りくぼーの音楽感想倉庫

音楽CDの感想を綴っていきます

Full Circle / Bernard Jackson

https://www.amazon.co.jp/Full-Circle-Bernard-Jackson/dp/B001DGS8KY
↑ジャケを貼り付けられなかったのでAmazonリンクです(現在は購入不可)


曲目リスト


1. Closer Than Friend
2. All I Wanna Do Is Hold You
3. When I Hold You In My Arms
4. I Hope
5. Bring It Girl
6. Shower Me With Your Love
7. Where You Think You Going Girl
8. Showed Me What Love Is
9. Falling In Love
10. The Other Side Of My Bed
11. Bring It Girl (Romance Me Gal)(With Daddy T)
12. I Love You Like That
13. Happy
14. I Love You Like That (Instrumental)


評価: ★★★★★★★★☆☆


アメリカのコネチカット州スタンフォード出身のシンガー兼ベーシスト、Bernard Jacksonの4thアルバム?
2008年7月22日発売。


R&BバンドであるSurfaceの主要メンバーを経て、ソロ活動を開始したBernard。
ソロ作品を90年代後半から2000年代前半まで定期的にリリースしていた彼が、2008年にリリースしたアルバムが本作です。
ですが・・正直本作に関する情報が全くないんですよね。
Discogsなどをチェックしても本作はBernardのディスコグラフィには登録されていません。
Spotifyでは配信されているので、海賊版ではないとは思うんですが。


では、内容に。


サウンドとしては思い切り正統派のREGGAEという感じです。
2008年というともう既に色々な音が混ざったスタイルがREGGAEやHIP HOPでも主流になっていた気がしますが、2008年にここまで90年代を彷彿とさせる作品をリリースしていたというのはちょっとびっくり。
90年代にリリースされたと言っても普通にだまされると思います。


M-1Closer Than Friend」はかなりゆったりとしたリズムのトラックで、聴いていてまったりしてしまうこと必至。
その上でのBernardの主張の激しくない歌もトラックにぴったりハマっていて、サラッと聴けてしまいます。

M-2「All I Wanna Do Is Hold You」からは陽気なトラックの楽曲が続きます。
陽気なトラックの上でもBernardの透明感のある歌声が絶好調。ドライブなんかで聴いたら間違いなく上がりますね。


M-4「I Hope」ではまたしてもゆったりした雰囲気にシフト。
HookではBernardの甘い歌声が堪能できますが、バースでは聴きごたえのあるラップも聴けます。
というかBernard1人でここまで色々な感じを出せるってすごいですね。

M-5「Bring It Girl」ではこれまた陽気なチューンで、Hookでの音使いが特徴的で印象的です。
続く曲もそのような感じで、飽きずに聴かせてくれます。


そこからの流れを一気に断ち切るのがM-8「Showed Me What Love Is」。
これまでとは違う重たい雰囲気のトラックで、今までの流れを聴いていた身としてはちょっとぞくっとします。
最も全体として見るといいアクセントになっていますが。
その上で堂々と歌い上げるBernardの力量もさることながらです。

次のM-9「Falling In Love」は癖になるようなトラックと、気合が入ったBernardの歌声が印象的で、これまた本作ではちょっと異色。

M-10「The Other Side Of My Bed」はM-8「Showed Me What Love Is」ほどではないにせよややダークなトラック。
Bernardの歯切れのいい歌が聴きごたえ抜群で気持ちよさがあります。


M-11「Bring It Girl (Romance Me Gal)(With Daddy T)」はDaddy Tを客演に迎えたM-5「Bring It Girl」のセルフリメイク。
Bernardの歌とDaddyのこぶしのきいたラップさばきが拮抗する様がなんとも聴きごたえあり。
原曲ももちろんいいですが、それに負けず劣らずの楽曲に仕上がってます。


