りくぼーの音楽感想倉庫

音楽CDの感想を綴っていきます

BARI BARI LGYankees / LGYankees

BARI BARI LGYankees


曲目リスト


1. Intro
2. BARIBARIST
3. Brothership feat. GIO, DATE
4. 男歌
5. ウェディングロード feat. Noa
6. STEP BY STEP feat. 山猿
7. キミノカケラ feat. SO-TA
8. C-嬢 feat. TAKA from Clef
9. BARIBARIDDIM feat. PURPLE REVEL, GIO, DATE
10. ff(フォルティシモ) / LGYankees × 大友康平
11. セツナ feat. ShaNa
12. 春風 feat. 渡辺美里
13. 夕暮れ feat. YOSH from 軍鶏
14. マジありがとう feat. 吉見一星
15. Outro
16. Only Holy Story / LGYankees × LGMonkees × Noa


評価: ★★★★★★★☆☆☆


喪中につき新年の挨拶は控えさせていただきますが、2024年もよろしくお願いします。
能登地方の震災に羽田空港にて航空機衝突と、悲しい出来事が立て続けに起こってスタートした2024年。
お亡くなりになった方には心よりご冥福を、巻き込まれた方には心よりお見舞い申し上げます。
自分は所持している音楽を紹介することしか出来ないので、引き続き音楽の紹介を。
2024年のスタートは去年の秋に再結成したLGYankeesで。
新曲を去年から作ってるみたいなので、今年アルバム出してほしいですね。
ちなみに再始動ということで「Because...」の2023年Ver.がアップロードされていました。
www.youtube.com

歌いなおしがされており、HIROは以前より歌が上手くなったこともあって雰囲気がちょっと変わっていますがRYOは全然変わっていないですね。
中村舞子のパートを歌いなおしたのはAYAKOという方とのこと。


宮城県仙台市を拠点に活動するラップグループ、LGYankeesの4thアルバム。
2011年2月16日発売。


2008~2009年にリリースした2ndアルバムと3rdアルバムがチャート10位以内に食い込み、お茶の間に風を吹き込ませたLGYankees。
しかし3rdアルバムのツアーを開催する直前にMCのRYOが脱退を表明。
3rdアルバムツアーも含めてその後の活動はMCのHIROとDJのDJ No.2という1MC1DJの体制になりました。
2010年にはGIOやClef、NoaなどのNO DOUBT TRACKS所属のラッパーやシンガーなどの作品をリリースし、それらも好セールスを記録。
2011年の2月、4thアルバムとなる本作をリリース。チャートで9位と好セールスをマークし、当時のNO DOUBT TRACKSの勢いを見せつけましたね。


では、内容に。


HIROとDJ No.2の2人体制になってからの初のアルバム。
3rdアルバムまではほとんどの作曲をDJ No.2が手掛けていましたが、本作からはHIROも作曲を手掛けるようになりましたね。
2010年にはDJ No.2がソロアルバムをリリースしましたが、LGYankeesではあくまでラップや歌を乗せるのはHIROのみでDJ No.2はトラック担当というのは変わりませんでしたね。


イントロを経てのM-2「BARIBARIST」はリリックの内容的に本作のオープニング的な役割。
とにかくDJ No.2の手掛けた色々な音を入れ込んだトラックが絶品で、間奏でのスクラッチなんてまさに職人技です。
その上に乗るHIROのラップは勢いで押し切っている感も否めませんが相性はいいですね。

M-3「BrotherShip feat. GIO, DATE」は前作でも参加していたGIOとITACHIが参加・・なんですけど何故かITACHIは本作でのみDATE名義となっています。
疾走感のあるトラックは3人のラップと相性バッチリで、初っ端から貫禄のある歌を交えたラップを聴かせるDATE、歯切れのいいガラガラ声で曲を引き締めるGIO、Hookや3バース目でそれらを纏め上げるHIROの歌と誰一人として無駄がありません。
まさに「BrotherShip」の名にふさわしい曲となっています。

M-4「男歌」は前年に出したコンピにて先行で収録されていた曲で、その記事でも書いた通りラップはなく完全に歌です。
最もリリックの内容は熱いこともあって「BrotherShip」の次にはガッチリハマっていていい流れ。


M-5「ウェディングロード feat. Noa」は当時のNO DOUBTの主力歌姫のNoaが参加。
曲名から想像できる通り結婚式ソングなんですけど、結婚する2人からの両親への感謝ソングというトピック。
これまたHIROのラップはなく、どちらも歌でのデュエットという形になっています。
色々な作品で共演してきた2人ということもあってお互いの絡みの良さは折り紙付きで、ピアノを基調とした温かみのあるトラックもよく合っています。


M-6「STEP BY STEP feat. 山猿」は山猿が参加。
リリックの内容としては前向きなメッセージソング。こちらでもHIROは歌の方に力を入れていて山猿の方がラップを担当しています。
山猿の方もラップは序盤のバースのみで後半では歌ってますけどね。
ストレートな言葉を選んでいるので好みは分かれるでしょう。

続くM-7「キミノカケラ feat. SO-TA」はSO-TAが参加。
曲名の通り失恋ソングでSO-TAがHookを担当してHIROがバースを担当するという構成。
ただこの曲はトラックが中々主張が強いトラックでHIROもSO-TAも少しトラックに押され気味。
HIROのラップもいつもより声を張っているのが分かるんですが、それでもトラックの強烈な音使いに押されてます。
トラック自体はいいのでインストにした方がよかったのでは。


M-8「C-嬢 feat. TAKA from Clef」はClefからTAKAが参加したパーティチューン。
こちらもTAKAが歌、HIROがラップという棲み分けがされており、勢いのあるトラックの上でどちらもいい仕事ぶり。
TAKAの色気のある歌声は華もあって存在感バッチリですし、HIROも歯切れよくラップを乗せていて聴きごたえがあります。

M-9「BARIBARIDDIM feat. PURPLE REVEL, GIO, DATE」はM-3「BrotherShip feat. GIO, DATE」と同じメンツに加えてPURPLE REVELのDJ PSYCHOが参加。
パーティチューンというのはM-8「C-嬢 feat. TAKA from Clef」と同じですがこちらは最初から最後までラップで押し切るマイクリレー。
全員ギアを全開にしたラップを乗せていて首を振りたくなること請け合い。

