りくぼーの音楽感想倉庫

音楽CDの感想を綴っていきます

ここにいるよ feat. 青山テルマ / SoulJa

ここにいるよ feat.青山テルマ


曲目リスト


1. ここにいるよ feat. 青山テルマ
2. First Contact


評価: ★★★★★★★★☆☆


東京出身のラッパー、SoulJaの5thシングル。
2007年9月19日発売。


2007年にメジャーデビューを果たし、コンスタントにシングルを発表したSoulJa
その内の1枚が本作です。6月20日に着うたとして先行販売され、次第にセールスを伸ばしていきました。
結果的に音楽配信では270万ダウンロード、CDは25万枚のセールスを記録。2007年の日本を象徴する曲の1曲になりましたね。


では、内容に。


M-1ここにいるよ feat. 青山テルマ」は間違いなくSoulJaの楽曲の中では一番有名な楽曲ですね。
青山テルマを客演に迎えた恋愛ソングで、よくあるラッパーとシンガーのコラボ楽曲です。

一見ありきたりなように見せる楽曲ですけど、そこら辺のラッパーとシンガーの曲とは一線を画しています。
青山テルマの歌声も透明感があって素敵なんですけど、SoulJaのラップにも透明感があるんですよね。
ガラガラ声のラップなのに、切なげのトラックや青山テルマの歌の邪魔にならずいいアクセントとして働いているのが凄みですね。
ヒットしたのも頷けます。


M-2「First Contact」はハードなトラックの上でSoulJaがパーティーラップを乗せる楽曲で、表題曲とは打って変わってSoulJaのガラガラ声を思い切り生かした楽曲になっています。
表題曲がしっとりとした曲なので、カップリングにこういう曲を持ってきたのは正解かと。


シングル作品としてはそこまで目新しいことをやっているわけではありませんけど、1曲はしっかりと聴きごたえがありますし、SoulJaの名前を広げつつリスナーに楽しい時間を与えるというラインをクリアできたのではないかと。
ただ2曲ともSoulJaの1stアルバムに収録されているので、今から聴きたい人はそちらをおススメします。
しかしSoulJaの曲を2曲だけさらっと聴いてみたいという方は本作もいいかもしれません。


M-1ここにいるよ feat. 青山テルマ」のPV。
www.youtube.com

Power Of The Doller / 50 CENT

topmixtapes.com


曲目リスト


1. Intro
2. The Hit
3. The Good Die Young
4. Corner Bodega (Coke Spot)
5. Your Life's On The Line
6. That Ain't Gangsta
7. As The World Turns feat. Ugk
8. Ghetto Qu'ran (Forgive Me)
9. Da Repercussions
10. Money By Any Means feat. Noreaga
11. Material Girl feat. Dave Hollister
12. Thug Love feat. Destiny's Child
13. Slow Doe
14. Gunrunner feat. Black Child
15. You Ain't No Gangsta
16. Power Of The Dollar
17. I'm A Hustler
18. How To Rob feat. The Madd Rapper
19. Da Heatwave feat. Noreaga
20. Rowdy, Rowdy


評価: ★★★★★★★★★☆


アメリカのNY出身のラッパー、50 Centの未発表アルバム。
2000年7月4日発売予定でした。


90年代には「知っている人は知っている」ラッパーとなっていた50 Cent(以後50)。
そんな彼は1999年8月10日にリリースしたシングル「How To Rob」で初音源リリースとなるのですが、この内容が何十人もの様々なラッパーやシンガー、DJに「次々と強盗してやる」と宣戦布告をするというもの。
50はガチでビーフを仕掛けようとしたつもりはなく、新人ラッパーがシーンにインパクトを与えるためにお芝居的なものとして制作しました。
しかしながらJay-ZやBig Pun、KuruptにMiisy Elliottなど標的にされた人間たちが次々にこの曲に対してアンサーを返す事態になり、まさにHIP HOP界隈では一種の社会現象に。
当然ながら「何者なんだ、この50 Centという男は!?」と注目を浴びるようになり、やがてコロンビアレコードと契約。
その翌年の2000年、1stアルバムとしてコロンビアレコードからリリースされる予定だったのが本作でした。