M-12「I Love You Like That」はゆったりとした雰囲気のトラックの上での相変わらずのBernardの透明感のある歌声が華を添えます。
M-13「Happy」は怪しげなダンストラックの上でのBernardの歌が印象的で、面白い組み合わせながらもなんとかハマっています。
最後にちょっと異色なので攻めてきましたね。

最後の最後を〆るのはM-14「I Love You Like That (Instrumental)」で、M-12「I Love You Like That」のインスト。
悪くはないですがBernardの歌声が入っている方が心地よくていいですかね。


CDの福袋BOXに入っていた1枚でしたが、聴いてみると割とよかったです。
ドライブのBGMには持って来いの、楽しく聴ける1枚に仕上がっているかと。
上にも書いたように本作については情報がまるでないので、何か知っている方教えてください。


↓M-13「Happy」。
www.youtube.com

Nostalgia / LGYankees × MAICHI

Nostalgia(DVD付)


曲目リスト


1. Nostalgia
2. 卯の月
3. Nostalgia(Instrumental)
4. 卯の月(Instrumental)


評価: ★★★★★★☆☆☆☆


宮城県仙台市を拠点とするラップユニットのLGYankeesと、埼玉県出身のモデルの高橋真依子(MAICHI名義)のコラボシングル。
2009年3月11日発売。


2008年にリリースしたGIPPERとのコラボミニアルバムがいい意味でも悪い意味でも話題作になったLGYankees。(GIPPERにとっては完全に黒歴史の模様。しかし「KO.A.KU.MA feat. Noa」は人気曲だったんですよね)
彼らが次のコラボ相手に選んだのは、当時雑誌のJELLY専属モデルとして注目されていた高橋真依子。(以後MAICHI)

2008年の12月にリリースした、同じ事務所に所属するNoaの1stアルバムでMAICHI名義で客演をしたのがきっかけとなり、LGYankeesともコラボをすることに。
そしてリリースされたのが本作というわけです。


さて、内容に。


LGYankeesは良くも悪くもあい変わらずで、ガラガラ声のRYOとオーソドックスな声質のHIROでどっちがどこをラップしているのかがすぐわかります。
MAICHIは女の子らしい可愛い声をしていて、人によってはあざとさを感じてしまうかも。


率直に言うとLGYankeesのラップはまだいいとしても、MAICHIの方はお世辞にも歌が上手いとは言い難いです。
歌が本業じゃないということを考慮しても、ぶっちゃけカラオケ好きの友人の方が上手いですね・・。


ただ表題曲のM-1Nostalgia」はそんな歌唱力のハンデがありながらも大分健闘した楽曲に仕上げられていると感じます。
卒業をテーマにした若々しいトピックや、トラックの雰囲気もMAICHIの歌声にマッチしていて、歌唱力もそこまで気にならずに聴き通せます。
また2ndアルバムではPOP寄りな楽曲では浮いていることが多かったRYOのガラガラ声ラップも、この曲ではそんなに浮いてなくいい味となっています。
素直に「いいね」と言える楽曲になっていますね。


M-2「卯の月」は、哀愁漂うトラックの上で音楽へ進む道への決意表明を見せる楽曲。
LGYankeesの2人のラップはトラックへの乗せ方でもリリック面でも熱さを感じる内容で聴きごたえあり。
・・・しかし、この曲はMAICHIの歌が全然雰囲気に合ってなくて浮いているのが否めないんですよね・・。
無理にMAICHIとコラボしないでLGYankeesの単独曲としてこの曲は出せばよかったのでは・・。
LGYankeesのラップは聴きごたえがあるだけに何とももったいなさを感じます。


あとの2曲はインストで、M-3「Nostalgia(Instrumental)」は正直インストとしてはそんなに印象に残らず。
M-4「卯の月(Instrumental)」はインストで聴いているだけでも、哀愁が漂ってきます。
けっこう好きなトラックなので、このトラックそのまま使ったRemixとか出てほしいですね。
まあリリースから10年以上経っている本時点で確認できないのでないとは思いますが・・。


LGYankeesとMAICHIのコラボ作ですが、上にも書いたようにMAICHIの歌唱力が・・・なので「歌唱力は大事!」という人には絶対におススメしません。
ただM-1Nostalgia」に関してはMAICHIの良さを出せた楽曲だと思いますし、どの曲も本作でしか聴けません。
そんなに強くおススメはしませんが、興味があるなら試聴して購入されてもいいかと。


M-1Nostalgia」のPVのメイキング映像。
www.youtube.com

MEGA HITS / V.A.