M-10「ff(フォルティシモ)」はコラボ曲でLGYankees × 大友康平名義。
言うまでもなくあの有名曲「ff(フォルティシモ)」のカバー。
原曲よりかなり勢いのあるサウンドになっていてHIROがオリジナルのラップを乗せて大友康平がHookで原曲と同じサビを歌い上げるという構成。
サウンドもHIROのラップも大友康平の歌も文句なしにカッコよく、原曲のファンの方も是非一度聴いてみてほしいカバーになっています。


M-11「セツナ feat. ShaNa」は曲名から想像できる通りの失恋バラード。
マイクゲストはShanaなんですけど、彼女はどちらかといえばパーティチューンのイメージがあったのでこういう曲でShanaが参加したのは当時本当に意外でした。
しかし曲としてはHIROもShanaもどちらも綺麗な歌声を披露していてかなりの出来です。
M-12「春風 feat. 渡辺美里」も同じくバラードなのですが何と渡辺美里が参加。
HIROのこもったような歌声も味があっていいんですけどやはり渡辺美里の深みのある歌声が印象強めですかね。
切なげなトラックも渡辺美里の歌声を引き立てていて流石です。


M-13「夕暮れ feat. YOSH from 軍鶏」は軍鶏からYOSHが参加。
憧れの人についてのリリックで、優しい雰囲気のトラック。YOSHとHIROとの相性は決して悪くありません。
ただ曲の大半をYOSHの歌が占めており、聴き終わった後にHIROの歌があったことを忘れているリスナーが確実にいそうです。

M-14「マジありがとう feat. 吉見一星」は前年当たりからNO DOUBT関連の作品に参加し始めていた吉見一星が参加。
親子間での感謝の気持ちを綴った楽曲で、HIROの熱い歌い方と吉見一星の綺麗な歌声がしっかりハマっています。
甲子園でとある高校にてこの曲がブラスバンドで演奏されていたらしく、それがHIROはとても嬉しかったとのこと。


アウトロを経てのM-16「Only Holy Story」はLGYankees × LGMonkees × Noa名義で、Steady&Co.の同名曲のカバー。
トラックは基本的なメロディこそ同じですが、原曲がこもったようなお洒落なアレンジだったのに対してこちらはちょっと華やかなアレンジをしています。
リリックの内容は原曲と全く同じでKJのバースがHIRO、ILMARIのバースがLGMonkees(山猿)、SHIGEOのバースは前半がLGMonkeesで後半がHIRO、AzumiのHookをNoaが担当。
曲全体が原曲と比べて華やかな感じになっているので原曲の雰囲気を期待して聴くと必ず裏切られます。なので好みははっきり分かれますね。
当時YouTUbeにもアップロードされていたんですけど原曲ファンからはかなり評判が悪かった記憶があります。
個人的には可もなく不可もなくといったところですけどね。


前作まではReggaeDeejayのようなフロウを多用していたHIROですが、本作からはそのようなフロウから歌寄りのフロウに舵を切りました。
その為聴きやすい楽曲のパーセンテージが大幅に上がったため、コアなHIP HOPファンなら不快感を覚える方もいるでしょうね。
最も本作では歌寄りなスタイルに舵を切ったばかりというのもあってか、曲に良し悪しあり。
バラエティには富んでいるので、誰でも好きな曲が1曲は出来ると思います。

RYOが脱退した時には「大丈夫なの?」と思ったんですけど、RYOが抜けたことによるダメージは聴きやすい楽曲を多めにしたせいか最低限で抑えられています。
本作を聴いた当時も「こういう路線になったならまだまだやれそうだな」と思ったものです。

昨年の再結成では再度HIROとRYOの2MC体制になったのですが、どんな曲を届けてくれるのでしょうか。
個人的には1st時代のメンツやかつてのNO DOUBTメンバーとも寄りを戻してまた一緒に曲出してほしいですけどね。
DJ No.2がいないのは痛いかもですけど。


とりあえず本作はHIROが歌フロウに転向したばかりのアルバムということもあって本作以降のアルバムと比べると完成度こそ落ちるものの、M-11「セツナ feat. ShaNa」、M-12「春風 feat. 渡辺美里」などといった本作でしか聴けない良曲もあるのも事実。
見かけたらチェックしてみては?


↓M-11「セツナ feat. Shana」。
www.youtube.com

Crunk Juice / Lil Jon & East Side Boyz

Crunk Juice


曲目リスト


1. Crunk Juice
2. Get Crunk feat. Bo Hagon
3. What U Gon' Do feat. Lil Scrappy
4. Real Nigga Roll Call feat. Ice Cube
5. Bo Hagon's Phone Call feat. Bo Hagon
6. Da Blow feat. Gangsta Boo
7. Contract feat. Trillville, Jazze Pha, Pimpin Ken
8. E40 Choppin feat. E-40
9. White Meat feat. 8Ball & MJG
10. Stop Fuckin' Wit Me
11. Chris Rock Let's Be Friends feat. Chris Rock
12. Lovers & Friends feat. Usher & Ludacris
13. One Night Stand feat. Oobie
14. Aww Skeet Skeet feat. DJ Flexx
15. Chris Rock In The Club feat. Chris Rock
16. In The Club feat. R. Kelly & Ludacris
17. Bitches Aint Shit feat. Nate Dogg, Snoop Dogg, Suga Free, Oobie
18. Chris Rock Get Lower feat. Chris Rock
19. Stick That Thang Out (Skeezer) feat. Pharrell Williams, Ying Yang Twins
20. Grand Finale feat. Nas, Jadakiss, T.I., Bun B, Ice Cube


評価: ★★★★★★★★☆☆


アメリカのジョージア州アトランタで結成されたラップグループ、Lil Jon & East Side Boyzの5thアルバム。
2004年11月16日発売。


1995年から活動を続け、リリースする曲でヒットを連発したLil Jon & East Side Boyz。
2004年に入ってからリーダー格であったLil Jonが手掛けた他のミュージシャンの楽曲がヒットを多数記録したこともあり、ますます勢いは加速していくばかりでした。
そんな2004年の終盤にリリースされたのが本作で、当然ながらかなりのヒット作になりました。
あのUsherの大有名曲「Yeah!」と同じメンバーで制作したM-12「Lovers & Friends feat. Usher & Ludacris」はビルボードの100チャートで3位、R&Bチャートで2位、ラップチャートで1位を獲得。
アルバム自体もリリースから2ヵ月後でマルチプラチナ認定。
最も、この翌年にグループは解散したためグループとしては最後のアルバムとなりましたが。


