りくぼーの音楽感想倉庫

音楽CDの感想を綴っていきます

LIVE ALL SOLD OUT / THE BLUE HEARTS

LIVE ALL SOLD OUT


曲目リスト


1. 人にやさしく[Live]
2. ハンマー[Live]
3. リンダ リンダ[Live]
4. 世界のまん中[Live]
5. ロマンチック[Live]
6. 青空[Live]
7. ブルースをけとばせ[Live]
8. キスしてほしい[Live]
9. 終わらない歌[Live]
10. 手紙[Live]
11. 真夜中のテレフォン[Live]
12. イメージ[Live]
13. 情熱の薔薇[Live]
14. 夢[Live]
15. 泣かないで恋人よ[Live]
16. 月の爆撃機[Live]
17. 1000のバイオリン[Live]
18. TRAIN-TRAIN[Live]
19. 未来は俺等の手の中[Live]
20. ブルーハーツのテーマ[Live]


評価: ★★★★★★★★☆☆


東京都渋谷で結成されたバンド、THE BLUE HEARTSのライブアルバム。
1996年1月1日発売。


リンダ リンダ」、「TRAIN-TRAIN」など様々な有名曲を排出した後、1995年に解散したBLUE HEARTS。
解散後も様々なベストアルバムがリリースされていますが、本作はその解散後に比較的すぐにリリースされたアルバムになります。
彼らの様々なライブ音源をコンパイルした作品となっており、全てライブ音源で構成されています。


では、内容に。


BLUE HEARTSは音源でもライブでも定評があったグループです。
wikiにも書いてありますが、様々なライブから抜粋した楽曲群であるのにも関わらずMC等の繋ぎも本当に上手くて、まるで1つのライブをそのまま体験しているかのような気分になります。


M-1人にやさしく」~M-4「世界の真ん中」までの流れは盛り上がること間違いなしの楽曲詰め合わせで、1人で聴いていたら熱唱したくなってしまいますね。
詞のメッセージ性にもグッときてしまうのは言うまでもなく。

2曲落ち着いて聴かせる楽曲が続き、そこから一気にギターで煽るマーシーの1人舞台のM-7「ブルースをけとばせ」に行く流れは間違いなく前半のハイライト。
マーシーの絶叫は相変わらず半端ないですね!

そこからM-8「キスしてほしい」、M-9「終わらない歌」と続くわけですが、M-9「終わらない歌」は放送コードに引っかかるため音源では修正されている箇所がライブ音源なこともあり無修正で収録されています。
ここも嬉しいポイントですね。


M-10「手紙」は哀愁漂うヒロトの歌唱がいかんなく発揮されており、観客の声といっしょに声を上げたくなること必至ですね。M-11「真夜中のテレフォン」は本作では唯一の河ちゃんの1人舞台。
解散のきっかけを作った人物として余り好かれていない河ちゃんですけど、音楽性は文句なしにあると思いますけどね。歌い終わった後の河ちゃんの言葉が好きです。(内容はご自身でチェックしてみてください)

M-12「イメージ」~M-14「」と人気曲が続いた後のM-15「泣かないで恋人よ」がアルバムでもいいアクセントになっていていいですね。
本作の中ではヒロトが一番静かに歌っている曲と言えるかもしれません。寄り添うような詩と歌が素敵です。

そこからはM-16「月の爆撃機」~M-18「TRAIN-TRAIN」までは通常のライブで、最後の2曲はアンコールという感じですかね。(無論実際のライブではそんなことないんでしょうが)


20曲とアルバムとしては曲数が多めですが、とにかく非常につなぎ方が上手いので、ライブを耳で体感していると考えるとあっという間に聴き終えてしまうように感じるくらい聴き入ってしまいます。
何よりもCD音源とメンバーの声に余り差異がないのがすごく感じましたね!


1995年という僕が生まれた年に解散してしまったグループのため、本作に収録されているライブに足を運んだ方や彼らの活動をリアルタイムで見られた方が本当にうらやましいです。
本作を通して当時の空気だけでも想像して味わいたいと思います。