MEGA HITS


曲目リスト


1. All That She Wants / Ace Of Base
2. Baby-Baby-Baby (Album Radio Edit) / TLC
3. I'm Every Woman / Whitney Houston
4. Breathe Again / Toni Braxton
5. Wannagirl (Preferredgirl Pop Mix) / Jeremy Jordan
6. Baby, I Love Your Way (Radio Version) / Big Mountain
7. Forever In Love / Kenny G
8. Heaven Come Down (Radio Edit) / Jennifer Brown
9. So Natural (7'') / Lisa Stansfield
10. Anya (Edit) / Deep Purple
11. Right Here (Human Nature Radio Mix) / SWV
12. Boom! Shake The Room (Club Radio Mix) / Jazzy Jeff & Fresh Prince
13. Sax-A-Go-Go / Candy Dulfer
14. Back & Forth (Mr. Lee & R. Kelly's Remix) / Aaliyah
15. It's All Good (Grandmaster Mix) / Hammer
16. Bump N' Grind / R. Kelly


評価: ★★★★★★★★★☆


洋楽のヒット曲を集めたコンピレーションアルバム。
1994年10月21日発売。


90年代から様々な洋楽コンピレーションが日本国内でもリリースされていましたが、本作はBMG Victorからのコンピレーションアルバムですね。
当時BMGに所属していたミュージシャンのヒット曲が収録されています。


特に前置きはいらないでしょう。
では、内容に。


収録曲は主にR&B的なアプローチで、お洒落な楽曲が多めですね。


AceによるM-1All That She Wants」はキレのいいトラックの上で歌声が絶妙な絡みを見せる、最初の入りだしとしては最高な1曲。
TLCによるM-2「Baby-Baby-Baby (Album Radio Edit)」はお洒落な雰囲気のトラックの上での色っぽいTLCの歌唱が印象的で、聴いているだけでもパーッとした気分になります。
このスタートからして聴き進めるのが楽しみになること請け合い。

M-3「I'm Every Woman」に控えるはこの年代の音楽ファンにはお馴染みWhitney嬢。
Chakaの同名曲のカバーですが、もうこれはとにかくキャッチ―な雰囲気。
パワーのあるWhitneyの歌唱が聴きごたえ抜群で、やはり天性の才能を感じさせます。

ToniのM-4「Breathe Again」は大人な雰囲気の失恋ソングで、落ち着いたトラックの上ながらもToniの情熱的な歌唱が耳を惹きます。


そしてそんな落ち着いた雰囲気から一気に派手なトラックでドカンと決めてくるのがJaremyによるM-5「Wannagirl (Preferredgirl Pop Mix)」。
様々な楽器の音を贅沢に取り込んだトラックは非常に印象に残ります。特にイントロに関しては1回聴いただけで耳に残ることでしょう。
アルバムとしてもいいアクセントになっています。

続くBig MountainのM-6「Baby, I Love Your Way (Radio Version)」はトラックがREGGAEのリズムを取り入れていて、ゆったりとした雰囲気とキャッチ―さを融合させたような不思議な内容。
Hookでの音使いは陽気さも感じさせますが、どの要素も喧嘩せずにまとまっているのがすごいと感じますね。


Kenny GによるM-7「Forever In Love」はのどかな雰囲気漂うインスト。インストながらもサックスの音だけで十分に聴かせます。

続くM-8「Heaven Come Down (Radio Edit)」はJenniferによる楽曲で、聴きやすいキャッチ―な雰囲気の上でのハキハキとした歌唱が好印象。