では、内容に。


Lil Jonの特徴は、その声が入るだけで一気に曲を自分の物にしてしまうようなダイナミックで迫力のあるラップ。
無論グループであるためEast Side Boyzの声も所々にありますが、Lil Jonインパクトが強いためサポート的な役割という印象を受けます。
客演は曲目リストを見てもらうと分かる通り非常に豪華。当時のLil Jon一派の勢いの良さがうかがえますね。


M-1Crunk Juice」は1分もないイントロ的な役割。
初っ端から勢いのある大げさなトラックの上でのLil Jonのシャウトは短さを感じさせないくらいにインパクトを残します。

それから間髪いれず入るM-2「Get Crunk feat. Bo Hagon」ではシリアスな雰囲気のトラックの上でのBo Hagonの通りのいいラップがいいアクセント。
無論Lil Jonの声の割合の方が圧倒的に高いのですが、それだけに早いうちにBo Hagonのラップを入れたのはセンスの良さを感じさせますね。

M-3「What U Gon' Do feat. Lil Scrappy」も似たような感じですがLil Scrappyのラップが入るのは中盤。
こちらも無論いいアクセントとなっています。


M-4「Real Nigga Roll Call feat. Ice Cube」ではIce Cubeが参加。
それまでは客演陣のラップはアクセントという立ち位置でしたが、この曲ではIce CubeLil Jonのラップ合戦という熱い内容。
HookもLil JonIce Cubeのコーラスとなっていてガッチリ2人で作ったと言える構成ですね。
Lil Jonの強烈なラップの良さは勿論ですが何といってもIce Cubeが担当した2バース目の仕事が凄いです。
思い切りゴリゴリの差別用語を連呼しているのは意見が分かれそうですが、とにかく迫力があるのは誰も否定できないでしょう。

Bo Hagonとの電話の会話を録音したスキットを挟んだM-6「Da Blow feat. Gangsta Boo」にはGangsta Booに加えてEast Side Boyzの2人もラップで参加。
そのせいかトラックもラップを堪能できる構成になっていてマイクリレー色の強い曲になっています。Lil Jonもラップしているんですが、この曲ではいつものインパクトの強さを抑えてラップを披露しています。
続くM-7「Contract feat. Trillville, Jazze Pha, Pimpin Ken」は客演陣にBig Samもラップで参加しているためこれまたマイクリレー。
どのラッパーも個性も発揮しており、Jazze Phaの歌声もいいアクセントになっています。
MVPは最後のHook前で正統派ながらもどっしりした芯のあるラップを披露したDon-Pで。


E-40による喋りスキットを挟んだM-9「White Meat feat. 8Ball & MJG」はMJGがHookを担当しており、Lil Jonに負けないくらいインパクトのあるHookを聴かせてくれます。
序盤は8BallとMJGが盛り上げ、後半ではLil Jon & East Side Boyzで盛り上げるという変わった構成で面白く聴けます。

M-10「Stop Fuckin' Wit Me」はかなりROCK色の強いトラックで、本作ではイントロを除いた曲では唯一のLil Jonの1人舞台。
物凄く強烈なトラックなのでそこらのラッパーでは音に飲み込まれそうなんですけど、そこはインパクトのあるラップができるLil Jon
トラックに負けることなく迫力のあるラップを乗っけており、まさにLil Jonだからこそ作れた楽曲と言えるでしょう。

Chris Rockによるスキットを経てのM-12「Lovers & Friends feat. Usher & Ludacris」は上にも書いた通り本作の曲でも大ヒット中の大ヒット曲です。
これは確かにほとんどUsherの曲と言っていい感じでアルバムの中でも異色なバラードです。
しかしLudacrisLil Jonのラップもいい味を出していて全員が欠かせない存在と言えます。
M-10「Stop Fuckin' Wit Me」がかなり激しい楽曲だったのでその次に(スキットを挟んではいますが)このような綺麗な曲を入れたのは作りの上手さを感じさせますね。

続くM-13「One Night Stand feat. Oobie」もシンガーのOobieが参加しており、Lil JonとBig Samはどちらかといえば脇役に回っています。
とにかくOobieの歌声が透明感があって素敵で、お洒落なトラックとよく合っていますね。


最も次に控えるM-14「Aww Skeet Skeet feat. DJ Flexx」がイントロからしてすごくバカバカしい入りだしな上にかなりノリのいいパーティチューンなので一気にパーティな雰囲気に戻されるんですけどね。
この曲は何度聴いても首を振りたくなること請け合いです。本当にノリがいいんですよ。

Chris Rockによるスキットを経てのM-16「In The Club feat. R. Kelly & Ludacris」はR.KellyLudacrisが参加。
まずR.Kellyの歌で始まるんですけどその後のラップをR.Kellyが担当しており、これが本当に流暢なラップでここから耳をガチっと掴まれます。
続くLudacrisLil Jonのラップも文句なしの仕事ぶりなのですが、その後にさらにR.Kellyのラップが入ります。
これはもう文句なしにこの曲の主役はR.Kelly一択でしょう。

続いてのM-17「Bitches Aint Shit feat. Nate Dogg, Snoop Dogg, Suga Free, Oobie」は超豪華メンバーのマイクリレー。
トラックは比較的落ち着いた雰囲気のトラックでHookは無論Nate Doggが務めていますが、そのHookにLil JonやOobieの歌声も絡んでくるのが非常に贅沢。
そのHookの後にスムーズなラップを乗せるMC陣もみんないい仕事をしていますが一番いいのはトラックの雰囲気に最もハマっているSnoopですかね。


Chris Rockによるスキットを経てのM-19「Stick That Thang Out (Skeezer) feat. Pharrell Williams, Ying Yang Twins」はPharrell Williams, Ying Yang Twinsが参加。
このメンツとなると結構派手なトラックで行くのかなと思いきやトラックは落ち着いた雰囲気で、どちらかといえば全員のラップを堪能しやすい構成に。
聴いてみると全員のラップを聴いているだけでも楽しいのでこの構成にしたのは正解だったと感じますね。

最後を〆るのはM-20「Grand Finale feat. Nas, Jadakiss, T.I., Bun B, Ice Cube」なわけですけど・・・・いやつくづくとんでもないメンツで〆てきたなと。
曲自体はサウスノリなトラックの上でのマイクリレーなんですけど、こんなメンツでのマイクリレーなんてそりゃ良いに決まっています。
全員文句のつけようのない手堅い仕事ぶり。


