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音楽CDの感想を綴っていきます

SUPERHARD / ラッパ我リヤ

スーパー・ハード


曲目リスト


1. イントロ
2. yeahと言え
3. ニセモノセイバツ
4. 金
5. 邦楽界
6. ヤバスギルスキル・パート3 feat. Ark
7. 人間太鼓箱
8. 中トロ
9. 時間
10. 交通警報
11. R.G.力学
12. LOVE SONG feat. Dejja
13. もし俺が
14. 言葉遊び feat. 三善善三
15. 走馬党 feat. 走馬党
16. アウトロ


評価: ★★★★★★★☆☆☆


日本語ラップ界を代表するクルーの一つである走馬党の中心グループ、ラッパ我リヤの1stアルバム。
1998年9月25日発売。


ラッパ我リヤはまず1993年に結成され、当時のメンバーはQ、MMC三好(現三善善三)、DJ TANAKENの3人。
三好の提案によりグループ名を「ラッパガリヤ」として活動開始。
音源リリースはないまま3人での活動は休止し、「ラッパガリヤ」はQのソロ名義→Qと山田マンのユニットという形に変遷しました。
1995年ごろにはイベントにてともに参加したDJ TOSHIが加入し、同年にコンピレーションアルバムへ参加して名前を全国規模に。
1996年に1stシングルをリリースし、1997年には走馬党も結成して同名のレーベルも立ち上げ。立ち上げ後すぐにグループ名を「ラッパ我リヤ」に改名して12インチシングルをリリース。
翌年の1998年に1stアルバムである本作をリリース。
2003年には1曲ボーナストラックを追加&マスタリングした再発盤もリリースされています。



では、内容に。


ラッパガリヤのMCであるQと山田マンはどちらも華があるタイプのMCではありませんが、押韻にこだわりつつも面白いリリックを展開していくラップさばきはその華のなさを補った強烈な個性です。


イントロを経てのM-2「yeahと言え」は名前から想像できる通り序盤の曲らしいライブチューン。
2人のラップの言葉選びの面白さは堪能できますが山田マンが手掛けたトラックがちょっと元気がなくあと一押しほしいところ。
最後のTOSHIのスクラッチはカッコいいんですけどね。

M-3「ニセモノセイバツ」はこれまた名前から想像できる通りワックMCワナビーもの。
DJ CEROLYが手掛けた緊迫した雰囲気のトラック自体はカッコいいものの2人のラップとの相性が微妙で、どちらもいい仕事ぶりなだけに非常にもったいなく感じます。
次のM-4「」は同じくダークなトラック(こちらは山田マンプロデュース)なのですが、こちらはテーマが「金」だけに雰囲気によく合っていて2人のラップとの?み合いもそれなり。

M-5「邦楽界」は当時の音楽シーンを一刀両断する内容の楽曲で、FUMAKILLAによる重たいトラックで淡々とシーンを切っていくのが他にない感じです。


Arkが参加したM-6「ヤバスギルスキル・パート3 feat. Ark」はコンピ参加時代から続く「ヤバスギルスキル」の第3弾。
MUMMY-Dが手掛けたトラックが聴いているだけでも首を振りたくなるようなトラックで、その上に乗る3人のラップも全員キレキレ。

M-7「人間太鼓箱」はQがビートボックスをしてその上で山田マンがラップをするという内容で繋ぎのような役割。最もこの後の「中トロ」はスキットなんですけどね。
このスキットはQも山田マンも素直に音楽に対する思いを語っていて何気に好きです。
スキットを経てのM-9「時間」は曲名の通り時間について綴った楽曲で、DJ CEROLYの不穏なトラックとよく合っています。


M-10「交通警報」は交通事情についての2人からのメッセージソング。
色んな音を入れ込んだ本作随一の聴きごたえのあるトラックでHookの言葉を巻き込んだスクラッチもかなりカッコいいです。
その上にのる2人のラップも文句なしの仕事ぶり。
M-11「R.G. 力学」はビッグマウスものですが、DJ CEROLYによるトラックが微妙でうーんという感じです。

シンガーのDejjaが参加したM-12「LOVE SONG」はQのソロでDejjaが参加という格好。
キレイなトラックですがしっかりとしたワンループになっていてPOPに寄らなくても恋愛ソングは作れるというのを証明した曲と言えるでしょう。
Dejjaの艶のある歌声は勿論ですがQのざっくりしたラップも聴きごたえがあって狙い通りバッチリいい曲になっています。

しょうもないスキットを経てのM-14「言葉遊び」はかつてのメンバーである三善善三が参加。
3人全員とも面白いパンチライン連発で聞き逃し厳禁です。HookでのTOSHIのスクラッチもいいアクセント。

M-15「走馬党 feat. 走馬党」は曲名の通り当時の走馬党ボッセカット。
正直トラックとHookがちょっと単調なんですけど、そんなことを気にさせないくらいに走馬党メンバーがぐいぐい攻めてくるラップをバースで決めてきます。
個人的には好きなんですが全体的にちょっとガサツな雰囲気があるので苦手な人は苦手かも。

ライブの様子をそのまま録音したアウトロでアルバムは幕を閉じます。


上にも書いたようにQと山田マンはアカペラでも聴けそうなラップ捌きです。
如何にも正統派なスタイルという感じで、日本語ラップを聴くなら避けて通れないグループと言えるでしょうね。
1stアルバムである本作はそれが色濃く出ていますが、何曲かトラックに元気がなかったりラップとトラックの相性が微妙な曲があるのでクラシックとまではいかないですね。
最もいい曲はいいのも事実なので、是非チェックしていただきたいです。
僕が紹介したのは1998年にリリースされた通常版ですが、正直音質がしょぼく音が小さいのでこれからチェックしようという方は2003年にリリースした再発盤を手に入れることをおススメします。


↓M-14「言葉遊び feat. 三善善三」。
www.youtube.com