ですが1stアルバムの感想でも書いたように、リリース2ヵ月前に50が発砲事件に巻き込まれるという事態が発生。
争いに巻き込まれるのを避けたいというコロンビアレコード側の思惑により、50はコロンビアレコードから契約解除を言い渡されました。
リリースが予定されていた本作は、お蔵入りとなってしまったのです。


注目を浴びた作品だったのにも関わらずその後結局本作が正式にリリースされることはなかったため、本作の海賊版は大分流通したようです。
本作の収録曲の内何曲かは50のその後の作品に収録されたりしましたが、フルアルバムとしてはその海賊版を手に入れるか、関係者のみ所有していたプロモのCD-Rを入手するしか方法がありませんでした。
後者はまず不可能なので、どうしても聴きたがったリスナーは海賊版に手を出した人がほとんどだったでしょう。
(勿論褒められる行為ではないですけど、正直その海賊版を入手しようとしたリスナーの気持ちはよく分かります)


そんな状態が長らく続きましたが2009年、2000年代後半から運営されているHIP HOPを主としたフリー音源サイト「datpiff」でフルアルバムとして無料ダウンロードでの配布開始。
2021年現在、今でも全曲ダウンロードが行えますよ。
MP3形式なのでCD音源より音質は落ちますが、本来なら聴けなかった音源を聴けるというだけでも素直に喜びましょう。


では、内容に。


本作は50が事件に巻き込まれて口に銃弾を撃たれる前に制作された作品ということで、事件前の50のラップが聴けます。
他のサイトでもありましたが、正直に言うと声を聞くとかなりJay-Zに似ています。
本作の情報なしにいきなり本作を聴いたらJay-Zの作品と聴き間違える方もいるかもしれません。


イントロを経てのM-2「The Hit」、M-3「The Good Die Young」の流れはシンプルながらも聴きごたえのあるトラックの上で50がスムーズにラップを乗っけていきます。
聴いていて首を揺らしたくなってきますね。

ここまででもしっかり聴きごたえのある流れなのですが、M-4「Corner Bodega (Coke Spot)」からはさらに聞きごたえが急上昇。50特有の癖になるHookとサンプリングのセンスが光るトラックが印象的です。
続くM-5「Your Life's On The Line」はシングルでも切られた上に色々な作品で再録されているので本作でも最も有名でしょうね。僕も今まで紹介した50の音源でこの曲のカッコよさは語っていますが、本作の流れも無論カッコいいです。


M-6「That Ain't Gangsta」は硬派なトラックが80年代のG-RAPを彷彿とさせる雰囲気。
その上での50のラップとHookでのタイトル名を叫ぶコーラスも問答無用のカッコよさ。

M-7「As The World Turns feat. Ugk」は初っ端から50の脱力したような歌で「あ、やっぱり50だ」と思ってしまいます。
この頃から50って歌ってたんですね・・・上手くはないですけど癖になります。
UGKの貫禄のあるラップもいいアクセントです。

続くM-8「Ghetto Qu'ran (Forgive Me)」は後にリリースされたミックステープでも収録された楽曲で、ロマンチックな音使いが本作の中でも異色な楽曲。
こういう楽曲だと50のHook作りの上手さが冴えわたりますね。

その後はまたハードな曲が続く流れ。相変わらず聴きごたえはしっかりあります。

M-11「Material Girl feat. Dave Hollister」、M-12「Thug Love feat. Destiny's Child」は50のまくしたてるようなラップとDave、Childの色気のある歌声が何とも言えない相性の良さで中毒性があります。
どちらもお洒落なバーとかで掛けても違和感がなさそうですね。


以降はまたしてもハードな雰囲気が漂う楽曲が多め。所々で銃のブローバック音が入っていたりと危険な香りが漂うトラックが中心です。
その上に乗せる50のラップも相性がいいのは言うまでもなく。中でもM-17「I'm A Hustler」はDJ Scratchのスクラッチが聴いていてかなり気持ちよく、50のラップ以上に印象的です。


