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Sin / ZANG HAOZI

SIN


曲目リスト


1. Lost'in Bad Game
2. Door Man feat. AK-69
3. 自由を生きる者たちへ
4. Represent dogs feat. HOKT, TWO-J, RICHEE, CITY-ACE
5. 街
6. Skit
7. Underground Casino
8. 名もなき者の詩
9. カーチェイス
10. Answer
11. 手紙 feat. EL LATINO, SHINTAI
12. E.D.E.N
13. Precious memory for two of us
14. NEVER CHANGE feat. 籠獅
15. Dear Juliet feat. BIG RON
16. 儚き宇宙…
17. 不滅のMelody


評価: ★★★★★★★☆☆☆


福岡県福岡市を拠点として活動するラッパー、ZANG HAOZIの2ndアルバム。
2010年7月21日発売。


ZANG HAOZIは宮崎県出身ですが拠点を福岡県福岡市として活動しており、同市で結成されたラップグループであるSHITAKILI IXに参加。
2001年にリリースされたSHITAKILI IXの1stアルバムで自身のラップを全国に初披露した後、DS455を筆頭に様々なラッパーやDJの作品に客演参加。
2006年にはインディーズで1stアルバムをリリースし、顔を広げていきます。
2009年にリリースされたラップアルバムの中でも屈指の好セールスを記録したAK-69の5thアルバムに客演参加したことで一気にその名前の広がりが加速し、2010年にはMS Entertainmentと契約。
2ndアルバムである本作でメジャーデビューを果たしました。


では、内容に。


ZANG HAOZIの特徴は澄んだ低音の声ですが、声を張り上げることもあれば淡々としたラップをすることもあり割と器用な乗せ方をするラッパーです。

ピアノのイントロから爆発力のある音展開に変わるトラックでガッチリと耳を持っていくM-1Lost'in Bad Game」でアルバムはスタート。
その上に乗っかるHAOZIのラップも熱量を感じるもので入りだしとしてはまずまずと言ったところ。

M-2「Door Man feat. AK-69」はHAOZIの名前を広げた人物であるAK-69とのタッグ。
どちらもアグレッシブさを感じる聴きごたえがあるラップを聴かせてくれます。
ただHookがAK-69の歌で悪くはないんですがHookもアグレッシブにラップのみで押し切ればネクストレベルに行けた感も。


M-3「自由を生きる者たちへ」はガンガンに効かせたギターが印象的な激しいトラックの上でのメッセージソング。
甘いラップでは音に負けてしまいそうなくらい激しいトラックですがHAOZIもがなるようなラップを乗せてしっかり応戦。
路線的にはM-1Lost'in Bad Game」と似たような感じですけどこちらはHookも臨場感があるので個人的にはこっちよりです。
中盤でのスクラッチもかなりカッコよく、聴いた後には爽快感がある楽曲です。

M-4「Represent dogs feat. HOKT, TWO-J, RICHEE, CITY-ACE」はHOKT、TWO-J、RICHEE、CITY-ACEが参加。
如何にも西海岸風なクールなトラックの上でCITY-ACEの歌Hookを挟みながら他4人でマイクを回していくマイクリレーもの。
全員声質が違うのもあって最後まで首を振りながら楽しく聴けます。
この客演チョイスはまさに正しかったと言えますね。

M-5「」は哀愁漂うトラックの上でのゲットー哀歌で、リリックの内容はまさにUSのギャングスタラッパーの直輸入。
HAOZIの貫禄のあるラップ捌きはリリックとトラックの雰囲気にバシッとハマっていて、Hookでのおどろおどろしい雰囲気も癖になります。


スキットを経てのM-7「Underground Casino」は曲名の通り裏社会でのカジノをテーマにしたリリック。
緊迫感のあるトラックとHAOZIの淡々としたラップが相性バッチリで、Hookの作り方が上手くゾクッとしてしまうこと請け合い。

M-8「名もなき者の詩」は自分の境遇を嘆きながらも立ち上がろうとするもう一歩ソング。
内容的にはM-3「自由を生きる者たちへ」に近いですが、Hookの臨場感の面であちらに分がありです。

M-9「カーチェイス」はエンジンの音を入れまくったイントロからしインパクトが強いですね。
その上に乗っかるHAOZIの大げさなラップも雰囲気にガッチリハマっていてハラハラしてしまうこと必至です。

M-10「Answer」は爽やかなトラックで雰囲気がこれまでとガラッと変わります。
HAOZIの歯切れのいいラップと落ち着いたHookでの歌唱がスッと入ってきますね。

M-11「手紙 feat. EL LATINO, SHINTAI」ではEL LATINO, SHINTAIが参加。
HAOZIの荒い激情なラップとEL LATINOの流れるようなスムーズなラップはどちらもいい仕事ぶりで、HookでSHINTAIの艶のある歌声が華を添えます。

M-12「E.D.E.N」はシリアスな雰囲気のトラックで序盤は淡々としたラップで、後半になると感情を爆発させるという構成がインパクト抜群。
後半でもちょっとラップは入りますが。

M-13「Precious memory for two of us」はガンガンに色々な音を入れまくった激しい音の上での唸るようなHAOZIのHookがROCKぽい雰囲気。
ラップでは澄んだ声のラップを披露しているので切り替えの上手さが光っていますね。


M-14「NEVER CHANGE feat. 籠獅」は籠獅が参加。
とにかく籠獅のラップ捌きが上手くて耳に残りますね。リリックの面でもガシッと心に来る言葉を選んでいて光るものを感じます。
HAOZIのラップも悪くないんですが籠獅の印象が強いです。

M-15「Dear Juliet feat. BIG RON」はBIG RONが参加。
HAOZIの硬いライミングのラップはBIG RONの水っぽい歌声と相性は抜群で、BIG RONの歌が曲中でいいアクセントになっています。
センチメンタルなトラックとBIG RONの歌も見事にハマり具合。


M-16「儚き宇宙…」は宇宙をテーマにした壮大な楽曲でシリアスな雰囲気。
最後を〆るM-17「不滅のMelody」はHIP HOPではお馴染みの成り上がり物。
突き進んでいくような前向きな雰囲気があって聴いていて元気をもらえます。途中での声出しも〆感があって○。


ZANG HAOZIのメジャーデビュー作となった本作。
ガンガンな激しい楽曲もあれば穏やかな楽曲もありますが、ハードな曲の割合の方が少し高いですかね。
HAOZIのラップは芯がしっかりしていてどんなサウンドに負けない太さを持っているので、ガンガンギターなサウンドが多くなったのは分かるんですけど後半になるとちょっとそれが飽きてきますね。
ラップに関しては日本の西海岸系のラッパーの中でも強いラップができるラッパーだと感じているので、強烈なサウンド以外にも幅広いサウンドでやれるはず。
実際本作でもガンガンな楽曲以外の楽曲は良曲揃いですし、他の作品ではもっと幅広いサウンドで彩っていることを期待しています。
本作でもM-5「」やM-15「Dear Juliet feat. BIG RON」など良曲が収録されているため、チェックはしていただきたいですね。
まずは試聴を。


M-1Lost'in Bad Game」のPV。
www.youtube.com