とりあえず、見かけたら是非ご一聴を!決して損はしません。


↓M-12「イメージ」のライブ映像。
www.youtube.com

The Professional 2 / DJ Clue

Pt. 2-Professional


曲目リスト


1. Intro
2. Back 2 Life 2001 feat. Mary J. Blige and Jadakiss
3. Jay-Z Freestyle
4. Who's Next (X-Clue-Sive) feat. DMX
5. Coming For You feat. Beanie Sigel, Freeway
6. Fantastic Four, Pt.2 feat. Lox, Cam'ron, Nature & Fabolous
7. Getting It feat. Busta Rhymes & Rah Digga
8. Cream 2001 feat. Raekwon & Ghostface Killah
9. What The Beat feat. Eminem, Method Man & Royce The 5-9
10. Lil' Mo Interlude
11. Fuck A Bitch feat. Snoop Dogg & Kurupt
12. Change The Game Remix / Jay-Z feat. Daz, Kurupt, Beanie Sigel & Memphis Bleek
13. My Niggaz Dem feat. Trick Daddy & Trina
14. Live From The Bridge feat. Nas
15. So Hot feat. Foxy Brown
16. Chinatown / Lil' Kim feat. Junior Mafia & Lil' Cease
17. Bathgate Freestyle
18. M.A.R.C.Y. / Memphis Bleek feat. Geda K
19. I Don't Care feat. Capone & Noreaga
20. The Best Of Queens (It's Us) feat. Mobb Deep
21. RED feat. Redman
22. Dangerous feat. Muggs, Lady Luck
23. Phone Patch feat. Ty Shaun


評価: ★★★★★★★★★☆


アメリカのNY出身のDJ、DJ Clueの2ndアルバム。
2001年2月27日発売。


1stアルバムである前作がR&B/HIP HOPチャートで3位を獲得し、本作をリリースした2001年には100万枚以上のセールスになるというロングヒットを果たしたDJ Clue。
前作から4年というインターバルを経て、2ndアルバムである本作がリリースされました。
様々なスタジオでレコーディングを行い、トラックメイカーもDJ Clueのみならず様々なトラックメイカーを起用。
マイクゲストも前作と同様かなり豪華なメンツが揃っています。

結果的にビルボードでは3位、R&B/HIP HOPチャートでは1位を獲得。
リリースの翌月には早くもゴールドディスク認定を受け、アメリカでは88万枚以上のセールスを記録。
2001年を代表するHIP HOPアルバムの1枚になりました。


では、内容に。


基本的にはDJの作品でよくある、様々なラッパーやシンガーを迎えたお祭りアルバムです。
上の曲目リストを見てもらえるとわかる通り、かなり豪華なメンツを迎えています。


Puff Daddyの語りだけのイントロを経てのM-2「Back 2 Life 2001」は本作では唯一のシングルカットされた楽曲。
トラックが始まるのは1分35秒からで、そこまではMaryの歌がトラックなしで歌うという構成。
トラックが始まってからはJadakissがラップを披露しますが、そこまで印象は強くなく、Maryの方が明らかに目立っています。
入りだしとしてはまずまず?といったところ。


しかし一気に耳をロックされるのはここから。
M-3「Jay-Z Freestyle」、M-4「Who's Next (X-Clue-Sive) feat. DMX」は前者がJay-Z、後者がDMXがマイク担当ですが、どちらも気合が入りまくったラップを披露。
M-5「Coming For You feat. Beanie Sigel、Freeway」でもコミカルなトラックの上でのBeanieとFreewayの聴きごたえのあるラップが楽しめます。

M-6「Fantastic Four, Pt.2 feat. Lox, Cam'ron, Nature & Fabolous」は客演を見てもわかる通り豪華メンバーでのマイクリレー。
4人とも個性を発揮しまくっており、非常に子気味良いマイクリレーとなっております。HIP HOP好きなら聴かなきゃ損ですね!

続く2曲はどちらも客演2人のラップ合戦がカッコいいです。
特にM-8「Cream 2001 feat. Raekwon & Ghostface Killah」は客演の名前を見てもわかる通りクラシックと名高いWu-Tangの名曲「C.R.E.A.M」の2001年バージョン。
原曲とは全く雰囲気が違いますが、こちらも負けず劣らずのカッコよさですよ!また1曲クラシックが生まれました。


M-9「What The Beat feat. Eminem, Method Man & Royce The 5-9」は客演を見ても分かる通りマイクリレーもの。
これまた3人ともシンプルなトラックの上でベストなラップを見せてくれます。


Lil'Moのスキットを経て、M-11「Fuck A Bitch feat. Snoop Dogg & Kurupt」は客演に西海岸HIP HOPの重鎮2人が参加。
Hookのチルっぷりとバースでのスムーズなラップが耳をガッチリロックすること間違いなし!
M-12「Change The Game Remix」はクレジットを見ての通りまたしても豪華なメンツでのマイクリレー。
悪いはずがありませんね。硬派なラップとおふざけ感があるHookのギャップがたまらないです。