M-18「How To Rob feat. The Madd Rapper」は上にも書いた通りHIP HOP界に現象を巻き起こした楽曲で、様々なラッパーやシンガー、DJの名前を挙げて宣戦布告する楽曲。
The Madd Rapperの仕事ぶりも相まって聴きごたえは抜群です。
M-19「Da Heatwave feat. Noreaga」でNoreagaとは相変わらずの相性の良さを発揮した後、本作の中でも迫力あるトラックのM-20「Rowdy, Rowdy」でアルバムは幕を閉じます。


1stアルバムとしてリリースされる予定だったとのことですが、本当にお蔵入りにされたのがもったいないくらいのいい作品です。
これだけのアルバムを作ったのなら、50もフリーでとはいえ公開したくなるのも頷けますよね。
50のこの頃ならではのタイトなラップ、客演の好演、そして硬派なトラックとの相性の良さと、50の才能を見せつけられます。
もし本作が50の1stアルバムとしてリリースされていたらどうなっていたのかが気になります。


無料でダウンロードできるので、チェックしない手はありません!


↓M-16「Power Of The Doller」。
www.youtube.com

MADE IN LGYankees / LGYankees

MADE IN LGYankees


曲目リスト


1. MADE IN LGYankees -Intro-
2. Success Thru The M.I.C
3. LG's Life
4. Photograph feat. Noa
5. Back Wild feat. GIO, ITACHI
6. Cluck Over
7. fam feat. SO-TA
8. Never Mind
9. The Best Business
10. Love Sick feat. 中村舞子
11. Nodoubt Folks feat. Clef, ShaNa, PURPLE REVEL, headphone-Bulldog
12. Message feat. 城南海
13. Good Luck Homies feat. 山猿
14. MADE IN LGYankees -Outro-
15. Dangerous Game


評価: ★★★★★★★☆☆☆


宮城県仙台市を拠点に活動するラップユニット、LGYankeesの3rdアルバム。
2009年9月16日発売。


2008年にメジャーデビューを果たし、リリースした2ndアルバムをチャート8位に送り込んだLGYankees。
それ以降もNO DOUBT TRACKSに所属するミュージシャンのプロデュースなどを手掛け、名前を業界に食い込ませていきます。
2009年9月、3rdアルバムである本作をリリースしました。
チャートでは10位を記録と2作連続でチャート10位以内記録を達成。

本作のリリース後にはMCのRYOが脱退したため、3人体制では最後のアルバムになります。


では、内容に。


基本的に路線的には前作と変わらずで、ハードな楽曲と聴きやすい楽曲を織り交ぜながら構成されています。


緊迫感のあるイントロを経てのM-2「Success True The M.I.C.」は1stアルバム収録曲の「North East No.1 M.I.C」のセルフリメイクという感じで、イケイケなトラックで首を振りたくなります。
HIROとRYOのラップも双方生き生きしていて聴きごたえがあります。

M-3「LG's Life」はHIP HOPにはよくあるバブリーもの。
ケバケバした派手な音使いをしているため好みは分かれるかもしれませんね。悪趣味と取るかかっこいいと取るか。
ちなみにこの曲はLGYankeesをDISしたラッパーに対するアンサーソングなのではという説あり。


そこからM-4「Photograph feat. Noa」でバラードが挟まれます。
正直この楽曲が本作のPOP路線楽曲では一番出来が良く感じます。
トラックも音使いがきれいで耳に残りますし、HIROの歌心のあるラップとRYOの無骨なラップも好相性。
Hookで華を添えるNoaの歌声もいい仕事してます。

そこからはまたハードな楽曲が2曲続きます。
M-5「Back Wild feat. GIO, ITACHI」は盟友であるGIOとITACHIを迎えたマイクリレーでスリリングなトラックの上での生き生きしたマイクリレーが聴きごたえ抜群。
M-6「Cluck Over」はM-3「LG's Life」と似たような路線のパーティーチューンですが、Hookが2人のラップの為よりHIP HOPっぽい雰囲気になっています。
単純にトラックがカッコいいですし、その上での2人の乗りこなし具合も中々のもの。


