りくぼーの音楽感想倉庫

音楽CDの感想を綴っていきます

Dangerous / LOUCHIE LOU & MICHIE ONE

Danger-us


曲目リスト


1. Dangerous
2. Party Party
3. I Knew It I Blew It
4. The Honeymoon Is Over
5. The Crickets Sing For Ana Maria
6. You'll Never Know (How You Got Me Fellin')
7. Feel The Vibes (In The Air)
8. Kingman
9. Translantic Lover
10. Baby I'm Gonna Get You
11. Before The Night Is Over
12. I've Got A Feeling
13. I Feel For You


評価: ★★★★★★★★☆☆


ロンドンのRaggaPopユニット、LOUCHIE LOU & MICHIE ONEの2ndアルバム。
1997年6月25日発売。


REGGAEの世界でヒット曲を量産し、90年代を代表する人気ユニットとなったLOUCHIE LOU & MICHIE ONE。
1997年の夏、2ndアルバムである本作をリリースしました。(1996年にリリースされたという情報もありますが、どちらが本当なんでしょう?)
前作は3年も録るのにかかったそうですが、本作では6ヵ月で録り終えたとのこと。
ちなみに2021年時点ではLOUCHIE LOU & MICHIE ONE名義では最後のアルバムになっています。


では、内容に。


LOUCHIE LOU & MICHIE ONEの特徴は1stアルバムの感想でも書いたようにLOUCHIEの爽やかな歌声とMICHIEの力強いラップ。
本作でもその特徴は変わらず、両者の抜群の相性を見せつけてくれる内容になっています。


重たい雰囲気のトラックの上でのLOUCHIEの歌声がしっかりと耳を掴む表題曲のM-1Dangerous」でアルバムは幕を開けます。
対訳を見るとかなり強気な内容。
続くM-2「Party Party」では落ち着いた雰囲気ながらも曲名の通りパーティーがテーマで、大人な雰囲気を出したパーティーチューンになっています。
2曲とも彼女たちだからこそ作れた楽曲だと強く感じます。

M-3「I Knew It I Blew It」でもそのクールなチューンを聴かせた後のM-4「The Honeymoon Is Over」は今までの曲と比べるとちょっと陽気な雰囲気。
しかしながら対訳を見るとちょっとダーク・・。曲としてはつい首を振りたくなるようなチューンです。

M-5「The Crickets Sing For Ana Maria」はサマーチューンで、前半では一番トラックのインパクトが強いです。
MICHIEの詰め込むようなラップもインパクトが強いですね。

M-6「You'll Never Know (How You Got Me Fellin')」ではそこから一転して大人な雰囲気のラブソング。
ですが次のM-7「Feel The Vibes (In The Air)」、M-8「Kingman」は続いてセクシャルな内容で、M-6「You'll Never Know (How You Got Me Fellin')」のその後を描いたような感じになっています。
音的にはノリが良くて癖になる楽曲ですが、対訳はR-15。
M-8「Kingman」は所々に男性の声が入っていることもあり異色な雰囲気です。


M-9「Translantic Lover」はドラムが音が大きめなこともあり力強くて歯切れのよいMICHIEのラップが印象的。
次のM-10「Baby I'm Gonna Get You」とM-11「Before The Night Is Over」というセクシャルなラブソングを挟んだ後はM-12「I've Got A Feeling」。
この曲は対訳が付いていませんが、LOUCHIEの爽やかな歌声がHookでしっかりと良さを発揮しています。

最後を締めくくるのは国内版のボーナストラックであるM-13「I Feel For You」。
LOUCHIEの歌声もMICHIEのラップが入り混じる構成で、最後にふさわしい熱さをと彼女たちらしい涼しさを両立させたこの上ない楽曲です。


彼女たち曰く「本作は前作よりハードな内容」とのことでしたが、実際に聴いてみた感じでは前作と比べてそこまでハードだとは感じず、聴きやすいつくりは健在だなと感じました。
むしろ本作は彼女たちがやりたいようにやっているのが感じられて、曲的にもバラエティに富んだように感じます。
最初から最後までしっかり聴けるアルバムになっていますね。

前作も快作でしたが、本作も負けず劣らずの快作です!

しかしこんな魅力的なグループがこのアルバムを最後にアルバムを出さなくなってしまったのは残念です。
今この2人何してるんですかね?