M-13「My Niggaz Dem feat. Trick Daddy & Trina」ではTrickとTrinaのラップ合戦。
Trinaの女性ながらのドスの利いた声でのラップと、Trickのオーソドックスなラップが耳を引きます。

続く2曲は客演は1人だけで前者はNas、後者はFoxy Brown。
どちらも個性を発揮していますが、M-15「So Hot feat. Foxy Brown」の方がトラックもコミカルな感じで聴いていて楽しくて好きですね。


M-16「Chinatown」はオリエンタルな雰囲気なトラックの上で繰り広げられるマイクリレー。
これもご多分に漏れず全員キレキレでカッコいいです!
BathgateのフリースタイルのM-17「Bathgate Freestyle」を挟んだ後は、M-18「M.A.R.C.Y.」~M-20「The Best Of Queens (It's Us) feat. Mobb Deep」までは2人でのラップ合戦が続く流れ。
どのラッパーも聴きごたえのあるラップ合戦を披露しています!
M-21「RED feat. Redman」、M-23「Phone Patch feat. Ty Shaun」は客演は1人。
1人舞台だけあってどちらもかなり気合が伝わってくるラップを披露していますよ。M-23「Phone Patch feat. Ty Shaun」はアウトロ的な立ち位置のようで短いんですが・・。
(間に挟まれるM-21「Dangerous feat. Muggs, Lady Luck」もMuggsのラップを食べる勢いのLady Luckの暴れっぷりがすごいです)


実を言うと本作はとある福島市内の中古ショップでHIP HOP系のCDのお楽しみBOX?を買ったときに入っていた1枚で、何となく聴いた1枚でしたが、正直あまりの内容の良さにビックリしましたね。
驚いたのはDJ Clueの度々入るコールが邪魔にならず、むしろアルバム中でいいアクセントになっていることですね。
こういうDJのアルバムでのコールって大抵邪魔に働くんですけど、本当にDJ Clueのコールには不快さがないです。
それにそこを除いてもここまで多くのラッパーを客演に迎えて、トラックとラップの相性も良く、客演のラッパーの良さを生かし切ったDJのアルバムは今までほとんどお目にかかったことはないですね!
これは好セールスを記録したのも心から頷けます。
見かけたら是非チェックを!


↓M-8「Cream 2001 feat. Raekwon & Ghostface Killah」。
www.youtube.com

P.S. 今までのデザインだと崩れが出るようになったので、ブログデザイン変えました。

Sexappeal / Fusion Core

SEXAPPEAL


曲目リスト


1. Departure
2. Do Or Die
3. Are You Ready?
4. Wake Up 2001
5. コアの方舟
6. 風
7. Stay Still
8. サクラサク
9. 暴走機関車
10. コアの方舟 (Flash sounds Remix)
11. New Type feat. RICE
12. リーサル・ウェポン feat. パピー飛葉
13. サクラサク (NAL Remix)
14. Outro


評価: ★★★★★★★★★☆


1995年から活動を始めたラップグループ、Fusion Coreの1stアルバム。
2001年11月21日発売。


Fusion Coreは1990年代中盤に、MCのIQを中心として結成されたラップグループです。
様々なメンバーが入れ替わり立ち代わりで在籍していましたが、MCのIQとMr.Pow、DJのANAという3人のメンバーで固まっていきました。
Mr.Powは元々はDJだったそうですが、DJとしてANAが加入したこととMCが1人急遽抜けてしまったためにMCとして活動したとのこと。
1999年にはDEV LARGEが代表を務めたレーベルであるEL DORADO RECORDSから1stミニアルバムをリリース。
BUDDHA BRANDの作品にも客演で参加し、順調に日本語ラップ界で名前を広げていきました。
2001年、とうとうフルアルバムである本作をリリース。


では、内容に。


Fusion CoreのMCであるIQとMr.Powは、どちらも正直ラップ自体にはそこまで華があるタイプのMCではありません。
物凄くライミングが巧みなわけでもなく、声にも特徴があるわけでもなく、スキルフルというわけでもありません。
ですが、彼らの真骨頂はそのようなラップ自体のものではなく、日本語がわかる方ならそこの部分では切り捨てるのには余りに勿体ない魅力があります。
それは曲を聴いてみればわかるでしょう。


壮大なイントロのM-1Departure」を経て繰り出される、M-2「Do Or Die」は初っ端のHookから彼らの持ち味であるポジティブなリリックが吐き出されます。
M-3「Are You Ready?」もHookと双方のバースが抜群の安定感で首を振りたくなること必至。ですがこれはまだ序の口。


