りくぼーの音楽感想倉庫

音楽CDの感想を綴っていきます

Forever / Bobby Brown

フォーエヴァー


曲目リスト


1. Intro Nobody Does It Better
2. It's Still My Thang
3. Feelin' Inside
4. She's All I Need
5. My Place
6. Been Around The World
7. Give It Up
8. Happy Days
9. Forever
10. Sunday Afternoon
11. Heart And Soul
12. Feelin' Inside (Marley Marl Remix)
13. Feelin' Inside (Mr. Dalvin Remix)


評価: ★★★★★★★★☆☆


アメリカのR&Bシンガー、Bobby Brownの4thアルバム。
1997年11月4日発売。


1986年に1stアルバムを引っ提げてデビューし、2ndアルバムを世界規模で大ヒットさせ、一気にスターダムにのしあがった説明不要のシンガーですね。

伝説的なR&BシンガーであるWhitney Houstonと結婚生活をスタートさせ、1992年にリリースした3rdアルバムも200万枚以上のセールスを挙げて余裕のチャートイン。
本当にこんな順風満帆なミュージシャンは数えるくらいではないか!というくらいにハッピーな人生を見せつけたBobby。


・・・しかし、そのハッピーはそこで終わってしまいました。
そこからは、坂道を転げ落ちるどころか、崖から落っこちるように凄まじいスピードで転落してしまうのです。


まず、Bobbyはかつて自分が所属していたNew Editionの活動にも参加するようになるのですが、ツアー中にメンバーと決裂。
これによりNew Editionファンからは冷たい目を向けられるようになってしまいます。

そして何よりリスナーからのプロップスを失わせたのはWhiteneyとの結婚生活を含めた、Bobbyの私生活でした。


BobbyはWhitneyと結婚した後、飲酒運転による補導、妻であるWhitneyに対するDVなど様々な不祥事を起こしてしまいます。(なお、DVに関しては「俺たちはただふざけていただけ。そしたら家族がDVとして通報してしまった」とBobbyがインタビューで語っています)
挙げ句の果てにはWhitneyもBobbyも不倫してしまう、自分の部屋でコカインをはじめとする薬物を吸引するようになってしまう・・・など、ハッピーな話題に事欠かなかった80年代後半から90年代前半から一転、バッドな話題に事欠かないミュージシャンになってしまいます。

それらにより、リスナーからのプロップスを失い、ファンもどんどん離れていってしまいました。


そして、1997年にリリースされた本作ですが・・・5年前の1992年に200万枚以上を売り上げ、チャート1位を獲得したミュージシャンの新作であるのにも関わらず、チャート順位はアメリカでさえ61位止まり。(一応1stアルバムより順位は上なんですけどね)
評論家からも酷評を浴びせさせられてしまいます。
Bobbyのプロップスが完全に下り坂になってしまったことを象徴してしまった1枚なのです。


この結果があってか、Bobbyは2012年に5thアルバムをリリースするまで自分名義の作品をほとんどリリースしなくなります。
もう完全に「過去の人」状態になってしまいましたね。


さて、内容に。


上にも書いたように酷評された本作ですが、その内容は「地味だ」「華やかさがない」といったものが多かったようで。

果たしてそれが本当かと実際に聴いてみると・・。


なるほど、確かにこれは地味ですね。全体的に。

華やかな楽曲は1曲もなく、落ち着いた雰囲気の楽曲で全て構成されています。

ヒットしたBobbyの楽曲の空気感を期待すると絶対に裏切られるでしょうね。
そのこともあって全体的な抑揚も抑えめで、酷評に繋がったのも頷けます。


ただ、個人的にはそういう概念を取っ払って素直に聴いてみることをオススメします。

確かに地味ではあるんですが、聴きどころはありますよ。


Whitneyが夫に対して愛を歌い上げるM-1Intro Nobody Does It Better」からM-3「Feelin' Inside」までの流れは中々。
M-2「It's Still My Thang」は曲調こそ地味ですが、歌もラップも丁寧に歌い込んでいて聴きごたえはあります。
M-3「Feelin' Inside」もシングルとして切っただけはあり、クールなトラックとBobbyの歌が相性の良さを見せつける良曲に仕上がっています。


この曲以降はシンプルなトラックの上でBobbyがしっかりと歌い上げて魅せる楽曲が続きます。
ただBobbyの歌唱力自体はそこまであるわけではないのでちょっと限界も感じなくは・・。

その流れからいい流れに持っていったのがM-7「Give It Up」。
所々に入るトークボックスがかなりいい働きをしていて、Bobbyの歌唱も生き生きとしています。
ドライブのBGMなんかにはもってこいでは?

続くM-8「Happy Days」は本作で一番色んな音が聴けるトラックで、聴いているだけで楽しい気分になれてしまいます。
華やかな曲とまでは行かないのに、こんな気分にさせるのはすごいですね。


表題曲であるM-9「Forever」は良くも悪くも並で終わった感じですが、続くM-10「Sunday Afternoon」は切なげで暗めなトラックが、まさに日曜日の午後、という雰囲気を演出しています。


そして・・・本作一の名曲が本作の(国内版のボーナストラックを除いて)最後を締めるM-11「Heart And Soul」。
地味ながらも中毒性のあるトラックは一度聴いたら忘れられないこと請け合いです。
そこに乗っかるBobbyの歌、コーラスもかなり絡み付いてきて、何度も聴きたくなってしまいます。
最後にいいのを収録してくれた!と思える流れです。


さて、忘れてはいけないのが国内版のボーナストラック。
本作ではM-12「Feelin' Inside (Marley Marl Remix)」M-13「Feelin' Inside (Mr. Dalvin Remix)」の2曲が収録。
国内版のボーナストラックのRemixは大抵期待してはいけない出来ですが・・・今回の2曲はどちらも原曲よりHIP HOPテイストなRemix。

どちらも中々聴き応えありで、原曲に負けず劣らずの内容になっています。


アルバムとしては、確かに上にも書いたように、地味です。
ですが、楽曲を素直に聴いてみれば、割と良曲はあり、合格点は行っている作品なのでは?と感じます。
それぞれの楽曲の丁寧さという面では、Bobbyの過去の作品にもひけをとっていないですしね。


とりあえず、興味のある方は一聴してみては?


↓M-2「It's Still My Thang」。
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