本作で初めてLil JonのユニットであるLil Jon & East Side Boyzの音源を聴きましたが、本当に楽しく聴ける作品でした。
2004年のヒット作になった本作ですが、ここまで豪華なメンツを集めて楽しく聴ける内容ならそりゃHIP HOP好きなら誰でもチェックしてしまうでしょう。
ガンガンな曲が続いた後にバラードを持ってきたりと構成もうまく、何曲もヒットを生み出したLil Jonの手腕はやはり伊達ではないのを実感しますね。

最も何曲かはLil Jon & East Side Boyzが脇役に回っている曲があることから、Lil Jon & East Side BoyzのアルバムというよりはLil Jon & East Side Boyz主導のコンピレーションアルバムに近いかもしれませんね。
すごく豪華なメンツを集めていますし、どのメンツもいい仕事ぶりではありますけどやはりこのような客演呼びまくりなアルバムにありがちな雑多な印象は受けます。
本作を聴いて他のLil Jon & East Side Boyzの作品もチェックしたくなったので、他の作品ではLil Jon & East Side Boyzのラップ等がもっと堪能できる内容になっているのを期待したいです。

ですが2004年のHIP HOPを語るに避けて通れない作品であることは間違いありません。
内容も絶対に楽しめること請け合いなので見かけたら是非どうぞ。


ちなみにこの投稿が2023年最後の投稿になります。
今年は一番最初の投稿が4月になってしまい3か月間実質失踪するということがありましたが、来年はそういったことはなく乗り切りたいですね。
過去のブログ記事を見ていると去年と今年、2年連続で1月が思い出したくない月となっているのでその回避を目指します。
今年もブログを閲覧いただきありがとうございました。
来年もよろしくお願いします。


↓M-12「Lovers and Friends feat. Usher & Ludacris」のライブ映像。
www.youtube.com

こいが俺ですばい / 九州男

こいが俺(おい)ですばい


曲目リスト


1. 少年⇔未来 ~映画のようなメモリー
2. 出会い。。feat. RED RICE, BIG RON
3. Musical Messenger
4. 雲の上の君え
5. KEEP MY WAY feat. C&K
6. 島唄


評価: ★★★★★★★★☆☆


長崎県出身のシンガー、九州男の1stミニアルバム。
2007年6月13日発売。


九州男は長崎県出身のシンガーで、20歳の時に地元のクラブで声をかけられDeejayとしてマイクを握り始めたことで音楽活動を開始。
21歳からREGGAEの文化を学ぶために単身でジャマイカに出向いて修行。
帰国後には東京や横浜のクラブでも活動を行い、順調に名前を広げていきました。
2007年、本作でインディーズデビューを果たしました。
インディーズオリコンではチャート1位を5週連続で達成。
収録曲のM-2「出会い。。feat. RED RICE, BIG RON」がiTunesチャートでも好成績をマークし、インディーズデビューでは異例の大成功となりました。


では、内容に。


九州男の特徴はよく通る声で、確かな歌唱力もあるのでREGGAEという枠を超えて幅広く受け入れられるスタイルだと思います。
その辺りもヒットに繋がったのでしょうね。

晴れた日の朝を連想させるような穏やかな始まり方のM-1少年⇔未来 ~映画のようなメモリー」でアルバムはスタート。
始まり方こそ穏やかなもののそこからノリのいい打ち込み系のトラックに変わる瞬間はスタートとしてかなりいい入りだしです。
その上にのる九州男のラップと歌を両方こなすスキルもさることながら、前向きな青春讃歌のリリックもトラックによく合っています。
もうこの曲から聴き進めたくなること必至です。


M-2「出会い。。feat. RED RICE, BIG RON」は湘南乃風RED RICE、クラブシンガーとしてはお馴染みのBIG RONが参加。
この曲はどちらかといえばHIP HOP色が強めのトラックになっており、その上でREDと九州男がラップ、BIG RONが歌を乗せるという構成になっています。
REDのガラガラ声の無骨なラップと九州男の爽やかなラップはそれぞれ違う味を出していてそれだけでもいいのですが、後半でのREDと九州男の掛け合いが何といってもハイライト。
2人がまっすぐにこなしているのに対してBIG RONはいつもながらの気怠い感じの歌をHookにて披露しており、これまたいいアクセントに。
最後に3人で合唱するHookも満足感が高く、iTunesでヒットしたのも頷けますね。

M-3「Musical Messenger」はスリリングなトラックの上で九州男がラップをするクラブチューン。
歯切れのいい九州男のラップが臨場感があってかなり聴きごたえがあります。トラックもインパクトがあるんですけどそれに全く負けていないのが流石です。


M-4「雲の上の君え」は後にいくつかバージョンが作られる九州男の有名曲ですけど、最初に世に発表されたのがこのバージョンというわけです。
この曲ではラップは封印し、如何にもなしっとりしたトラックの上で誠実に歌を乗せていきます。
詞の内容は曲名から想像できる通りで、九州男の優しい歌声によく合った内容です。

M-5「KEEP MY WAY feat. C&K」は九州男の盟友であるC&Kが参加。確かC&Kを初めて世にお披露目した曲です。
こちらはダンスホールチューンで九州男とC&Kの軽快なラップが単純に聴いてて楽しいです。


最後を〆るM-6「島唄」はTHE BOOMの超有名曲「島唄」のカバー。
島唄」をまさかのREGGAE風にアレンジしてしまうという思い切った挑戦ですが、もはや歌詞が同じなだけの全く別な曲と言っていいかもしれません。
しかし出来が悪いかなんて言われたらそんなことはなく、ノリのいいトラックの上での九州男の歌いまわしがかなり聴かせてくれます。
誰でも一度は聴いてほしいアレンジになっていますね。最後の〆としては十分です。


九州男のデビュー作である本作ですが、6曲ながら多様なタイプの曲が入っていて何度聴いても飽きない内容になっています。
そしてその1曲1曲も間違いない出来で、九州男のポテンシャルの高さを十分にしらしめた1枚といっていいでしょう。
当時のインディーズ作品の中で異例の成功を収めたのも必然だったのでは。
中古でもよく見かける一枚なので見かけたら是非。


M-1少年⇔未来 ~映画のようなメモリー」のPV。
www.youtube.com

This Is Hip Hop / V.A.

https://www.discogs.com/ja/release/1068297-Various-This-Is-Hip-Hop
Amazonで取扱していないのでDiscogsのリンクを貼ります


