曲目リスト
1. My Style Is The Best / 餓鬼レンジャー
2. Amploud / Dragon Ash
3. CAN'T C ME / 2PAC
4. Enter the 我~燃えよ!我リヤ~ / ラッパ我リヤ
5. GET YOURSELF UP (PETE ROCK REMIX) / KRS-ONE
6. ファイヤボン / 山嵐
7. PUBLIC ENEMY NO.1 (JERONIMO PUNX REDU) / PUBLIC ENEMY
8. 琴ばうんす / 麻波25
9. SERIAL KILLA / SNOOP DOGGY DOGG
10. NJ TO LA / NAUGHTY BY NATURE feat. ROAD DAWGS, ROTTIN RAZKALS
11. DISTBALL / 宇頭巻
12. ALL ABOUT U / 2PAC feat. SNOOP DOGGY DOGG, NATE DOGG, FATAL AND YAKI KADAFI
13. Mob Squad / Dragon Ash feat. PASSER, HUNTER, 黒兄, ONO-G
評価: ★★★★★★☆☆☆☆
日本のラップ、洋楽のラップ、日本のミクスチャー楽曲を集めたコンピレーションアルバム。
2002年9月28日発売。
2002年はRIP SLYMEやKICK THE CAN CREWなどがメディアにガンガンでるようになった年です。(KICKに至っては紅白出ちゃいましたしね)
キングギドラが2ndアルバムで上の2組に加えてDragon AshのKJを攻撃したことで大騒ぎになるなど、日本でのHIP HOPにとって重要な年となりました。
そんな年にひっそりとリリースされたのが本作で、日本のラップとミクスチャー、アメリカのラップという3つのジャンルからのセレクトで構成されています。
担当者曰く「路上で支持され、路上で鳴り響くにふさわしい楽曲たち」を集めたのだとか。
それに加えて担当者自身が「餓鬼レンジャーと2PACが並んだコンピとかあったら面白いのでは?」と思っていて、それを本作でやったとのこと。
さて、内容に。
上にも書いたように日本のラップ、ミクスチャー、アメリカのラップがごちゃごちゃに並んでいるという奇妙な構成になっています。
このような洋邦混同のコンピって前半が邦、後半が洋とかになっているパターンがほとんどですけど、本作は曲順が本当にごちゃごちゃ。
これは・・果たして功を成したのか。
アルバムの幕を開けるM-1「My Style Is The Best」は日本のラップから餓鬼レンジャーの楽曲で、中華風のトラックの上でのスクラッチの嵐が印象的。
アルバムの1曲目としてはまずまずと言ったところ。
M-2「Amploud」はミクスチャーからDragon Ash。
スムーズな音運びを見せるサウンドの上でのKJのラップは聴きごたえが中々。
サウンドもインパクトがあって、本作のミクスチャー楽曲の中では一番いいと思う楽曲です。
M-3「CAN'T C ME」はアメリカのラップから2PAC。
トラックはDr.Dreで一度聴いたら癖になる音作りは流石はDreといったところ。
そこに乗る2PACのラップも迫力があり、一度聴いただけでリスナーの心を鷲掴みにすること請け合い。
M-4「Enter the 我~燃えよ!我リヤ~」は日本のラップからラッパ我リヤの人気曲。
曲名からも分かるようにWu-Tangの「Enter The Wu-Tang」のオマージュ。
トラックもラッパ我リヤのラップも勢い100%で聴きごたえは随一。
迫力も文句なしで本作の日本の楽曲の中でもかなり聴かせる曲。
M-5「GET YOURSELF UP (PETE ROCK REMIX)」はアメリカのラップからKRS-ONE。
平坦なトラックですがKRS-ONEの独特な乗りこなしがインパクトあり。
KRS-ONEだからこそ作れた曲でしょうね。
M-6「ファイヤボン」は日本のミクスチャーから山嵐。
ただラップをしてる雰囲気がそんなにないので普通のROCKチューンに聴こえます。
確かに山嵐はミクスチャーバンドですけど、この曲を選曲した意図はいかに?