何といっても彼らの魅力であるポジティブなパンチラインが最大限発揮されるのはM-4「Wake Up 2001」~M-6「」の流れ。
緊張感のあるトラックの上でひたすら聞き手側に対するポジティブなメッセージをぶつける様は、3曲とも本当にカッコよすぎるの一言。

インストながらも様々な音が組み込んであり聴きごたえがあるスキットのM-7「Stay Still」を経てのM-8「サクラサク」はクラシックと評されるのも頷ける珠玉のメッセージソング。
これは何も言うことなし、ただただ聴いてほしいですね。


M-9「暴走機関車」は攻撃的なトラックが耳を惹く、アルバムの中でも異色な楽曲。
しかしここでも2人とも貫禄を見せるラップさばきを見せてくれ、聴きごたえは十分すぎます。

M-10「コアの方舟 (Flash sounds Remix)」は、原曲よりちょっと明るめのトラックを起用したREMIX。
原曲とは全く違う雰囲気となっていますが、これも原曲に負けず劣らずのカッコよさで、おススメできる内容のREMIXになっています。


その後は客演を迎えたM-11「New Type feat. RICE」、M-12「リーサル・ウェポン feat. パピー飛葉」が続きますが、どちらも客演の2人もIQもMr.Powもキレキレのラップを見せつけるガッチリとした1曲に仕上がっています。
特に後者のHookの勢いなんて聴きごたえ抜群で、耳をロックされること請け合い。


M-13「サクラサク (NAL Remix)」は、原曲よりちょっとビートを強化しましたという感じで、これも原曲と違った味わいがあって◎。
もちろんポジティブなリリックもしっかりと生かされています。これも原曲と同じくクラシック認定していいでしょう!

M-14の「Outro」も最後にスロウな雰囲気でアルバムの幕を閉じてくれ、なかなかいい終わり方となっています。


本作は僕が中学3年くらいの時に手に入れた1枚でしたが、その当時は正直他の作品に比べてあまり聴き込んでいなかったんですよね。
その時はIQとMr.Powのラップの地味さが余り印象に残らず、聴き込まないまま放置してしまったんです。
しかし・・・今回久しぶりに改めて聴いてみたら、なんとも・・余りにいい作品でびっくりしました。
とにかくポジティブな言葉さばきに圧倒されましたね。日本語が理解できてよかったと思う日本の音楽作品は時々ありますが、本作もその1枚に追加となりました!


コロナでネガティブな情報も蔓延しているここ最近、是非聴いて頂き、彼らの言霊を感じ取ってほしいと思います。


↓M-2「Do Or Die」。
www.youtube.com

Glory / Manafest

Glory


曲目リスト


1. Don't Turn Away feat. Justin Humes
2. Bounce
3. Runaway
4. Impossible feat. Trevor McNevan
5. Dreams
6. Retro Love
7. Critics feat. Promise
8. Where Are You
9. Wanna Know You
10. Droppin' Hammers
11. Glory (You Are)
12. Rodeo (Bonus Track)
13. Skills (Bonus Track)


評価: ★★★★★★★★☆☆


カナダのオンタリオ州トロント出身のラッパー、Manafestの3rdアルバム。
2007年2月9日発売。


20世紀終盤にLINKIN PARKが登場し、世界の音楽シーンで一つのジャンルとして確立されたのがミクスチャーラップ。
日本でもDragon AshORANGE RANGEなどが台頭するようになり、ロックとラップの組み合わせでもリスナーを魅了することができるというのを知らしめましたね。

そんな中での2000年代中盤、ミクスチャー界に現れたのがManafest。
元々はHIP HOPグループのラッパーとして活動していましたが、やがて解散したため、ソロラッパーとして活動を開始。
2005年にリリースされた2ndアルバムである前作でデビューを果たし、その2年後にこの3rdアルバムを投下しました。


では内容に。


サウンドは基本的にはラウドなギターなどをフューチャーしまくった強烈なROCKサウンドが中心。HIP HOPファンよりもROCKファンの方が受け入れられそうですね。
Manafestはそんなにラップに特徴があるわけではありませんが、すごいのはどんなに強烈なサウンドでもラップが全くサウンドに負けていないところです。
しっかりとManafestというラッパーの作品になっています。


M-1Don't Turn Away feat. Justin Humes」からもうManafestの底力は体感できるはず。
初っ端からいきなり強烈なROCKのトラックが届けられますが、JustinもManafestも全く飲み込まれることなくラップを披露しています。
続くM-2「Bounce」はノリの良いトラックの上でManafestが滑らかにラップを乗せていく様が印象的な良曲。
聴いていて首を振りたくなってしまうこと請け合いです!