SO-TAの爽やかな歌声で幕を開けるM-7「fam feat. SO-TA」でまたしても雰囲気がガラッと変わりますが、次のM-8「Never Mind」でまだハードな雰囲気に変わります。
M-6「Cluck Over」までは良い流れが続いていましたが、この辺りはちょっと中だるみを感じなくもないですね。
前者はSO-TAの初仕事というのも合ってか歌声がいまいち魅力を発揮しきれていないように感じますし、後者はトラックもMCも勢いを出し過ぎて空回り気味。


M-9「The Best Business」はダークな雰囲気のトラックとRYOの淡々としたラップが印象的。HookでのHIROの歌もいいアクセントになっています。

M-10「Love Sick feat. 中村舞子」はしっとりとした雰囲気のトラックの失恋ソング。
HIROのラップはトラックの雰囲気に合っているものの、RYOのガラガラ声のラップがいまいち順応できていないように感じました。
中村舞子の方も歌唱力は本物ですけど、声的にトラックに合っているかと言われると・・。

M-11「Nodoubt Folks feat. Clef, ShaNa, PURPLE REVEL, headphone-Bulldog」は当時のNO DOUBT TRACKSに所属していたメンバーを客演に迎えたマイクリレー。
どのメンバーもそこまでスキルフルというわけではないものの、楽しくラップや歌を披露しているのが伝わってくるので単純に聴いていて楽しい気分になります。
最もこの中のメンバーはもうほとんどNO DOUBTにいないことを考えるとしんみりとした気持ちにもなってしまいますが・・。


M-12「Message feat. 城南海」はシンガーの城南海を客演に迎えた世界平和ソングですが、城南海の歌にLGYankeesの2人のラップが押され気味。
RYOのラップがリリック面では面白みがありますが、ラップ自体はトラックとの相性が微妙です。


M-13「Good Luck Homies feat. 山猿」は仲間に対する感謝ソングで、トラックは本作の楽曲の中でも一番作り込まれている感じがします。インストほしいですこれ。
ただリリックの内容が湘南乃風並みに不良色が強いため、好みはかなり分かれそうですね。


アウトロを挟んだ後のボーナストラックのM-15「Dangerous Game」はゲーム「マイアミクライシス」のテーマソングとして起用された曲で、シリアスな雰囲気のトラックの上での緊迫感のあるラップを聞かせてくれます。


基本的には前作と似たような流れですが、前作と比べるとハードな曲の割合が高いですね。
そのせいかRYOのラップとトラックとの相性の悪さを感じる曲も前作と比べると減っています。
やはりハードな曲だとガラガラ声のRYOのラップも生きることが多いです。


ですがやはりPOP路線の楽曲では前作と同様にRYOのラップがちょっと合っていない感があります。(しかしその中でもM-4「Photograph feat. Noa」は別格の完成度です)
もうちょっとPOP路線の楽曲の煮詰めがあればもっと★は上がってました。

ただハードな楽曲は良曲が多く、そのためアルバムとしては聴きごたえのある作品になっています。
見かけたらチェックしてみては?
LGYankeesのアルバムとしてはRYOのラップが聴ける最後のアルバムなので、ファンならマストです。


↓M-3「LG's Life」のPV。
www.youtube.com

Pockets / Pockets

Pockets


曲目リスト


1. I Won't Be There Anymore
2. How Can I
3. Now You Know
4. Bye Mr.Jones
5. Good Day Tracey
6. Hey You
7. Here Comes The Sun
8. Tania Wants To Play The Guiter
9. Lips Are Gold
10. Diggin'
11. Wearing The Crown
12. The Last Rocketman
13. Tania Wants To Play The Guiter(Live)


評価: ★★★★★★★★★☆


デンマークにて結成されたバンド、Pocketsの1stアルバム。
1998年1月21日発売。


Pocketsはデンマークにて結成されたバンド。
1996年頃にボーカルのTomが50曲ほど作曲をしたのを機にメンバー探しを開始し、ギターとしてHening、ドラムとしてPeterという2人の友人を誘うことに。
後にベースとしてAggerを加入させ、Pocketsを結成。
それから2日間4人でスタジオにこもって4曲入りのデモテープを作成。
するとそのデモテープにレコード会社が興味を持ち、結成してから1年ほどでデビューの運びになりました。