LisaによるM-9「So Natural (7'')」でまたしても落ち着いた雰囲気に。
お洒落な雰囲気のトラックでのLisaの貫禄を感じる歌が雄大さを感じさせます。


M-10「Anya (Edit)」は本作では唯一のROCKからDeep Purpleの楽曲。
イントロからはラテン系の雰囲気を思わせましたが、一気にROCKのサウンドに代わってビックリしました。
M-9「So Natural (7'')」が落ち着いた雰囲気だったとはいえ、ここまでぶち上げる楽曲を入れてくるのはジェットコースターみたいですね。
曲自体はカッコいいですが、アルバム全体を見るとちょっと浮いているような気もします。


続くSMVのM-11「Right Here (Human Nature Radio Mix)」でまたしてもお洒落な雰囲気に戻ります。
シンプルながらも癖になるトラックとSMVの3人の歌唱が爽やかで目を閉じると青空が浮かんできますね。

M-12「Boom! Shake The Room (Club Radio Mix)」はHIP HOPからJazzy Jeff & Fresh Prince
Jazzyによるこれぞ80年代&90年代!というサンプリング全開のトラックとFreshの陽気なラップによるパーティーラップで、嫌でも首を振りたくなってしまいます。
西海岸ならN.W.Aや2PAC東海岸ならNASやWu-Tangなどのシリアスな内容をラップするラッパーやグループばかりが語り草にされる80年代前半から90年代のHIP HOPですが、このようなただただ楽しいパーティーラップにもスポットライトが当たってほしいですよね。


M-13「Sax-A-Go-Go」はサックス奏者のDulferによる有名曲。インストながらも単純に聴いていて楽しいインストになっており、ノリノリになること間違いなし。

AaliyahによるM-14「Back & Forth (Mr. Lee & R. Kelly's Remix)」は、とても当時10代だったとは思えない大人っぽい歌唱でクールな雰囲気。
癖になるHIP HOP色の強いトラックとの相性も抜群。


M-15「It's All Good (Grandmaster Mix)」はHIP HOP畑からこれまた知らない人はいないであろうM.C. Hammerの楽曲。
もうこの頃には落ち目感漂っていたHammerですけど(実際この曲が入ったアルバムリリース後自己破産してますし)、ちょっと気が抜けた感のある雰囲気は健在です。
対訳見ると結構えげつないこと言ってますが。


最後を締めくくるM-16「Bump N' Grind」を務めるはR&Bファンなら知らない人はいないR.Kelly
対訳を見るとスケベな恋愛ソング。
でも曲としては爽やかな雰囲気でコンピ最後の曲としてはキレイにまとまって・・いますかね。


よくある洋楽コンピだろうなーなんて何となく手に入れた1枚ですけど、正直あまりの内容の良さにビックリ。
最初から最後まで飽きずに聴ける16曲がセレクトされています。
お洒落な雰囲気の楽曲が多いので、ドライブや家事のBGMには持って来いの1枚ですね。
「古きよきもの」を体感したい方は是非。
この時代をリアルタイムで体験してみたかったですね・・。


↓M-3「I'm Every Woman」のPV。
www.youtube.com

僕の音楽の聴き方・・完全に雑談です

こんばんは。りくぼーです。

先日の記事で、いつもブログを閲覧いただいているNarutoさんから(↓Narutoさんのブログ)、
naruto.hatenadiary.jp

「音楽はCDで聞く事が多いんでしょうか」という質問をいただきました。

その質問について回答させていただきます。

これから先はおそらく実際にはほとんど役に立たない内容です。

結論から言うと、CDを直接は聴きません。
CD自体は1回PCの中に取り込んだら、あとはほとんど触らないですね。

CD自体を頻繁にかけると、当然のことながら傷や指紋がつきやすくなるので、それはなるべく避けたいんですよね。
ですので、CDはあくまで取り込み用に買っています。
それと、ストリーミングやサブスクよりもCDを選んでいるのは、「CDについてくる歌詞、対訳や解説を読みたい」っていうのがありますね。
特に洋楽の国内版についてくる対訳や解説は、やはり記事を書くときに頼もしいので。(まして僕は英語が全然できないのでなおさら・・)
後は単純に手元に音源があるとなんか安心するという精神的な問題です。


