りくぼーの音楽感想倉庫

音楽CDの感想を綴っていきます

Crash The Party / Smilez & Southster

Crash the Party


曲目リスト


1. Intro (Skit)
2. Let's Roll
3. Who Wants This?
4. Ridiculous
5. Bull Sh*tin' (Skit)
6. It's On
7. Luv-A-Bo (Skit)
8. Let's Get Naked
9. R&B South (Skit)
10. Tell Me
11. What Can You Do?
12. Gully
13. On The List (Skit)
14. Crash The Party
15. Alright
16. It's Time
17. Now That You're Gone


評価: ★★★★★★★★☆☆


アメリカのオーランドで結成されたラップグループ、Smilez & Southstarの1stアルバム。
2002年7月9日発売。


Smilez & Southstarは2000年にSmilezとSouthsterが結成したユニット。
それぞれの経歴を少し説明します。


まずSouthsterは15歳の時にオーランドにやってきて、すぐにHIP HOPのとりこになり自分自身もラップをするように。
高校卒業と同時にマーケティング、プロモーション関連の企業に就職しそこでビジネスとしてのHIP HOPも学びました。
そのような裏方活動と並行しながらMCとしても活動し、地元のDJが制作したミックステープに参加しながらその名前をオーランドで着々と浸透。

それに対してSmilezは幼い時から芸能界を目指しており、17歳の時に母親と共にオーランドへ。
それから大物ラッパーのオープニングアクトを務めるなどの経験を積み、こちらも名前を広げていくことに。

そんな2人が一緒になるきっかけになったのはとあるミックステープの制作。
そのミックステープの楽曲で2人が共演することになり、お互いの相性の良さに気づいた2人はプロデューサーのDakariの協力を経てこのユニットを結成。

2年後にリリースされたのが1stアルバムである本作です。
本作からのシングルカットのM-10「Tell Me」はヒット曲となり、アメリカのみならず世界でも名前を広げました。
ところが本作以降は本作のシングルカット以外に特に音源リリース等はなく、2006年に活動はやめてしまったようですね。
結果的に本作が唯一の彼らのアルバムとなっています。


では、内容に。


このような2人組のMCユニットというのは声質やラップの乗せ方などが明確な違いがあって棲み分けがはっきりしている場合が多いですが、Smilez & Southstarは珍しいことにそのような傾向に当てはまっていません。
SmilezとSouthsterはどちらも声やラップの乗せ方が似ていて、詞の方を確認しないとどちらがどこを担当しているのか分からないんですよね。
ただお互いの相性の良さがきっかけで結成したというだけあってお互いのラップの相性は文句なしですし、どちらも癖がないので聴きやすいと思います。


イントロを経てのせわしないトラックの上でのラップ合戦を展開するM-2「Let's Roll」からもうその2人の相性の良さは分かるというものです。
Hookではちょっとキャッチ―な雰囲気を出し、バースでは硬派なラップ、ブリッジでは煽るようなラップを乗せるという構成の良さも相まって初っ端から耳を掴まれること請け合い。

M-3「Who Wants This?」はクレジットこそないもののDakariが参加しており、セクシーな雰囲気のHookとお互いのラップの化学反応が凄いですね。
最後を〆るDakariのReggaeノリなラップもいいアクセントになっていて最後まで飽きさせません。

ここまでは比較的キャッチ―な雰囲気の楽曲が続いていましたが、M-4「Ridiculous」は緊迫感のあるトラックでちょっと雰囲気が違います。
リリックの内容はよくあるビッグマウスものですが、トラックに緊迫感があるため90年代のギャングスタラップを彷彿とさせる雰囲気。

スキットを経てのM-6「It's On」はこれまた緊迫感のあるトラックの上に乗る2人のラップの絡みが絶妙で首を振りたくなります。


その次はまたスキットで、今まで続いたハードな雰囲気から一転、おっとりした雰囲気になりますがM-8「Let's Get Naked」でまた雰囲気は元に戻ります。
クレジットはありませんがこの曲ではKATIEが参加しており、中盤でいいアクセントとなる歌を聴かせてくれます。
出番はちょろっとだけなんですけど、2人のラップばかりが続いていたので一番印象が強いです。

スキットを経てのM-10「Tell Me」は上にも書いた通りシングルカットされた本作で一番の有名曲。
HookではBillie Lawrenceが参加しており、ちょっと歌を乗せにくそうなトラックにも関わらずしっかりと爽やかな歌を乗せているのに力量を感じますね。
トラックもインパクトがありますし2人のラップとの相性も文句なしで、ヒット曲になったのも頷けます。


M-11「What Can You Do?」はHIP HOPでは定番であるヘイタ―DIS曲。
Hookでのコーラスが煽っている感じがしていい味が出てます。

M-12「Gully」はリアル、ギャングスタという意味でどっちの意味でも通る言葉だとか。
その曲名から連想できるようにビッグマウスもの。
シリアスな雰囲気のトラックの上で隙間なくラップを撃ってくる2人はその言葉に偽りない貫禄を感じますね。


クラブに車で突っ込んでいく様を再現したスキットを経ての表題曲M-14「Crash The Party」は所々でガラスを割る音が入ることもあって中々危険な雰囲気。
どちらもギャーギャー騒いだりしないでいつも通りラップを乗せていくのが却って不気味な雰囲気で、目論見を成功させた一曲と言えます。

M-15「Alright」は畳みかけるようなトラックと2人の相性の良さは勿論ですが、Hookに人の声を含めて様々な音を入れ込んでいるので癖になりますね。

M-16「It's Time」はHookのシンガーが誰なのかクレジットされていないのですが、よくあるラッパーとシンガーの曲です。


最後を〆るM-17「Now That You're Gone」はまたしてもBillie Lawrenceが参加し、Hookで歌を披露。
本作中でも異色な悲し気な雰囲気の曲で、リリックの内容も亡くなった家族に対するメッセージソング。
ラップも語り掛けるような優しい雰囲気で中々綺麗にまとめ上げたんじゃないでしょうか。

と思いきや、この曲が終わってから数十秒ほどでボーナストラックが始まります。
パーティーチューンのため綺麗にまとめ上げる気は無かったようですね。


上にも書いたように2人のラップの相性は文句なしで、客演もみんないい仕事をしてます。
正直ヒット曲の「Tell Me」に並べるほどの楽曲はありませんが、他の曲もしっかり2人のラップに合わせた良曲が並び、最後まで聴けるアルバムです。
見かけたら是非どうぞ。


↓M-10「Tell Me」のPV。
www.youtube.com