見かけたら前作も併せて是非どうぞ。


M-1Dangerous」。
www.youtube.com

WaterWorld / DJ OASIS

ウォーターワールド


曲目リスト


1. ウォーターワールド
2. マイク持つDJ
3. バラマク feat. 童子-T
4. だからどこでも feat. JUN-G, K DUB SHINE, 三善/善三
5. 超特急 feat. UZI
6. CONTINUE?
7. 世界一おとなしい納税者 (カモ) feat. 宇多丸
8. アトミックボム feat. K DUB SHINE, 童子-T
9. ここにあるぜ feat. JA飛龍
10. まわり罠 feat. BOY-KEN, SHIBA-YANKEE
11. マジうざくねぇ? feat. ZEEBRA
12. 『』
13. 何の為
14. これ feat. K DUB SHINE
15. どんな価値
16. マイク持つDJ達 feat. DJ JIN, DJ KAORI, DJ MASTERKEY


評価: ★★★★★★★★☆☆


東京都出身のDJ、DJ OASISの2ndアルバム。
2005年7月27日発売。


1stアルバムである前作をリリースした後に、自身がDJを務めるグループのキングギドラの再始動に参加したDJ OASIS
2002年にリリースしたキングギドラの2ndアルバムが良くも悪くも話題作になったこともあり、一気に音楽シーン全体に名前を広げました。
キングギドラの再始動以降自分名義の作品は出していなかったものの、2004年から自身のシングルのリリースを再開。
2005年、2ndアルバムである本作をリリースしました。


では、内容に。


DJ OASISは自らマイクも握るのですが、K DUBと同じく淡々としたラップが特徴。
しかしK DUBと比べると若干ラップに抑揚が付いているため、K DUBと比べるとちょっと器用な印象を受けます。


イントロ的な役割のM-1ウォーターワールド」を経てのM-2「マイク持つDJ」は先行シングル曲。
DJ OASISらしいシンプルながらも聴きごたえのあるトラックで、自己紹介的なリリックを乗せる楽曲。入りだしとしてはいいですね。
このノリが好きになれたならその先も聴き続けて大丈夫です。


童子-Tが参加したM-3「バラマク feat. 童子-T」は映画の挿入歌のような雰囲気で、悪徳組織からお金を盗んで真面目に生きている人間にばらまくというストーリーテーリングもの。
童子-Tの渋い声がリリック的にもトラック的にもバッチリハマっています。
続くM-4「だからどこでも feat. JUN-G, K DUB SHINE, 三善/善三」はマイクリレーで、ワックMCワナビーもの。
序盤はK DUBやOASIS、三善氏のローテンションなラップが続くものの、最後にJUN-Gの元気なラップが新鮮に飛び込んできて中々聴かせますね。

M-5「超特急 feat. UZI」はUZIが参加していて元々は「廃人超特急」という曲名でした。
しかしリリックの内容に問題があったようで所々編集された跡があり、曲名も「超特急」に変更されたという経緯があります。
トラックも前半の楽曲の中では一番インパクトが強く、UZIもバリバリなラップを聴かせるため前半では一番印象に残る楽曲です。

ゲーマーのDJ OASISらしいゲームネタのM-6「CONTINUE?」を挟んだM-7「世界一おとなしい納税者 (カモ) feat. 宇多丸」は先行シングル曲で宇多丸とのシリーズものとなっている「キ・キ・チ・ガ・イ」シリーズの第3弾。
トラックは色々な展開を見せていてスリリングで聴いていて飽きません。
ただラップの内容に関しては2人ともリリックの切れが鈍くて所々イメージで言っているだけでないかと思われる箇所も散見。ちょっと消化不良です。


M-8「アトミックボム feat. K DUB SHINE, 童子-T」は2005年当時のAtomic Bombによるボッセカット。
3人とも地味なラップであるのは否めないのですが、ダークな雰囲気のトラックにはしっかりとハマっていて存在感があります。
最後を締める童子-Tが乗りこなしがかっこよくてこの曲のMVP。
その後の2曲も同じく暗い雰囲気でのマイクリレーで、どちらもカッコいいですがBOY-KENとSHIBA-YANKEEがダークなトラックの上でREGGAEなフロウで暴れまわる後者の方が個人的には好きです。