2ndアルバムを2004年にリリースしているという情報もあるようですが、その2ndアルバムはなぜか通販サイトやディスコグラフィサイトでは確認できません。
一般に流通しているのは1stアルバムである本作のみのようです。


さて、内容に。


全体的に聞きやすいROCKサウンド
歌いこみも演奏も非常に丁寧で、作り込まれた作品と評価できますね。


M-1I Won't Be There Anymore」から他の大抵のバンドアルバムとは「何か違う」スタートです。
非常にメロディーがきれいで、コンピレーションアルバムだったら最後に入りそうな曲なんですよね。
続くM-2「How Can I」ではキャッチ―なイントロとまっすぐな雰囲気のサビで掴みとしてはばっちりです。


M-3「Now You Know」は全ての楽器の主張が強くて壮大な雰囲気。
聴いていると自然の中の情景が浮かんできます。
M-4「Bye Mr.Jones」はピアノと歌から入るイントロが印象的で、海外映画の挿入歌として使ってほしい楽曲ですね。
最後のコーラスなんて懐かしい雰囲気があるのでクライマックスにぴったりでは。


M-5「Good Day Tracey」はサビでのTomの歌唱がキャッチ―な雰囲気で耳に残ります。
その後に落ち着いたサウンドの上でのTomの歌さばきが印象的なM-6「Hey You」を持ってくるのは上手いと思いました。
そこからの攻撃的なサウンドのM-7「Here Comes The Sun」への流れもスカッとしますよ。


M-8「Tania Wants To Play The Guiter」は様々な楽器が目立っているという面ではM-3「Now You Know」と同じですが、こちらは軽い雰囲気で首を振りたくなります。
M-9「Lips Are Gold」はメロディーラインは非常にきれいなものの、間奏でのベースの音使いが印象的です。
Tomの優しさと情熱を両立させたような歌唱も聴きごたえ抜群。
M-10「Diggin'」は清涼な雰囲気漂うサウンドとTomの歌唱の相性がよくて、日本でもアニメのOPなんかに使ってほしい楽曲です。


そこからもキャッチ―な雰囲気のM-11「Wearing The Crown」、うねる様なTomの歌唱で本作の中でも異色なM-12「The Last Rocketman」、国内版限定のライブトラックのM-13「Tania Wants To Play The Guiter(Live)」まで飽きることなく最後まで聴けます。


なんとなく手に取った1枚でしたが、想像以上の内容の良さにビックリです。
「いい曲を書くバンド」と解説で紹介されていましたが、その言葉に偽りはなく、「いい曲だな」と思えるような楽曲がぎっしり詰まっています。
これだけのバンドが本作以降活動の場を見られなくなってしまったのは本当に残念です。

見かけたら是非どうぞ。

↓M-10「Diggin'」。
www.youtube.com

ははうえさま / やまびこ / ビリケン

ははうえさま/やまびこ


曲目リスト


1. ははうえさま
2. やまびこ
3. ははうえさま(Instrumental)
4. やまびこ(Instrumental)


評価: ★★★★★★★★☆☆


最近全然はてなに来れてませんでした。すみません。


東京で結成されたHIP FOLKデュオ、ビリケンの7thシングル。
2005年10月5日発売。


HIP HOPとFOLKを合わせた異色のジャンルの世界で、数々の過去の有名曲をカバーしてきたビリケン
彼らが7thシングルにおいてカバー先に選んだのは、一休さんでおなじみな藤田淑子氏の「ははうえさま」。

本作でも2曲ともタイアップ付きで、M-1ははうえさま」はフジテレビ系列の「孝太郎プラス」のED、M-2「やまびこ」はTBS系列の「噂の!東京マガジン」のEDとして起用されていました。