M-7「PUBLIC ENEMY NO.1 (JERONIMO PUNX REDU)」はアメリカのラップからPUBLIC ENEMY。
ROCK色のある豪快なトラックの上でのPUBLIC ENEMYの乗りこなしは中々なもの。
M-8「琴ばうんす」は日本のミクスチャーから麻波25。
琴の音色を巧みに使ったトラックは日本ならではという感じで面白いですが、ラップの方がちょっとパンチ弱め。
ノリはいいんですけどそれだけという印象です。
M-9「SERIAL KILLA」はアメリカのラップからSNOOP。
SNOOPならでは舐めまわすような強烈なフロウと聴いただけで西海岸系列と分かる冷たい雰囲気のトラックの相性の良さは折り紙付き。
聴いているだけで頭を振りたくなってしまうこと請け合い。
続くM-10「NJ TO LA」もアメリカのラップからでシンプルながらも聴きごたえのあるトラックの上でのマイクリレーがニンマリ物。
M-11「DISTBALL」は日本のミクスチャーから宇頭巻。
この曲もM-6「ファイヤボン」と同じでそんなにラップ色がありません。
サウンドが強烈なのもあってかよりROCK色が強め。これを選曲した意図は?
M-12「ALL ABOUT U」はアメリカのラップからで豪華メンバーによるマイクリレー。
スムーズなトラックでのマイクリレーものですが、HookはNATE DOGGが担当。
この人がHookを担当するマイクリレーに外れがないのもお約束。
NATE DOGGの温かみの歌声のHook、そして歯切れのいいラッパー陣のラップ。
聴いているだけで笑顔になること間違いなしのイチオシ曲。
M-13「Mob Squad」は激しいベースの音が印象的なミクスチャー。その上でのマイクリレー。
どのメンバーのラップも聴きごたえもあるもののHookがちょっとインパクト不足。
楽曲としてはまずまずと思うんですが、この曲をなぜ最後に持ってきたのかが分かりません。
M-12「ALL ABOUT U」のスムーズな落ち着いた雰囲気で終わった方がいい〆になったと思うんですが。
最後にこんな激しめの曲で終わられるというのはちょっと消化不良。
内訳としては日本のラップ2曲、日本のミクスチャー5曲、アメリカのラップ6曲。全13曲。
日本の楽曲はミクスチャーが大半を占めており、バランス的にはかなり疑問が残ります。
そもそも日本からはラップとミクスチャー両方をセレクトしているのに、アメリカからはラップのみというのはどうなんでしょう。
選曲の方はというと、日本のラップ2曲は中々なもののミクスチャーの方はいいと思えたのは正直Dragon AshのM-2「Amploud」くらい。
日本の楽曲は全体的にちょっとインパクトがなかったです。
その反面アメリカのラップ6曲は全て名曲と言っていい出来。
アメリカ側の選曲はまさに正しかったと言えるでしょう。この選曲なら本作を聴いてアメリカのラップに興味を持つ方も出るのでは。
ただその逆はかなり少ないのではと。
あとは・・やはり日本の音楽と洋楽をごちゃまぜにした曲順にするのは無理があるのではと感じました。
Dragon Ashの次に2PACだったり、KRS-ONEの次に山嵐だったりと・・この曲順はやはり流して聴いていると違和感があります。
他のこういう系列のコンピのように前半を日本、後半をアメリカの曲で固めるとかだったら違和感はそんななかったと思うのですが・・。
ごちゃまぜにしたことで結果的にどっちの良さも殺してしまってる感がぬぐえず。
トータルアルバムとしてはそんなにはお勧めできないんですが、上にも書いたように洋楽の方は聴ける環境にあるなら聴いた方がいい曲が詰まっています。
中古屋などで見かけたらアメリカのラップの入門編としてならアリかも?
↓M-2「Amploud」のPV。
www.youtube.com
↓M-3「CAN'T C ME」のPV。
www.youtube.com