ZEEBRAが参加したM-11「マジうざくねぇ? feat. ZEEBRA」は暗いトラックの上で情けない親や国に毒を吐くOASISらしい内容。ただこれもイマイチ切れがないように感じます。


スキットを挟んでからのM-13「何の為」からはラッパーとしての自分を見つめなおす自省的な内容の楽曲が続きます。
個人的にはM-15「どんな価値」がベスト。
一番淡々としたトラックで地味なんですけど、それだけにOASISのラップがスッと耳に入ってきます。


M-16「マイク持つDJ達 feat. DJ JIN, DJ KAORI, DJ MASTERKEY」に関しては、恐らくアルバムとしてはM-15「どんな価値」で終わりで、この曲はボーナストラックみたいな役割なんでしょうね。
みればわかる通りM-2「マイク持つDJ」のREMIXで、DJ OASISと同じくマイクも握るDJ3人が参加。
とは言ってもDJ MASTERKEYはHookと最後でちょろっと顔を出すだけです。
この頃はDJ KAORIもまだそんなに叩かれていなかった時期だと思うので、まあまあプロップスもあったんでしょうね。


全体を通して最後まで通して聴けるアルバムになっています。
たらればを挙げれば出てくるんですけど、基本的にDJ OASISのラップもローテンションながら聴きごたえはありますし、客演もいい働きをしています。
聴きやすい曲も多いのでDJ OASISをこれから聴いてみようという方にもいいのではないかと。


見かけたら是非どうぞ。


↓M-2「マイク持つDJ」、M-8「アトミックボム feat. K DUB SHINE, 童子-T」のライブ映像。
www.youtube.com

The Slim Shady LP / EMINEM

ザ・スリム・シェイディLP


曲目リスト


1. Public Service Announcement
2. My Name Is
3. Guilty Conscience feat. Dr. Dre
4. Brain Damage
5. Paul
6. If I Had
7. '97 Bonnie & Clyde
8. Bitch
9. Role Model
10. Lounge
11. My Fault
12. Ken Kaniff
13. Cum on Everybody
14. Rock Bottom
15. Just Don't Give a Fuck
16. Soap
17. As the World Turns
18. I'm Shady
19. Bad Meets Evil feat. Royce Da 5-9
20. Still Don't Give a Fuck


評価: ★★★★★★★★☆☆


アメリカのデトロイト出身のラッパー、EMINEMの2ndアルバム。
1999年2月23日発売。


EMINEMデトロイト出身のラッパーで、家庭の事情で2、3ヵ月に1度は引っ越しをするという家庭に育ちました。
そのせいもあって友人を作ることができず、いじめの対象にもなってしまいました。
母親からは虐待もされ、黒人よりも裕福だと思われがちな白人でありながらも過酷な人生を送ります。

そんな彼が音楽の世界に入ったのは14歳の時で、地元の仲間とラップグループのD-12を結成。
ラッパーになることを志して、学校も中退し、アルバイトをしながらリリックを書き溜めます。

1996年にとうとうアルバムをリリースしてデビューを飾るも、結果は地元の仲間をちょっと喜ばせた程度で終わってしまいます。
その失敗を経て1997年にEPをリリースし、アンダーグラウンドシーンでは2万枚のセールスを記録。


EMINEMに転機が訪れたのはFMラジオに出演したときのこと。ラジオ内でフリースタイルを披露したのですが、そのオンエアをチェックしていたのがアメリカのHIP HOPの重鎮であるDr. Dre
その才能に魅了されたDreはすぐさまEMINEMのもとへ向かい、自身が運営するレーベルのAftermathへの契約が決定。

そしてリリースされたのが2ndアルバムである本作。
初登場でチャート2位を記録し、黒人が中心であったHIP HOP文化に風穴を開けた形になりました。


では、内容に。


EMINEMの特徴は一瞬でEMINEMと分かるダイナミックな声質に常任離れした確かなスキル、そしてユニークなリリックなど色々ありますが、何よりも特徴的なのは「Shadyという別人格を演じる」という手法。
ShadyはEMINEMの中に眠るもう一つの人格とされており、かなりハイで危険な奴です。
本作はEMINEMのアルバムの中でもそんなShadyのヤバさが存分に出た作品となっています。