では、内容に。


表題曲であるM-1ははうえさま」はビリーの歌唱力の高さももちろん、ケンの追加歌詞もいい感じです。
ケンのパートはラップというよりはただの語りに近いですが、母親と遠距離で暮らしている方なら心にじんと来てしまうのでは。
ただ内容が「ははうえさま」に合っているかというとちょっと疑問に感じます。
これならオリジナルで母親リスペクトソングを作ってくれた方がいい曲になった気もします。
どちらもそれぞれでは良いんですが、合わせると詞の整合性の面でうーんという。


M-2「やまびこ」は恋愛ソングで、ビリーの純粋な歌詞と歌、懐かしい雰囲気のトラック、ケンのメロディアスなラップ調の歌がしっかりとハマった楽曲。
ビリーの凄いところは歌い方も歌詞もまっすぐなのに、決して一本調子には感じないところですが、その凄みを存分に感じられます。
圧倒的な歌唱力を備えているからこそできる芸当ですね。


M-3「ははうえさま(Instrumental)」、M-4「やまびこ(Instrumental)」はそれぞれのインストですが、どちらもインストだけでしっかりと聴けてしまう内容。
前者は良くも悪くも原曲の雰囲気を踏襲。
後者はシンプルながらも様々な展開を見せる音使いが印象的。


2曲とそのカラオケという内容ですが、聴きごたえは十分。
M-1ははうえさま」はビリケンのフォークアルバムに収録されているので今から聴こうと思っている方はそちらがいいかもしれませんが、M-2「やまびこ」は十分な名曲なのに本作でしか聴くことができません。
しかもデジタル配信されていないのでCDを買うしかないんですよ。
この曲目当てで買っても絶対に損はしないと思うので、見かけたら是非。


ちなみに本作はネット上では聴ける手段(試聴すら)がないので今回は動画などはなしで本当に感想だけです。うーん残念。

Friday Night Freestyles / Fabolous

topmixtapes.com


曲目リスト


1. Monday Night Mixtape 98 Freestyle feat. Noreaga
2. B.A.S Freestyle
3. Quiet Storm Freestyle
4. Told Ya ll Freestyle
5. Shook Ones Freestyle
6. Been Around The World Freestyle
7. Ain't Nuthin Ta F ck Wit Freestyle
8. All For The Love Freestyle
9. Take It Easy Freestyle
10. The World Is Yours Freestyle
11. Black Girl Lost Freestyle
12. Life's A Bitch Freestyle feat. Jadakiss
13. Affirmative Action Freestyle feat. Paul Cain & Joe Budden
14. Sound Bwoy Buriell Freestyle feat. Stack Bundles
15. Fabolous So Ghetto Freestyle


評価: ★★★★★★★☆☆☆


最近仕事が忙しく残業続きでブログチェックや更新が余りできずにいます。すみません。
今年の記事を見返してみると、今年に入ってから洋楽のHIP HOP系の記事を書いていなかったことに気づきました。
というわけで久しぶりに洋楽のHIP HOPの記事を。


アメリカのNY出身のラッパー、Fabolousのミックステープ。
2015年5月23日発表。


Friday Night Freestyleというシリーズで3か月間フリースタイルをリリースしていたFabolous
本作はそのフリースタイルすべてに加えて4曲の新規フリースタイルを追加した内容になります。


では、内容に。


90年代のUS産HIP HOPから様々なトラックを利用したビートジャック物が中心となっています。
ジャケットを見てもらうと分かるようにコンパイルをDJ Clueが務めており、随所でDJ Clueのコールが入っています。


一応ビートジャック物について説明しておくと、ビートジャックというのはHIP HOPの文化の1つで、先人たちが利用したトラックをそのまま拝借して、その上に自分のオリジナルのラップを乗せるというものです。
他のジャンルでこのようなことをやったら間違いなく「パクリ!」「人の褌で相撲取ってる」なんて言われそうですけど、HIP HOPやREGGAEではポピュラーなやりかたなんですよ。
その辺りの自由さもHIP HOPという文化の魅力の1つ。


