りくぼーの音楽感想倉庫

音楽CDの感想を綴っていきます

A Vision / Jaguar

JAGUAR


曲目リスト


1. Up and Down
2. But Tomorrow
3. I Quit
4. Coming Alive
5. Together
6. Into Yesterday
7. A Vision
8. Feeling Free
9. Sweet Soul Music
10. Nothing
11. Better Blue
12. Closer to the End


評価: ★★★★★★★☆☆☆


イギリスのロンドンで結成されたバンド、Jaguarの1stアルバム。
1998年3月15日発売。


Jaguarはロンドンで結成されたバンドで、ギターとボーカル担当のMalcolm、ドラム担当のTam、ベース担当のJulianからなります。
結成されたのは1995年後半でしたがその際にはMalcolm以外のメンバーは別人で、そのオリジナルメンバーで活動していた1996年7月にワーナーブラザーズと契約。
コンピレーションカセットに「But Tomorrow」(M-2)を提供してデビューを果たします。
それが話題になったことでロンドンを中心に様々なライブ活動を展開して順調に支持を得ていくも、バンド内の人間関係がこじれたことでMalcolm以外のメンバーが全員脱退。
直ぐにMalcolmは再結成に向けてメンバー探しを行い、TamとJulianを加入させることに成功。
イギリス国内を回るツアーと並行しながらシングルのリリースを行い、1998年に一足先に日本で1stアルバムである本作をリリースしました。(イギリスでは1999年にリリースされた模様)
期待されていた新人グループでしたが1999年に解散したため、本作がJaguarの唯一のアルバムとなっています。


さて、内容に。


作詞作曲は全てMalcolm本人が手掛けているということですが、正統派なサウンドな楽曲と優しい雰囲気のサウンドな楽曲を並行してアルバムを構成している印象ですね。


アルバムのスタートを告げるM-1Up and Down」は静かな入りだしから急にインパクトのあるサウンドに変わるイントロが掴みとしては中々。
続くM-2「But Tomorrow」は上にも書いたように一番最初に発表された曲で、ギターを基調としたちょっと優しい雰囲気。
Malcolmのボーカルはちょっとスモーキーな感じで好みは分かれそうですね。
前者もインパクトのあるサウンドで悪くはないんですけど後者のようなちょっと聴きやすい雰囲気の方がMalcolmの歌には合っていると感じます。

M-3「I Quit」はこれまた優しめの雰囲気でMalcolmの歌を生かした楽曲。
随所での音の入れ方がサウンドの厚みを増していて、聴きごたえがある楽曲に仕上がっています。

M-4「Coming Alive」はベースの音が強烈で、本作の中ではハードなサウンド
対訳を見ると結構強烈なラインがあるので是非対訳と一緒にお聴きください。
M-5「Together」は路線的にはM-3「I Quit」と似ていて、Malcolmの優しさと情熱を合わせたような歌いまわしが斬新。
対訳を見るとパートナーに対するメッセージソングで、内容的にこの歌い方はとても合っていると感じます。


M-6「Into Yesterday」では今度はギターの音を始めとするすべての音が強烈。
Malcolmもそんなサウンドに負けないように本作の中では声を結構張り上げています。
まるでジェットコースターのような臨場感があるサウンドなので、インストでも聴いてみたいですねこの曲。

M-7「A Vision」は本作の表題曲で、壮大かつ繊細な雰囲気。
Malcolmのボーカルが語り掛けるような感じで、サウンドとの相性が最高です。
表題曲なだけあってかなり気合を入れたのが伝わりますね。

M-8「Feeling Free」は対訳を見ると聴く人に対する暖かいメッセージソング。
Hookではちょっと強烈なサウンドになるものの、それ以外の歌がのるパートではサウンドは抑え目にしていて歌を聴きやすくしています。
内容に合わせてこのようにサウンドの構成をしっかり変えるのはセンスの良さを感じます。

M-9「Sweet Soul Music」はうねる様なサウンドインパクト強いです。
その上でのMalcolmの乗りこなしぶりも流石なもので、本作でのサウンドが強烈な曲では一番の出来と感じます。

次のM-10「Nothing」も似たような感じですけどサウンドは正統派という感じです。


M-11「Better Blue」はちょっとシリアスな雰囲気のサウンドですが、全体の構成がちょっと普通過ぎて余り印象に残らず。
最後を〆るM-12「Closer to the End」は語り掛けるような歌い方とHookでの華やかな音使いが印象的。
〆としては良い感じで終われたのではないでしょうか。


Jaguarの最初で最後のアルバムとなった本作でしたが、Malcolmの声はどちらかといえば優しい雰囲気の楽曲の方が活きていますね。
Malcolmの声はどちらかといえばROCKよりもエレクトロとかの方が向いているんじゃないかと思います。
優しい雰囲気の楽曲メインで行けばもっといい内容になった気がしますが、本作は1stアルバムだったので彼らにとってはどっちの方がいいかという実験的な意味もあったのかもしれません。
最もハードなサウンドでもM-9「Sweet Soul Music」のような良曲もありますし、優しい雰囲気の楽曲はどの曲も良曲揃い。
これらの楽曲を手に入れるだけでも手に入れる価値はあるのでは。
まずは試聴を。


↓M-7「A Vision」。
www.youtube.com