りくぼーの音楽感想倉庫

音楽CDの感想を綴っていきます

家族歌集 / ET-KING

家族歌集


曲目リスト


1. mother
2. きみとの日曜日
3. うまい!お弁当
4. はんぶんこ
5. さんぽ
6. せんたくのうた
7. おすしはまわる
8. おじいちゃんとおばあちゃんの結婚式
9. 帰り道
10. 星


評価: ★★★★★★★☆☆☆


皆さん、お久しぶりです。1か月ほどはてなを放置してしまいました。
実は先月の後半に同居していた家族に不幸がありまして。
今月に入ってからお通夜、告別式とダーッと駆け抜けるように進み・・・最近になってやっと気持ちが落ち着いてきました。
というわけでこちらのブログも段々と再開を。
再開1発目はやはり家族絡みの作品で。


大阪府大国町を拠点とするラップグループ、ET-KINGのコンセプトアルバム。
2012年5月23日発売。


デビューを果たした2006年からコンスタントにアルバム、シングルをリリースしてきたET-KING。
2010年からオリジナルアルバムに加えてコンセプトアルバムをリリースするという試みを開始し、そのコンセプトアルバムの第3弾となったのが本作です。
テーマはアルバム名の通り「家族」で、家族に関する楽曲を収録したアルバムです。
既発曲4曲に提供楽曲のセルフカバー1曲、カバー楽曲1曲、新曲4曲の計10曲で構成されています。


では、内容に。


ET-KINGの特徴は馴染みやすいトラックと分かりやすいリリックですが、本作でもそれは変わらず。
むしろ「家族」という明確なテーマを持って制作されたということもあって、リリックの分かりやすさは際立っている印象を受けます。


同年の4月に発売された15thシングルの表題曲のM-1mother」でアルバムは幕開け。
曲名からは母親に対する感謝ソングを連想しそうですが実際には母親視点で子どもに対するメッセージソング。
長友佑都選手のお母様の想いを表現した楽曲とのこと。
女性が1人もいないグループである彼らがこのようなトピックを扱うのは本当に意外でした。
ただ詞の内容を純粋に見ると母親を父親に置き換えても成立するので、女性が歌った方がしっくり来たかも。

続くM-2「きみとの日曜日」はイトキンが茉奈佳奈に提供した同名曲のセルフカバー。
イトキンが作詞作曲を手掛けたということもあってET-KINGが歌うと一気に彼らの曲になりますね。
曲名に合ったゴキゲンなトラックと彼らの嫌味のない歌がバシッとハマり、見事に狙って命中させた曲となっています。
むしろM-1mother」こそ提供曲にすればよかったのでは・・。


2ndアルバムでの既発曲M-3「うまい!お弁当」を挟み、M-4「はんぶんこ」は新曲。
福島県大熊町立幼稚園(震災後に歌いに行ったとのこと)の園児たちのために制作した曲とのことで、「はんぶんこ」をテーマにした教育的な内容。
下手すると説教くさくなりそうなテーマですが、教育テレビでも流せそうな楽しい雰囲気のトラックと全員の優しい歌唱で嫌味なくすんなり聴ける曲に。

M-5「さんぽ」はとなりのトトロでおなじみの同名曲のカバー。
彼らの雰囲気に合った選曲ですが様々な音を取り込んでアレンジしたトラックが面白いです。
その上での明るい歌唱との相性も良し。

M-6「せんたくのうた」は3rdアルバムでの既発曲。
陽気なトラックの上でのキャッチ―なHookと勢いは耳に残ること請け合い。


M-7「おすしはまわる」、M-8「おじいちゃんとおばあちゃんの結婚式」は新曲で、前者は曲名の通り回転寿司がテーマ。
ネタの視点からのリリックは中々聴いていて面白く、楽し気なトラックとも相まって最後まで純粋に楽しく聴けます。
後者も曲名の通りおじいちゃんとおばあちゃんに対するメッセージソングですが、ほのぼのしたリリックとハーモニカを中心とする優しいトラックが印象的。
個人的に本作で一番好きな曲だったりします。

M-9「帰り道」は3rdアルバムでの既発曲で、もう聴いているだけで天気がいい夕方の情景を連想してしまいます。
チャルメラの音が印象的なトラックです。


最後を〆るのは新曲であるM-10「」。ピアノのイントロから始まる壮大な雰囲気のトラックで、最初から最後まで全員での合唱。
優しいリリックと歌い方がトラックにしっかりハマっていて、最後を〆るのにはふさわしい楽曲といえます。


良くも悪くも活動休止前のET-KINGらしい作品です。
新しい切り口を見せたM-10「」やET-KINGらしい新曲のM-4「はんぶんこ」、M-7「おすしはまわる」など良曲も入っていて、ファンには嬉しい内容と言えますね。

ただこれはコンセプトアルバムゆえの弱点なのですがアルバムのトピックが全体的に「家族」に統一されているため、オリジナルアルバムに比べるとバラエティに欠ける上に全10曲とアルバムとしては小粒なのがちょっと物足りなさを感じるポイント。
その為これからET-KINGを聴こう!という方にはちょっと向いていないかもしれません。
これからET-KINGを聴いてみようという方はまず普通のアルバムかベストアルバムを。そして気に入ったら本作を手に入れることをおススメします。
M-2「きみとの日曜日」、M-5「さんぽ」、M-7「おすしはまわる」の3曲は本作でしか聴けないので、ファンならマストで持っておくべきです。


↓M-4「はんぶんこ」の振り付け映像。
www.youtube.com