M-3「Runaway」はそんな2曲から雰囲気が変わり、哀愁漂うトラックで、迷惑ばかりかけた両親に対する懺悔のメッセージが込められた曲。
Hookの女性のバックコーラスが哀愁を増幅させていて◎。
アルバム全体で見てもいいタイミングで持ってきたな、と思えます。
M-4「Impossible feat. Trevor McNevan」は、ラップは淡々とした雰囲気ですが、HookではTrevorの狂ったような歌いまわしが炸裂していて、インパクトは抜群です。

M-5「Dreams」はシリアスなトラックの上で、成功者の視点からリスナーや同業者に贈るメッセージソング。
EMINEMの「Lose Yourself」が好きな方なら間違いなく気に入ると思います。
無論僕も好きな曲なので、この曲も一撃でお気に入りに追加となりました。
M-6「Retro Love」はハードなトラックの上でHookの女性シンガーの声とManafestのラップがいい感じに絡んで聴きごたえ抜群です。
M-7「Critics feat. Promise」でもHookで歯切れのいいラップを披露するPromiseとバースで難なくラップをキックしていくManafestの相性の良さがいかんなく発揮されています。
M-8「Where Are You」は硬派なラップとHookのキャッチ―な雰囲気の構成が聴いていてとても楽しいですね。
特に曲の終わる直前とHookでのラップの絡みなんて鳥肌もの!


M-9「Wanna Know You」はM-1Don't Turn Away feat. Justin Humes」と同じく、Hookでドカンと盛り上がる構成。
M-10「Droppin' Hammers」は一度聴いたら耳に残る比較的コミカルなトラックの上で自由自在にラップを乗せるManafestのスキルの高さを実感できます。
どちらも単純に聴いていて楽しめます。

輸入盤だと最後を〆るM-11「Glory (You Are)」はちょっと宗教的でシリアスなトラックで、アルバムの中でも異色な楽曲。
アルバムをこういう異色な楽曲で〆る例はなかなか見ない気がします。
しかし楽曲としてはその雰囲気でも難なく乗りこなすManafestのラップが印象的な良曲。


後の2曲は国内版限定のボーナストラックで、前作から2曲をセレクトしてそのままボーナストラックとして収録したもの。
なので対訳や解説などに興味がなく、前作を所持している方は無理にこの国内版を手に入れる必要はありません。
最も、前作からわざわざ収録されたというだけあって、どちらもサウンド、ラップ共にかなりカッコいいです!
前作を見かけたら、ぜひとも手に入れたいと思いましたね!


さて、なんとなく手に取った1枚でしたが、予想以上の内容の良さにびっくりです。
上にも書いたように、どんなトラックでも負けることなく難なく乗りこなしてしまうManafestの底力がすごいですね。
サウンド的にもROCKが好きな人にも、HIP HOPが好きな人にもおススメできます。
しかもやわな売れ線な音楽では決してない・・・とにかくバランスが素晴らしい作品です。
Manafestの作品で今のところ所持しているのは本作のみですが、他の作品にも手を伸ばしたくなりました。


見かけたら是非ご一聴を。


↓M-8「Where Are You」のPV。
www.youtube.com

24 HOUR KARATE SCHOOL JAPAN / SKI BEATZ

24 HOUR KARATE SCHOOL JAPAN


曲目リスト


1. AMEMURAN DREAM feat. 韻踏合組合
2. GO feat. SEEDA
3. 日本人ラッパー総選挙 feat. 般若
4. 24 BARS TO KILL feat. ANARCHY, RINO LATINA Ⅱ, 漢, MACCHO
5. JAPANESE TOKKOTAI BANCHO feat. TETRAD THE GANG OF FOUR
6. MY CITY feat. GAZZILA
7. HEAVEN'S DOOR feat. RYUZO, B.I.G. JOE
8. RUNNIN' feat. バラガキ, ZEUS
9. REMEMBER SHADOWMEN feat. K.G.E. THE SHADOWMEN
10. ROC RATED feat. ANARCHY, LA BONO, RYUZO
11. MCW(MUCHA CUCHA WARU) feat. TWIGY, DABO
12. FOLLOW ME feat. SMITH-CN
13. HEY TAXI feat. ISSUGI, S.L.A.C.K.
14. 24 BARS TO KILL REMIX feat. DJ TY-KOH, ZEEBRA, SIMON, D.O, SHINGO☆西成