曲目リスト


1. Doggy Dogg World / Snoop Doggy Dogg feat. Tha Dogg Pound, The Dramatics
2. Flava In Ya Ear / Craig Mack
3. Give It Up / Public Enemy
4. I'll Take You There / Pete Rock & C.L. Smooth
5. Passin' Me By / The Pharcyde
6. Let Me Ride / Dr. Dre
7. It Was A Good Day (Radio Remix Edit) / Ice Cube
8. Back In The Day / Ahmad
9. Can't Stop The Prophet (Pete Rock Remix) (Dirty) / Jeru The Damaja
10. On Point (Beatminerz Mix) / House Of Pain
11. Afro Puffs / Lady Of Rage
12. The ? Remains / Gangstarr
13. Fantastic Voyage / Coolio
14. Tic Toc / Lords Of The Underground
15. Sound Of Da Police / KRS-One
16. Method Man (Crazy C.s Suthun Fried Radio Mix) / Wu-Tang Clan
17. The B-Side / Masta Ace Inc.
18. Breakdown / Fu-Schnickens
19. Unbelievable / The Notorious B.I.G
20. The Most Beautifullest Thing In The World / Keith Murray


評価: ★★★★★★★★★☆


90年代のアメリカのHIP HOP楽曲を集めたコンピレーションアルバム。
1995年発売。


東海岸からはWu-TangやKRS-One、西海岸からはDr.Dre2Pac、などなど2023年現在でも伝説と称されるラッパーやグループが数多く活動していた90年代。
そんな時代の半ばにリリースされたのが当時のHIP HOPを集めたコンピレーションである本作です。
1995年といえばHIP HOPの悲しい歴史の代表格である東西抗争がかなり激化していた年でもありましたね。
しかしその反面HIP HOPが盛り上がっていた時期であるのも事実。だからこそ本作のような作品もリリースされたのでしょうからね。


では、内容に。


上にも書いたようにHIP HOPの東西抗争の時期真っ盛りな時期にリリースされた本作ですが、収録内容を見ると分かるように東も西も関係なく楽曲が選曲されています。
これが当時の東派、西派に分かれていたファンからはどう思われていたのか気になるところです。


幕を開けるM-1Doggy Dogg World」はSnoop Doggy DoggにTha Dogg Pound、The Dramaticsという豪華メンバー。
確かSnoopの1stアルバムから切られたシングル曲ですね。
落ち着いたクールな音の上に乗るSnoopの舐めるようなラップにTha Dogg Poundの硬派なラップ、HookでのDramaticsの哀愁漂う歌と全てにおいて相性は最高で楽しみながら聴けます。

Craig MackによるM-2「Flava In Ya Ear」もシンプルなワンループトラックながらもCraig Mackの隙のないラップでガッチリ聴ける曲となっており、もうこの流れから耳を掴まれることは必至。


M-3「Give It Up」はPublic Enemyで、ネタ感強めのトラックの上での軽快なラップが首を振りたくなりますね。
まさに90年代HIP HOPど真ん中という感じです。

M-4「I'll Take You There」はPete Rock & C.L. Smoothで爽やかなトラックながらも身体を動かしたくなるドラムの取り方がセンスの良さを感じさせます。
嫌味のないスムーズなラップもさることながら、Hookの歌も非常にいいアクセント。

M-5「Passin' Me By」はThe Pharcydeで歌心あるラップと硬派なラップの合戦構図が抜群の聴きごたえ。
続くM-6「Let Me Ride」はDr. Dre。まあこれはHIP HOP好きなら知らない人はいないくらい有名な曲ですね。
Tillを体現したようなトラックの上でのDreの歯切れのあるラップ、中毒性のあるHookでの歌と文句のつけようがない曲ですから当たり前ですけど。
何度聴いても飽きが来ない、まさに名曲です。

M-7「It Was A Good Day (Radio Remix Edit)」はIce Cubeで、ファンタジーな雰囲気のトラックの上での硬派なラップという対比が面白いです。
M-8「Back In The Day」はAhmad。まったりした雰囲気のトラックですがその上での隙間のないラップによって最後まで飽きずに聴けます。
シンプルなトラックでもあくまでラップによって飽きさせなくするというのはこの時代によく見られた手腕ですよね。


M-9「Can't Stop The Prophet (Pete Rock Remix) (Dirty)」はJeru The Damaja。
わちゃわちゃしたイントロから一気に冷たい雰囲気に変わる入りだしがインパクト抜群。その後のトラックもキレキレのスクラッチが入りまくりでノックアウトされること請け合い。

M-10「On Point (Beatminerz Mix)」はHouse Of Painで、とにかくラップの勢いが半端ではなく、アカペラで聴いてもノレるのではないかと思うくらいの熱量。
トラック自体はシンプルですが所々におかずとして入り込んでいる音がすごくいい働きをしていて、インストほしいなと思ってしまうくらいです。


M-11「Afro Puffs」はLady Of Rage。当時の西海岸を代表するフィメールラッパーですが、女性ながらも他のメンバーにも全く引けを取らない漢気を感じるラップです。
トラックの方も所々の音使いが見事で、Dreのクロニクルアルバムに入っていたのもそりゃそうだよなを思います。
こんなトラックの上に見事なラップを乗せるRageの力量も半端ないものですけどね。

M-12「The ? Remains」はGangstarr。
トラック自体はシンプルですがHookでのスクラッチがとんでもなくカッコいいです。ラップとの相性も文句なし。

M-13「Fantastic Voyage」はCoolioで、疾走感のあるトラックの上でのキレのいいCoolioのラップが聴きごたえ抜群。
Hookもラップなのですがキャッチ―な雰囲気も出していて、本作の収録曲でも流して聴いていてかなり印象に残る曲ではないでしょうか。
次のM-14「Tic Toc」はLords Of The Undergroundは最初から最後までラップで魅せるタイプの曲で、Hookでは曲名を生かしたインパクトあるラップが耳に残りますね。
所々のスクラッチもいいアクセントです。

ここまでの2曲は楽しい雰囲気が続きましたが、KRS-OneによるM-15「Sound Of Da Police」はガラッと雰囲気が変わり、鬼気迫るようなKRS-Oneのラップにグイグイ押されます。
タイトルがイントロやHookで連呼されるのは本当に存在感が凄いです。

