら間違いなく気に入ると思います。
無論僕も好きな曲なので、この曲も一撃でお気に入りに追加となりました。
M-6「Retro Love」はハードなトラックの上でHookの女性シンガーの声とManafestのラップがいい感じに絡んで聴きごたえ抜群です。
M-7「Critics feat. Promise」でもHookで歯切れのいいラップを披露するPromiseとバースで難なくラップをキックしていくManafestの相性の良さがいかんなく発揮されています。
M-8「Where Are You」は硬派なラップとHookのキャッチ―な雰囲気の構成が聴いていてとても楽しいですね。
特に曲の終わる直前とHookでのラップの絡みなんて鳥肌もの!


M-9「Wanna Know You」はM-1Don't Turn Away feat. Justin Humes」と同じく、Hookでドカンと盛り上がる構成。
M-10「Droppin' Hammers」は一度聴いたら耳に残る比較的コミカルなトラックの上で自由自在にラップを乗せるManafestのスキルの高さを実感できます。
どちらも単純に聴いていて楽しめます。

輸入盤だと最後を〆るM-11「Glory (You Are)」はちょっと宗教的でシリアスなトラックで、アルバムの中でも異色な楽曲。
アルバムをこういう異色な楽曲で〆る例はなかなか見ない気がします。
しかし楽曲としてはその雰囲気でも難なく乗りこなすManafestのラップが印象的な良曲。


後の2曲は国内版限定のボーナストラックで、前作から2曲をセレクトしてそのままボーナストラックとして収録したもの。
なので対訳や解説などに興味がなく、前作を所持している方は無理にこの国内版を手に入れる必要はありません。
最も、前作からわざわざ収録されたというだけあって、どちらもサウンド、ラップ共にかなりカッコいいです!
前作を見かけたら、ぜひとも手に入れたいと思いましたね!


さて、なんとなく手に取った1枚でしたが、予想以上の内容の良さにびっくりです。
上にも書いたように、どんなトラックでも負けることなく難なく乗りこなしてしまうManafestの底力がすごいですね。
サウンド的にもROCKが好きな人にも、HIP HOPが好きな人にもおススメできます。
しかもやわな売れ線な音楽では決してない・・・とにかくバランスが素晴らしい作品です。
Manafestの作品で今のところ所持しているのは本作のみですが、他の作品にも手を伸ばしたくなりました。


見かけたら是非ご一聴を。


↓M-8「Where Are You」のPV。
www.youtube.com