評価: ★★★★★★☆☆☆☆


2000年代を代表する日本語ラップレーベル、R-RATEDからリリースされたコンピレーションアルバム。
2010年10月20日発売。


本作は2005年にRYUZOが設立したR-RATED RECORDS(以後R-RATED)から初めてリリースされたコンピレーションアルバムで、全曲アメリカのプロデューサーであるSKI BEATZが全てのトラックを手掛けています。
作品の解説に入る前に、SKI BEATZについてちょっと紹介しておきましょう。


SKI BEATZは上にも述べたようにSKI BEATZはアメリカのトラックメイカーであり、主に90年代に活動開始しました。
1996年にリリースしたJAY-Zの1stアルバムでも4曲のトラックを手掛けたことで、多くのリスナーたちにその名を轟かせます。
他にもLil KimやFat Joe、I-20など様々なラッパーにトラックを提供し、アメリカのHIP HOP界では有名なトラックメイカーの1人になったのです。

2000年代に入ってからはレーベルを立ち上げ、地元のアーティストの育成に力を入れるように。
そのSKIが常駐するNYのスタジオは、不夜城のごとく常にエンジニアやミュージシャンが作業しているため、やがて「24 Hour Karate School」と呼ばれるようになったのです。(NYは空手にも馴染み深い場所です)


2010年にアメリカのHIP HOPシーンにて、「SKI BEATZのトラックに様々なラッパーがラップを乗せる」というコンピレーションアルバムである「24 HOUR KARATE SCHOOL」をリリースしました。
Jim Jones、Curren$y、Stalleyなどといったメンツを迎えた本作は話題作となりました。
この名前からお分かりでしょう。
要するに本作はこの「24 HOUR KARATE SCHOOL」の日本版なのです。


クレジットを見てもらえると日本語ラップ好きなリスナーなら分かりますが、参加メンツは非常に豪華。
当然のことながら日本語ラップ界でも2010年の凄まじい話題作となっています。


では内容に。


SKI BEATZのトラックは昔ながらのHIP HOPらしいシンプルさながらも、様々な音が地味に織り込んである引き出しの多い構成。
参加メンツは上にも書いたように非常に豪華で、当時でも日本語ラップ歴10年以上のベテランから、期待の新人として注目されていたラッパーまで揃っています。
日本語ラップ好きなリスナーならクレジットを見ただけでワクワクしてしまうこと請け合いでしょう。


ところが・・いざ最初から最後まで聴いてみると、「あれ?悪くはないけどそれほど良くも・・?」という感じです。
どうもSKIのトラックとラッパーの相性が余り良くなかったり、ラッパーたちが奮ってないように見える楽曲が多いのです。

単独で曲を任されたSEEDAのM-2「GO」やGAZZILAのM-6「MY CITY」なんかはどちらも底力のあるラッパーですが、本作ではどうも奮っていないですね。
SMITH-CNのM-12「FOLLOW ME」は、上記の2人と比べるとまだ生き生きしていますが、それでも普通程度。
そしてベテラン勢で1曲を任された般若のM-3「日本人ラッパー総選挙」なんて非常にもったいなく感じてしまいます。
般若の目の付け所、リリックの内容も面白いですし、SKIのトラックもラッパーによっては名曲に化けそうなトラックを提供していますが、どうも双方の相性が微妙で、結果的にどっちつかず。

その他の2人以上の楽曲もそんな感じで、全体的にどっちつかずな楽曲が多い印象ですね・・。
(SKIのトラックで一番かっこいいと思えたのはISSUGIとS.L.A.C.K.によるM-13「HEY TAXI」のトラックですが、これもISSUGIとS.L.A.C.K.のラップがあまり奮わず)


しかしながら聴いて損はしない楽曲があるのも事実。
韻踏合組合によるM-1AMEMURAN DREAM」はSKIのトラックの上でいつもながらの韻踏メンバー4人での気持ちよいマイクリレーを繰り広げる聴きごたえありの良曲。
この曲で始まったときは聴き進めるのが楽しみになりました。


そしてなんといっても本作の目玉曲であるM-4「24 BARS TO KILL」。本作の中でも超絶話題になったのも頷ける、かなり勢いのあるマイクリレーです。
最初にインパクトのある入りだしで魅せるANARCHY、スムーズながらも貫禄のあるラップで持っていくRINO、まくしたてるようなラップを披露する漢、がっつりとしたラップで締めくくるMACCHOと、誰一人として無駄がありませんね。
SKIとのトラックとの相性も抜群で、本作の中でもずば抜けてかっこよすぎる楽曲。

ラストに控えるこの曲のREMIXも、ZEEBRA、SIMON、D.O、SHINGO☆西成がトラックに負けない生き生きしたマイクリレーを披露。
特にZEEBRAの入りだしと、D.Oのパンチラインの応酬は必聴です。
ただDJ TY-KOHのシャウトは入れなくてよかったと思いますが・・・。