M-16「Method Man (Crazy C.s Suthun Fried Radio Mix)」はWu-Tang Clan
あのHIP HOPを知るには避けて通れない1stアルバムの超有名曲である「Method Man」ですが、今回はRadio Mix。
ちょっと冷たい雰囲気のトラックになっていますが、原曲とは全く違った色を出していてこれはこれで名曲になっています。

M-17「The B-Side」はMasta Ace Inc.でシンプルなトラックながらもそれぞれのラッパーの個性あるラップ捌きで楽しく聴ける内容に。
M-18「Breakdown」はFu-Schnickensで、Hookは安定感あるラップですがバースの方のラップは結構危なっかしい乗せ方で心配になってしまいます(いい意味で)。
そのギャップが聴いてて飽きがこないんですけどね。


M-19「Unbelievable」はThe Notorious B.I.Gの有名曲。
様々なコンピに収録されているので知っている人は多いでしょうね。
勿論楽曲としてはラップもトラックも全てにおいて中毒性がある楽曲なわけですが、本作のこの流れで聴いてもご多分に漏れずカッコいい楽曲です。
本当に東西抗争は惜しいラッパーを亡くしたものです。

最後を〆るのはKeith MurrayによるM-20「The Most Beautifullest Thing In The World」。
落ち着いた雰囲気のトラックもMurrayのラップも煙たい感じで好きな人にはガッチリハマるでしょう。
最後の「Murry!」連呼も〆の曲っぽさがありいい感じです。


東西抗争の真っただ中にリリースされた本作。
東西共に聴き逃せない曲ばかり収録されており、まさに「This Is Hip Hop」というタイトルにふさわしい内容と言えます。
「地域に関係なくいいものはいい」というメッセージさえ込められているのではないか、という深読みをしてしまうくらいですね。

20曲ということでちょっと聴き疲れしてしまうかもしれませんが、90年代当時の「良質なUS HIP HOP」を詰め込んだ本作、見かけたら是非どうぞ。


↓M-16「Method Man (Crazy C.s Suthun Fried Radio Mix)」。
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COAST II COAST / V.A.

COAST 2 COAST


曲目リスト


1. Message from Kayzabro / Kayzabro
2. MY SHOES / OUTSIDE PLAYAZ
3. HOME-SICK ~憂安怒哀~ / 黒羽
4. Smooth Operator / RICHEE
5. PRAY 4 ALL G'z / DAZZLE 4 LIFE
6. FREEDOM / LGY feat. LIL-BO
7. いつもst / 65SYNDICATE
8. Rap Game II / O.G43
9. COLD AS ICE / 1-KYU, S55 a.k.a SPOCK
10. Coastin’/ LUX
11. HOOD LOCKA / EL REY
12. HELL UP IN THE HOOD / BUZZ, TERRY, Mr.RAIDER
13. Ain't no at a loss / S.G, TATS feat. U-PAC Lisa Yamaguchi
14. Life is do or die / ONE-G


評価: ★★★★★★★★☆☆


2007年にTSUTAYA限定でリリースされた日本の西海岸系ラップのコンピレーションアルバム。
2007年3月14日発売。


2000年代にDS455のメジャーデビューをきっかけに構築された日本の西海岸系ラップシーンですが、中でも2007年はディスコグラフィ的には割と盛り上がった年だったようです。
LGYのHIROによる東北の西海岸系オムニバス「NORTH EAST」のリリースやDJ PMXのミックスアルバムのオリコン入り、HOKTやDS455のニューアルバムリリースなど西海岸系のトピックが多かった年です。
そんな2007年の年度変わり直前にリリースされたのが本作で、TSUTAYA限定での販売。
当時はHMVTOWER RECORDSなどでも取り扱わなかったようで、割と貴重なコンピだったようです。
2023年現在ではAmazonで送料を除き新品が350円、中古が1円で買える模様。


では、内容に。


Kayzabroのイントロを経てOUTSIDE PLAYAZによるM-2「MY SHOES」でアルバムはスタート。
如何にも西海岸という雰囲気のネタ色の強いトラックの上での歌とラップがサラッと心地よく響く曲で掴みとしては最高でしょう。
リリックはオール英詩のため日本語ラップという感じは全くしないですが、そんなことも気にならないくらいサウンドとしての良さが別次元。

続く黒羽によるM-3「HOME-SICK ~憂安怒哀~」は爽やかなトラックながらもちょっと攻撃的な雰囲気。
黒羽の貫禄のあるラップ捌きもトラックにしっかり合ってます。


M-4「Smooth Operator」はGhetto Inc.のメンバー、BIG RONの弟として知られるRICHEEのソロ曲。
同年にリリースされたGhetto Inc.の1stアルバムにも収録されていましたね。
リリックの内容はよくあるセルフブーストものですが、RICHEEのちょっと高めのラップはインパクトがありトラックにも負けていません。
ちなみにBIG RONも途中でちょっとだけ顔を出すんですが、正直そこが一番耳に残るポイントです。

M-5「PRAY 4 ALL G'z」は2000年代後半からこのようなコンピで顔を出していたD4L。
T-Trippenのトークボックスの利いたトラックとCMDのストレートなラップの相性は折り紙付きですが、この曲もご多分に漏れずガッチリハマってます。
この曲も1stアルバムに収録されていますが、もうこの頃から1stアルバムを心待ちにしていたリスナーは多かったのでは。

M-6「FREEDOM」は同年2月のコンピアルバムリリースで話題をかっさらっていたLGYにLIL-BO(EIGHT TRACKのL-B)が参加。
そのコンピアルバムでの「Movin'!!」のノリそのまんまの迫力あるチューンで、トラックもラップも流石の勢い。
ただHIROのラップが他の2人と比べてかなり短いのが気にかかりますけど。先陣を決めるのと最後を〆るLIL-BOがやはり上手いですね。
アウトロのDJ No.2のスクラッチもかなりカッコよく、中盤のハイライトと言っていいでしょう。


M-7「いつもst」はSTYLISTIC MAFIAでおなじみの65SYNDICATEのソロ曲。
トラックは途中でトラックが止まる箇所があるものの基本的に一貫したワンループ。
その上に65SYNDIACATEがラップを乗せるわけですが、ワンループトラックなのにも関わらず一切隙間がないラップを乗せる力量は流石です。
こんな構成なのに最後まで飽きないのもすごいです。
M-8「Rap Game II」はO.G43。
如何にも西海岸らしいネタ感のトラックの上でのO.G43のラップは中毒性があり、何回か聴きたくなってしまいますね。