イントロを経てのM-2「My Name Is」は話題沸騰となったシングル曲で、「俺の名はSlim Shady!」と宣言。
Hookではおふざけ全開ながら、対訳を見るとバースではかなりえげつないことを言っています。
EMINEMのいい意味での馬鹿さ炸裂です。

M-3「Guilty Conscience feat. Dr. Dre」はDreとの会話方式での掛け合いラップで、対訳を見てもまるで2人の男の物語を読んでいるような感覚。
合間合間に入るナレーションもいいアクセント。


M-4「Brain Damage」はいじめをテーマにした重たい内容で、一切曖昧な言葉はなし。
スキットを経てのM-6「If I Had」も人生について諦観した内容になっており、シリアスな雰囲気。
この辺りは恐らくEMINEMの実体験が元になっているのでしょうね。


M-7「'97 Bonnie & Clyde」は娘を愛する父親の物語なのですが・・これはもう対訳を呼んでください。
EMINEMストーリーテラーっぷりが光ってます。
そこからはスキットを挟んで次の曲に行くという構成が3曲続きます。
随所にコマーシャルが挟まれるTVドラマのような展開ですね。


その後はM-14「Rock bottom」からは1曲ずつの構成へ。
哀愁漂うトラックとENINEMのラップの相性が抜群で、その後にShadyもののM-15「Just Don't Give a Fuck」に行くのもいい流れです。

本作では最後のスキットを挟んだM-17「As the World Turns」は少年院から出てきた青年が主人公のスト―リテーリング。
M-18「I'm Shady」は本体のEMINEMを差し置いて前に出ようとするShadyのメッセージソングで、対訳を見るとリリックの書き方が本当に上手いです。
M-19「Bad Meets Evil feat. Royce Da 5-9」はRoyce Da 5-9が参加。
EMINEMRoyceのラップの対比が楽しめます。


最後を締めくくるM-20「Still Don't Give a Fuck」は重たい雰囲気のトラックの上での人間不信なラップがEMINEMらしいです。


全体を通してみるとこの頃からEMINEMの良さは炸裂していたんだなと実感できるアルバムになっています。
リリックの内容は癖があるので好みは分かれるかもしれませんが、是非1回は対訳を見ながら聴いてほしいですね。
EMINEMの独特な言葉選びを実感してほしいです。(無論英語が理解できればもっともっと良さを実感できるのでしょうけど)

音楽的にもかなり聴きごたえがあるアルバムなので、見かけたら是非どうぞ。(できれば対訳が付いている国内版を!)


↓M-2「My Name Is」のPV。
www.youtube.com

MELODYMAN / GIPPER

MELODYMAN


曲目リスト


1. Puppy Love pt.2 with BENNIE K
2. Chillin Autumn with BIG RON, RICHEE
3. Masta Funksta
4. EL Nino with TRIPPEN
5. Survivor with demi


評価: ★★★★★★★★★☆


神奈川県川崎市出身のラッパー、GIPPERの1stミニアルバム。
2005年10月19日発売。


神奈川県を拠点としていたラップグループのNORAでの活動に併せて、2004年にソロデビューも果たしたGIPPER。
客演でもBENNIE Kとのコラボ楽曲がかなり話題となったことで、名前を全国区に届けることになります。

翌年の2005年、1stミニアルバムである本作をリリースしました。


さて、内容に。


GIPPERの特徴と言えば過去作の感想でも書いたように、トラックをなめまわすような強烈なフロウ。
本作でもそこは相変わらずです。


M-1Puppy Love pt.2 with BENNIE K」は人気曲となったBENNIE Kとのコラボ曲の第2弾。
pt1はBENNIE Kの世界観にGIPPERとトラックメイカーのFUEKISS!!が寄っていったような感じでしたが、この曲ではGIPPERとFUEKISS!!の世界観にBENNIE Kが寄った感じになっています。
これはうまい作りだなと思いました。
心地よい爽やかなトラックの上でしっかりトークボックスもきいていて、ハードなHIP HOPが好きな人でも、一般の方でも聴けそうな雰囲気です。