全体的には良作という評価は付けられないですが、この3曲を聴くためだけでもなんとか手に入れてほしい1枚でしょうか。
あとAmazonレビューではSKIのトラックがかっこよくない、という声が多いですが、個人的にはそんなにSKIのトラックが悪いとは感じなかったですね。
むしろ普通にかっこよく感じました。もしインスト盤があったらほしいかも。


もし興味のある方はどうぞ。


↓M-4「24 BARS TO KILL」のPV。
www.youtube.com

SEAN KINGSTON / SEAN KINGSTON

ショーン・キングストン(期間生産限定盤)


曲目リスト


1. Intro
2. Kingston
3. Take You There
4. Me Love
5. Beautiful Girls
6. Dry Your Eyes
7. Got No Shorty
8. There's Nothin feat. Paula Deanda
9. I Can Feel It
10. Drummer Boy
11. Your Sister
12. That Ain't Right
13. Change
14. Colors (2007) (Reggae Remix) feat. Vybz Kartel, Kardial Official
15. Beautiful Girls (Instrumental)


評価: ★★★★★★★★☆☆


アメリカのフロリダ出身のシンガー、SEAN KINGSTONの1stアルバム。
2007年7月31日発売。


SEAN KINGSTONは1990年にアメリカのフロリダのマイアミに生まれるものの、その後はジャマイカで育ちました。
SEANはREGGAEの世界では知らない人はいないREGGAE DEEJAYであるBuju Bantonの甥で、なおかつこれまた名シンガーであるLawrence "Jack Ruby" Lindoの孫。
そんな環境に生まれた時から身を置いていました。
最も彼が14歳の時に母と妹が警察に逮捕されるということも経験しており(本作のリリース時も、母親はまだ刑務所の中にいたとのこと)、恵まれた環境で育ったわけではないようです。


彼も当然ながらやがて音楽の道へ志すようになり、2006年の春に当時は注目のプロデューサーの1人であったJonathan Rotemに自ら連絡を開始。
Jonathanは最初はそこまで乗り気では無かったようですが、SEANの音楽的才能に一目ぼれしてしまい、すぐさまSEANをマイアミからロサンゼルスに呼び寄せ、契約を1回目のミーティングで決意。
そしてJonathanが完全プロデュースしたうえでできたのが本作というわけです。
特にBen E KINGの大有名曲である「Stand By Me」をサンプリングした本作のM-5「Beautiful Girls」は凄まじい話題曲となり、ビルボードの1位を3週渡って取り続けるという快挙を達成。
当時17歳でありながらここまでの成功を達成してしまうとは、音楽界の大物と血がつながっているとはいえ恐ろしいものです。


さて、内容に。


SEANの特徴は聴いているこっちが明るくなりそうな明るい歌声。
ジャンル的にはREGGAEに当たるようですが、他のジャンルが好きな人でも受け入れられそうな雰囲気です。
この歌いこなしっぷりを17歳で見せつけていたとは本当に驚かされます。


Introを経ての前半はまさにそんなSEANの歌唱の真骨頂。
クラブなどでかけたら体を揺らす人が続出すること間違いなしな楽曲が続きます。
特にM-4「Me Love」は対訳を見ると失恋ソングなのにも関わらず、非常に楽しい雰囲気の楽曲です。
聴いているだけで燦燦と輝く太陽の下にいるような気分になってしまうこと請け合いです。
その後に続くM-5「Beautiful Girls」も、大ヒットしたのも頷ける良曲。
国内版のボーナストラックとしてこの曲のインストのM-15「Beautiful Girls (Instrumental)」が収録されていますが、やはりこのSEANの歌唱が乗っているバージョンの方がいいですね。
SEANの歌声があったからこそあんなヒット曲になったのだと思います。


M-6「Dry Your Eyes」はそんな今までの楽曲とは雰囲気が変わり、ちょっと暗めの雰囲気。
刑務所にいる母親に向けた感謝ソングで、SEAN自身が「本作の中でも重要な曲」と語っているほど。
SEANの明るい歌声でもこんなに哀愁ある楽曲になるのか、と驚いてしまいました。
曲自体も良曲なのは言うまでもなく。
この曲の後は気分が上がってしまうような楽曲が続くので、アルバムの中でもいいアクセントになっていますね。

本作ではボーナストラックを除くと唯一の客演を迎えた曲であるM-8「There's Nothin feat. Paula Deanda」は両者ともかなり気合が入った恋愛ソングで、SEANはぶっちゃけこの曲が一番力込めて歌ったのではと思ってしまう歌唱を見せてくれます。
PaulaとSEANの掛け合いもかなり聴いていて楽しいです。

その後もSEANの歌いこなしとトラックのサポートっぷりが好相性な楽曲が続き、とにかく楽しい流れが続きます。
(特にM-13「Change」のSEANの歌唱、詞は必見!)