M-9「COLD AS ICE」はN.C.B.Bから1-KYUとS55のタッグ。1-KYUの1stシングルにも収録されています。
1stシングルの時は書き忘れましたがM.O.Pの同名曲のカバーです。
この曲もそうですがこの2人はタッグを組むと本当にお互いのラップの良さが倍増して聴きごたえが出るんですよね。
ぶっちゃけこの2人のユニットできてほしかったです。


M-10「Coastin'」はLUX。D-ONとMulti Plier Sync.によるユニットとのこと。
ラジオの始まりの様な特徴的なイントロから展開されるのは嫌味がない合唱Hook。
お互いのラップや歌も流れるようなトラックに相性バッチリで、聴いているだけで楽しくなること請け合い。

M-11「HOOD LOCKA」はEL REYでそんな雰囲気とは打って変わって重たい雰囲気のトラック。
EL REYの早口ラップが危なっかしくトラックにはバッチリハマっていますね。
リリックの内容はあってないようなものですが、とにかくこのハマり具合だけで聴かせるのは流石。

M-12「HELL UP IN THE HOOD」はEIGHT TRACKからBUZZ、TERRY、Mr.RAIDERの3人によるマイクリレー。
勢いのあるトラックの上での実力派3人によるマイクリレーは悪いはずがなく、迫力もリリックの言葉捌きもラップの乗せ方も全てにおいていうことなし。
Hookのスクラッチもとんでもなくカッコいいです。


M-13「Ain't no at a loss」はラップはS.G, TATSとU-PAC、歌は山口リサ。
涼し気で落ち着いたトラックの上での山口リサの歌が非常に相性よしで、一回聴いただけで耳に残りますね。
ラップの方はちょっとガラついているS.G. TATSのラップも悪くはありませんが、U-PACのスムーズで癖のないラップの方がトラックには合っていますかね。

最後を〆るのはONE-GによるM-14「Life is do or die」。
哀愁漂うトラックの上でのONE-Gの硬派なラップは流石の相性で、最後の〆としては十分な楽曲と言えるでしょう。


日本の西海岸系のラップを集めたコンピレーションアルバムは楽曲の良し悪しが激しい印象がありましたが、本作は最初から最後まで良曲が並んで楽しめる内容になっています。
M-6「FREEDOM」やM-12「HELL UP IN THE HOOD」など本作でしか聴けない楽曲もあるため、この手のラップが好きな方なら絶対にチェックして損はないですね。
そのようなラップを聴いたことない方でも聴きやすい内容でもあるので、これからこの系統の楽曲を聴いてみようという方の入門編としても最適です。
見かけたら是非チェックを。


↓M-13「Ain't no at a loss」。
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Hoy, Ayer And Forever / Akwid

Hoy, Ayer and Forever [Explicit]


曲目リスト


1. Se Habla Espanol
2. West Coast Corrido feat. Seven & Murieta
3. Siempre feat. Rain
4. Confesando Un Sentimiento feat. Seven
5. Ya Estuvo feat. Dyablo
6. Ver Los Mismo feat. Big Capone
7. Falso feat. Lil Bandit, Silencer, Seven
8. No Te Metas feat. Mr.Sancho, Silencer, OG Playboy, Royal T
9. Presumido feat. Mr.Sancho, Seven
10. Gran Ruido feat. OG Playboy
11. El Catrin
12. Tercera Persona
13. Anoche feat. Mr.Sancho, Silencer, OG Playboy, Royal T


評価: ★★★★★★★★☆☆


メキシコで結成されたラップグループ、Akwidのコンパイルアルバム。
2004年3月9日発売。


2003年にリリースした2ndアルバムがダブルプラチナムを獲得したAkwid。
スパニッシュラップのキングとしての名前も獲得するという快挙になりました。

本作はそんなAkwidの2004年にリリースした新曲と既発曲のremixで構成されたコンパイルアルバムです。


さて、内容に。


Akwidの特徴はFranciscoとSergioの息の合った掛け合いラップ。
ガラガラ声のラップとオーソドックスな安定感あるラップという組み合わせですが、(どっちがどっちなのかはわからないので、わかる方コメントお願いします)血のつながった兄弟というだけあってお互いの引き立て方を知っているのが音源からよく伝わります。
ちなみに本作はRemixも多いのですが、Akwidの作品は本作が初めてなので原曲と比較してのコメントはできないのはご容赦を。


M-1Se Habla Espanol」はピアノとガッツリした声が印象的で1分ちょっとのイントロ的な役割ですが初っ端から掴みはガッチリ。

M-2「West Coast Corrido」はパフパフした音使いの陽気なトラックですが、その上に乗っかるラップがザラザラした耳障りで相性は抜群。
陽気なホーンの使い方が中毒性が凄くて何回か聴き返したくなりますね。


M-3「Siempre feat. Rain」はそれまでの男臭い雰囲気から一転、Rainの歌で楽曲はスタート。
Akwidのラップも気合が入っていますがRainの芯の太い歌がHookで華を添え、アルバム全体でもいいアクセントになっています。

M-4「Confesando Un Sentimiento feat. Seven」はちょっと民族的なトラックの上でのラップ合戦。
ラップはゴリゴリしてるんですがトークボックスのHookがいい感じの箸休めになっていて曲の作りの上手さを実感します。

M-5「Ya Estuvo feat. Dyablo」は曲を聴いた感じだとDyabloの独り舞台っぽいです。ホーンが利いた陽気なトラックの上でDyabloが最後まで飽きの来ないラップを聴かせてくれます。


続くM-6「Ver Los Mismo feat. Big Capone」はAkwidの2人がゴキゲンなラップを乗せる横で冷静なラップを乗せるBig Caponeがいいアクセント。
M-7「Falso feat. Lil Bandit, Silencer, Seven」は計4組のマイクリレーで、トラックは他の曲に比べると落ち着いていますがその分ラップの方をガッチリ堪能できます。
全員キレキレの仕事ぶりなのは言うまでもなく。
M-8「No Te Metas feat. Mr.Sancho, Silencer, OG Playboy, Royal T」も同じくマイクリレーものですが、こちらはちょっとトラックの主張も強めでどちらもタイプが違っているのが流石。

そこから続くコラボもののM-9「Presumido feat. Mr.Sancho, Seven」、M-10「Gran Ruido feat. OG Playboy」もどちらも流石の相性の良さを披露。
邪魔な要素が一つもなく全員いい働きをしてます。


