りくぼーの音楽感想倉庫

音楽CDの感想を綴っていきます

COAST II COAST / V.A.

COAST 2 COAST


曲目リスト


1. Message from Kayzabro / Kayzabro
2. MY SHOES / OUTSIDE PLAYAZ
3. HOME-SICK ~憂安怒哀~ / 黒羽
4. Smooth Operator / RICHEE
5. PRAY 4 ALL G'z / DAZZLE 4 LIFE
6. FREEDOM / LGY feat. LIL-BO
7. いつもst / 65SYNDICATE
8. Rap Game II / O.G43
9. COLD AS ICE / 1-KYU, S55 a.k.a SPOCK
10. Coastin’/ LUX
11. HOOD LOCKA / EL REY
12. HELL UP IN THE HOOD / BUZZ, TERRY, Mr.RAIDER
13. Ain't no at a loss / S.G, TATS feat. U-PAC Lisa Yamaguchi
14. Life is do or die / ONE-G


評価: ★★★★★★★★☆☆


2007年にTSUTAYA限定でリリースされた日本の西海岸系ラップのコンピレーションアルバム。
2007年3月14日発売。


2000年代にDS455のメジャーデビューをきっかけに構築された日本の西海岸系ラップシーンですが、中でも2007年はディスコグラフィ的には割と盛り上がった年だったようです。
LGYのHIROによる東北の西海岸系オムニバス「NORTH EAST」のリリースやDJ PMXのミックスアルバムのオリコン入り、HOKTやDS455のニューアルバムリリースなど西海岸系のトピックが多かった年です。
そんな2007年の年度変わり直前にリリースされたのが本作で、TSUTAYA限定での販売。
当時はHMVTOWER RECORDSなどでも取り扱わなかったようで、割と貴重なコンピだったようです。
2023年現在ではAmazonで送料を除き新品が350円、中古が1円で買える模様。


では、内容に。


Kayzabroのイントロを経てOUTSIDE PLAYAZによるM-2「MY SHOES」でアルバムはスタート。
如何にも西海岸という雰囲気のネタ色の強いトラックの上での歌とラップがサラッと心地よく響く曲で掴みとしては最高でしょう。
リリックはオール英詩のため日本語ラップという感じは全くしないですが、そんなことも気にならないくらいサウンドとしての良さが別次元。

続く黒羽によるM-3「HOME-SICK ~憂安怒哀~」は爽やかなトラックながらもちょっと攻撃的な雰囲気。
黒羽の貫禄のあるラップ捌きもトラックにしっかり合ってます。


M-4「Smooth Operator」はGhetto Inc.のメンバー、BIG RONの弟として知られるRICHEEのソロ曲。
同年にリリースされたGhetto Inc.の1stアルバムにも収録されていましたね。
リリックの内容はよくあるセルフブーストものですが、RICHEEのちょっと高めのラップはインパクトがありトラックにも負けていません。
ちなみにBIG RONも途中でちょっとだけ顔を出すんですが、正直そこが一番耳に残るポイントです。

M-5「PRAY 4 ALL G'z」は2000年代後半からこのようなコンピで顔を出していたD4L。
T-Trippenのトークボックスの利いたトラックとCMDのストレートなラップの相性は折り紙付きですが、この曲もご多分に漏れずガッチリハマってます。
この曲も1stアルバムに収録されていますが、もうこの頃から1stアルバムを心待ちにしていたリスナーは多かったのでは。

M-6「FREEDOM」は同年2月のコンピアルバムリリースで話題をかっさらっていたLGYにLIL-BO(EIGHT TRACKのL-B)が参加。
そのコンピアルバムでの「Movin'!!」のノリそのまんまの迫力あるチューンで、トラックもラップも流石の勢い。
ただHIROのラップが他の2人と比べてかなり短いのが気にかかりますけど。先陣を決めるのと最後を〆るLIL-BOがやはり上手いですね。
アウトロのDJ No.2のスクラッチもかなりカッコよく、中盤のハイライトと言っていいでしょう。


M-7「いつもst」はSTYLISTIC MAFIAでおなじみの65SYNDICATEのソロ曲。
トラックは途中でトラックが止まる箇所があるものの基本的に一貫したワンループ。
その上に65SYNDIACATEがラップを乗せるわけですが、ワンループトラックなのにも関わらず一切隙間がないラップを乗せる力量は流石です。
こんな構成なのに最後まで飽きないのもすごいです。
M-8「Rap Game II」はO.G43。
如何にも西海岸らしいネタ感のトラックの上でのO.G43のラップは中毒性があり、何回か聴きたくなってしまいますね。

M-9「COLD AS ICE」はN.C.B.Bから1-KYUとS55のタッグ。1-KYUの1stシングルにも収録されています。
1stシングルの時は書き忘れましたがM.O.Pの同名曲のカバーです。
この曲もそうですがこの2人はタッグを組むと本当にお互いのラップの良さが倍増して聴きごたえが出るんですよね。
ぶっちゃけこの2人のユニットできてほしかったです。


M-10「Coastin'」はLUX。D-ONとMulti Plier Sync.によるユニットとのこと。
ラジオの始まりの様な特徴的なイントロから展開されるのは嫌味がない合唱Hook。
お互いのラップや歌も流れるようなトラックに相性バッチリで、聴いているだけで楽しくなること請け合い。

M-11「HOOD LOCKA」はEL REYでそんな雰囲気とは打って変わって重たい雰囲気のトラック。
EL REYの早口ラップが危なっかしくトラックにはバッチリハマっていますね。
リリックの内容はあってないようなものですが、とにかくこのハマり具合だけで聴かせるのは流石。

M-12「HELL UP IN THE HOOD」はEIGHT TRACKからBUZZ、TERRY、Mr.RAIDERの3人によるマイクリレー。
勢いのあるトラックの上での実力派3人によるマイクリレーは悪いはずがなく、迫力もリリックの言葉捌きもラップの乗せ方も全てにおいていうことなし。
Hookのスクラッチもとんでもなくカッコいいです。


M-13「Ain't no at a loss」はラップはS.G, TATSとU-PAC、歌は山口リサ。
涼し気で落ち着いたトラックの上での山口リサの歌が非常に相性よしで、一回聴いただけで耳に残りますね。
ラップの方はちょっとガラついているS.G. TATSのラップも悪くはありませんが、U-PACのスムーズで癖のないラップの方がトラックには合っていますかね。

最後を〆るのはONE-GによるM-14「Life is do or die」。
哀愁漂うトラックの上でのONE-Gの硬派なラップは流石の相性で、最後の〆としては十分な楽曲と言えるでしょう。


日本の西海岸系のラップを集めたコンピレーションアルバムは楽曲の良し悪しが激しい印象がありましたが、本作は最初から最後まで良曲が並んで楽しめる内容になっています。
M-6「FREEDOM」やM-12「HELL UP IN THE HOOD」など本作でしか聴けない楽曲もあるため、この手のラップが好きな方なら絶対にチェックして損はないですね。
そのようなラップを聴いたことない方でも聴きやすい内容でもあるので、これからこの系統の楽曲を聴いてみようという方の入門編としても最適です。
見かけたら是非チェックを。


↓M-13「Ain't no at a loss」。
www.youtube.com