そして音楽の聴き方ですが、CD単位でHDDで管理しているので(↓ちなみに使用HDDはこれです。壊れてデータが飛ぶのが怖いので2つのHDDに同じデータを入れています)
https://www.amazon.co.jp/%E3%80%90Amazon-co-jp%E9%99%90%E5%AE%9A%E3%80%91BUFFALO-%E5%A4%96%E4%BB%98%E3%81%91%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%82%AF-%E3%83%86%E3%83%AC%E3%83%93%E9%8C%B2%E7%94%BB-%E3%81%BF%E3%81%BE%E3%82%82%E3%82%8A%E5%90%88%E5%9B%B3-HD-AD3U3/dp/B07BK5G8CW?ref=pf_vv_at_pdctrvw_dp


基本的にはCD単位で聴くことが多いですね。
アルバムやシングルごとに聴くことが多いです。
スマホなどで聴いている方は好きな曲を1曲単位で聴くという方が多いと思うんですけど、僕はそういう聴き方は余りしなくて、アルバムやシングルを最初から最後まで聴く、もしくは後は自分でプレイリストを作ってそれを聴くというのがスタンダードですね。

まずはアルバムやシングルをその内容で1通り聴いてから、プレイリストを作る際に曲ごとに候補に入れるという感じです。
僕は音楽を聴くときに1曲1曲の良さだけでなく曲順も結構大事だと思っているので、シャッフルで聴くということはそんなしていません。
その為プレイリストを作るときは最初の曲と最後の曲は少なくとも決めてます。
最近は納得いくのが作れていなくてアルバムやシングルの曲順通りに聴くのがメインになっていますが・・。


質問に答えると・・ざらっとこんな感じでしょうか。
Narutoさんの期待に応えられたら幸いです。
これからも質問等があれば答えられる範囲で答えていきたいと思います。
ではまた。お読みいただきありがとうございました。

Two Shot / THE HUMAN BEATS

Two Shot


曲目リスト


1. Two Shot
2. Two Shot -Instrumental-


評価: ★★★★★★★★★★


東日本大震災からもう10年が経ったんですね。
僕の地元である福島も大分帰宅困難区域などが縮小されてはきましたが、それでもまだ住めない地域があります。
正直「もう10年も経ったのか」という心境ですね。
昨年に双葉町の震災資料館に行った際に帰宅困難区域の中も車で通ったんですけど、その区域の中は震災の時から時間が止まったままでした。
この10年の間にロゴなどが変わった飲み物ってたくさんあると思いますけど、区域の中にある自動販売機の商品表示は、当時のロゴのままだったんですよ。
「立ち入り禁止」の看板が立ってる家は朽ちている家もあり、もう家主が戻ることはあるのかなとも思いました。

では今回は震災関連の作品の紹介を。


東日本大震災後に結成されたユニット、THE HUMAN BEATSの1stシングル。
2012年9月19日発売。


THE HUMAN BEATSは東日本大震災をきっかけに結成されたユニットの1つであり、プロデューサーの亀田誠治氏、ディレクターの箭内道彦氏、MONDOL800のキヨサク、RHYMESTERMummy-Dの4人で結成されました。
そのTHE HUMAN BEATSの作品としてリリースされたのが本作です。

「様々な形で知ってもらうため」「聴いた人がそれぞれで作詞できるように、自分だけの「Two Shot」ができるように」あえて著作権登録はしていないようです。


さて、内容に。


表題曲のM-1Two Shot」は、様々なところで言われていることに嘘はなく、「こんなにも優しさを感じる曲ってめったにないよな」と感じてしまう曲です。
素朴な演奏の上でマイクを握るのはキヨサクとMummy-D
基本的にはキヨサクが歌を担当し、Mummy-Dは後半からラップで参加。