M-11「El Catrin」、M-12「Tercera Persona」は客演なしのAkwidの2人舞台楽曲。
前者はちょっとヘンテコなトラックでラップを乗せにくそうなのですがその上でしっかり健闘する2人の力量を感じられます。
後者はHookのスクラッチの入り方が特徴的で耳に残りますね。

最後を〆るM-13「Anoche feat. Mr.Sancho, Silencer, OG Playboy, Royal T」は疾走感があるトラックの上でのマイクリレーもの。
本作の中でも随一のスピード感の良さで、全員のラップも文句なしの仕事なので満足感を持って聴き終えることができますね。


Akwidの作品は本作が初めてだったのですが、スパニッシュラップのキングと言われるだけあって全体的に聴きごたえのある作品でした。
客演も一切無駄がなくAkwidのラップにマッチした方々ばかりで、トラックとの相性も文句なし。
名曲と呼べる曲こそないものの、最初から最後まできっちりした良曲が並んで飽きない内容です。
見かけたら是非どうぞ。


↓M-9「Presumido feat. Mr. Sancho, Seven」。
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家族歌集 / ET-KING

家族歌集


曲目リスト


1. mother
2. きみとの日曜日
3. うまい!お弁当
4. はんぶんこ
5. さんぽ
6. せんたくのうた
7. おすしはまわる
8. おじいちゃんとおばあちゃんの結婚式
9. 帰り道
10. 星


評価: ★★★★★★★☆☆☆


皆さん、お久しぶりです。1か月ほどはてなを放置してしまいました。
実は先月の後半に同居していた家族に不幸がありまして。
今月に入ってからお通夜、告別式とダーッと駆け抜けるように進み・・・最近になってやっと気持ちが落ち着いてきました。
というわけでこちらのブログも段々と再開を。
再開1発目はやはり家族絡みの作品で。


大阪府大国町を拠点とするラップグループ、ET-KINGのコンセプトアルバム。
2012年5月23日発売。


デビューを果たした2006年からコンスタントにアルバム、シングルをリリースしてきたET-KING。
2010年からオリジナルアルバムに加えてコンセプトアルバムをリリースするという試みを開始し、そのコンセプトアルバムの第3弾となったのが本作です。
テーマはアルバム名の通り「家族」で、家族に関する楽曲を収録したアルバムです。
既発曲4曲に提供楽曲のセルフカバー1曲、カバー楽曲1曲、新曲4曲の計10曲で構成されています。


では、内容に。


ET-KINGの特徴は馴染みやすいトラックと分かりやすいリリックですが、本作でもそれは変わらず。
むしろ「家族」という明確なテーマを持って制作されたということもあって、リリックの分かりやすさは際立っている印象を受けます。


同年の4月に発売された15thシングルの表題曲のM-1mother」でアルバムは幕開け。
曲名からは母親に対する感謝ソングを連想しそうですが実際には母親視点で子どもに対するメッセージソング。
長友佑都選手のお母様の想いを表現した楽曲とのこと。
女性が1人もいないグループである彼らがこのようなトピックを扱うのは本当に意外でした。
ただ詞の内容を純粋に見ると母親を父親に置き換えても成立するので、女性が歌った方がしっくり来たかも。

続くM-2「きみとの日曜日」はイトキンが茉奈佳奈に提供した同名曲のセルフカバー。
イトキンが作詞作曲を手掛けたということもあってET-KINGが歌うと一気に彼らの曲になりますね。
曲名に合ったゴキゲンなトラックと彼らの嫌味のない歌がバシッとハマり、見事に狙って命中させた曲となっています。
むしろM-1mother」こそ提供曲にすればよかったのでは・・。


2ndアルバムでの既発曲M-3「うまい!お弁当」を挟み、M-4「はんぶんこ」は新曲。
福島県大熊町立幼稚園(震災後に歌いに行ったとのこと)の園児たちのために制作した曲とのことで、「はんぶんこ」をテーマにした教育的な内容。
下手すると説教くさくなりそうなテーマですが、教育テレビでも流せそうな楽しい雰囲気のトラックと全員の優しい歌唱で嫌味なくすんなり聴ける曲に。

M-5「さんぽ」はとなりのトトロでおなじみの同名曲のカバー。
彼らの雰囲気に合った選曲ですが様々な音を取り込んでアレンジしたトラックが面白いです。
その上での明るい歌唱との相性も良し。

M-6「せんたくのうた」は3rdアルバムでの既発曲。
陽気なトラックの上でのキャッチ―なHookと勢いは耳に残ること請け合い。


M-7「おすしはまわる」、M-8「おじいちゃんとおばあちゃんの結婚式」は新曲で、前者は曲名の通り回転寿司がテーマ。
ネタの視点からのリリックは中々聴いていて面白く、楽し気なトラックとも相まって最後まで純粋に楽しく聴けます。
後者も曲名の通りおじいちゃんとおばあちゃんに対するメッセージソングですが、ほのぼのしたリリックとハーモニカを中心とする優しいトラックが印象的。
個人的に本作で一番好きな曲だったりします。

M-9「帰り道」は3rdアルバムでの既発曲で、もう聴いているだけで天気がいい夕方の情景を連想してしまいます。
チャルメラの音が印象的なトラックです。


最後を〆るのは新曲であるM-10「」。ピアノのイントロから始まる壮大な雰囲気のトラックで、最初から最後まで全員での合唱。
優しいリリックと歌い方がトラックにしっかりハマっていて、最後を〆るのにはふさわしい楽曲といえます。


良くも悪くも活動休止前のET-KINGらしい作品です。
新しい切り口を見せたM-10「」やET-KINGらしい新曲のM-4「はんぶんこ」、M-7「おすしはまわる」など良曲も入っていて、ファンには嬉しい内容と言えますね。

ただこれはコンセプトアルバムゆえの弱点なのですがアルバムのトピックが全体的に「家族」に統一されているため、オリジナルアルバムに比べるとバラエティに欠ける上に全10曲とアルバムとしては小粒なのがちょっと物足りなさを感じるポイント。
その為これからET-KINGを聴こう!という方にはちょっと向いていないかもしれません。
これからET-KINGを聴いてみようという方はまず普通のアルバムかベストアルバムを。そして気に入ったら本作を手に入れることをおススメします。
M-2「きみとの日曜日」、M-5「さんぽ」、M-7「おすしはまわる」の3曲は本作でしか聴けないので、ファンならマストで持っておくべきです。


↓M-4「はんぶんこ」の振り付け映像。
www.youtube.com