良くもわるくもどのビートジャックもFabolousがフリースタイルをかます内容で、元ネタのトラックもFabolousのラップも全体的に相性はまずまず。
温故知新を体感させるにはいい内容と言っていいでしょう。

1曲1曲ごとの感想はどの楽曲も似たような感想になってしまうので割愛。
中でも良かったというフリースタイルを挙げさせていただくと、


まずWu-tangの「Ain't Nuthin Ta Fuck Wit」のフリースタイルのM-7「Ain't Nuthin Ta F ck Wit Freestyle」。
ネタ感満載のトラックの上でヘロヘロしたラップを乗せるFabolousが原曲とは違ったよさを出しています。


そしてM-10「The World Is Yours Freestyle」~M-13「Affirmative Action Freestyle feat. Paul Cain & Joe Budden」のNasのビートジャックづくめの流れが本作のハイライト。
どの曲もNasの名曲と評される曲なのでプレッシャーもあったと思いますが、どれもしっかりFabolousの良さが出ています。
特にJadakissを客演に迎えたM-12「Life's A Bitch Freestyle feat. Jadakiss」は流石に原曲のあの哀愁漂う底知れなさには及ばないものの、2010年代の「Life's A Bitch」といってもいいくらいの内容でした。
見事に過去の名曲が今風にアレンジされています。最後にちょっとAZの声が残ってるのが何とも・・!


無料ミックステープとしては素直に楽しめる内容で、無料ということを考えれば何ら文句は出ません。
90年代のHIP HOPが好きな方、Fabolousのラップが好きな方は是非ダウンロードしてみては?
(ただ以前記事を書いたDJ Clueの2ndアルバムでは特に気になりませんでしたが、本作では随所のDJ Clueの掛け声や笑い声がちょっと助長に感じました。)


↓M-3「Quiet Storm Freestyle」。
www.youtube.com

花ことば / ビリケン

花ことば (CCCD)


曲目リスト


1. 花ことば
2. MR. feat. HARUCA
3. 秋刀魚
4. 花ことば(instrumental)


評価: ★★★★★★★★☆☆


東京で結成されたHIP FOLKデュオ、ビリケンの3rdシングル。
2003年10月29日発売。


2003年に入ってから2枚のシングルリリースを経て1stアルバムをリリースしたビリケン
活動の手を緩めることはなく、アルバムから3か月して3rdシングルである本作をリリースしました。

以前に出した2枚のシングルはどちらもカバー曲でしたが、本作はビリケン史上初のオリジナル曲によるシングルとなりました。


では、内容に。


表題曲であるM-1花ことば」は人の個性と花言葉をかけた応援ソングで、ビリケン版「世界にひとつだけの花」ともいえる楽曲。
ビリーのまっすぐでさわやかな歌唱はこういうテーマにばっちりハマっていて、ケンのラップもいいアクセントになっています。
そしてAmazonレビューにもあるようになんとこの曲でケンがラップしている花の名前は74種類(!)。
初のオリジナル楽曲でのシングルで切られたのも頷ける楽曲です。


M-2「MR. feat. HARUCA」はケンのソロ曲で、シンガーのHARUCAが客演として参加。
落ち着いた雰囲気のトラックの上でケンがラップをキックしていくのが聴きごたえあり。HARUCAの出番がちょっとだけですが粗削りな曲に彩りを加えているのがいいですね。

対するビリーのソロ曲のM-3「秋刀魚」はほのぼのした雰囲気のトラックでの日常的な詞が印象的で、聴いているだけで心が和やかになること請け合い。


最後の「花ことば」のインストはインストだけでもトラックをしっかり作り込んでいるのが分かって聴きごたえのある内容。
ビリーって何気にトラックメイクのセンスは凄いんですよね。


ビリケン初のカバー曲一切なしのシングルとなった本作ですが、どの曲も聴きごたえがあって満足できる内容です。
カバーに頼らなくても全然やっていけるグループである、ということを証明できたシングルだと思います。
M-1花ことば」以外の楽曲はこのシングルでしか聴けないので、見かけたら是非どうぞ。(ただCCCDなのが・・なあ)


M-1花ことば」のPV。
www.youtube.com