M-2「Chillin Autumn with BIG RON, RICHEE」は、BIG RONとRICHEEが参加した、ラップでは非常に珍しい秋をテーマにした曲。
トラックはDJ PMXが務めていて、お得意の西海岸ノリのまったりしたトラックをお届け。
GIPPERとRICHEEのいつもより優し気なラップとHookでのBIG RONの水っぽい歌声がしっかりハマっています。
狙うところを狙ってしっかり命中させた1曲ですね。


M-3「Masta Funksta」は本作では唯一のGIPPER単独曲で、前作でもトラック提供していたTaishi Fukuyama氏がトラックを提供。
ノリノリのパーティーチューンで、クラブで流れたら間違いなく盛り上がりますね。
トラックに負けないラップをGIPPERも提供していて、流石なスキルで乗りこなしています。


M-4「EL Nino with TRIPPEN」は自身が所属するNORAからTRIPPENが参加。
トラックはDJ PMXが務めており、これはクレジットを見たときちょっと驚きました。
爽やかな音を提供することが多いPMXですが、この曲ではちょっとラテン風味な怪しげなトラックを提供しています。
GIPPERもTRIPPENも癖の強いラッパーですけど、どちらのラップも上手くまとめ上げている手腕は流石だなと思いました。

M-5「Survivor with demi」はNIPPSからdemiが参加。
音源上ではこの曲以外では絡みのない2人ですけど、demiはNORAの1stアルバムでからGIPPERのSP Thanksで名前を見る人物なので、ずっと交流はあるんでしょうね。
曲自体はFUEKISS!!の爽やかなトラックの上で行動することの重要性を説くメッセージソング。
GIPPERのラップもdemiの歌も見事にハマっていて、最後を〆る曲としては十分ですね。


全体を通してみると、5曲という曲数ながらしっかりと満足させる内容になっていました。
バラエティある内容ですがどの曲も一定水準以上に達しているのはGIPPERのラッパーとしての力量、GIPPERと客演も力を発揮できるトラックを提供したトラックメイカーの力量、GIPPERの力量に十分に応えた客演の力量。
それらすべてがいい方向に合わさって結果でしょうね。


GIPPERのラップと客演の仕事、トラックの全てにおいて聴きごたえのある作品です。
見かけたら是非どうぞ。


↓M-2「Chillin Autumn with BIG RON, RICHEE」。
www.youtube.com

Best Of Blue / Blue

ベスト・オブ・ブルー


曲目リスト


1. All Rise
2. Too Close
3. If You Come Back
4. Fly by II
5. One Love
6. Sorry Seems to Be the Hardest Word feat. Elton John
7. U Make Me Wanna
8. Guilty
9. Signed, Sealed, Delivered I'm Yours feat. Angie Stone, Stevie Wonder
10. Breathe Easy
11. Bubblin' feat. L.A.D.E
12. Curtain Falls
13. Get Down on It feat. Kool & The Gang, Lil Kim
14. Love at First Sight
15. Best in Me


評価: ★★★★★★★★☆☆


2000年にイギリスで結成されたボーイズグループ、Blueのベストアルバム。
2004年11月15日発売。


Blueは2000年に結成されたグループで、2001年から1年ごとにアルバムをリリース。
シングルリリースも積極的に行い、全てが好セールスを記録。
2000年代前半を代表するボーイズグループとなりました。
しかし2004年後半に活動休止を発表。
同タイミングで、それまでの活動の集大成としてベストアルバムである本作をリリースしました。
このベストアルバムのツアーは2005年に予定されていたもののキャンセルされたとのこと。
その後は本当にグループとしては一切の活動がありませんでしたが、2011年からは活動再開中のようです。


では、内容に。


Blueの特徴は非常に聴きやすいサウンドと綺麗なコーラス。
2000年代初頭としてはサウンドがシンプルで90年代を彷彿とさせるものが多い印象です。
どんなジャンルを聴いている人でも抵抗なく入り込めるのでは。


まずは1stアルバムの楽曲が続きます。
M-1All Rise」は哀愁漂うトラックでこういう曲を1曲目に持ってくるのは珍しいですね。
しかしながら最初の掴みとしてすんなりとアルバムの世界に引き込んでくれます。

M-2「Too Close」は、R&BグループのNextの同名曲のカバー。
メンバー全員が丁寧に歌い上げていて、女性シンガーの声ともしっかり好相性を見せてくれます。