キヨサクの優しさ100%な歌いまわしもさることながら、こんなトラックの上で流暢にラップを乗せるMummy-Dの力量にも感服してしまいますね。
サビでのDとキヨサクのコーラスもすごく聴きごたえがあって、完全に聴き入ってしまいます。
両者の言葉選びもベストで、すごくストレートでわかりやすい表現なんですけどこの手のタイプによくある薄っぺらさや安っぽさ、押しつけがましさというものは微塵もなく、ただただスッと入ってきます。


インストであるM-2「Two Shot -Instrumental-」もすごく地味なサウンドではあるんですけど、それが優しさを演出している要素として働いていて、インストだけでも耳を惹きますね。


今まで数多くの作品に触れてきましたけど、ここまで「優しさ」というものに溢れていて、まったく押しつけがましくなくて、尚且つ音楽としてしっかりと聴ける作品は中々あるものではありません。
「震災便乗ソングじゃないの?」なんて意見もあると思いますが、実際に聴けばそんな言葉で切り捨てられるようなヤワな楽曲ではないのは実感できると思います。
インストは本作でしか聴けないので、このインスト目当てだけでも手に入れる価値はあると断言できます。
聴いたその日から心に残ること間違いなしです!


購入すると利益全額が「あしなが東日本大地震津波遺児募金」へ寄付されるとのことですが・・・残念ながら今はTOWER RECORDSでは扱っていないようですね。
Amazonだと定価より高いですが扱いがあるという限られた入手手段になっていますが、手に入れて絶対に損はないと思います。
コロナや震災など様々なアクシデントがある最近ですが、この曲を聴いてパワーをつけて乗り切りましょう。


M-1Two Shot」のPV。
www.youtube.com

M-1Two Shot」のレコーディング映像。
www.youtube.com

In Love And Death / The Used

イン・ラヴ・アンド・デス(初回限定盤)


曲目リスト


1. Take It Away
2. I Caught Fire (In Your Eyes)
3. Let It Bleed
4. All That I've Got
5. Cut Up Angels
6. Listening
7. Yesterday's Feelings
8. Light With A Sharpened Edge
9. Sound Effects And Overdramatics
10. Hard To Say
11. Lunacy Fringe
12. I'm A Fake


評価: ★★★★★★★★☆☆


アメリカのユタ州のオレムで結成されたROCKバンド、The Usedの2ndアルバム。
2004年9月28日発売。


2002年にリリースした1stアルバムがプラチナディスクに認定され、デビュー作から話題をかっさらったThe Used
2003年2月には初来日も果たし、ライブ会場が小さな規模だったこともあってかチケットが即ソールドアウトするという出来事もあり、日本でも話題になりました。
同年7月には未発表音源やライブ音源などが収録されたCD/DVDがリリースされ、これまたプラチナディスク認定。
そんな彼らは2ndアルバムの作成にも取り掛かりましたが、バンドメンバーはプロデュサーのFeldmannと何度も方向性について対立。
またセッション中にMcCrackenの友人の2人が亡くなるという不幸も発生。
その内の1人は、妊娠中の元ガールフレンドで、麻薬の過剰摂取により亡くなったとのこと。
本作のタイトル「In Love and Death」は、その出来事からつけられたのです。
2003年秋にリリースされた本作は累計100万枚以上のセールスを記録してこれまたプラチナディスク認定。
彼らのアルバム史上最も好セールスを記録したアルバムになっています。