個人的に期待していたボーナストラックであるM-14「Colors (2007) (Reggae Remix) feat. Vybz Kartel, Kardial Official」がちょっとイマイチな出来なのが惜しかったですが。

ですがそれを差し引いても本当に聴いていて楽しい時間にすごせる1枚。
どんなジャンルが好きな人でも抵抗なく入れる内容だと感じるので、興味のある方は是非どうぞ!


↓M-4「Me Love」のPV。
www.youtube.com

予定 ~〇〇に帰ったら~ / V.A.

tower.jp


曲目リスト


1. 予定 ~福島に帰ったら~ / だっぺズとナンバーザ
2. 予定 ~いわてに帰ったら~ / あんべ光俊とナンバーザ
3. 予定 ~宮城に帰ったら~ / 宮藤官九郎中村雅俊とナンバーザ
4. 予定 ~富岡に帰ったら~ / 渡辺俊美とナンバーザ (ボーナストラック)


評価: ★★★★★★★★☆☆


今年もやってきましたね。3月11日。
一昨年と去年は仕事上の都合で更新できませんでしたが、今年は3年ぶりにこの日に更新できました。


あの東日本大震災から9年、当時高校受験を終えたばかりだった僕が、今では社会人になって3年になろうとしているわけで、本当にあっという間だったような気もしますし長かったような気もします。
しかしまだ地元福島では帰宅できない地域もあるわけで、まだまだ完全復旧は長い道のり。
これからどんな方向に向かうか。


というわけで、久しぶりに東日本大震災関連の1枚を紹介。


福島のロックバンド、Number theが中心となって制作されたチャリティーシングル。
2013年3月6日発売。


発生してから、様々なミュージシャンに影響を与えた東日本大震災
多くのミュージシャンが震災絡みの楽曲を発表しましたが、本作もその1つになります。

震災後の猪苗代湖ズの活動が話題になりましたが、その傍らで復興イベントで勢を出していたのがNumber Theで、震災前から決まっていた自分たちのイベントを急遽チャリティーイベントに変更。
そしてその幾多のイベントで披露されたのが本作のM-1予定 ~福島に帰ったら~」。
当然凄まじく福島県内で話題となり、テレビやラジオで何度もエアプレイされることになります。


2011年8月には本作のM-3「予定 ~宮城に帰ったら~」を参加メンバーで披露し、福島だけでなく全国で話題に。
その後もたびたびライブで披露され、その度に話題曲としてどんどん広がっていきました。
それから2年後、やっとタワーレコードにて音源CDが発売。
販売利益は全て福島県岩手県宮城県富岡町に寄付されます。


さて、内容に。


本作は全てメロディーは同じで、詞の内容、歌い手だけを変えてそれぞれの故郷を歌うという内容になっています。
震災ソングだからといって決して手抜きはなく、メロディーはどの世代にも受け入れられそうな馴染みやすさが特徴です。


詞の内容は4曲とも、地元の人にしか分からなそうな地名や名物が詰まっています。
M-1予定 ~福島に帰ったら~」、M-4「予定 ~富岡に帰ったら~」は福島県民なこともあって全部理解できますし、M-2「予定 ~いわてに帰ったら~」、M-3「予定 ~宮城に帰ったら~」もほとんど理解できますが、他の地域の人ではわからない言葉も多いでしょうね。

詞の他にも要注目なのが4曲とも歌い手が違うので、同じような詞でもメロディーへの乗せ方が全然違うこと。
そのこともあって4曲とも同じメロディーなのに最後まで飽きずに聴き通せます。
声とメロディーの相性も4曲とも抜群です。
どの歌い手の方もいい味が出てますよ。


上にも書いたように様々な名物が出てくるので是非旅行などに行く際の参考にしてみてほしいですね。
チャリティーとしてリリースされた作品ですが、純粋に音楽作品としても十分に良作の1枚になっていますよ。


今でもタワーレコードで購入すると利益の寄付がされるので、気になった方はぜひ。
ちなみに今では様々な県のバージョンが作られており、下記サイトで有料でダウンロードできます。
無論収益は全て被災地に寄付されます。ぜひチェックしてみてください!
yoteii.jp


M-1予定 ~福島に帰ったら~」のPV。
www.youtube.com