そこからのM-3「If You Come Back」では壮大なトラックで映画の主題歌のような雰囲気のバラード。
M-4「Fly by II」もバラードですが、ぐいぐい来るイントロと中盤のラップが聴いていて中々聴いたことない感じに仕上がっています。


ここからは2ndアルバムからの楽曲。
M-5「One Love」は序盤の曲ではシンプルながらもリズムの利いたトラックで癖になります。
割とHookもキャッチ―で中毒性があり、首を振りたくなりますね。

続くElton Johnが参加したM-6「Sorry Seems to Be the Hardest Word」は、バラードでM-3「If You Come Back」と似たような雰囲気。
間奏に入るハーモニカの音が特に印象的です。

M-7「U Make Me Wanna」はコーラスの使い方が上手く、Hookでは歌いながらも歯切れの良さを発揮するという技も披露。


ここからは3rdアルバムからの楽曲。
歌声を存分に聴かせるバラードのM-8「Guilty」の後にM-9「Signed, Sealed, Delivered I'm Yours feat. Angie Stone, Stevie Wonder」に行く構成がいいです。
この曲は軽い雰囲気のトラックでみんな陽気に歌いこなしています。
バラードが続いた後にこの曲を持ってきたのは大正解です。


ピアノのイントロで始まるM-10「Breathe Easy」でまたしてもバラードに戻ります。
最初は淡々と始まりますけど、いきなり歌声もサウンドも壮大になるのがインパクト強し。


M-11「Bubblin' feat. L.A.D.E」は首を振りたくなるようなノリのいいサウンドですが、HookではBlueの歌でしっかりと良さを出しています。
L.A.D.Eの女性ならではのタフなラップも聴きごたえがありますよ。


ここからは本作での収録が初となる楽曲になります。
M-12「Curtain Falls」では癖になるようなトラックで歌を披露する、Blueの曲ではお馴染みの曲構成です。
間のラップもいいアクセントになっています。

M-13「Get Down on It」はKool & The Kingの有名曲のカバー。
本人たちも楽しく歌っているのが目にとれる、本当に楽しい1曲になっています。

その後はまたお馴染みのバラードが2曲続いて、最後まで飽きることなく聴かせてくれます。


何となく手に取った1枚でしたけど、最初から最後までしっかりと聴かせてくれる1枚で手に入れてよかったです。
好セールスを記録しただけあって上にも書いたように聴きやすい楽曲が多いです。
普段洋楽を聴かないでJ-POPをメインに聴いている人にも気軽に勧められますね。
勿論洋楽ファンでも2000年代のヒットグループのベストアルバムということで一聴の価値ありです。
本当にとっつきやすい内容ですよ。


中古ショップでも割と見かける1枚なので、見かけたら是非どうぞ。


M-1All Rise」のPV。
www.youtube.com

fragrance / Otokaze

Otokaze/fragrance(ITDC-144)


曲目リスト


1. INTRO TIME MACHINE
2. film
3. 雨道 Pt.2
4. 夏恋花火 百花繚乱
5. 彩月 Pt.2 feat. 阿修羅
6. Nostalgia Autumn Loves
7. Save the flavor Pt.4 feat. Rhyzz
8. Save the flavor Pt.5
9. Halfway point Seaside
10. After Sorrow feat. ミヤシタリシャ
11. Twilight Crying
12. Rain Emotions
13. 螺旋階段 feat. 阿修羅
14. Snow flake
15. Quiet Eve
16. 雪国


評価: ★★★★★★★★☆☆


普段旧譜ばかり取りあげている本ブログですが、久しぶりに先月発売した新譜を取り上げたいと思います。


福島県在住のトラックメイカー、Otokazeの2ndアルバム。
2021年9月15日発売。


東日本大震災を機にトラックメイカーとしての活動を開始したものの、2013年に1stアルバムをリリースしたものの音楽活動から退いたOtokaze。
しかし2020年1月から再度音楽活動を開始し、2ndアルバムである本作の制作に着手。
本年9月にリリースしました。


さて、内容に。


M-1INTRO TIME MACHINE」は名前の通りイントロですが、緊迫した雰囲気のトラックでイントロからしっかり作り込んでいるのが伝わります。
このイントロからして「これは期待できる」となるでしょう。

M-2「film」は力強いピアノのイントロから始まり、そこから和風かつ神秘的な雰囲気の音を混ぜて楽しませてくれます。
HIP HOP系のトラックなのに神社などの風景を頭に浮かべてしまいます。