では、内容に。


全体を通して思うのは、聴きやすいROCKサウンドだなということ。
メロディーを大事にしたサウンドが多めで、どんな人にも聴けるのではないでしょうか。


喋りのイントロから一気にガーンとしたサウンドで攻めるM-1Take It Away」から臨場感のある始まり方。
対訳を見ると結構鬱っぽい詩ですけど、最初の楽曲としてはいい入りだしです。
M-2「I Caught Fire (In Your Eyes)」はHookの歌が非常に聴きやすく、様々な音が入り込んでいますがどれもいい感じでちりばめられています。
その後もそのような楽曲が続くので、楽しく聴けますね。
HookらしいHookがない楽曲も多いですけど、ハードさと聴きやすさがうまく両立されています。
M-4「All That I've Got」が個人的には前半のハイライト。目を閉じると広大な草原のような風景が浮かんできます。


M-7「Yesterday's Feelings」はそれまでの如何にもなROCKサウンドから一線を画した落ち着いた雰囲気の楽曲。
そしてM-8「Light With A Sharpened Edge」もサウンドがそこまで主張しておらず、ボーカルの声が比較的目立っています。
感想の音が結構ドラマティック。


M-9「Sound Effects And Overdramatics」はとにかく感想でのギターがすごいですね。シャウトもすごく印象的でインパクトは満点。

M-10「Hard To Say」は聴いているだけで田舎の自然の情景が目に浮かんでくるような雰囲気。
M-11「Lunacy Fringe」は陽気なチューンで、音もそれほどしつこくないため好印象。
しゃべりが数十秒ほど続いたイントロから煽り、一気にドラムが大暴れするM-12「I'm A Fake」は落ち着いた雰囲気の曲が並んだ後半のうっ憤を一気に解消に回ったような曲で、かなりインパクトがあります。
ボーカルの叫び声も半端ないですし、楽器隊もかなり気合が入っていますね。


CDの福袋BOXに入っていて何となく聴いてみた1枚でしたが、あまりROCK音楽を聴かない僕でもすんなりと聴けた1枚でした。内容の良さもさることながら。
好セールスを記録したのも頷けますね。
中古屋でもよく見かける1枚なので、見かけたらチェックしてみては?


M-1Take It Away」のPV。
www.youtube.com

SOUL LAUNDRY / ET-KING

SOUL LAUNDRY(富くじ・手ぬぐい付初回限定盤)


曲目リスト


1. ギフト
2. シャンパンゴールド
3. さよならまたな
4. 夏大盛り2008
5. やまんでダンス
6. うまい!お弁当
7. スカッと一発!
8. 華舞台
9. 大花火
10. ふたりの歌
11. まだまだ
12. 晴レルヤ
13. 陽あたり良好


評価: ★★★★★★☆☆☆☆


大阪府大国町を拠点とするラップグループ、ET-KINGの2ndアルバム。
2008年6月4日発売。


3rdシングルの表題曲「愛しい人へ」がヒット曲となったことで、直後にリリースした1stアルバムがチャート4位という新人の1stアルバムとしては順調な滑り出しだったET-KING。
その後もコンスタントにシングルリリースを重ねた上にメディアへの露出も増え、着々と知名度をUP。
そして前作から約1年後となる2008年6月、2ndアルバムである本作をリリースしました。
チャートでは10位を記録と、ET-KINGのアルバムの中では前作に次いで好順位をマークしました。
ちなみに同日7thシングルとなる「ふたりの歌/ヤッターマンの歌」もリリースしています。


では、内容に。


ET-KINGの特徴は様々なジャンルの音を取り入れた上での5MCのストレートな歌詞表現。
良く言えば幅が広い、悪く言えば節操がないとも言えますが、良くも悪くも彼らにしか出せない雰囲気を放っているのは確かです。


M-1ギフト」~M-3「さよならまたな」まではメッセージソングが並ぶ流れ。
M-1ギフト」は贈り物をテーマにした彼女に対する感謝ソングで、彼らの良さが発揮されたハッピーな恋愛ソングに仕上がっています。
マーティフリードマンから高評価をされたのも頷けます。
M-2「シャンパンゴールド」は明るいトラックの上での前向きなリリックを乗せる楽曲で、聴いているだけで元気になること必至。


