りくぼーの音楽感想倉庫

音楽CDの感想を綴っていきます

DIRTY SQUAD -BAD BOY SELECTION #1- / V.A.

DIRTY SQUAD


曲目リスト


1. DIRTY SQUAD / DIRTY SQUAD feat. HOKT, DAI-HARD
2. STREET LIFE / GAZZILA
3. RAPPIN' RUNNING / MOLY & MAKITO
4. LEADING A DOG'S LIFE / BLACK LABEL
5. LUV MY HOOD / 22
6. I LUV HIP HOP / 9ROSE
7. ENJOY FOR SEASON / SLACKER
8. R U READY / S.W.A.T
9. STREET VERSE D / WEYM
10. 真実 / ILLEAGAL LIFE
11. 4 LIFE / HIGH TOP
12. BLUE SKY / S.I.D a.k.a 志努
13. MAKE UP ONE'S MIND / KJI
14. TO BE ME / LIL AZIAN A
15. バラまく夜 / NORTH COAST BAD BOYZ


評価: ★★★★★★★☆☆☆


日本の西海岸系ミュージシャンたちを集めたコンピレーションアルバム。
2008年6月27日発売。


2000年代に入って日本語ラップ界でムーブメントとなった西海岸系サウンド
2000年代から2010年代前半は毎年のように様々な西海岸系コンピがリリースされましたが、本作も2008年にリリースされたその1枚。
本作のメガホンを取ったのは当時では既に人気グループとなっていたNorth Coast Bad Boyz(以後N.C.B.B)。
TVでSEAMOとめちゃめちゃ仲良く絡んでいたのは驚いた記憶が。
N.C.B.Bは札幌を拠点にするグループなのでその周辺メインかなと思いきや、割と全国からメンツを集めています。


では、内容に。


アルバムの幕を開けるM-1DIRTY SQUAD」は本作に参加したラッパーを中心に、なんと総勢17人のマイクリレー。
重たさと爽やかさを兼ね備えたようなこっち方面のお得意路線なトラックで、せわしないマイクリレーを展開。
ただ声質が似ているラッパーも多くて、詞カードを見ないとラッパーが変わっていることにすら気づかない箇所多数。
曲としては悪くないんですがマイクリレーの醍醐味である声が変わる楽しさは余りないですね。


M-2「STREET LIFE」は大阪からGAZZILAで、ゆったりとしたトラックの上でのこの業界で食べていくことの決意をラップする内容。
HookでのトークボックスとGAZZILAの荒い声のラップの絡みが絶妙。

M-3「RAPPIN' RUNNING」は札幌からMOLY & MAKITO。
爽快感のあるトラックの上でがっつくようなラップを乗せていくMAKITOとまっすぐなラップを乗せるMOLY。
どちらも悪くないですが個人的にはMOLYのラップの方が滑舌が良くて好印象です。

M-4「LEADING A DOG'S LIFE」は盛岡からBLACK LABEL。
HASHBELLYとCHUCKIEの2人組でHASHBELLYが1バース目と3バース目、CHUCKIEが2バース目という構成なのでHASHBELLYが主導の曲ですね。
S55がトラックを手掛けただけあって分かりやすくSOUTHに影響を受けたトラックとなっており、2人のラップは悪くないですけどまあまあ。

M-5「LUV MY HOOD」は奈良から22。
初っ端からのトークボックスで一気に耳を掴まれますね。
Hookでもトークボックスが炸裂していてそこにばかり耳が行きます。
22のぼそぼそしたラップも悪くないですが、トークボックスに負けてしまっている感が否めないですね。


ここからは4人組のグループのマイクリレーが続く流れ。

M-6「I LUV HIP HOP」は福島から9ROSE。
初っ端からの合唱Hookから楽しい雰囲気満載でここからもう聴き進めたくなること間違いなし。
4人のマイクリレーですが、4人ともいい仕事ぶりでマイクリレーの醍醐味も十二分に味わえますし、単純に楽しい楽曲に仕上がってます。

M-7「ENJOY FOR SEASON」は福井からSLACKER。
ノリノリのパーティトラックの上でのマイクリレーは爽快感があってこちらも楽しみながら聴けます。

M-8「R U READY」は横浜からS.W.A.Tで、トラックは音数少な目ですがマイクリレーには最適なものでそれぞれのラップが十分に味わえます。
それぞれのバースを聴いているだけでも首を振りたくなってきますね。


ここから2曲はMC陣が2人。
M-9「STREET VERSE D」は三沢からWEYMで、どちらも歯切れのいいラップを乗せています。
トラックとの相性も良く、Hookではスクリュー声との絡みもいい感じです。

M-10「真実」は高松からILLEAGAL LIFE。
トラックは中々おどろおどろしい雰囲気で、その上でゆらゆらするようなラップを乗せる104、硬いライミングが印象的なラップを乗せる生我流とラップの組み合わせが相性よし。


ここからはソロ曲が続きます。
M-11「4 LIFE」は福島からHIGH TOP。
色々な音が混ぜ込まれたトラックの上でのHIGH TOPの滑舌のいいラップはとても相性が良く、Hookでのトークボックスとの絡みもかなり聴かせます。

M-12「BLUE SKY」は広島からS.I.D。
臨場感のあるトラックの上に乗るS.I.Dのラップは前向きな言葉が並び、聴いているだけで元気が湧いてきそうです。

M-13「MAKE UP ONE'S MIND」は岐阜からKJI。
バースでは音数少なめですがHookでは歌が絡んでくる派手な構成に変わるという面白いトラック。Hookではラップを乗せるのが難しそうですが難なく乗せるKJIの力量も流石なもの。


M-14「TO BE ME」は大阪からLIL AZIAN A。
この業界で生きていくことへの弱音を綴ったリリックは切ない雰囲気のトラックにバシッとハマっています。
Hookでの歌との絡みも聴きどころで、この後にN.C.B.BのM-15「バラまく夜」が控えるわけですが、これはボートラ的なものでコンピとしては恐らくここで〆なんでしょうね。
〆としては十分です。そのボートラ的な役割のM-15「バラまく夜」はN.C.B.Bの良さが十分に出たド派手なトラックの上でのマイクリレーで、こちらも良曲ですよ。


全国から西海岸系のラッパーたちが集結した本作。
前半はちょっと微妙でしたが、中盤と後半は聴きごたえのある良曲が並んでいて楽しめる内容でした。
9ROSEやILLEAGAL LIFEなどといった魅力的なグループにも関わらずアルバムまでたどり着かなかったグループも参加しているため、それらの音源を聴けるだけでも価値があります。
そういった意味でなら是非おススメします。


↓M-11「4 LIFE」のPV。
www.youtube.com