M-3「雨道 Pt.2」は落ち着いた雰囲気で、情緒的なワンループが癖になります。

M-4「夏恋花火 百花繚乱」はM-2「film」と同系統で神妙なトラックですが、所々で入る花火の音がいいアクセントになっています。

M-5「彩月 Pt.2 feat. 阿修羅」でやっとラッパーの客演が入ります。
Hookでの歌と荒削りなラップが好相性で、コロナについてのラップが耳を惹きますね。


綺麗なトラックと自然の音が入り混じった構成が素敵なM-6「Nostalgia Autumn Loves」を挟んでのM-7「Save the flavor Pt.4 feat. Rhyzz」はやはりラッパーとのコラボ曲。
リリックの内容は自分の経験をもとにした詩的な内容。
歌心のあるラップとそれをサポートするように絡みつくOtokazeのトラックの相性が見事です。
その次にはそれを補完するようにインストのM-8「Save the flavor Pt.5」が控えています。
この構成もナイスです。

シリアスな雰囲気のインストを挟んだM-10「After Sorrow feat. ミヤシタリシャ」は本作のハイライト。
神妙なトラックの上でのミヤシタリシャの歌と喋りがググっと耳を掴みます。


M-11「Twilight Crying」、M-12「Rain Emotions」はピアノを基調としながらも様々な展開を見せる聴きごたえもあるインスト。

M-13「螺旋階段 feat. 阿修羅」は本作では最後になるラップ入りの楽曲で、M-5「彩月 Pt.2 feat. 阿修羅」と同路線の楽曲。
相性の良さは確かなものです。

その後も3曲Otokazeの手によるインストが3曲続き、しっかりと聴かせてくれます。


福島県出身のトラックメイカーによる新譜ということで手に取ってみましたが、客演曲が数曲でほぼインストなのに、こんな聴きごたえのある内容になっているのに驚きました。
正直本作を店頭で見かけるまでOtokazeの名前を知らなかったのですが、今まで知らなかった自分に喝ですね。
これからは動向をチェックしていきたいと思います。


Otokazeの繊細な音作りが詰まった作品、是非どうぞ。


↓アルバムのMV。
www.youtube.com

Endangered Species / Big Pun

Endangered Species


曲目リスト


1. Intro / Big Pun
2. You Ain't A Killer / Big Pun
3. Twinz (Deep Cover' 98) / Big Pun feat. Fat Joe
4. Whatcha Gon' Do / Tarror Squad
5. How We Roll / Big Pun feat. Ashanti
6. Still Not A Player / Big Pun feat. Joe
7. Off The Books / Beatnuts feat. Big Pun, Cuban Link
8. Words From Nore / Noreaga
9. Banned From TV / Noreaga feat. Big Pun, Cam'Ron, Jadakiss, Nature, Styles
10. Mamma / Big Pun feat. Tony Sunshine
11. Beatbox / Big Punisher
12. Brave In The Heart / Big Pun feat. Tarror Squad
13. Dream Shatterer / Big Pun
14. Words With Fat Joe / Fat Joe
15. John Blaze / Fat Joe feat. Big Pun, Jadakiss, Nas, Raekwon
16. My World / Big Pun
17. Pina Colada (Remix) / Ruff Ryders feat. Big Pun, Sheik
18. Top Of The World (Remix) / Brandy feat. Big Pun, Fat Joe
19. Livin' La Vida Loca (Remix) / Ricky Martin feat. Big Pun, Cuban Link, Fat Joe
20. Fire Water / Fat Joe feat. Armageddon, Big Pun, Raekwon
21. Classic Verses (Drop It Heavy And Fantastic 4) / Big Pun
22. Freestyle With Remy Martin / Big Punisher with Remy Martin
23. Wishful Thinking / Fat Joe feat. B Real, Big Pun, Kool G Rap
24. How We Roll '98 / Big Punisher