シングルを切ったM-3「さよならまたな」を経て、M-4「夏大盛り2008」からはそんなメッセージを聴かせる流れから一転、力を抜いて作ったのが分かる緩い楽曲が並びます。
M-4「夏大盛り2008」は1stシングルの「夏大盛り」のリメイクです。
ただこれは原曲の方がトラックに勢いがあって好きですね。楽し気なリリックなのにトラックが大人しめでいまいち活きていない気がします。

続くM-5「やまんでダンス」は名前の通りパーティーチューンですが、トラックは非常に落ち着いた雰囲気。
その上でダンスについてラップするという構図は中々面白い・・んですけど、上手くハマっているかと言われるとこれまた微妙。
TENNの早口ラップは面白かったですが。

M-6「うまい!お弁当」は、まあこの曲名を見て曲の内容を想像していただければ大体正解です。
後半にいきなり社会的な主張が入ってきたのはちょっとびっくりしました。
早弁のくだりはちょっとだけ笑みをもらえます。


M-7「スカッと一発!」は客演としてクレジットこそされていませんが、大西ユカリ氏が参加。
ここでまたメッセージ性のある内容で、マナーの大切さを説くという。
大西ユカリとET-KINGのメンバーの歌のせめぎあいがこれまたちょっと面白いです。
最後のダジャレっぽいリリックはちょっと狙いすぎ感が否めず。

M-8「華舞台」はお祭りソングで、勢いのある和風なトラックの上でのマイクリレー。
個人的にはこの曲が本作一のハイライト。どのメンバーも芯のあるラップを聴かせ、全員で合唱するHookも途中のDJ BOOBYのスクラッチも中々のカッコよさ。
全体的に熱さを感じる曲で、ET-KINGの楽曲の中でも全員の個性が発揮された楽曲だと思います。


M-9「大花火」はこれまた和風で夏を感じるトラックですが、夏まつりのとある光景をET-KING流に描いた楽曲。
この光景の行く先は・・。それは曲を聴いて確かめてください。まあそんな煽るほどの内容でもないんですが。


ここからはまたしてもメッセージ性が強めの楽曲が並びます。
M-10「ふたりの歌」は名前から想像できるようにずっと支えてくれた恋人に対する感謝ソング。
余り歌は上手くない彼らですけど、それだけにこういうトピックでは説得力が出ます。
後半のメッセージ楽曲の中でも一際光る曲です。


M-11「まだまだ」は逃げそうになっている自分に「まだまだやれるだろ」というメッセージをかける楽曲。
哀愁漂うトラックが個人的に好みで、TENNといときんのラップが熱さを感じられて好きです。

M-12「晴レルヤ」はシングルで切られたその名前から想像できるように応援歌。
彼ららしいリズムのいいトラックの上で前向きなメッセージを乗せていく流れですが・・・詩の内容もイマイチ切れがなく、だからと言ってノリノリになれるかというわけでもなくちょっと中途半端な印象。
個人的にET-KINGのシングル曲は大体好きなんですけど、この曲は未だにちょっと好きになれないんですよね・・。


M-13「陽当たり良好」はリリックの内容はよくある音楽賛歌。
何ですが、正直この曲はラップはおまけ程度で、メインは合唱とトラック。
トラックのリズムの良さでひたすら押し切っていて、本作最後の曲にして一番異色な曲。
リリック自体は中身があるわけではないため好みが非常に分かれそうです。
個人的には「歌は音!」と割り切って聴く分にはいいかと。


全体的にに見ると様々なトピックが詰まっていておもちゃ箱のようなアルバムになっています。
ただ曲単位で見ると良し悪しが出ており、しかもいい曲とイマイチな曲がちょっと固まっているため退屈な流れもあり。
賛否が分かれるアルバムだと思います。
しかしながら本作で一押しのM-8「華舞台」は本作でしか聴けないですし、他にも本作でしか聴けない曲が満載。
ET-KINGに興味のある方なら聴いて損はないと思います。
まずは試聴を!


↓M-10「ふたりの歌」のPV。
www.youtube.com