曲目リスト
1. Badboy Please / N.C.B.B(North Coast Bad Boyz)
2. Feeling... / AILI
3. Head Up High / BIG RON, RICHEE, One-2
4. Back Wild / BUZZ
5. Hood Night / DAZZLE 4 LIFE
6. 2 Of Us / 詩音 feat. RICHEE
7. Until May 23.2006 / HYENA, DESTINO, Ark
8. S. / ERIKA feat. LGY
9. Island / KATAGI
10. The Boogie That Be / NORA
11. Want You To Know / 一丁目団 feat. BIG RON
12. Groovin' Everyday / TWO-J feat. GROOVE BROTHERS
13. Hi-Car / BLACK BELT
14. 生きた心地 / RODEO MASTER feat. SAY
15. I’m Back / GDX
評価: ★★★★★★★☆☆☆
日本の西海岸系のラップ曲を集めたコンピレーションアルバム。
2006年8月23日発売。
2000年代に入ってから日本のHIP HOP業界で一つのムーブメントとなった西海岸サウンド。
そのブームの真っ盛りに出たコンピアルバムですね。
では、内容に。
参加アーティストを見ると前半はN.C.B.BやBIG RONなど単独で音源を出していたりして名前が全国区に広がっていたメンツが多く、後半はBLACK BELTやRODEO MASTERなどほとんど見かけない名前が目立ちますね。
最も一番のベテランと言えるのは最後に控えるGDXですが。
幕を開けるのは北海道から札幌のラップクルーN.C.B.BのM-1「Badboy Please」。
爽やかながらも攻撃的なトラックの上でのマイクリレーが聴きごたえ抜群。この曲を1曲目に持ってきたのは正解です。
それぞれのラップスキルがそれほどあるわけではないですけど、マイクリレーという形だとカッコよさが出るグループですよね。
続くAILIによるM-2「Feeling...」はそんな攻撃的な楽曲から一転で心地よいトラックの上でのメロウチューン。
AILIの癖のない歌声がトラックに程よく絡む様が聴いていて気持ちいいです。
ここまでの流れで結構聴き続けるのが楽しみになること請け合いです。
M-3「Head Up High」はマイクはBIG RONにRICHEEにOne-2、トラックはDJ MARIOという後のGHETTO INCのメンバーとなる人物が勢ぞろい。
このコンピの翌年にリリースされたGHETTO INCの1stアルバムではDJ MARIOのトラックにラップが乗る曲はなかったので、今のところDJ MARIOの唯一のGHETTO INCメンバーのラップが乗ったトラックになります。
自分たちのヒストリーを基にした応援歌で、哀愁漂うトラックの上でのBIG RONの歌声がしっかりとハマっています。RICHEEとOne-2のラップも悪くはないですけどBIG RONが一番ハマっていますね。
M-4「Back Wild」を務めるのは宮城県から仙台のラップクルーのEIGHT TRACKからBUZZの1人舞台。
トラックは後にLGYankeesのメンバーとなる同じく仙台のDJ No.2。
この曲はとにかくDJ No.2のトラックがカッコいいです。神聖な雰囲気のイントロ、随所で入るスクラッチと最初から最後まで聴き逃せないですね。BUZZのラップは悪くないですけどまあまあ。
M-5「Hood Night」はD4L。確か本人たちのアルバムにも収録されていた気がします。
CMDのラップとT-Trippenのトークボックスが相変わらずのハマり具合。聴いていて首を振りたくなること間違いなし。
M-6「2 Of Us」は当時ではシーンでも期待の歌姫とされていた詩音の楽曲にRICHEEが参加。
よくある感じのパーティーチューンですけど、詩音の歌声とRICHEEのちょい高めのラップとの相性は中々。
M-7「Until May 23.2006」は、神奈川のh.g.pからHYENAにDESTINO、Ark。
勢いのあるトラックの上で3人の絆をマイクリレーで熱くラップする内容で、個人的には本作中盤のハイライト。
元々熱い内容のリリックを書かせると上手い3人。そのテーマでこの3人のマイクパスとなれば悪いはずがありません。
カッコよさの面でもリリックの面でも本作ではかなり聴かせる楽曲です。
M-8「S.」はBUZZと同様宮城県仙台市から歌姫のERIKAと当時アルバムを出したばかりだったLGY。
ERIKAの力強い歌声とLGYのがっつくようなラップが聴きごたえあり。
今はERIKAはTERRYとよくやるようになりましたけど、LGYのことはどう思ってるんでしょうか。
M-9「IsLand」はKATAGIというラッパーで、本作で初めて名前を知りました。
カナダ出身の日系ラッパーで、2000年代前半からコンピ等に参加していたようですね。
切なげのトラックの上での寂しげなラップが独特な雰囲気を醸し出しています。
BIG RONと詩音がコーラスで参加していますよ。
M-10「The Boogie That Be」は神奈川からのラップクルーのNORA。
NORA名義ですがリーダーのTicky "D" Tacは不参加で、Tacを除いた4人でのマイクリレーです。
この曲では1番GIPPERが冴えてますかね。
シンプルなトラックの上での舐めまわすようなフロウがインパクトがあります。
M-11「Want You To Know」は沖縄から一丁目団の楽曲で、BIG RONが客演として参加。
ミュージシャンとして生きていく中でいろいろと迷惑をかけてしまった恋人に対するメッセージソング。
リリックの内容に好感を持てるかで評価が変わると思います。
M-12「Groovin' Everyday」はアメリカと日本を行き来するラッパーのTWO-Jで、GROOVE BROTHERSが客演としてクレジットされていますが実質TWO-Jのソロ曲です。
随所に入るスクラッチがカッコいいものの、曲としてはちょっとパンチが弱め。
M-13「Hi-Car」はBLACK BELTというグループで、本作で初めて知ったグループです。
どうやら他に音源は出していないようですね。
疾走感のあるトラックは面白いもののちょっとラップが弱いです。
M-14「生きた心地」はRODEO MASTERというラッパーで、2006年に1枚アナログをリリースしたようですね。
綺麗なトラックの上で彼女とのひと時をラップする内容。
HookではSAYが色気のある歌で華を添えます。
RODEO MASTERのラップは余り特徴はないですけど、そのおかげでSAYの歌声の邪魔になっていないのが利点。
最後を締めくくるのは日本語ラップがまだ形になっていなかった頃から活動を続けていたベテランのGDXによるM-15「I'm Back」。
客演にはクレジットされていないですけど、バックボーカルでZeebraとBIG RONが参加しています。
西海岸風なトラックの上でGDXらしいギャングスタラップを披露。
西海岸風サウンドという縛りはあるものの、色々なタイプの曲が入っていて最後まで聴ける内容になっています。
最も曲としては良し悪しがあり、特に後半の方はちょっと失速気味な印象を受けますね。
もう少し実力派なラッパーを向けてもよかった気がします。
しかし全国的に名前が広がっているメンバーでも本作でしか聴けない音源も収録されているので、それ目当てだけでも手に入れる価値はあると思います。
↓M-2「Feeling...」。
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