評価: ★★★★★★★★★☆


アメリカのNY出身のラッパー、Big Punのコンピレーションアルバム。
2001年4月3日発売。


1995年のヒットアルバムとなったFat Joeの2ndアルバムに参加したことで注目され1stアルバムも好セールスを記録し、人気ラッパーの仲間入りをした矢先、太り過ぎによる心臓発作が原因で28歳の若さで亡くなったBig Pun。
亡くなってから20年以上経った今でも最高のラッパーに名前が挙がることも多い彼。
本作は亡くなった翌年に出されたアルバムで、Big Punのヒット曲や客演参加曲、未発表曲を収録した集大成的な作品になっています。


では、内容に。


Big Punの特徴は小節にこれでもかというくらいラップを詰め込むスタイル。
声自体はのっそりしているんですが、ラップは全くのっそりしておらず、隙間がないラップの連射でリスナーを圧倒させます。


イントロを経ての代表曲のM-2「You Ain't A Killer」でもうそれは十分に堪能できるというもの。
隙間ないラップに圧倒されたら、そのまま聴き進めてしまうはずです。

SnoopとDreによる有名曲のカバーのM-3「Twinz (Deep Cover' 98)」ではBig PunとFat Joeという超重量コンビのラップの掛け合いが楽しめます。
どちらも有名曲をカバーというだけあって気合は十分。悪いはずがありません。

Tarror Squadの代表曲のM-4「Whatcha Gon' Do」でハードな1曲を聴かせた後は、M-5「How We Roll」、M-6「Still Not A Player」と客演にシンガーを迎えた曲が2曲続きます。
前者ではAshantiが涼し気な歌を披露し、後者ではJoeが深みのある歌声を披露。
どちらもBig Punとのラップの相性もよく、絡みが絶品。


そこから3曲は客演仕事。
M-7「Off The Books」は音使いが癖になるようなトラックの上での小気味良いマイクリレーが聴きごたえ抜群。3分以内で終わるタイトさもありあっという間に聴き通せます。
Noreagaによる語りのスキットを挟んだM-9「Banned From TV」はまさに90年代!という感じのサンプリング全開な派手なトラック。
豪華メンバーによるマイクリレーは聴いていて首を振りたくなること必至です。

次のM-10「Mamma」はTonyを客演に迎えたシングル曲。
初っ端でのTonyの歌声が掴みとしてバッチリです。

スキットを挟み、M-12「Brave In The Heart」はまたしてもマイクリレーもので、哀愁漂うトラックの上でのマイクリレーが聴きごたえがあります。

Big Punの代表曲であるM-13「Dream Shatterer」でBig Punのラップを存分に堪能した後は、Fat Joeのスキットを経てのM-15「John Blaze」での豪華メンバーでのマイクリレー。
危なっかしい音使いが緊迫感があって◎。スクラッチもかなりカッコいいです。

続くM-16「My World」は壮大なトラックの上で乗りこなすBig Punの力量が感じられます。

続いては3曲連続でRemix。
原曲と比較してのコメントはできないのですが、どの曲も聴きごたえがあってしっかり聴ける仕上がりですよ。
特にM-19「Livin' La Vida Loca (Remix)」はラテンっぽさがあってアルバム中でも異色の曲ですが、変に浮いておらずまとまってます。

マイクリレーのM-20「Fire Water」を挟んだ後には2曲からBig Punのバースを抜き出すというこういうアルバムならではの試みのM-21「Classic Verses (Drop It Heavy And Fantastic 4)」が控えています。
2曲合わせて2分ちょっとという短さなのにガッチリ耳を掴まれてしまいます。本当に貫禄のあるラップです。
次に控えるRemy Martinのフリースタイルもかなりカッコいいです。

危険な雰囲気なマイクリレーのM-23「Wishful Thinking」の後はM-24「How We Roll '98」で子どもの歌も交えた聴きやすい雰囲気の楽曲で幕を閉じます。


たまたまHIP HOP系の福袋に入っていて聴いた1枚でしたが、あまりの内容の良さにビックリです。
これだけのカッコいい楽曲を量産したなら、亡くなってから20年以上経った今でも伝説のラッパーとなっているのも当然でしょう。

24曲もありますけど、最後まで飽きずに聴き通せてしまうアルバムで、捨て曲なしです。
これからBig Punの作品を聞いてみようという人は勿論、ファンの方ならマストで持っておくべき1枚。
見かけたら是非どうぞ!
90年代HIP HOPの名曲たちがこの中にあります!


↓M-3「Twinz (Deep Cover' 98)」のPV。
www.youtube.com